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我は神の子  作者: 横山
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 絵本の続きをせがまれて、少し大きい子がかなりの意訳を交えて読み出した。

「大きくなった男の子は蛇ん子と呼ばれていました。ある年、蛇ん子は両親に言いました。『私は葦ヶ原(あしがはら)に住むという鬼を退治しに行きます』そして色々あって蜥蜴、蛙、兎、啄木鳥、山鳥を仲間にして鬼を退治し、葦ヶ原は立派な山になりましたとさ。めでたしめでたし」

 確かに間違ってはいないが、色々と省きすぎて桃太郎と似たり寄ったりになっている。

「我らの活躍には一切触れませんでしたね」

 はちやが寂しそうに呟いた。

「出てきただけでもましだろう。御山様に至っては名前すら明かされなかった」

 上に座すふたきが慰めながら憤る。御山様とは父のことだ。

 先程出てきた葦ヶ原、父が山にした此処は今では葦原山(よしはらやま)と呼ばれている。

 それにしても、蛇ん子、か。

「のう、ふたき。じじ様も父様(ててさま)も綺麗な蛇なのに、坊にはいつ鱗が生えるんじゃろ?」

 つるつるしている手の甲を撫でる。鱗の欠片も見当たらなかった。

「じじ様の角でもいいんじゃがな」

 ぺちぺちと額を叩く。やはりわずかな出っ張りも無い。

「若様は未だ御小さいのです。もう少ししたらなるようになりますよ」

 そういうものなのか?ふたきが言うならそうなのだろう。

 下ではちやが頷く。

「そうですよ、それに磐姫様の方に似ているのやも知れませんじっ!?」

 あ、ふたきに蹴られて飛んで行った。飛ばされた先に跳ねていくふたき。

「いきなり何すんだよ!?」

「今だ本性の定まらん若様に僅かなりとも指針を示すとは、どういう了見か!」

「あ、しまった!!」

「ったく、抜けているのはいつきだけでも十分だというに……」

 二人の話は終わったらしく、先ほどと同じようにはちやの上にふたきが乗って戻って来た。

 聞こえてないと思っているようなので、二人の密談は聞いてないふりをする。

 ほんしょうが何かよくわからないが、これが定まっていないがゆえに坊には未だ名前がつけられないらしい。

 定まれば鱗や角が生えてくるのかしらん?

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