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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第二章『ミネラル』

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19/45

19. 特別じゃなかった

 

 初対面の男性たちは、みんな髪の色も目の色も青緑系の濃い色をしていた。この国ではあまり赤系の色の方はいないのだろうか。私の色が特別に見えない。


 私と彼らの間にはコウモリだけど威厳たっぷりの親分が立ちはだかっている。


「はじめまして、ルナさん。私はバレンタイン。一応今はこの国の代表みたいなものかな」

「あの、は、はじめまして」

 親分の影から少し顔を覗かせて挨拶をする。


「しかしトビラのガーディアンが護衛とは。頼もしいな? ガーディアン殿、私たちは彼女に危害を加える気などないよ。話をさせて欲しい。もちろんガーディアン殿もね」

 柔らかい笑顔を親分に向けて一生懸命説得してくれている。

「親分……多分大丈夫そう。私の石たちは怖がってないから」

 また翼膜をツンツンして親分を下がらせる。


「ほうー、そんなに若いのにもぅ石と話せるのか、これは将来有望じゃのう」

 少し後ろで私たちを観察していたおじいちゃんの一人が目を細める。


「これは失礼、紹介が遅れてしまったな。こちらは研究者のフレデリック。こっちが加工職人のデニスだ」


 えっと、背が高くてひょろひょろのおじいちゃんがフレデリックさんで、兵士? のオーガスタスさんより背が低くてちょっと背中が曲がってるおじいちゃんがデニスさん……

 いっぺんに覚えられないかも。


「実は、私も君と同じものを持ってるんだよ」

 バレンタインさんも首から下げていたペンダントを外して私に見せてくれる。


「…………うわぁー、すごい綺麗なラピスラズリ! ラズライトの青が濃い!」


「ハハハ、君は石が好きなんだね? 君のも見せてもらってもいいかい?」


 私の指環も取り出してバレンタインさんに渡すと「ほぅ、これは綺麗だな!」と言いながらフレデリックさんに渡した。

 ルーペのような物(形はルーペだがなにか違う気がする)で、私の指環を観察すると

「ホッホッホ、たしかに、本物じゃ! これは凄い! ホントに外から人が入ってくるとは!」

「ああ、たしかに凄い力が眠っていやがる。眠っていてもこんなに美しい石なんぞ滅多に出会えねぇ」


 なにが本物なんだろう?

 ホントに綺麗かな?

 私も親分もここに来てから何一つ疑問が解決していなくて、また私の思考は完全に止まっている。


「それで、ここはどこなんだ? ミネラルってなんなんだよ? ラピスアトリウムの下ってことか?」

 役に立たない私の代わりに親分が私が聞きたいことを聞いてくれる。


「ルナさんは()でご両親が待っているのかな? だったら一度帰って無事を知らせて来た方がいい」


「……あ、あの」

 なんて言おう? 正直に話したらどう思われるだろう。


「コイツの家はオレの縄張りの中だ。オレがいつも一緒にいるから親なんてくだらないものいなくていいんだよ」


 なんなんだろう、この王子様は。少しだけ目の中に涙がたまった。


「そうか……だったらうちに滞在しないかい? 君たちの話をみんな聞きたがっているし、私たちも君たちに説明できることがあるよ。ガーディアン殿が一緒なら心配ないだろ? ()に帰りたくなったらいつでも帰ればいいよ」

「そうじゃな、その鍵は詳しく調べたい」

「ああ、俺の弟子にしてやってもいいぞ。そんな歳から加工ができるなんて逸材は貴重だ。俺が死ぬまでにモノになるようにしてやる」



 ここにいる大人たちが私に向ける言葉がよく理解出来なかった。

 王族なのに魔法もろくに使えない役立たずとか、髪や瞳も汚い色だと言われることにはもう慣れていた。

 悲しいとも思わなかった。

 なのにどうして涙が出るんだろう。

 声もあげずにただ静かに、顔色も変わらずただ涙がポタポタと次から次に零れてくる。



「お前はどうしてすぐ泣くんだよ、ドン引きだって言っただろ」

 親分が小言を言いながら片方の翼で私の顔を包み込む。




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