表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

封じられた光

翌朝。


「おはようございます。セイグラン様」


「・・・・もう起きたのか」


「ただで間借りさせてもらうとは考えていませんよ。この程度は私にお任せください。」


「勝手にしてくれ。私は出かけるからな。」


「ええ、お気をつけて。」



許可が出たのを良いことに、掃除、洗濯、その他家事もやらせてもらい、あっという間に昼を回る。


「もうご飯の時間ね。あなたたちも食べる?」


ご飯、の言葉に昨日ついてきた小鳥やリスがわっと寄ってきた。



「どうしてこんなに懐いてくれるのかしら...」



「それはお前さんの聖気に反応しているからだろうよ」



「きゃっ!、、、お、お帰りなら言ってください!」



「声はかけた」



「聞こえてませんよ!びっくりした。それより聖気って?」



「お前さんからは聖気、精霊の祝福が感じられると言う話だ」



「精霊の...祝福?私に特別な力はありませんよ?」


セレナは初めて聞く言葉だ。



「それにお前は魔力の流れが歪んでいるな。

何か封印されているのかもしれない」


「え……私、魔法は、習ってもてんでダメで……」

妹の方がよっぽど上手だった。だから両親も私への興味を失ったんだろう。



「ならば、私の言うとおりにやってみるんだ」


普通の方法だとうまく行かないのか?...と小言を言いながらもアドバイスをくれる。


「魔法は心だ。何か心に制御をかけられている可能性はあるが、基本的には本人が打ち破ることができる。」



「心...」



「そうだ。お前は魔法を諦めてはいなかったか?初めは自分が魔法を使っているイメージを脳に浮かべることが1番大切だ。ただお前の魔力は少し特殊なようだから、私が手伝ってやる」


妹はできて私はできなかった。

そしていつしか可愛がられなくなった。

私は魔法を使えないんだ。その代わりに公爵の奥方として家の役に立とう。


確かに魔法は諦めていると言えるな、とセレナは妙に納得した。


「まず、お前の魔力は聖に偏っている、そこが他とは違うんだ。

まず寄ってきた生き物たちに接した心を思い出せ。心が温かくなったらそれを外に出してみるんだ」


「温かさを、外へ...。」


セレナは胸に当てていた両手を前へ広げる。


「みんなおいで...」


(光が集まってくる。あたたかい。)

小鳥たちだけではない、蝶や虫たちも集まり、木々も揺れる。

いっぱいに広がる、柔らかな光。


その瞬間、胸の奥に、ひとすじの光が差し、

セレナの体が光り輝く。


(これが...魔法...)


大きく風が凪ぎ、光が離散した頃、

セレナはゆっくり目を開ける。


「できた...?」


「......やるじゃないか」


セイグランはもう背を向けて歩き出していた。



(優しい、人。心がじんとする)



夢心地のまま、その日は過ぎていった。




セイグランの小屋での生活は、不思議なほど穏やかであった。


朝は森の鳥の声で目を覚まし、薬草を摘みに行き、

自然とたわむれながら、時々魔法を練習する。


セイグランからはあの後、

私の力は精霊から授かる先祖帰りのようなもののため、

発現しなかったのだろうと言われている。


どんな力になるか、制御するためにも練習が必要なのだと言う。


「そんなこと知っているなんて、あの方は何者なのかしら...?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ