12.ちょ、まっ!
本日3話目。
※伏字部分?の修正をしました。
ドカッ
「くっ!」
「レン! 大丈夫か!?」
レンは痛みをグッと堪えると、大声で怒鳴った。
「大丈夫だ! 攻撃に集中しろ!」
結論から言うと、魔王はめちゃくちゃ強かった。
まず、普通の刀による攻撃がほとんど効かない。
機転を利かせたエリアスが様々な属性の矢を放ち、火属性が弱点だと看破。
ダリオがレンの刀に火魔法のエンチャントを付与することにより、ようやく攻撃が通り始めた。
が、レンは純剣士。
装備している刀は。切れ味と耐久性は抜群だが、エンチャント向きではない。
あっという間に刀が一本摩耗。
予備として持ってきた刀は二本あるが、それもすぐに消耗しそうな勢いだ。
レンは口の端を流れる血をぬぐいながら、素早く頭を働かせた。
(多分、現時点で、魔王のMPは三割くらい削れたと思う。ただ、対する俺は六割、エリアスも三割くらい削られている。持ってきたポーションの残りも少ない。このままだと確実にヤバい)
二人を逃がすことも考えるが、逃がしてくれるような気配はない。
(くそっ! 倒すしかないってことか!)
魔王に切りかかるレン。
更に激しさを増す戦闘。
しかし、レンの頑張りも空しく。
遂にその時がきてしまった。
パリンッ
最後の刀が砕け散ったのだ。
「くっ!」
剣の柄を投げ捨てて、後ろに下がるレン。
魔王は、にやりと笑って、丸腰のレンを思い切り蹴り飛ばした。
ドゴンッ
空中庭園の端の東屋まで吹っ飛ばされるレン。
「レン!」
ダリオが走り寄ろうとするが、魔王がそれをさせない。
前衛がいなくなって無防備になったダリオとエリアスに襲い掛かる。
レンは歯を食いしばった。
(このままじゃ、全滅だ!)
と、その時。
彼の目に、何か光るものが飛び込んできた。
深い草むらの中に光るそれは、錆付いた一本の剣。
レンの目が光った。
(なんでもいい! ないよりマシだ!)
レンは最後のポーションをグイっとあおると、錆びた剣を掴んだ。
そして、結界を壊し終わってダリオに襲い掛かろうとしている魔王に向かって、ダッシュしながら叫んだ。
「こっちだ! お前の相手は俺だ!」
「ふん。死にぞこないが、お前などすぐに……、って! ちょ、まっ! それってまさか、聖けn……」
急に慌てだす魔王にむかって、レンは叫んだ。
「<疾風迅雷>!」
錆びた剣が輝きだす。
そして、
「ぐあああああああ! って、よく見たら、黒髪黒目! ま、まさか、お前、勇sy……」
何かを叫びながら、塵となって消えていく魔王。
その様子を、肩で息をしながら見守るレン。
そして、塵が完全に消え。
ダリオが喜びの声を上げた。
「やったぞ! 俺たち、魔王を倒した!」
「やりましたね! 一時はどうなるかと思いましたよ。レン、お見事でした」
「いや。俺一人じゃどうにもならなかった。チームワークの勝利だ」
お互いの健闘をたたえ合う三人。
そして、ダリオが言った。
「そういやあ、最後、魔王何か言いかけてなかったか?」
「そういえば、そうですね」
「ああ。なんだろうな。『ゆうしゅう』とか言ってたから、多分誉め言葉じゃないか」
「ははっ、魔王に最後に褒められるなんて、すごいな、俺ら!」
はっはっは、と、朗らかに笑う三人。
「よし、じゃあ、エリクサーの泉を探そうぜ」
疲れを忘れてエリクサーの泉を探し始める三人。
さあ、次回は、いよいよエリクサーとのご対面。
本日はここで終わりです。
なんと、残すところあと3話です。
本当に終わるんでしょうか。