ハーモニカ・ハミング
ハーモニカの好きな少年がいた。私は小さい頃いつも彼と一緒に行動していた。彼のハーモニカの演奏は素晴らしく、誰もが彼に振り返る程だ。そのことを彼に伝えると彼は顔を赤くしたあと、「それは君が可愛いからだよ。」と、聞こえるか聞こえないか位の声で呟くのだ。私は照れくさく感じながらも、もっとハーモニカに自信を持てばいいのに、と思うのだ。
ハーモニカが好きな少年と森まで出かけたことがある。ハーモニカは森の中の隅々に楽しげに響いた。その音色で動物達が寄ってくる程に。そのことを彼に伝えると、彼はリスの頭をすりすりせわしなく撫でながら、「それは君が美しいからだよ。」とちょっと自慢げに言った。私は少し頭にきていた。彼のハーモニカは本当に素晴らしいのだ。
ハーモニカが好きな少年と最後にあった日、私はハーモニカが好きな少年と喧嘩をした。喧嘩の原因は、彼が突然長ったらしい気取ったセリフで私を褒めだしたからだ。私は台詞の途中でそれを止めさせて、彼を問いただした。彼はこう言った。「それは僕が君を好きだからだよ。」私は彼をぶん殴って、彼に言ってやった。「君が好きなのはハーモニカじゃなくて、他のやつと同じようにそれだったのね。」
酷い雨が降って出かけの予定が延期になった日には、たまにそのことを思い出す。そして彼のよく吹いていたハーモニカの音色をハミングする。ふんふふふんふんふふふん♪ハミングは部屋の壁に吸い込まれて、消えていく。後には悲しみと傷ついた過去だけが残る。少し、憂鬱だ。
今日は突然寒かったですね。
お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。
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毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で16日目、今日1個目の投稿です。