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種族と才能、決定

「お待たせ致しました。貴女のグレードが決定致しました。…おや」

「あ」


 お星様からのお返事がなく、天使様も黙ったままで、そのうちに退屈になったから、こーちゃはすとんと座り込んで草原の細長い草を一枚ぷちりと取り、にーちゃに教わった"草舟"を作って遊んでいた。

 これ、本来は"笹の葉"で作る"笹舟"というらしいけど、にーちゃは『今は草で作るから草舟だ』と言っていた。


「申し訳ありません、退屈させてしまいましたね」

「だいじょーぶです。こーちゃは、まてます」

「そうですか。貴女は良い子ですね」

「えへへ。ありがとーございます」


 天使様は優しい笑顔で頭をひと撫でしてくれたけど、すぐにそれを真剣なものに戻した。


「さて。決定した貴女のグレードですが。才能は種族によって種類が取得できるものが多少左右されますので、まずは種族を決めましょう。なれる種族は、こちらです」


 そう言うと、天使様はこーちゃに一枚の紙をくれた。

 それを見ると、文字がたくさん書いてある。

 だけど……こーちゃは、まだ、文字が読めない。


「てんしさま、ごめんなさい。こーちゃ、まだ、じ、よめません」

「はい、存じていますよ。大丈夫です」


 そう優しく微笑むと、天使様はこーちゃの頭にぽんと手を置いた。


「さあ、もう一度紙を見て?」

「? はい……。……あっ?」


 読める!


「すごい……! えっと、とちがみ(くに・りょう・みやこ・まち・むら)、せかいじゅのけしん(ようぼく)、せいれい、ようせい、せいじゅう、にんげん(のうりょくせんたくか)、じゅうじん(のうりょくせんたくか)、まぞく(のうりょくせんたくか)……」


 すごく、たくさんある。

 そして、よくわからない言葉もいくつかある。


「……えっと、てんしさま、きいて、いいですか?」

「ええ、どうぞ。何なりと」

「とちがみ(くに・りょう・みやこ・まち・むら)とか、せかいじゅのけしん(ようぼく)とか、にんげんとかの、のうりょくせんたくかってなんですか?」


 世界樹は、わかる。

 にーちゃがやってたゲームに出てきてた。

 でも、化身(幼木)って何?

 土地神(国・領・都・街・村)って?

 精霊、妖精、聖獣、獣人、魔族も出てきてた。

 でも、能力選択可って?

 にーちゃがたまにゲームをやりながら、『やべ~能力低い』って言ってたけど、それと関係あるのかな?


「はい、では説明しましょう。土地神は、その土地を守り、導く存在です。国ならば国全体を、領ならば一領地を、都ならば都ひとつを守り、導きます」

「まもり、みちびく?」

「……元気に、大きくなるようにお手伝いする、という事ですよ」

「! おてつだい! ならこーちゃ、できる!」

「そうですね。貴女は良い子ですから」

「えへへ」

「世界樹は、世界にひとつしかない神聖な……こほん、すごい木の事で、化身とは、その木が自由に動く為に作る、生き物の姿をした分身を指します。幼木とは、生まれたての赤ちゃんの事をいうのですよ」

「……せかいじゅの、あかちゃんの、ぶんしん?」

「ええ、そうです。よくわかりましたね、偉いですよ」

「! こーちゃ、えらい! えへへっ」

「そして、能力選択可とは、貴女の生まれ持つ能力……先ほど話した才能を、貴女の好きに選んで生まれる事ができるという事なのですよ」

「さいのう……おえかきがじょうずになったりする?」

「ええ、そうです。……さあ、どの種族にしますか?」

「う~ん? ……てんしさま、こーちゃが、いちばんじょうずにたくさんおてつだいができるのは、どれですか?」

「一番上手に、たくさん? ……そうですね……それは、お手伝いをする対象によって、左右されますね」

「たいしょう?」

「お手伝いをする相手、です。土地神・国ならば大きくするお手伝いをするのは国そのものです。……ただ、その国を脅かす……小さくしたり無くしてしまおうとする者には鉄槌……おしおきをするのも、お手伝いの内容になってしまいますが」

「くに? おしおきも、おてつだい?? ……こーちゃは、さっきてんしさまがいった、こーちゃをたいせつにしてくれるひとのおてつだいしたいです。くにが、そのひとですか?」

「! ああ、いえ……。……そうですね、それならば……一番、上手にたくさんならば……。……精霊が、良いでしょうね」

「せいれいですか。じゃあ、それでおねがいします!」

「わかりました。では次に、才能についてですが……どのような才能が欲しいですか?」

「おてつだいがじょうずにできるさいのうがいいです!」

「まあ……ふふ、わかりました。容姿……髪色や目の色、顔立ちや体などですが。種族や才能に影響された……ええと……決まったもの、になりますので、驚かないで下さいね?」

「はい!」

「……貴女は本当にいい子ですね。……精霊ならば二番目のグレードのものですし、才能も精霊として一般的なもので十分ですから……余ったもので、少しだけサービスをしておきましょう。頑張るのですよ」

「さーびす! それ、こーちゃしってる! ありがとーございます!」

「どういたしまして。……さて、それでは、私は次の者のもとへ行かなくては。これでお別れです。これより貴女を、異世界ライトエルに送ります。どうぞ、幸せな人生を」

「はい! ありがとーございます! さようなら、てんしさま!」


 こーちゃがご挨拶をすると、天使様はこーちゃに向かって両手を伸ばした。

 そしたらこーちゃの体が光って、ふわっと浮いて。

 いつの間にか、こーちゃは寝ちゃってた。

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