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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第二章『ミネラル』

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29. 面倒事の足音

 

 地上世界では『冷衰症』という病がある。一年中冬のせいで発症する病ではないかという研究者もいるが、実際研究は進んでおらず、原因も治療法も不明な病だ。

 そのせいで『冬の病』と呼ばれることも多い。

 急速に死に至るものではないが、ゆっくりと時間をかけて体を蝕んでいく。

 はじめは指先の感覚がにぶる、眠りが深くなる、という程度から、徐々に魔力が凍り心拍が遅くなりしずかに眠るように死ぬ。

 平民も貴族も誰しも罹る病だが、寒いところで過ごすことが多く、貴族よりも栄養状態が良くないから平民の方が罹患率が高いのではないか、という研究結果もあるが、魔力量の多い貴族の方が重症化するのが早いともいわれている。


 皇帝や国王でさえ罹患する可能性が高い病だ、どの国も当然費用を惜しまずあらゆる治療法を研究させていた。

 だが今のところ、大きな成果はあげられていない。

 各国の研究者たちは密かに焦っていた。

 なぜならここ数年、患者数がとんでもなく増えているのだ。

 それに対して、数年かけて死に至るため、まだ死亡者数はそこまで跳ね上がってはいない。

 しかしこのまま放っておけば世界的危機。そして、なにより明日は我が身だ。

 死亡者数が激増する前になんとかしたいと思うのはどの国も同じだろう。



 そんな折、出処のよくわからない特別な塩が冷衰症患者に効くのではないかという噂が世界中を駆け抜けた。真偽のほどは定かではない。あくまでも風の噂程度だ。

 しかし、現状の地上世界は、風の噂にもすがりつきたいのが本音だ。


 当然、この件で一番頭を痛めているのはアルカディアのバルム商会だった……



「旦那様、モルディア公国の薬師ギルドからも問い合わせが入っております」

「公国までか……」


 はじめは近場の商人ギルドや薬師ギルドからの問い合わせから始まった。噂を聞きつけた個人の客も塩を求めて店に殺到し、日々問い合わせも増えてきている。

 しかし、バルム商会自体そんなに沢山在庫を持っていない。

 まだ国レベルでの問い合わせまではいっていないが、政治が絡んでくるのも時間の問題かもしれない。


「これは、早めにご相談するべきだろうな。私たちでは対処しきれなくなるのは間違いない」

 商会長のローレンスは、表面上の威厳は保っているが、今後の事を考えると心の中で大きなため息をつかずにはいられなかった。


 はぁっ……



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