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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第二章『ミネラル』

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30. 役たたず

 

 鉱物たちとの対話も才能だけではなく技術が必要だと言われた。

 鉱物のことをよく知り、よく耳を傾ける。

 そのための第1歩として鉱物の知識は喉から手が出るほど欲しかったのに……

 ミネラルの文字が読めなかった……

 地上の文字と少し似ているところもあったのでちょっと自力で読めないか頑張ってはみたけど、さすがに無理だ。

 デニスさんに教えてもらおうかな?

 でも石の加工も教えてもらうのに文字まで……

 うーん、うーん……

 やっぱり私、何も出来ないなー。

 お父様や周りの人たちが言っていた通りの役たたずだ。


 バレンタインさんの屋敷に戻り、デニスさんが転移石を作ってくれることになったと話した。

 出来上がるまで数日居させて欲しいと。


「なにか、お屋敷のお手伝いをさせてもらえませんか? お掃除くらいしかできませんけど」

「ルナちゃん……そんなことしなくていいのよ……」

 フローレンスさんはそう言ってくれる。

 バレンタインさんも気を使うなと言ってくれる。

 けど……


「だったら、お料理のお手伝いをして頂戴? 一緒にお料理をしましょう?」


「え? いいのですか?」

 フローレンスさんは自分でお料理をすることが多いらしい。

 貴族の令嬢なら自ら台所に立つなんてことしないけど、ミネラルでは貴族階級がないからだろうか?

 ともかく仕事を与えて貰えた気がして少しだけ嬉しかった。

 それに、地上では食べた事のない料理を私も作れるようになりたい!



「……あら、文字が違ったの?」

 さっそく夕飯を作りながらフローレンスさんに文字が読めなかった話をした。

 夕飯を作るとは言っても、私は野菜の皮剥きをしているだけだし、どう考えても調理場の下働きの人がやった方が早いし上手だ……


「だったらフレデリックか、フランに教わったらどう? 手が空いてる時に私が教えても構わないけど、鉱物についてはあの人たちほど詳しくないのよ。フレデリックの方が暇かしらね」


 明日にでも頼んであげる、と言われたけど既になんでもかんでも頼りすぎてしまっているので、自分で行ってみることにした。

 フランさんのお家は知ってるし、その辺りに研究者の家や仕事場が多くあるらしい。



 ***


 翌日。

 研究者のフレデリックさんのお家を探して行ってみると、ちょうどフランさんのところに出掛けたと言われた。

 タイミングが悪かったな……

 いや、タイミングが良かったのか?


「ねぇー、キーパー、文字を教えてもらうのもタダで、ってわけにはいかないよねー。どうしたらいいかな」

「またそれかよ、だったらまた掃除するとでも言ってみればいいんじゃねぇのか?」

「むぅ。真剣に悩んでるのにぃ」



 フランさんの家に行くと、今日はもう仕事場に行っていると言われた。

 やっぱりタイミング悪いな……

 近所の人にフランさんの仕事場の場所を聞いて探しているとだいぶ奥まった所に洞穴の入口があった。

 ここだろうか? と思って中を覗くと入口は狭くもなく広くもなく、普通なのにすぐに行き止まりになっているように見えた。

 ここじゃないのかな? と思ったが行き止まりに見えるところの奥から光が漏れている。しかも私には色々な色の光に見えた。それと、なんだか聞いたことのない声が聞こえる気がした。気のせいかもだけど。


「あのー、すみません! フランさん! フレデリックさぁーん! ルナですー!」

 控えめに中に向かって呼びかけて見ると

「はいはーい!」

 すぐに奥から返事が聞こえてきた。

「今行くからちょっと待っててね!」

 この声はアナグマ精霊のフランさんの声だ。

 良かった、ここだった。

 それにしても奥はどうなってるんだろう?変な洞窟。



 少し待ってるとフレデリックさんと一緒にフランさんが出てきて、みんなでフランさんのお家に戻った。

「君たちはこれでいいかい?」

 とフランさんが果実水を出してくれると、キーパーがご機嫌で飛びついている。


 私はここに来た理由を告げて

「お掃除くらいしか出来ませんけど、文字を教えてもらえませんか」

 と頼んでみた。

「うーん、あいにく私もフレデリックも一人暮らしでね、掃除してもらうほど大きな家に住んでないんだよ」

「仕事場は研究資料が山のようにあるからのう、触られるとかえって困るんじゃよ」


「……ですよね……」

 薄々予想はしていた。


「別に対価なんかなくても文字くらい教えて上げますよ?」

「あぁ、私もじゃよ? 研究と言っても寝る間も惜しんでやっとるわけじゃないからのう」

「でも……」

 わかってる。場所が変わったところで役に立つ人間になるわけじゃないことくらい。

 しゅん……

 と、また自分の前髪に隠れて落ち込んだ。


「何かしてくれるというなら、ルナさんにしか出来ないことがあるんだけどやってもらえるかな?」


 私にしか出来ないこと?

 そんなもの、あるなら私は捨てられてないんだけど……





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