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チュートリアル 4

 スッと、トマス先生が右手を上げて、停止の指示をする。

 全員、武器を構え直し、集中する。

 しん、とした空気が張り詰める中、5メートル程先の曲がり角から、ポヨンッ、ポヨヨンッという、なんとも可愛らしい音が聞こえてきた。

 スライムだ。

 

 スライムというモンスターは流線型の愛らしい見た目に反して、とても恐ろしいモンスターだ。

 まず、物理攻撃があまり効かない。剣で切る、若しくは槍で突く、鈍器で殴るなどした場合。正確に核を破壊しなければ、何事もなっかたかの様に、再生する。

 次に、ひどく粘性の高い液体を飛ばしてくるのだが、これが問題だ。足元に付着した場合、酷く滑りやすくなり、素早い行動が阻害される。しかも、体に付着した場合、手足を動かす妨げになるのだ。

 これは、前衛にとって致命的な、隙になる。これを防ぐため治癒師は、浄化魔法をすぐに使えるようにしていなければならない。

 そして、スライム自身が飛び掛ってくる、場合がある。避けられれば良いが、万が一顔に張り付かれた場合、窒息して死ぬ可能性もある。

 すぐに引き剥がせばいい、と思うだろう。しかし、張り付かれて動きの鈍った腕で、それをするのはなかなかに難しいだろう。窒息しかけてパニックに陥った仲間を抑えて、核を破壊するというのも、大変なことだ。

 それでも、スライム一匹なら、なんとかなる。

 しかし、スライムは時として群生することがある。ある程度経験を積んだ中級冒険者が、うっかりスライムの群生地に踏み込み、複数のスライムに張り付かれ、身動きひとつ出来ずに窒息死した、ということがあったのだ。

 上層階のモンスターと思って、スライムを、甘く見てはいけない。


 ワタシは、万が一の場合に備え、浄化魔法の用意をする。

 アルバートが、油断なく盾を構えるのがわかる。


 スライムが姿を現した。

  

 すると、スライムは瞬く間に凍りつき、パキンッと涼しげな音を立て、砕け散った。

 辺りに散った破片は、淡い光に包まれ、消えていった。後に、小さな魔法石を残して。


「おや、魔法石がドロップしましたね。ところで皆さん、スライムだからと油断しないで、とてもいい動きをしていましたね。この調子でいきましょう」

 どうやらスライムは、一匹だけだったようね。

 トマス先生は褒めてくださったけど、ワタシとリオン、アルバートは、なんともいえない微妙な顔。アルフレッドが、そんなワタシ達を不思議そうに見ているけど、このことには、触れないで頂戴ね。

「前に、クラウスを怒らせてしまってな」

「では、先に進みましょうか」

 首をかしげている弟に説明しかけたアルバートを遮ったリオンは、普段見ることのない、爽やかなどんよりとした笑顔だった。


 ちなみに、スライムを倒したのは、リオンの氷魔法よ。スライムへの攻撃は魔法使いに任せて、前衛は、防御に徹しましょう。


 

 


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