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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第二章『ミネラル』

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38/45

38. わたしのおうち。

 

 地上世界アルカディアでの祭りのあとは心地よい気分でラピスアトリウムの鉱山の中に作った私の居住区でキーパーと眠った。


 ちなみにキーパーはハンモックに寝ている。ぶら下がれる高い天井があるのになぜか私のお昼寝用のハンモックで寝るのだ。


 私はもともと、こういう場所で閉塞感を感じない。

 キーパーが選んでくれたこの削り出されたような空間は始めから私には心地よい空間だった。

 壁の石灰岩の微細な溝が空気を巡らせ、冷気と温気をゆるやかに循環させている。

 天井の細長い結晶柱は琥珀色の柔らかい光を拡散させ、遠くで聴こえる規則的な水滴の音が心を落ち着かせてくれる。

 岩肌は触れるとひんやりしているが湿気はなく、鉱石と乾いた土の匂いだけの静かな家だ。


 寝台は壁から張り出した石棚で、前はアルカディアで買ってきた織物を敷いていただけだったが、ミネラルの苔繊維で作られた布を敷いたらふんわり弾力があって寝心地が飛躍的に向上した。

 もはや、ここは私にとっては処刑場でも死の森でもなく、世界で一番落ち着ける家。鉱物に守られた空間だ。

 それに、階層を降りると湯気が立ちのぼる鉱泉も見付けてある。

 お湯はほのかに青みを帯びており、周りの鉱石の淡い光を受けると乳白色に揺れる。

 私だけの秘密の場所だ。

 あっ、キーパーも知っている。


『ミネラル』のバレンタインさんの屋敷に用意された部屋は居心地がいい。

 今まで育った王城の離れも虐げられていても、最上級の家具に囲まれていた。

 それに比べるとここは簡素だ。

 豪華な家具も装飾品も一切ない。

 窓もない。

 だけど私はここが一番落ち着く。

 ちょっとキーパーのイビキとヨダレは気になるが……


 フカフカではない少し硬めの寝台に潜り込んで幸せを噛み締めた。


 そして……


 あ〜……ん――、岩塩どうしよーう!?


 余計なことを思い出して眠れなくなるのだが。




 *****


 最近はラピスアトリウムの私の家から、よく『ミネラル』に通っている。

 フランさんや、フレデリックさん、デニスさんに文字や色々なことを教わっている。


 先日ローレンスさんから預かった指環をどう加工しようかデニスさんに相談中だ。


「何かここにある素材で欠けた部分を補いましょうか」

そうすれば見た目も変わらず大きさも変わらない。が、問題もある。


「なんだこの加工は。素人がフローライト弄ったのか? 乱暴に削りやがって。これじゃダイヤの加工じゃねーか。まったく」

「ダイヤモンドなんですよ……地上では」

「あん? 何言ってんだ。フローライトは柔けぇ上に完全劈開。下手なことしたら簡単にパリンといくぞ。ダイヤなわけねぇだろう」


 はぁ……まぁでもダイヤなんですよ。全部。

 とか言ったらもっと怒られそうだったのでやめておいた。



 とりあえず、指環にしておいたらまた欠けてしまう可能性が高いので、デザインを変更して、欠けた部分を爪で隠したペンダントに加工し直すのが良いだろうということになった。

 何か、ちょっと素敵にしてあげようかしら……



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