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全ての始まり

どうも!

読み専だったのですが、時間が出来たので書き始めてみました。

暇つぶしになれば幸いです。

〜二年前〜


いきなりだが、異世界転移という言葉をご存知だろうか?

そう、足下に魔方陣が現れたりして異世界に飛ばされるというアレだ。

大体の物語は、そこから何個かのテンプレがある。

まずは、王道のチートでハーレムな物語。二つ目に、主人公がダークサイドに行くアンチ物。三つ目に、複数人で召喚されるが自分だけ何処か別の場所に飛ばされるもの。

まぁ大体はこんな感じだろう。

何故俺がこんな話しをしているかというと、俺自身がその体験をしたからだ。

だが、今はもう役目を終えて現代に帰って来ている。


「どうしたんだ、良?」


おっと、言い忘れていたが俺の名前は良、上木 良だ。

そしていま話しかけて来ているのが、一緒に異世界で戦った、斉藤 櫂。


「いや、もう一年も経つんだなって」


「そういやそうか」


俺たちは一年前、異世界へと行き魔王と呼ばれる人物の討伐をした。

先ほどのパターンでは最初の物が一番近いだろう。まぁ、ヒロイン的な人物はいなかったが。


「あいつらも元気にしてるといいな」


あいつら、俺たちと一緒に戦ったもう二人の人物。

一人は勇者、沢城 孝。もう一人は沢城の幼なじみである聖女、伊沢 神奈。

あいつらは魔王討伐のあと、向こうの世界に残って復興を手伝う事を選んだ。


「あいつらのことだ。きっと元気だろうさ」


「ははは、さすがは賢者様だ。なんでもお見通しか?」


「その呼び方は止めてくれ…」


俺は肩を落す。勇者パーティーでの俺の役割は賢者。魔力の底上げ、それが単純だが強力な俺のチート能力だった。


「しっかし、こっちに帰ってからも能力があるのは驚いたよな」


「まったくだ。そのせいで迂闊に棒状の物には触れん」


櫂のチート能力は、剣またはそれに類似したものを持つとステータスもとい身体能力や五感が大幅に強化されるという物だった。そのせいでコイツは剣聖とか呼ばれていた。


「さて、じゃあ俺はこっちだから」


「おう、また今度の休日にでも会おうぜ」


異世界で一緒に戦った俺たちだが、学校が一緒という訳ではない。

なのでこうして毎週末に一緒に何処かへ出かけている。


「…異世界か」


そう呟いた瞬間だった。上空に大きな黒い雲が出現した。


「…は?」


俺は咄嗟に櫂の方を見る。櫂も気配に気付いたようで上空を見上げていた。


「おい良!あれがなんなのか分かるか!?」


叫びながらこちらへと走り寄ってくる。


「しらない…けどあの穴から邪悪な魔力を感じる」


「邪悪な魔力ってことは…魔族か!?」


「いや、それはありえない。こっちの世界に魔族なんて存在しないはずだ」


「まさか…俺たちとは逆にこっちの世界に来ようとしているんじゃ」


「…あり得る。あの世界にもう魔族の居場所は無い。新天地を求めて勇者召喚を真似てどこかの世界に飛ぼうと考える一派もいるかもしれない」


二人で出した結論は取り敢えず様子見をする事だった。

仮に魔族が開いた穴だとして、どの程度の奴がどの位いるか分からないのが現状だ。俺も櫂も一人や二人程度なら相手に出来るが、もし百単位の数が存在していた場合、俺たち二人掛かりでも勝率は五分五分って所だ。


「来たぞ!」


どこからか調達して来たのか、鉄パイプを構える櫂。俺も慌てて簡易的な杖として使う為に鞄から折りたたみ傘を取り出す。


「…ドラゴン!」


穴から出て来たのは100匹近くのドラゴンだ。まだちゃんと見える距離ではないのでどんな種類かは分からないが、あの独特なシルエットは見間違えない。


「ちっ、厄介な」


「空中にいるうちに出来るだけ殺るぞ!」


「了解!」


さて、唐突だが魔法について説明しよう。

魔法とは、存在する物質や気体を自身の魔力を用いて形状・性質・威力を変化させることを言う。魔法使いというより練金術士だ。物質を消費しないで使用する方法もあるが、大量の魔力を要求されるのであまりやりたくは無い。

周りの物を使うので環境によって使えるものが制限されてしまう。このデメリットのせいで異世界ではあまり魔法使いはメジャーな職業では無かった。


「ここで使えるのは…」


俺は周りを見渡す。まずは他人の家、これはなるべく使用したくないが様々な材料が含まれているのでいざという時は迷い無く使う。そして次に思いついたのは


「コンクリートと鉄!」


道路とガードレールだ。急いでガードレールを20m程使用して鉄の杭を生成する。その間にもドラゴンはハッキリと視認できる位の位置まで降りて来ていた。


「黒に赤に青か」


「ワイバーンだけなら楽だったんだが、そうもいかないか」


黒はエンシェント・ドラゴン、魔族の飼っている最上種だ。強さ的には日本の自衛隊が総力で当たって一匹狩れるくらい。赤はヴォルケーノ・ドラゴン、中位種で強さ的には自衛隊が総力であたって20匹は狩れる。青は最下位種のワイバーン、自衛隊が総力で当たって100匹は狩れる。ちなみに本気の俺らは一人でエンシェント10匹は相手に出来る。


「準備完了!タイミングは任せるぜ!」


「いよっしゃ!3,2,1…行け!」


「真空刃!」


俺の杭20本と櫂の真空刃が相手に向かって飛んで行く。

ドラゴン達は無警戒だったのか、杭も真空刃もドラゴンを貫いて行き、その半数程度が地に落ちた。


「…さすがにエンシェントは貫けねーか」


「まぁ武器がこんなんなら上々だ」


真空刃を放った反動でボロボロになった鉄パイプを持ち上げながらそう言う。俺の折りたたみ傘も魔力を受けた事によって変形してしまっている。この程度の魔法ですら耐えられないのか。


「とりあえず移動するぞ、位置も割れてるだろうからな」


「そうだな、それにどんな状況なのか確認もしておきたい」


俺たちは駅の方へと引き返す。少し離れた位置にあるので時間は掛かってしまうが、大勢の人が居る方が状況確認には良いだろう。


「どうなってんだ!」

「なんなのあの生き物…」

「なんかのイベントかなぁ?」


駅に着いた時俺たちが見たのは、暢気に上を見上げて写真を撮る人々の姿だった。


「こいつら…!」


あまりの平和ボケに隣の櫂が苛立っているのが分かる。

確かに避難はおろか危険すら感じていないとは。


「おぉ!こっちに来るぞ!」


男が叫んだのをきっかけに俺たちもそちらを見る。

男の指差す方向には、駅の上に降り立つ黒いドラゴンの姿があった。


「エンシェント…」


「まじかよっ!まだ替えの武器すら見つかってねえぞ!」


小声でやり取りをする。

空中を見ると、他の場所にもドラゴンが降り立っているのが分かった。

地上に来てくれたのはありがたいが、ヴォルケーノを倒せるレベルの魔法しか使えない今の状況でエンシェントなんて相手に出来ない。


「逃げるか?」


「見逃して…くれないだろうな」


隣の櫂の顔を見ると、アイツも俺と同じ考えなのか首を立てに振った。

『あがくだけあがいてやる』

意を決して駆け出そうとした時、再び男が上空を指差して叫んだ。


「また何か現れたぞ!」


上を見上げるとそこには、巨大な魔方陣が浮かび上がっていた。


「あれは!」


「学園都市…スタード」


魔方陣の中から現れたのは、空中に浮かぶ土地とそれを囲む様に存在する飛行艇。

飛行艇から黒い影が地上に向かって落ちて行く。俺たちの目の前にもローブを着た10人が降り立った。


「危険です!離れていて下さい!」


警告と同時に一斉に攻撃呪文を放つ10人。

周りの物質が消滅して居ないので魔力の塊である魔法石を持っているのだろう。

放っている魔法の魔力の濃さからして


「エンシェントかよ!ついてねぇな!」


「口より手を動かしなさい!」


ドラゴンもただ突っ立っている訳では無い。炎のブレスをこちらに振りまいてくる。


「やばい!」


俺は咄嗟にコンクリートを壁の様に変形させて周囲の人々を守る。


「いまの魔法は…」


いきなり魔法を使用した事によって、10人の内の一人がこちらを振り返る。


「ちょっと借りるよ!」


俺はその子の杖を強引に奪う。隣では櫂が手を差し出して何かを要求している。


「わかってるって」


ドラゴンが降りたった衝撃で、駅の天井部にむき出しになっていた鉄骨を分解して手元で再構築する。その時に魔力をつぎ込んで強化するのも忘れない。


「ほらよ!」


「おっし!」


これでお互い30%くらいは本気が出せる。


「あなたたちは…?この世界の住人は魔法を知らないはずじゃあ?」


「説明は後だぜ!」


櫂はいつのまにか何処かへと走り去って行った。他の所の応援にでも行っているのだろう。

しびれを切らしてドラゴンがこっちに向かって走ってくる。


「俺以外の魔法使いなら最善手なんだろうが」


俺は出来る限りの魔力を込めて杭をドラゴンの進路上に発生させる。ドラゴンはいきなり止まることが出来ずに顔から杭に貫かれた。


「エンシェント・ドラゴンの突進を受けても壊れない程の強度…」


ローブ達が驚いているのが分かる。俺はそれを尻目に他の場所の援護に回る為に走り出す。


「まて、事情を聞かせてもらおうか?」


「良いのか?他の奴らの所にいかなくて」


「見た所エンシェントはこいつを含めて4匹、一匹はあなたが、もう一匹はあなたの仲間が、そして二匹は我らが勇者様が倒しています。残りは他のチームで十分対応可能ですので」


勇者…?まさかな


「分かった。だが流石にここではまずい。スタードまで連れて行ってくれるか?」


「…何故スタードの名前を」


「それも含めて後で、だ」


ローブは一度周りを見渡す。


「あなたの言う通りここはマズイようだ。スタードまで連れて行こう」


「感謝する」


そして俺はローブについって行った。


〜現在〜


「とっとと席に座れー、授業を始めるぞー」


俺はいま教師をしている。

感想、アドバイス、誤字報告等お待ちしています。

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