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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第一章『ラピスアトリウム』

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13/16

13. 鉱物は危険

 

 私のような小娘が、小さな露店で金貨を使っていたら強盗未遂に遇うのも仕方ないだろう。



 親分の闇に包まれて認識されにくくはなっているが、完全に見えないわけではないので、人目を避けて賑わっている港とは逆側に街を出た。



 荒い呼吸を整えながら完全に人がいない場所を探す。


「別のやつの方が良かったかなぁ?」

「もっと持ってたの?」


 懐に仕込んであるマジックバッグ代わりの石の中から、攻撃用の鉱石と煙玉をいくつか出して親分に見せる。

「なんでそんなに好戦的な石ばかり持ってきてるんだよ、全部物騒すぎるだろ!」


「だって初めての場所だし、何があるかわからないでしょう? 実際強盗にあったし」


「……あの程度の雑魚ならオレがなんとかしてやるから余計なことするなよ、大騒ぎになっただろ」


 そこまで物騒な物は作ってない。濡れ衣だ。さっき使った【スティブナイト】含め今回加工してきた物は、ちょっとした足止め程度の物だ。


 鉱物はどれも非常に美しい。何億年もの時を生き、力を蓄え唯一無二の輝きを放って私を魅了している。


 だが、危険な鉱物も多い。触るだけで危険な物もあるし、毒や放射能を帯びて、加熱するだけで致死性の蒸気を生じる物などもある。賢者の石と呼ばれている物は最も毒性が強い鉱物だったりする。

 美しい、など欲望のまま適当に扱ってはいけないものだ。




「もともと若干好戦的な子たちをちょっとトリミングしてあげたらあんな感じになりました」

「……もぅちょっと穏便な物に作り替えろ!」

「ごめんなさい……」



「商会を出てきた時から付いてきてた人も、いなくなったわね」

「あの騒ぎでオレたちを見失ったんだろ」

「だね……じゃあ今日はまた街に戻るわけにもいかないし、帰ろうか」



 強盗未遂には遭ったけど、自信作の岩塩も高額で買い取ってもらえて、欲しいものも買えて、はじめてのお買物としては満足のいく結果だ。




 私たちは鉱山に戻って、ペンダントの時空から出た親分とパンをリベイクして一緒に食べた。


「コウモリって雑食だったっけ?」


 塩と森の恵み以外の物を食べるのは約1週間ぶり。やっと少しだけ生活水準をあげることが出来て、色々なことを思考する余裕ができた。



「これからどうしようかなぁ」

「そうだな、あまり岩塩を売りすぎるのは困るからな、ミスリルでも売るか?」


「いや、そういう話じゃないよ」

「……って、え――!ミスリル採れるの!?」


「そりゃああるだろ。でもこの山にはないぞ。さっき行った人間の街に近い山だな」

「そういえばここの鉱山は、これだけ古くて稀少な鉱物が山ほどあるのに、魔鉱石の類がないわね」

「欲しいのか?」

「要らないわね、加工済みのミスリルやオリハルコンなら会ったことあるけど、つまらない子たちだったもの」

「まぁたっぷり魔力ためこんでるし、人間に従順になっちまってる」



 鉱物はこの世界ではあまり価値がない、ただ、ミスリルなどの魔鉱石は別だ。国宝級の武器などはミスリルやらオリハルコンなどの魔鉱石で出来ている物が多い。ミスリル鉱山が世界に数カ所あるようだが、稀少な鉱物で、もちろん、一般人がナイフに使ったりなどはしない。

 だけど、人間に価値を生み出された魔力特化のあの子たちは自分で考えることをしない。人間には従順で扱い易いが、私にはつまらないし、そもそも魔力無しの私とは相性が悪いので加工もできない。

 よって、ミスリルなどの魔鉱石は私にとっては価値がないので採りに行くつもりもない。

 ミスリルの話は終了!



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