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第二巻 第一章 (節制、自制は全ての人に必須)(統治するか統治されてしまうかの二択)(例え話「ヘラクレスへの徳の教育」)

 第二巻


 第二巻 第一章 (節制、自制は統治者に必須)(自国の防衛は統治で最重要)(節制、自制は全ての人に必須)(統治するか統治されてしまうかの二択)(悪い統治者である強者は弱者を奴隷状態にして搾取する)(例え話「ヘラクレスへの徳の教育」)


 さて、もし、このような(第一巻 第七章の、詐称に対するソクラテスの)話の効果が、私クセノフォンが想像するように、ソクラテスの話を聞き入れた人達に詐称や虚偽の外見をやめさせる事であったならば、次のような(ソクラテスの)言葉は、ソクラテスの弟子達に節制、自制と忍耐の実践を促す事を意図していた、と私クセノフォンは確信している。

 飲食、睡眠、性欲に関する節制、自制、克己。

 寒さ、暑さ、労苦、苦痛への忍耐。

 このような事の全てにおいてソクラテスの知人の一人アリスティッポスが不当に自ら許していたのをソクラテスは気づいた。

 そのため、次のようにソクラテスは、その知人アリスティッポスに話した。

 (次のようにソクラテスは話した。)

「教えてください。アリスティッポスよ。あなたアリスティッポスに教育を任された二人の子達がいたとして、二人の子達のうち一人は政治への才能を育てる必要が有って、もう一人は政治への性向が最も希薄であった場合、あなたアリスティッポスは、どのように、その二人の子達を教育しますか?」

「あなたアリスティッポスは、どう思うでしょうか?」

「最初の質問から始めましょう。言うのであれば、食べ物という最低限の必須要素の質問から始めましょう」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「はい。食べ物から始めるべきです。ぜひ。食べ物は第一の要素で、食べ物無しでは、生きる事ができる人はいない、どころか、人々は死んでしまいます」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ。では、『二人の子達の両方に、ある時、食べ物を手に入れたいという欲求が自ずと現われる』のは当然だと思います。当然だと思いますよね?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「当然だと思われます」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、二人の子達のうち、どちらの子を、子自身の自由意思によって、腹の胃袋の食欲を満足させる事を遂行するように教育するのではなく、差し迫っている仕事を遂行するように教育する必要が有るでしょうか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「もし、その子の治世で(、その子に)国政を軽視させるつもりが無ければ、疑い無く、政治を行う事ができるように教育している子です」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、渇きを癒やしたい欲求が起こった場合にも、その同じ教え子に渇きを忍耐する力を備わらせる必要が有りますよね?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「確かに、その子には備わらせる必要が有ります」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、夜遅くに寝て朝早くに起きる事ができるように、また、もし必要が有れば徹夜で見張る事ができるように、睡眠に関しての節制、自制、克己を授けるべきであるのは、二人の子達のうち、どちらの子でしょうか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「二人の子達のうち、その同じ子に、やはり、この(眠気に対する)忍耐を授ける必要が有ります」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ。では、性の事(、性欲)に関しての節制、自制、克己は、とても大いなる物なので、そのようなもの(、性的なもの)によって自分の義務を果たすのを妨げるべきではないですよね?」

「これ(、性欲に対する節制、自制、克己)を必要とするのは、二人の子達のうち、どちらの子でしょうか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「二人の子達のうち、その同じ子が、やはり、必要とします」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ。では、労苦を避けたり、労苦から逃げたりするのではなく、労苦に立ち向かう自由意思による不屈さをさらなる贈り物として授ける必要が有るのは、二人の子達のうち、どちらの子でしょうか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「これ(、労苦に対する不屈さの教育)も(まさ)しく、政治について教育している子に備わらせます」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ。では、敵に対して勝利するために必要な全ての知識の教育を二人の子達のうち、どちらの子に与えるのが、より良いでしょうか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「確実に、私達の未来の統治者(にさせる予定の子に敵に勝利するための知識の教育を与えるのが良い)です」

「なぜなら、知識のうち、これらの(敵に勝利するための)知識無しでは、統治者の他の全ての能力は単なる無駄に成るからです」(自国の防衛、軍事力は重要である。)

 次のようにソクラテスは話した。

「そのような(敵に勝利するための)教育をされた人は、敵に、だまされ難い」

「また、(『敵』に勝利するための教育をされた人は、)そうして、(『敵』に、だまされない事によって、)生物に、ありふれている破滅を免れる」

「(我々、人は皆、知っているように、)生物に、ありふれている破滅のうち、いくつかは、自身の貪欲さによって引っかかってしまう事による物であるし、(生物に)先天的な臆病さにすらもかかわらず頻繁に引っかかってしまうのである」

「実に、食欲によって、生物は餌に引き寄せられて、とらわれてしまう」

「一方、別の生物は、同様に、飲み物による罠で、とらわれてしまいますよね?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「疑い無く(、そうです)」

 次のようにソクラテスは話した。

「また、別の生物は性欲という熱の(とりこ)に成ってしまう」

「例えば、(ウズラ)山鶉(ヤマウズラ)(オス)は、(メス)の声を聞くと、性欲と、性の快楽への期待で、興奮して、危険を計算する力を失くして(、とらわれて)しまうように」

(ウズラ)山鶉(ヤマウズラ)(オス)は(雌の所へ)急行している最中に、猟師の罠に(おちい)ってしまいますよね?」

 アリスティッポスは同意した。

 次のようにソクラテスは話した。

「では、『人にとって下劣な事とは、(性欲などによって)最も頭が変に成っている鳥や獣のように心を動かされている事である』とは思われませんか?」

「姦通者は、家の最奥の聖所(である夫婦の寝室)に侵入している時に、自身の犯罪がはらんでいる危険性や、法による恐るべき罰や、罠にとらわれてしまう危険性や、自身の犯罪の発覚後に軽蔑されている中で最も恐ろしい苦しみを受ける事に十分に気づいているように」

(「姦通者は、家の最奥の聖所である夫婦の寝室に侵入している時に、法が罰によって罪を犯さないように脅している罰を受ける罪を犯している危険性や、仮に罠に陥ってしまったら、とらわれてしまい、性器などを切断されてしまう危険性を知っているように」※別の版)

「姦通者の頭から離れない全ての恐ろしい罰を考慮すれば、また、性欲の奴隷から自由に成るための手元に有る多数の手段も考慮すれば、破滅への砂地獄へ向こう見ずに入り込んでしまう事を考慮すれば、このような(姦通という性欲による)狂乱について我々は、どう思うべきなのか?」

(「姦通者の頭から離れない全ての恐ろしい罰を考慮すれば、また、性欲の奴隷から自由に成るための手元に有る多数の手段も考慮すれば、危険の顎の中へ向こう見ずに飛び込んでしまう事を考慮すれば、このような姦通という性欲による狂乱について我々は、どう思うべきなのか?」※別の版)

「そのような犯罪、姦通を犯す事ができる恥知らずな人は、きっと(自分の)邪悪な精神によって苦しむ羽目に成る事は間違い無いですよね?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「そのような結論に私アリスティッポスも至ります」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、例えば、(寒さや暑さとの戦いが可能な事といった)戦いや農業にとって必要不可欠な事のように、人々にとって必要不可欠な事は、より多数であるし、白昼の天空の下で行う必要が有る残りの物事は過半数であるが、人々の大多数は寒さや暑さと戦う教育を全く受けていないのは、不思議な無関心のあらわれであると、あなたアリスティッポスには思い当たりませんか?」

(「では、例えば、寒さや暑さとの戦いが可能な事といった、戦いや農業にとって必要不可欠な事のように、人々にとって必要不可欠な事は、より多数であるし、野外で行う必要が有る残りの物事は過半数であるが、人々の大多数は寒さや暑さと戦う教育を全く受けていないのは、不思議な無関心のあらわれであると、あなたアリスティッポスには思い当たりませんか?」※別の版)

 アリスティッポスは、また、同意した。

 次のようにソクラテスは話した。

「では、『統治を任命されている人は、(寒さや暑さといった、)これらの事を耐える事ができるように自身を教育する必要が有る』と、あなたアリスティッポスは同意しませんか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「最も確実に(同意します)」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、我々は、(寒さや暑さといった、)これら全ての事において節制、自制、克己している人達を統治者にふさわしい人達に分類する一方、(節制、自制、克己といった、)このような振る舞いが不可能な者どもを統治者に成る事ができる、どんな資格も無い人達に分類する必要が有りますね?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「私アリスティッポスは同意します」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ。では、あなたアリスティッポスは、どちらの人の分類の特徴も知っているので、あなたアリスティッポスは、一体、人の二つの分類のうち、どちらに属する資格が最も良く有る、と思い当たりますか?」

 (次のようにアリスティッポスは答えた。)

「はい。私アリスティッポスは思い当たります」

「私アリスティッポスは、自身を、統治を望む事ができる人達に分類できるとは、一瞬も、夢にも思いません」

「実際、自身の個人的な需要を満たす事は何と難しい問題であるか考えると、私アリスティッポスは、この自身の個人的な需要を満たさず、それどころか、さらに、社会の自分以外の人達が喜んで望む物事を何でも、社会の自分以外の残りの人達へもたらす義務を自身に負わせるのは愚者のあらわれである、と見なします」

「多数の個人的な快楽を犠牲にして、自身を国家の先頭の地位に置いて、もし国家の望みの遂行を全く少しでも失敗したら、法外な責任を問われるのは、私アリスティッポスには、愚か過ぎる行為に思われます」

「何と、とんでもない!」

「まさに私アリスティッポスが自分の家の奴隷を扱うように、諸々の(都市)国家(の大衆)は自国の統治者を扱う事を求めています」

「私アリスティッポスは、従者達が私アリスティッポスに必需品を豊富にもたらす事を求め、従者達が私アリスティッポスの必需品に一つでも手を出す事は望みません」

「そのため、諸々の(都市)国家(の大衆)は、想像できる限りの全ての善い物事を自国にもたらす事が自国の統治者の義務であるし、その間ずっと、自国の統治者が全ての善い物事に手を出さない事が自国の統治者の義務である、と見なします」

(「そのため、諸々の都市国家の大衆は、想像できる限りの全ての善い物事を自国にもたらす事が自国の統治者の義務であるし、自国の統治者が国家予算に手を出してはいけない事が自国の統治者の義務である、と見なします」※別の版)

「そのため、私アリスティッポスの考えでは、もし誰かが自ら悩みを蓄積したいと望むのならば、また、もし誰かが社会の自分以外の残りの人達に対する邪魔者に成りたいと望むのならば、私アリスティッポスは、その人を(ソクラテスに)勧められた方法で教育するつもりであるし、その人は統治者にふさわしい人達に分類されるように成るべきです」(ソクラテスの勧める統治者は、悩みを蓄積する羽目に成ってしまうし、他人に対する口うるさい邪魔者に成ってしまう、とアリスティッポスは主張した。)

「実に、自分のために、私アリスティッポスは、可能な限り楽に気持ち良く日々を過ごしたいと望む人達に分類される事を望みます」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、この点について、統治者か、統治される者である大衆か、二つのうち、どちらが、より気持ち良く人生を過ごしそうか、話題にして調べてみましょうか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「ぜひ、そうしましょう」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、まず、我々に既知の諸国家と諸人種(において調べてみましょう)」

(「では、まず、我々が知っている全ての、外の世界、非ギリシャ人の諸人種と、その帰属国において調べてみましょう」※別の版)

「アジアでは、ペルシャ人が統治者で、一方、シリア人、フリギア人、リディア人は統治される者である大衆です」

「また、ヨーロッパでは、スキタイ人が統治していて、マエオーティス人が統治されている事を我々は知っています」

「アフリカでは、カルタゴ人が統治者で、リビア人は統治される者である大衆です」

「あなたアリスティッポスの意見では、これらの統治者と大衆という二つの分類のうち、どちらが幸せな人生を過ごしますか?」

「または、ギリシャ本国に、より近づいて。あなたアリスティッポス自身もギリシャ人です。ギリシャ人のうち、統治者か、従属する地位である大衆の、どちらが、より幸せな生活を楽しむでしょうか? あなたアリスティッポスよ、考えてください」

 (次のようにアリスティッポスは叫んだ。)

「いいえ! 『私アリスティッポスはまさに自身を奴隷の地位に決して置かない』と、あなたソクラテスに理解してもらいたい」

(「いいえ! あなたソクラテスの話を遮って、すみません。しかし、私アリスティッポスは自身を大衆や奴隷の地位に置くつもりは少しもありません。『私アリスティッポスはまさに自身を奴隷の地位に決して置かない』と、あなたソクラテスに理解してもらいたい」※別の版)

「『統治者と大衆や奴隷の間には中間の道が存在する』と私アリスティッポスは把握しています。統治も奴隷も同様に回避して、統治者と大衆や奴隷の間の中間の道を進む事を私アリスティッポスは熱望しています」

「統治者と大衆や奴隷の間の中間の道は自由へと通じています」

「自由へと通じている統治者と大衆や奴隷の間の中間の道は、幸せへと導く高等な道なのです」

 次のようにソクラテスは話した。

「なるほど、仮に、あなたアリスティッポスの主張する道とやらが、統治と奴隷を回避するのと同様にして、人々を回避できたら、あなたアリスティッポスの主張には何か価値が有ったかもしれませんが」

「けれども、あなたアリスティッポスは人々の中に(神によって)置かれていて、もし、あなたアリスティッポスが統治しようとも統治されようとも思わないし、できれば、統治者に、こびへつらおうと思わないのであれば、あなたアリスティッポスは『強者には弱者を公的にも私的にも後悔という椅子に座らせる手段が有るし、強者には弱者を奴隷のように扱う手段が有る』のを確実に理解する必要が有ります」

「私ソクラテスは『あなたアリスティッポスは、次のような、ありふれた事例に気づいているはずである』と、あえて言います」

「人々のうち、大衆や奴隷や弱者に分類される人々が種をまいたり植えたりすると、そこに、統治者や強者に分類される人々がやって来て弱者の物であるはずの穀物を刈り入れたり弱者の物であるはずの果樹を刈り入れたりして、あらゆる手段で弱者を執拗に説得する。なぜなら、弱者にもかかわらず、弱者は正式な宮殿の権力者どもに敬意を払う事を拒否するからである。(そして、)ついには、弱者は、強者と戦うよりも、奴隷と成る事を受け入れるように説得されてしまう」

「また、私生活でも、あなたアリスティッポスは私ソクラテスの言葉が正しいと証明してくれるはずですが、大胆な強者は、無力な者や臆病な者を無理矢理、奴隷にして犠牲にして、少なくない利益をもうけます」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「ええ。けれども、私アリスティッポスは、私アリスティッポスには、そのような全ての不幸に対する簡単な救済手段が有る事をあなたソクラテスに教えなければいけない」

「私アリスティッポスは、どんな俗世の集団にも閉じ込もっていません」

「私アリスティッポスは、外国人として、広大な世界を放浪しています」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ、さて、私ソクラテスの言葉に対して、それ(、アリスティッポスの机上の空論)は見事な手際ですね!」

(「アリスティッポスは、そんな机上の空論で、よくも私ソクラテスの言葉を妨害できましたね!」※別の版)

(「アリスティッポスの机上の空論は、見事な決め手ですね! アリスティッポスは、机上の空論による、言葉のレスリングの王者ですね」※更に別の版)

「確かに、(ギリシャ神話の強盗である)シニス、シロン、プロクルステスの死後ずっと、外国人の旅人達は安楽に過ごせています」

「それにもかかわらず、私ソクラテスが考えるに、今でさえ諸々の自由な社会の構成員達は、(他人からの)悪行に対して自己防衛するために、各々の自国で諸々の法律を通します」

「各国の国民は、私的な縁故に加えて、多数の友人を用意します」

「各国の国民は自国の周りを壁で囲います」

「各国の国民は悪人を撃退するために武器を集めます」

「そして、安全を二重に確保するために、各国の国民は諸外国からの協力者を用意します」

「しかし、このような全ての防御機構にもかかわらず、自由市民達は時々悪行の犠牲に成ってしまう物なのである」

「けれども、あなたアリスティッポスには、このような助けすら全く無いのである」

「あなたアリスティッポスは悪行がはびこっている道で人生の大半を過ごしてしまっている」

(「あなたアリスティッポスは非常に多数の人達が悪行に苦しめられている道で人生の大半を過ごしてしまっている」※別の版)

「あなたアリスティッポスは、どの都市(国家)に入っても、その都市(国家)の自由民のうち最低の身分の人よりも低い身分(の扱いをされる外国人)であるし、さらに、まさに、全ての人が危害を加えようと夢中に成る対象のような人物で(ある外国人にもかかわらず)、独りだけ攻撃の対象外に成るつもりである」

「けれども、あなたアリスティッポスは、外国人の通行証によって、危害や侮辱から免れる事ができるのか?」

「そのため、あなたアリスティッポスは、自惚れているのである」

「それで、なぜ(、あなたアリスティッポスは、自惚れているの)か?」

「国家の権力者達は、あなたアリスティッポスのために、『この人アリスティッポスの人格は安全である。彼アリスティッポスの出入国で危険が無いようにしなさい』という声明を出すだろうか?」

「このような事が、あなたアリスティッポスの自惚れの根拠なのか?」

「または、あなたアリスティッポスを奴隷のようにし続けたいと思う者がいないと示す事ができていると、あなたアリスティッポスは自覚していて、安心しているのか?」

「なぜなら、労働意欲がわずかしか無く、贅沢する傾向が非常に強い奴アリスティッポスを誰が家で雇いたいと思うのか?」

「まさに、この点に留まって、考えたら、どうだろうか」

「主人は、そのような(たぐい)の(アリスティッポスのような)召使いをどのように扱うでしょうか?」

「もし私ソクラテスが間違っていなければ、主人は、(アリスティッポスのような)召使いの(アリスティッポスのような)節制、自制しない性格を飢えさせて懲らしめます」

「主人は、盗む事ができる何かが有る場所では、かんぬきで施錠して、(アリスティッポスのような)召使いの盗む意欲をくじきます」

「主人は、監禁して、(アリスティッポスのような)召使いの逃亡を妨げます」

「主人は、(ムチ)打ち刑で、(アリスティッポスのような)召使いから怠惰な気持ちを追い払います」

「そうではありませんか?」

「また、あなたアリスティッポスは、自分の召使いの一人に同様の性向を見つけたら、どうしますか?」

 次のようにアリスティッポスは話した。

「私アリスティッポスは、強制して召使いが私アリスティッポスに正しく忠実に仕えるまで、あらゆる苦痛を与えて、召使いを罰します」

「しかし、ソクラテスよ、王者のわざを教育した、あなたソクラテスの教え子の話に戻すと、もし私アリスティッポスが間違っていなければ、あなたソクラテスは(王者のわざの教育をする事を)『幸せに成れる事である』と思っていますね」

「差し支えなければ御尋ねしたいのですが、ただ、やむを得ず苦しんでいるという理由から自分では知らないで悪い場合には嘘をつく他人よりも、王者のわざを教育した、あなたソクラテスの教え子は、どのように善く成るのでしょうか?」

「しかも、王者のわざを教育した、あなたソクラテスの教え子の場合、飢えと渇き、寒さによる身震いと、夜に目を覚まして横たわっている事、全ての変化による苦しみに包囲される事は、あなたソクラテスの教え子、自らの選択なのでしょうか?」

「もし王者のわざの教育が生む違いが、唯一、同じく、(ムチ)打ちの刑を受けている、むき出しの背中だけであれば、自分で決めた(ムチ)打ちの刑であろうとも、求めもしない(ムチ)打ちの刑であろうとも、私アリスティッポスとしては、私アリスティッポスには王者のわざの教育が生むという、どのような違いも見分ける事ができない」

「また、実際、もし私アリスティッポスの肉体であれば、自分自身の意思によって、このような諸悪という大軍に私が包囲されていようとも、自分の意に反して、このような諸悪という大軍に私が包囲されていようとも、自分で決めた苦しみに付随している愚かさだけを別にすれば、王者のわざの教育は、全体的に私アリスティッポスの肉体とは無関係です」

 次のようにソクラテスは話した。

「アリスティッポスよ、そのような問題に関して、『自発的に苦しむ事と、不本意に苦しむ事は、全く違う』と、あなたアリスティッポスには思われませんか? なぜなら、自発的に飢えに苦しむ人は望んだ時に食べる事ができますし、自発的に渇いている人は飲む事もできますし、その他についても、そのように同様だからです」

「実に、このように(自発的に)苦しんでいる人は、体調が(苦しむ事をやめる事を)必要とさせる時でも、必然的に苦しむ事をやめる事ができないのでしょうか?」

「また、自発的に苦しんでいる人は、希望に高められて、陽気に労苦に立ち向かいます」

「ちょうど、野獣を追っている猟師は、獲物をとらえる事ができる希望によって、労苦に快楽を見出すように」

「そして、快楽は、労苦の報いである、実に、些細な価値のおまけなのです」

「実に、善い友人達を得るために労苦している人や、敵を圧倒するために労苦している人や、肉体と魂の強さによって家の者達を善く統治し友人達を助け自身を生み出した国家に利益をもたらすために労苦している人への報いについて、どう思うべきでしょうか?」

「『善い友人達を得るために労苦している人、敵を圧倒するために労苦している人、肉体と魂の強さによって家の者達を善く統治し友人達を助け自身を生み出した国家に利益をもたらすために労苦している人も、崇高な目的を求めていて、労苦を軽くとらえる』と考えてはいけないのでしょうか?」

「『善い友人達を得るために労苦している人、敵を圧倒するために労苦している人、肉体と魂の強さによって家の者達を善く統治し友人達を助け自身を生み出した国家に利益をもたらすために労苦している人も、陽気に苦しい生活に立ち向かう』と考えてはいけないのでしょうか?」

「誰が、相手の意識的な善行だけではなく、人々からの称賛で、善い友人達を得るために労苦している人、敵を圧倒するために労苦している人、肉体と魂の強さによって家の者達を善く統治し友人達を助け自身を生み出した国家に利益をもたらすために労苦している人を元気づける必要が有る、と言うのでしょうか?」

(「誰が、自画自賛だけではなく、全ての人々からの称賛と羨望で、善い友人達を得るために労苦している人、敵を圧倒するために労苦している人、肉体と魂の強さによって家の者達を善く統治し友人達を助け自身を生み出した国家に利益をもたらすために労苦している人を元気づける必要が有る、と言うのでしょうか?」※別の版)

「また、体操の訓練指導者が言うように、怠惰な習慣は、短時間のつかの間の快楽と共に、肉体の善い習慣を固める事ができないし、また、どんな重要な知識も魂に教え込む事ができない」

「しかし、善い人達が教えてくれるように、崇高な気高い行い(、善行)を探求して労苦を惜しまず努力する事によって、忍耐によって、我々、人は、最終的には、目標に到達できるのです」


「そのため、次のように、本のどこかで、ヘシオドスは記しています」


「悪徳(、悪行、悪)を大量に簡単に人は取る事ができる」

「悪への道は平坦である」

「そして、悪徳という女性の住処は、とても近い」

「一方、徳(、善行、善、力)の前に、不滅の神々は労苦を置いた」

「善への道は長い」

「また、善へと通じている道は険しい」

「また、善への道は、最初は、過酷である」

「しかし、善への道の絶頂を超えると、善への道が平坦ではないにもかかわらず、善への道は楽に成っていく」


「また、次のように話して、エピカルモスは(労苦によって善へ到達できると)証明している」


「神々は、我々、人に、労苦の報いとして、全ての善いものをもたらしてくれる」


「また、別の一節で、次のように、エピカルモスは宣言している」


「あなた達の心を軟弱な楽な物にするなかれ」

「あなた達は悪人である」

「あなた達は労苦を欠かすなかれ」


「また、あの賢者プロディコスは、同様に、(徳と悪徳という二つのものの間の)緊張によって、徳について、次のような、大衆が聴いた事が有る、ヘラクレスについての詩で、自ら話している」

(「また、あの賢者プロディコスは、同様に、徳と悪徳という二つのものの間の緊張によって、徳について、次のような、プロディコスが生活様式の見本として読むのを好んでいる、ヘラクレスについての詩で、自ら話している」※別の版)

「次のような話が、私ソクラテスが思い出す事ができる限りの、少なくとも、プロディコスが話している話の内容に成ります」


「ヘラクレスが少年期を抜け出して若さの盛りへ入っていく時に、若者が今にも自立する寸前の状態に成る時期に至って、徳への道に入るべきか、悪徳への道に入るべきか、(迷い)を明らかに示し、静かな場所へ行って、徳への道と悪徳への道という二つの道のうち、どちらを辿るべきか自問自答して座った」

「そうして、そこでヘラクレスが自問自答して座っていた時に、大いに有名な(徳と悪徳という)二人の女性が現れてヘラクレスに近づいた」

「一方の(徳という)女性は、見目麗しく、気質による才能で、寛大で、くつろいでいた」

「(徳という女性は、)手足が清らかさで飾られていた」

「(徳という女性は、)両目が恥じらいで飾られていた」

「(徳という女性は、心の)落ち着きが歩きぶりの周期的運動を整えていた」

「また、(徳という女性は、)白い衣服を着ていた」

「他方の(悪徳という)女性は、一方の女性とは違う種類の女性であった」

「(悪徳という女性の)手足の肉厚な軟弱さは(悪徳という女性の)育ち(の悪さ)を暴露していた」

「また、(悪徳という女性の)肌の色は実際よりも白かったり薔薇色であったりするように見せるために粉飾されていた」

「そして、(悪徳という女性は、)生まれつきの背の高さよりも高く見えるように(厚底の靴などで)粉飾していた」

「(悪徳という女性は、)大きく目を見開いて、じろじろと見てきた」

「また、(悪徳という女性が)着ていた衣服は、実に、(肉体の美しさの)最盛期の成熟を暴露するのに役立っていた」

「(悪徳という女性は、)頻繁に、ちらちらと見て、身の回りを見回したり、他人が自分に注目しているか見るために見回したりした」

「一方、時々、(悪徳という女性は、)自分の影をじっと凝視した」

「さて、これらの(徳と悪徳という)二人の女性がヘラクレスに近づく時、最初に挙げた(徳という)女性は一定の速さで歩いてヘラクレスに向かって進んだが、他方の(悪徳という)女性は(徳という女性を)追い越したいと望んで若者ヘラクレスに向かって走り、次のように叫んだ」

(「さて、これらの徳と悪徳という二人の女性がヘラクレスに近づく時、最初に挙げた徳という女性は態度を変えないでヘラクレスに向かって進んだが、他方の悪徳という女性は徳という女性を追い越したいと望んで若者ヘラクレスに向かって走り、次のように叫んだ。※別の版)

「『私(、悪徳という女性)には分かりますよ、ヘラクレスよ、(徳への道と悪徳への道のうち、)人生という、どの道を選ぶべきか迷って苦しんでいますね』

『私(、悪徳、悪行、悪)をあなたの友にしなさい』

『そうすれば、私(、悪)は、あなたを最も気持ち良い楽な道へ導きましょう』

『次の事を、私(、悪)は、あなたに約束します』

『あなたは人生の快楽の全てを味わって、全ての苦痛を免れるでしょう』

『さて、まず第一に、あなたは戦いや仕事、務めで頭を悩ますなかれ』

『他の問題が、あなたの心を占めるべきです』

『どの飲食物が、あなたの味覚にとって気持ち良いか発見する事だけをあなたは考えるべきです』

『(音楽、女性の音声、絵、女性の肉体といった、)どんなものが、あなたの耳目を気持ち良くするのか発見する事だけをあなたは考えるべきです』

『どんなものが、あなたの嗅覚や触覚を気持ち良くするのか発見する事だけをあなたは考えるべきです』

『最愛の恋人との、どのような性交が、あなたを喜ばせるのか発見する事だけをあなたは考えるべきです』

『最も気持ちの良い睡眠で、どのように、あなたは手足をもたれるべきなのか発見する事だけをあなたは考えるべきです』

『苦痛という不純物無しで、どのように別個の快楽を集めるか発見する事だけをあなたは考えるべきです』

『そして、いつか一連の快楽が無く成るのでは、という疑念が、いつか、あなたに忍び寄っても、私(、悪)が、蓄積された肉体の労苦や、蓄積された魂の労苦をあなたが取り戻す状態に導くつもりは無い、と信じなさい』

『ええ! 他人は労苦するべきであるが、あなたは他人の労苦の成果を刈り入れるべきである』

『あなたに利益をもたらさないものへ手を差し伸べる事を控えるべきである』

『なぜなら、私(、悪)の全ての体現者に、私(、悪)は全ての側面から自由に自分を助ける事ができる権力をもたらすからです』」

「ヘラクレスは、これらの言葉を聞いて、『おおっ、女性よ、あなたが有している名前は何ですか?』と応えた」

「ヘラクレスの質問に、(悪徳という)女性は『私の友人達は私を幸せと呼びますが、私を憎悪する人達は私を悪徳や悪という別名で呼ぶ事を知ってください』と答えた」

「さて、ちょうど、その時、他方の、美しい(徳という)女性が来臨して、次のように話した」

「『ヘラクレスよ、あなたヘラクレスの両親は私(、徳、善行、善)に良く知られていますし、あなたヘラクレスが育っていく中で、私(、善)は、あなたヘラクレスの気質を評価しているので、私(、善)も、あなたヘラクレスに近づきました』

『そのため、もし、あなたが私(、善)へと通じている道を選べば、あなたは自ら大いに奮起して気高い勇敢な行いを多数、行う者に成る、という善い希望を私(、善)は抱いています』

『そうすれば、私(、善)も、正しい、より高い名誉で、あなたのために、評価されて、勇敢な行いが放つ栄光で輝かされる、という善い希望を私(、善)は抱いています』

(『そうすれば、私、善も、正しい、より高い名誉で、あなたのために、評価されて、あなたの善、善行の輝きに浴する事ができる、という善い希望を私、善は抱いています』※別の版)

『私(、善)は、快楽の前触れで、あなたをだますつもりはありません』

(『私、善は、快楽という甘美な提案で、あなたをだますつもりはありません』※別の版)

『私(、善)は、まさに真実によって、神の規則による物事をあなたに説明します』

『さて、見事な善い名声と成る物のうち、労苦と苦痛以外に、神々が、いつか死ぬ者である人々にもたらす物は無い、と知りなさい』

『あなたが神々からの好意を得たいのであれば、神々(、善、愛、思いやり)に仕える必要が有ります』

『あなたが友達に愛されたいのであれば、友達に利益をもたらす必要が有ります』

『あなたが(善い)国家にほめたたえられたいのであれば、(善い)国家の役に立つ必要が有ります』

『あなたが全てのギリシャ人(、徳の高い人々)から自分の徳への称賛を得たいのであれば、ギリシャ人(、徳の高い人々)に何か善行をするように努める必要が有ります』

『あなたが大地(という女神)に実りを豊かにもたらすように望むのであれば、大地(という女神)の機嫌を取る必要が有ります』

『あなたが羊や牛の群れから富を集積したいと求めるのであれば、羊や牛の群れに対して労苦する必要が有ります』

『また、あなたが戦士として強く成りたいし、友人達を助ける事ができるように成りたいし、敵を圧倒できるように成りたいと熱望するのであれば、知識を持つ人々から戦いのわざを学んで、戦場、現場で知識の適用、応用を実践する必要が有ります』

『また、同様に、あなたが手足といった肉体を強くしたいのであれば、手足といった肉体を精神に従うように慣らして、労苦して自身を鍛える必要が有ります』」

 (そして、次のように、プロディコスは話している。)

「ここで、悪徳という女性は叫んで話に割り込んだ」

「『さあ、ヘラクレスよ、そこの(徳という)女性が案内しようとしている快楽への道は、どんなに困難で長い事か!』

『しかし、私(、悪)は短い楽な道で幸せへ案内するつもりです』」

「その時、次のように、徳という女性は話した」

「『いいえ、劣悪なものよ、(悪よ、)あなた(、悪)には、どんな善い物が有るというのか?』

『また、あなた(、悪)は、どんな(本当に)気持ちの良いものを知っているというのか?』

『あなた(、悪)は、人の心をかき立てて(本当に)気持ちの良いものを獲得するために手足を動かさせないのに。あなた(、悪と、悪の体現者)は、(真の)快楽への欲望を期待する事すらできないか、快楽への欲望は湧くかもしれないが行動する事には既に飽きている』

『(なぜなら、悪と、悪の体現者は、)飢える前に食べてしまうし、のどが渇く前に飲んでしまう』

『(あなた、悪と、悪の体現者は、)食欲を苦労して得るために、料理人と菓子職人の大群を発明する必要が有ります』

『また、あなた(、悪と、悪の体現者)の、のどの渇きを刺激するためには、最も金がかかるワインを(長い年月かけて)寝かせ(て熟成させ)る必要が有りますし、夏には氷を探し求めて右往左往する必要が有ります』

『あなた(、悪と、悪の体現者)の眠りを助けるためには、柔らかい掛け布団だけでは不十分で、寝台と羽毛の敷き布団を用意する必要が有りますし、眠らせるために軽く、ゆするための、ゆりかごまで用意する必要が有ります』

『なぜなら、あなた(、悪と、悪の体現者)の場合、労苦したからではなく、虚無と、この世でするべき事が何も無い事から、睡眠欲求が湧くからです』

『愛による自然な欲望(、性欲)ですら、あなた(、悪と、悪の体現者)は、あらゆる手段で早まって無理に促成栽培して(駄目にして)しまうし、性交において性別、性交、性器の混乱を発明してしまう』

『このようにして、あなた(、悪と、悪の体現者)は、夜には(愛、異性、性欲を)侮辱する事を、昼の貴重な時間には眠気によって、うとうと過ごす事を友人に教えてしまう』

『不滅の神々は、あなた(、悪と、悪の体現者)を神々の国から追い出しますし、善人達は、あなた(、悪と、悪の体現者)を(正しく)侮辱する』

『全ての音声のうち最も気持ちの良い音声、称賛の音声が、あなた(、悪と、悪の体現者)の耳を震わせる事は決して無いです』

『また、全ての美しい光景のうち最も美しい光景は、自らの手で行った寛大な(思いやり深い)行動を一つも決して見た事が無い、あなた(、悪と、悪の体現者)の目からは(神によって)隠されています』

『あなた(、悪と、悪の体現者)が口を開いて話しても、誰が、あなた(、悪と、悪の体現者)の言葉を信じるというのか?』

『あなた(、悪と、悪の体現者)が何ものかを必要としても、何ものも、あなた(、悪と、悪の体現者)を満足させる事ができないのです』

『分別の有る人の誰が、あなた(、悪)の混乱した暴走した大衆に、あえて加わりたいでしょうか?』

『実際、見てみると、あなた(、悪)に酔っている者どもは、劣悪であるし、肉体が虚弱な若者どもと知性が愚かな老人どもです』

『人生の絶頂では、悪の体現者どもは、金持ちぶった怠惰によって肥え太りますし、顔をしかめる、みじめな時期には、重い足を引きずって疲れて歩く羽目に成ります』

『どうして、顔をしかめる、みじめな時期が有るのか?』

『どうして、重い足を引きずって疲れて歩く羽目に成るのか?』

『悪の体現者どもは、過去に行った行動を考えると恥ずかしくて赤面する(し、顔をしかめる)羽目に成りますし、するべき事が放置されている事を考えると疲れて呻く(し、重い足を引きずって疲れて歩く)羽目に成ります』

『若い時に悪の体現者どもは(偽の)気持ちの良いもののために放蕩な生活にはまっていて、老人の時期に臨んで大量に蓄積された苦しみを自ら抱え込む羽目に成ってしまう』

『しかし、私(、善)と親しく(成って実践)すると、神々と親しくする事に成ります』

『また、(多かれ少なかれ悪い所が有る)人々の中にいても、私(、善)と親しく(成って実践)すると、善人達と親しくする事に成ります』

『私(、善)の助け無しでは、神も人も、寛大な(思いやり深い)行動を行う事はできません』

『そのため、(神々は)天でも超越した名誉を私(、善)に与えていますし、私(、善)をほめたたえる事ができる資格を持つ(善)人達は地上でも超越した名誉を私(、善)に与えています』

『全ての職の達人の、最愛の仲間のように』

『主が称賛する、家と国家の忠実な守護者のように』

『しもべの、思いやり深い助け手のように』

『平和のための労苦における勇敢な助手のように』

『戦いにおける不屈の味方のように』

『全ての友情を共にできる絶対必要なもののように』

『私(、善)の友人達は欲望が成熟するまで忍耐する事ができるので、私(、善)の友人達には、飲食物の快楽がもたらされますし、飲食物自体が快楽ですし問題は無いですし、労苦しない者どもよりも眠気が気持ち良く訪れてくれます』

『けれども、善の友人達は、眠気を失くしても苦悩しません』

『また、眠気のせいで、善の友人達が、自分の務めを果たさない事はありません』

『私(、善)の体現者達の中では、長老からの称賛を若者は喜びますし、長老は若者からの称賛を誇りに思います』

『善の体現者達は、昔の自分の(善い)行動を喜びと共に思い出す事ができますし、今の(自分の)善行を喜ぶ事ができます』

『私(、善)のおかげで、善の体現者達は、神の目から見ても大事で価値が有りますし、友人達から愛されますし、自分が生まれた国家から、ほめたたえられます』

『運命によって定められた終点が到来した時に、(肉体が死んだ時に、)善の体現者達は、恥辱と共に忘却されて横たわらず、新たに(名誉という)花を咲かせます』

『(なぜなら、)善の体現者達への称賛は、人々の口によって、永遠に知れ渡るのです』

(『前記は事実です。そのため、善の体現者達には名誉という花を咲かせる生きている枝が残されているのです。不滅の名誉を善の体現者達の名前に!』※別の版)

『このような労苦を、おおっ、気高い両親の子、ヘラクレスよ、あなたヘラクレスは経験できるのです』

『そうして、労苦を忍耐していって、あなたは、(不滅の名誉といった)超越的な幸せを保証してくれる伝統に加わる事ができるのです』」


「アリスティッポスよ、これが、大雑把な概要ですが、『Education of Heracles by Virtue(ヘラクレスへの徳の教育)』でプロディコスが追求した話題なのです」

「ただし、私ソクラテスは認めますが、私ソクラテスが挑戦してみた言葉よりも遥かに見事な言葉で、プロディコスは作品『Education of Heracles by Virtue(ヘラクレスへの徳の教育)』の情緒を美しく飾る事ができていました」

「アリスティッポスよ、これらの言葉を心に留めて、多少は、我々、人の人生の未来を扱っている言葉について考える事に努めるのが良くありませんか?」

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