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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第一章『ラピスアトリウム』

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⒊【ハライト】塩から始まる共依存


 あー、ずっと見ていたいけど。



 自信を持って言おう! ここでずっとこの子たちを見詰めていても一生飽きない。餓死して死ぬまで見ていられる。


 しかし、やめておく。


 なぜなら。これ以上がありそうだからだ! 



「フフフフフ……」


 耳を澄ませばこの鉱山の中の色々な声が聞こえる。

 ここより浄化された所がありそうだ。

 次はアレが欲しい。


 フローライトたちは大人しい。ビックリさせないように静かに立ち上がってそっと立ち去る。


「またすぐに来るからね」



 私はまた迷わずに暗い洞窟内を進む。

 この道、随分歩きやすい気がするけど、昔人間が作った坑道なのかしら。

 生きて出てきた人間がいない、というだけで、たしか過去にも数人、私のように魔法陣でこの大森林に飛ばされた人間がいたはずだ。

 そのうちの誰かが掘ったのかしら? それとも自然に? もしくは魔物とか? 


 あ、洞窟内に魔物がいたらどうしよう? 強い魔力は感じないけど、武器とか持ってないし。闇の中で戦うのはちょっと厳しいわね。


「魔物さん、出てこないでくださいね」



 独りの心細さからか、独り言が多くなる。

 やはり明かりも必要ね。

 探したい物が山ほどあるわ。



 ブツブツ言いながらどれくらい歩いただろうか、フッと空気が変わった。


 ここを照らす光源は無さそうなので仕方なく魔法でライトを灯す。



「ウッフョー!」



 またしても壁一面、

 岩塩層が広がっていた。

 岩塩(ハライト)のお陰でここは空気ごと浄化されているようだ。

 白い壁が浄化の気を放って身が引き締まる。

 しかもここにあるほとんどがクリスタル岩塩だ。


「うぅぅ……」

 また笑いが込み上げてきそうになって必死に堪えると変な声がでた。

 ハライトの中でもクリスタル岩塩は伝説上の物かと思っていた。そもそもこの世界の人々は岩塩を食べないので、採掘もしない。




 いつまでもライトをつけておけないので、目線の辺りの岩塩をひと欠片剥がして耳を澄ます。


 これも凄い力。


 ライトを消した手のひらに結晶を乗せ、意識を集中する。

 内包された魔力を細い糸を引っ張るようにスルスルと抜き取り、他の不純物も確認する。純度の高いクリスタル岩塩は、魔力以外の余計な不純物はほとんど含まれていない。

 水で加工しなくて済むのは助かるわね。

 さらに結晶構造を整えるだけでとんでもないポテンシャルを発揮してくれる。


「はぁっ。ホントに宝石みたい」


 ペロリとひと舐めすると、海水塩のような苦味もなくまろやかで、丸1日食事をしていない私の体に気持ちよく吸い込まれていく。



「んんんー、最高級品じゃない?」



 唯一食べられる鉱石、岩塩(加工済)も手に入れられた。

 最悪、水と塩(どちらも最高級品だ!)で1週間は生き延びることができるわね。

「フフフフフッ」




「おい!」


 ん?……


「おい! 人間!」


 んんん??

 声が聞こえた気がする。

 今日は度々興奮したから幻聴が聞こえるほど疲れたのかしら。


 あ! もしかして、この森に打ち捨てられた過去の罪人の方の怨霊?

 あるわね!


「どなたの幽霊か存じませんがお気の毒な事ですわ。でもわたくしに取り憑いてもつまらないと思います。どうぞ神の国で幸せにお暮らしくださいませ」



「お前、何言ってんだよ、俺は幽霊なんかじゃないぞ。そもそもここまで入ってきた人間はお前が初めてだからな」


 とてもしっかり喋る幽霊だが、悪意は無さそうだ。


「では、どなた様ですか?」


 キョロキョロと何かの気配を探してみる。


「上だよ、上」


 上?

 私の目はだいぶ暗さに慣れて、随分辺りの様子はわかるようになっていたので上を見上げてみるが何もいない。

 仕方ないのでライトで照らすと

 大型犬サイズのコウモリがぶら下がっていた。

 もちろん顔が下だ。

 漆黒の大型犬はライトを当てても分かりづらいくらい闇に溶け込んでいた。



「大きい……わね?」


「なんだよその感想。それより、ソレ、クレ!」

「ソレって?」

「塩だよ」

「食べればいいじゃない? こんなに沢山あるんだから」

「違うよ! お前がいじって食べれるようにしたヤツじゃないと食べられないだろ?」

「そうなの?」

「内側に魔力が複雑にこびり付いてて、そのまま舐めたら刺さって痛いだろうが」

「いや、知らないし。それにあなた魔物じゃないの? 魔力のある塩の方がいいんじゃないの?」

「チッ、そんなこと考えてるから人間はこの森で死ぬんだよ」

「どういう意味?」

「なんでもいいから、くれよ」


 なんかはぐらかされたけど、とりあえず岩塩は私の物でもないし、あげることにした。



「ウッフョー! うまいなコレ、お前何もんだ? 何やらかしたんだよ」


 何もやらかしてないんだけどな。

 私はこのコウモリ魔物にここに来たあらましをザッと説明した。



「それでね、みんなわたくしの事を根暗とか大地の呪いだとか言って、気持ち悪いって嗤っていたの」


「お前さ、それ、合ってるじゃねーか」


 え……




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