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出発


「明日か。招集されたばかりなのに突然だよね」


 夕食後、勇者レイド・ユウの部屋を訪問していた魔法使いの少女ナルミ・マホは一人で眠るにはとても大きすぎるサイズのベッドに腰を掛けてため息交じりにそのように呟いた。


「そうは言っても仕方ないよ。魔物は今この時も村を襲っているみたいだし、今すぐに迎えって言われないだけましだと思う」


「そんなことを言って欲しいわけじゃなくてさ、力を持っているだけなのにどうして国の兵士じゃない私たちが命に関わるような危険な思いをしなくちゃいけないのかって話。ユウちゃんだって良いように言いくるめられていたけど本当は嫌じゃないの?」


 マホは言葉にこそしなかったが、ユウの両親の死についての考えをユウ本人に訊いた。


「よく分からないよ。お父さんの事もお母さんの事も、わたしが本当にするべき事も。だから、だからわたしは言われた事をするしかない」


「ごめん、変な事聞いた」


 ユウの涙を見たくなかったマホは無意識にユウから身体を背けて何もない天井の隅をただぼうっと見つめた。


「ユウちゃんがどんな道を選んでも私は絶対について行くから」


「ありがとう。わたしもマホちゃんの魔法に期待しているからね」


 ユウはそっとマホに近寄ると優しく包み込むように抱擁した。マホはその優しい抱擁で故郷に残してきた母親を思い出し、大粒の涙を流した。


「大丈夫、辛くても仲間はいるから」


ユウがマホの耳元で囁くとマホは恐怖と不安でずっしりと重くなった瞼を閉じた。


「王様はみんなにお部屋を用意してもらったけど一緒に寝ようか」


 ユウの誘いをマホは受け入れて二人はこれから襲い掛かるであろう恐怖や不安から逃避するため幼いころのように手を繋いで二人で横になってもまだ余裕のある大きなベッドで一夜を明かした。




 翌日、まだ幼さが残る少女二人の顔にはまだ恐怖や不安が残っていたが、昨夜までは見受けられなかった覚悟があった。


「それでは、魔物討伐に行ってきます」


 出発の準備が出来たユウたちは玉座の間へ向かい勇者一行を代表して勇者の称号を持つユウが国王にそう告げた。


「辛く、過酷な旅になるだろう。しかし、希望を捨てず魔なるモノを斬り裂いて行くのだ。さぁ、扉は開かれた。行け、勇者ユウ達よ」


 国王が実際には心にも思っていない言葉を恥ずかしげも無く叫ぶと、それを合図に玉座の間から城の正門、そして王国の外へ続く扉が次々と開かれ、勇者レイド・ユウ、魔法使いナルミ・マホ、僧侶キサキ・リョウ、そして格闘家の四名は国民のまばらな歓声と共に旅へと出発した。


「魔物討伐と言ってもどこに行けば魔物がいるのでしょうか?」


 王国を出てすぐリョウがそんな事を呟いた。重要な事を聞き忘れていたと頭の回転が鈍い優者以外の二人も気付いた時には既に王国へ入るための門は今日の仕事は終えたと言わんばかりに固く閉ざされていた。


「取りあえず、近くの村に行ってみませんか?」


「近くの村と言うと、私の出身地だけど」


 王国近くにある小さな村で生まれ育ったマホは魔物の姿はおろか魔物の噂さえ耳にしたことは無かったが、マホと二人暮らしをしている母親に旅をするためしばらく家に戻れないことを伝える為に立ち寄ることを提案した。


 魔物討伐の為に旅に出ている身としては一刻も早く魔物の被害が出ている土地へ急ぐべきではあったが、十分と掛からなかった議論の結果、現在の被害地域を把握すると言う体でマホの出身地に立ち寄ることになった。








 同じ頃、王国では。


「君たちには勇者たちの監視に向かってもらう。彼女らに魔物の秘密が知られるようであれば容赦せず消してしまえ」


「かしこまりました」


 国王の命令で四人の忍がユウ達の監視役として派遣された。


毎週の更新では無くなってしまったのでお久しぶりです。


優等生は劣等生の前日談『終わらない物語シリーズ』第2話をようやく更新することが出来ました。


今回までの話は前日談の前日談のようなものなので話がとても短くなっていますが、次回からはもう少し文字数を増やしていこうと思っています。


不定期更新ですが、出来る限り早めの更新を心がけますので、良ければブックマークや感想をよろしくお願いします。


東堂燈

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