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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第二章『ミネラル』

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23/45

23.【ミネラル】の秘密その1

 

 美味しいお食事を食べたあと、私たちはサロンへ移動した。

 ちなみにキーパーは食べ過ぎてほぼ使い物にならない。私の膝の上でお腹を出しているが非常に重いのでおろしてもいいだろうか? 


「キーパー殿、貴殿にはきちんと御礼をしないといけないと思っている。先程の件もだが今までの長い年月ミネラルが平和でいられたのは貴殿のお陰だろう」

「おぅ……」

 小さな声で返事? 呻き声? はしたが

 これは、ダメだ、全く聞いていないやつだ。

 多分かなり大事なことをバレンタインさんは言ってくれているのに失礼過ぎる。

 白目を向いているキーパーとバレンタインさんの顔を交互にチラチラ見ているとフローレンスさんがクスクス笑う。


「ゴホンッ……御礼はまたいずれ落ち着いてからにしよう」

「す、すみません……」


「だが、オーガスタス、今回は随分と多かったな」

「そうですね、今までは多くても10人弱といったところでしたから」

「どうして急に増やして来たんだろうな」


「あ、あの……、今までにもこういうことはよくあったのですか?」

 キーパーが使い物にならないので仕方なく自分で尋ねる。


「ルナさんは遭遇したことがなかったのかい?」

「こいつは一ヶ月前にこの山に捨てられて来たばかりだからな」

「あ、キーパー起きてたの?」

 体勢は変えずに薄目を開ける。動けないけど喋ることはできるらしい。


「まって、ルナちゃん、山に捨てられたってどういうこと?」

「これ! フローレンス、会ったばかりなのだから踏み込んではいけないよ」

「あぁ……別に大丈夫です。悲しいとか思ってませんし」


 私はなぜラピスアトリウムにやってきたのか、ざっくり説明した。


「私も、父や周りの人達に愛される努力を全くしていませんでしたし、醜い髪や瞳の、魔力量の低い子を王室に置き続けるわけにはいかなかった国王としての判断は正しいと思ってますので」


「なんなの、それ……」

 ん?

 声が低くて怖い……

 フローレンスさんが顔を真っ赤にして震えている。

 私以外の全員が額に手を当てている。

 ん?


 ドンっ!!


「なんなのよ! それは! どうして子供が親に愛される努力なんかしなきゃいけないの! ルナちゃんもルナちゃんよ! なにが国王として正しいですか! そんなの正しいわけないでしょうがぁ!」


 フローレンスさんがテーブルを叩いて立ち上がってなんか叫びだしたので、キーパーもビックリして目を丸くしている。降りてはくれない。

 私もギョッとして何を叫んだのか内容は全く入ってこなかった……

 テーブルを叩いた手は大丈夫だろうか?


「フローレンス……落ち着きなさい。 君が怒ってどうする? ルナさんがビックリしてしまったじゃないか」


「奥さま……」

 いつの間にかメイドのクララさんが倒れた椅子を元に戻してフローレンスさんを座らせる為に背後で涼しい顔をしていた。


 これは……よくあることなのか。

 そんな雰囲気だったのでクスッと笑ってしまった。

「あっ、あの、すみません……」


「いや、いいんだよ、初めて笑ってくれたね、フローレンスは珍しくいい仕事をしたかもしれない」


 急に場は和み、フローレンスさんだけがまだ納得してないような顔をしていたが、クララさんたちが淹れ直したお茶を飲んで落ち着いていた。


「気を取り直して、話を元に戻そう。我々もキーパー殿ほどの精度ではないが、ラピスアトリウムへの侵入者は察知することができるんだ。ルナさんの今の話で、ごく稀に一人で突然山の奥に現れる人間の素性はわかった。罪人扱いされた者たちだったんだろう。だが、それ以外はきちんと森の外から計画的に侵入してきている」

「何をしに来るのでしょう?」

「そこまではわからん」

「俺たちもキーパーさんたちの役に立てればいいんだがなー、すまねぇーな……って、後で伝えといてくれ」

 オーガスタスさんがチラッとキーパーを見る。

「多分聞こえてはいます。耳、動いてますので」

「あの……皆さんは外に出ないのですか?」

「嬢ちゃん、儂らは出られないんじゃ。正確に言うと出られたとしても外では生存できない。だから出ない。といったところじゃのう」

「出られない……?」

「簡単なことじゃよ、外の世界は魔力に満ち溢れている。儂らミネラルの住人は魔力耐性がないようなものなんだ」

「魔力耐性? あ、あの、私僅かですけど魔力持ってるんですが大丈夫ですか」

 私が入ってきたことで誰かが死んだりしたら困る。

「魔力至上主義の世界で生きてきた嬢ちゃんには酷かもしれんが、嬢ちゃんは全く魔力を持っていないよ」


 エッ……

「いや、でもちっちゃい生活魔法くらい使えますよ?」

「ハッハッハ! それは周辺の魔力を自分の魔力として行使する技術を使えたんじゃろうて。嬢ちゃんはよほど器用なんじゃろう。ここで魔法を発動してみぃ?」


 集中して指先に魔力を集めるが本当に魔法が発動しない。マッチの火くらいは出せるはずなのに。


「できんじゃろ? ミネラルの中は魔力がほぼないからのう、だから魔物は入れたとしても入ってこない。人は辿り着けたとしても入ったら生きられない。儂らと逆のことが起こるんじゃ」

「……なるほどー」

 ん?

「あれ? 私は?」

「恐らく……ディアリスじゃ」


 でぃあ? りす……?

 そろそろ頭が混乱して来てしまった。キーパーのようにちょっと白目をむいて斜め上を見上げて思考がストップした。


「そんな話はどうでもいいわよ、フレデリック。ルナちゃん、今日からここがあなたのお家ですからね、そうだわ、クララ! ルナちゃんの服を仕立てないといけないわね!」

「いくつか既製品は買い揃えておきましたので今夜はそれで」

「仕方ないわね! 明日、服を仕立てましょう、それから、ミネラルの中を案内しないといけないわね! そうだわ! フランにも紹介しなきゃ!……」


 男性陣は止まらないフローレンスさんと目を合わせないように各々紅茶を啜っている。





フランさんは、ミネラルの実質的最高権力者?のアナグマさんです。

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