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ミネラル ~捨てられた王女は石の声が聞こえます~  作者: May
第一章『ラピスアトリウム』

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14/15

14.【フローライト】指環

 

 ミスリルは……


 やっぱりちょっと見てみたいよね。へへへ。



 というわけで、コウモリたちの案内でミスリル鉱山に来ている。

「お前、要らないって言ったろ?」

 ラピスアトリウム(親分の縄張り内)なので親分は普通に飛んでいる。


「ちょっと見るだけよ」


 私たちがいる所からはだいぶ離れた人間の街にほど近い山にミスリルがある。



「こんなに人間の街に近いのにどうしてここにミスリルが眠ってるってバレてないのかしら? 優秀な魔導師なら魔力反応で気が付きそうなものだけど」


「へへん! オレたちが闇で隠してるからな!」


 へー、すごいな親分。褒めると調子に乗りそうだから褒めないけど。



 しばらく奥に進むと壁面には、淡い月光を閉じ込めたような銀白色の鉱脈が走っていた。近づくと、ミスリルは石に埋もれてなお澄み切った輝きを放ち、叩けば澄んだ音が返りそうなほどだ。奥には色の異なる鉱石や金属がちらほらと混じっているが、この場所の空気を支配しているのは、圧倒的にミスリルの清らかな光だった。



「凄く綺麗だけど、とんでもない魔力ね? 私ここにいるだけで魔力酔いしそう」

「うう……オレも。なんか気持ち悪い」

「なんでよ! 魔物でしょう? 頼りにならない魔物ね!」


 外には漏れ出ていなかったけど、ここの魔力濃度は異常で、地層も歪んでる。魔力が小さく暴走しかけてるところさえある。

 早く出よう……





 アルカディアのバルム商会と1週間後の約束をしていたので私たちたちはまたアルカディア近くの森の端に転移した。


「外に出る訳じゃないのになんでワクワクしてるの?」

「だって、こんなに沢山人間がいて見てるだけでも面白いだろ。また襲われるかもしれないしな」

「襲われるのはおもしろくないよ」



 本日は色々と改良を加えた装備で出陣している。前回の失敗も踏まえて準備万端だ!

 いざ、バルム商会へ。



 今日も買い取り窓口ではなくて部屋に案内された。私が子供だから危険だとでも思ってくれてるのだろうか。それに商会長のローレンスさんが対応してくれて、お茶まで出されている。

 やはり少し居心地は悪いが、前回ほどは緊張してないのが自分でもわかる。顔をあげて周りを見る余裕があるからだ。


 あれ?……

 ど、どうしよう、ローレンスさんの指輪の宝石が気になるけど、口にして良いだろうか。余計なことを言って機嫌を損ねてしまったら……でも気になる。見なかったことにしようと思えば思うほど目が離せない。


「どうかされましたか?」


「あっ……あ、あ、あの……そのリング……」

「リングですか? 最近娘から貰ったものでして、旅行中に珍しい色のダイヤを見つけたそうでプレゼントしてくれたので指環に加工させたのですよ」



 あー、大事なヤツ……


「あ、あの、利き手じゃない方に付けるか、か、か、可能ならペンダントとかに加工し直した方がいいかもしれません」


「え? なぜですか?」


「あ、あの、す、すみません……余計なことを言って……すみません、忘れてください」


「はぁ……」


 あー、なんでうまく伝えられないんだろ。でも、その石は指環を嫌がってるなんて言ったらまた気持ち悪いって思われるだけだし、買い取って貰えなかったらお金ないし。でも石も可哀想だし……うぅぅ……

 ローレンスさんのリングの宝石はもちろんダイヤモンドじゃない。【フローライト】という鉱石だ。私が山ではじめに見付けた冷鉱泉を照らす石。私がスリスリしたいのを思いとどまったのは割れやすいからだ。そもそもフローライトは日常的に身に付ける装飾品にするのはお勧めしない。どうしても身に付けたいならペンダントやブレスレットにして、衝撃を与えないように、出かける際最後に付けて最初に外す。これ、常識……私の。

 仕事中も利き手に付けていたら簡単に欠けてしまいそうで見てるだけでドキドキしてしまう。


 ギュッと目を瞑って「見えてない」ことにする。


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