とある村の納屋にて
「あまりにも鎧っぽい姿で死んでるし、本人も“働きたくない”と強く願ってる……」
「よし、鎧に転生やなw」
***
転生したら付喪神型リビングアーマーだった件
~村でニートしてたら、王都の戦争終わってた~
***
「……あれは、邪神の鎧なんじゃ。近寄ってはならんよ。」
───誰かの声が聞こえる。
ここは……どこだ?
今日は何をしていたんだっけ?
うす暗い空間に、舞い上がるほこりが光を反射している。
カン、カン、と風に揺れてどこかで工具がぶつかる音がした。
近くにはサビかけた鍬、使い古されたタル、蜘蛛の巣が張った棚。
「……納屋か?」
つぶやいた自分の声は、妙に金属的な響きだった。
そして気づく。
体が……重い。いや、それ以前に──
動かない。
いや、正確に言えば、
自分の意思では動かせない。
「……なんだこれ。全身、鉄……?」
「いやいやいや、嘘だろ……?」
脳裏に、断片的な記憶がフラッシュバックする。
イベント当日。介護施設。着ぐるみセラピー。過密スケジュール。
そして、目の前が真っ暗になった──あの瞬間。
「……死んだのか、俺? マジで?」
「ってことは……さっきの声。あれ、神様……?」
そのとき、耳の奥であの言葉がこだまする。
──よし、鎧に転生やなw──
「ふざけんなああああああああ!!!!!!!」