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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第一章『ラピスアトリウム』

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16/45

16. ~バルム商会②~

 

 バルム商会長のローレンスはアルカディアの郊外にある屋敷を訪れている。

 広大な敷地に、重厚な煉瓦造りの古い邸。

 城のような格式高い建物の応接間、

 目の前にはローレンスよりだいぶ若い年頃の邸の主が座っている。


「わざわざ邸を訪ねてくるとは珍しいな、いつでも私の方から店に行ってやると言っておるのに」

「突然いらっしゃるのはご容赦ください。いつも使用人たちが慌てております」

「それは悪いことをしたな」


 全く悪いと思っていない顔で楽しそうに笑う。ローレンスよりずっと若いが彼が傅くには充分な貫禄だ。出自の違い以上のなにか、を持っている。


「妙な少女に目を掛けているそうだな」

「ご報告が遅れまして申し訳ありません」


 ローレンスはルナが持ち込んだ塩や、鉄粉を側近の手を介して渡す。


「これか?」

「おそらく片方は岩塩」

「ほう、美しいな、不純物が全く混じっていない、どのように精製してあるのだ?」

「それが、精製の痕跡がございません。歪で不揃いのように見えますが一つ一つの結晶が綺麗に整えられております。食用に用いることも問題ありません」

「ふむ、もうひとつは鉄粉か?」

「はい、剣を打つ際に混ぜると魔法と硬度の強化になるような物だそうです」

「おもしろいな、それで?」

「はい、扱えませんでした」

「ん? 騙されたのか?」

「いえ、今アルカディアにいる鍛冶師では扱えなかったというだけです。これを扱うには鍛冶師にも強い魔力と繊細な魔力操作が必要なようでして、加工する者も、仕上がった武器を使う者も限定されるようです」

「なるほどな、何者だ?」

「申し訳ございません、調査はさせておりますが今のところわかっておりません」

「目星は付いているのだろう?どうするつもりだ」

「特にどうするつもりもございません」

「フッ、まぁいい、今度会ってみたいな」

「お忍びは皆様がお困りになりますよ」

 背後に立つ側近たちがチラリと目配せをしたことで会談は終了した。






「旦那様どうされました?」

「ああ、セオドアか。今、落とした書類を拾おうとしたら机に指環をぶつけてしまってな、軽く当たっただけなのに欠けてしまったんだ」

「それは。お怪我はございませんか。そういえばルナさんが何か仰ってましたね」

「あぁ、これが言いたかったのかもしれんな」

「言ってくれればよろしいのに」

「うーん、あの子は人に慣れていないんだろう、それだけじゃないかもしれないが」


「加工職人に連絡しておきましょう」

「あぁ、いや、いい、それよりあの子を襲った者たちは?」

「申し訳ございません、未だつかめておりません」

「本人が無事ならいいんだがな。それにしても田舎の行商人の娘が魔導師に狙われるとは、この街も物騒だな」

「見回りを強化させましょう」

「あまり圧力をかけるなよ」

「ご心配なく」




第一章はこれでサクッと終了になります。次から古代都市国家に行きますので、第2章も読んであげてもいいよ?って方は是非ブクマ、評価、よろしくお願いします。

第一章、ありがとうございました。

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