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けだるくて過眠気味な日常のとある一日の記録

作者: 梅暦

 今朝は七時半に目が覚めた。ここ数日は九時や十時といった「おそよう」の起床が続いていたから,それなりに良い時間に目覚められた。緊急事態宣言が発令してから部活には参加していないけれど,そろそろ宣言も解除されるということで,部活に戻るために少しずつ生活リズムを戻していかなくてはならない。スマホゲームのAP消費とイベントの食材集めをこなした後,とくにすることもないので二度寝を決め込んだ。


 次に目覚めたときは十時にもうすぐ届くかといった頃合いだった。布団はふかふかで暖かく,体はどんよりとけだるかった。しばらく布団と相互作用していると,すぐに一時間が経った。空腹を感じ,ダイニングに向かった。


 少しだけエネルギーになるものをつまみ,ドリンクゼリーを持って寝室に戻った。落ちた気分と自己肯定感を少しでも上げるために,筋トレを再開しようと思った。腹筋・側筋・背筋・体幹・腕立て・スクワットと決まった筋トレをこなし,一ヶ月ほど感じていなかった筋肉のほどよい痛みに少し喜びを感じた。せっかくの筋トレが無駄にならないよう,終わってすぐにダイニングに戻って用意されていた昼食を食べた。


 しばらくTwitterを巡回したり,送られてきたLINEに返信したりして過ごしていると,いつものように目の奥でダマが溜まるような鈍い頭痛が来た。スマホやパソコンに相対していると,いつもきまってこの頭痛が生じた。この頭痛があるときは集中力が著しく下がるのが通例だった。ひとまず頭や目を休めようと,寝室で一時間ほど眠った。


 親の話し声で目が覚めた。ちょうど一時間ほどが経っていた。頭の痛みは和らいだが,全身がけだるかった。何をする気にもならず,もう一度眠りに就いた。


 次に目が覚めると,手近なアナログ時計の短針は九を指していた。あれから六時間ほど眠ったようだった。布団にくるまりながら,しばらくいろいろなことを考えた。自分がこころの底からやりたいと思えることがないこと。陶器や切り子は好きだけれど,それを作る職人になるための伝手や道にまったく検討がつかないこと。自分の今の状態は鬱っぽいこと。部活に行かず,どんどん体がなまって取り返しの付かないような暗澹たる気持ちになっていること。今の自分が何もかも嫌で,ずっと死にたいと思っていること。傍目に見れば暗いことばかりが想起されたが,長く眠った後の特有の落ち着いた気持ちで,過度に悲観的にならず冷静にゆっくりと考えを巡らせることが出来た。せっかく無料で受けられるのだから,大学のカウンセリングを予約してみようとも思った。


 かれこれ三十分ほど考え事をしていた。リビングに行くと親がいたが,とくに言葉は交わさなかった。逃げるようにして風呂に入った。お湯がぬるかったので追い炊きをした。

風呂から上がればもうリビングには誰もいなかった。昨日から言ってあったので,友達とZOOMで話した。過眠気味だという話をすると,

 「『春眠暁を覚えず』って言うからね」

 と言われた。確かにそうかもしれない。朝日どころか夕日すら拝めていないが,そこまで話す気力はなかった。変に心配をかけるのも億劫だった。


 あれだけ眠ったのに一時頃には再び眠気が来た。空腹のまま梅酒を飲んだせいもあるかもしれなかった。良いが少し回って初めて,そういえば最近食欲が薄れていることに気が付いた。ともかく友達に断りを入れて,一人ZOOMを退出して眠りについた。今日の活動時間は七時間ほどだったろうかとぼんやり考えているうちに意識は遠のいていった。


今上天皇たんおめ

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