博士と立野くん~クロダ博士の陰謀~
この作品は、OpenAIのAI・ChatGPTの協力を得て執筆しました。
ストーリーの骨子、セリフ、構成においてAIのアイデアを参考にしながら、筆者自身が最終的な文体・展開を整えています。
――その日の午後、博士は研究室の奥で何やらぶつぶつ呟いていた。
「くっ……あのクロダめ、また妙な実験を始めやがったな……」
「クロダ博士?」
立野くんは、初めて聞く名前に首をかしげた。
「知るか!……いや、知ってるけどな!」
博士は慌ててパソコンの画面を閉じる。そこには、研究所間の内部ネットワークでやりとりされたメールが映っていたようだ。
「立野くん、もし黒いコートを着た長身の男がここに来たら……絶対にドアを開けるな」
「なんですかそれ、ピンポンダッシュ対策ですか?」
「いや、あいつは……」
博士は何かを言いかけてやめ、工具箱をひっくり返しながら別の作業に取りかかった。
立野くんは、モヤモヤしながらも「クロダ博士」という名前をそっとメモ帳に書き留めた。
何となく、この名前が後で大きな意味を持つ気がしてならなかった。
――奇妙な事件の始まりは、ほんの些細な違和感からだった。
ある午後、立野くんが研究室の奥で試験管を並べていると、突然、ドアが「ガラッ!」と勢いよく開いた。
「フハハハ! 相変わらず散らかっているな、白衣博士!」
声の主は、背広の上から無理やり白衣を羽織った、背の高い男だった。髪はオールバック、靴はやたらとピカピカ光っている。
彼こそ、博士のかつての同級生にして永遠のライバル——クロガネ博士である。
「な、なんでお前がここに!」
博士の顔が一気に険しくなる。
クロガネ博士は立野くんをじろりと見て、口角を上げた。
「おや、この若者は新しい助手か? ふむ……悪くない目をしているな。立野くん、私のところに来ないか? 給料三倍だぞ」
「えっ……」
立野くんは試験管を落としそうになった。
すかさず博士が横から割り込む。
「彼は私の助手だ! 三倍ってどこからそんな予算が出るんだ!」
「企業秘密だ!」
クロガネ博士は得意げに胸を張る。
こうして突然のスカウト合戦が始まった。だが、それは単なる序章に過ぎなかった。
クロガネ博士はその日から、週に一度は研究室に現れては、意味のあるのかないのかわからない「発明品対決」を挑んでくるようになったのだ。
「今度は“自動カレーかき混ぜマシン”で勝負だ!」
「そんなの混ぜるだけじゃないか!」
博士とクロガネ博士、そして巻き込まれる立野くん。研究室の騒がしさは、前代未聞のレベルへと突入していった。
――最初はちょこちょこ顔を出していただけのクロガネ博士が、次第に“常連”となり、研究所の空気をかき回していくのだった。
――ある日の昼下がり。
研究所のドアが「バンッ!」と勢いよく開いた。
「やあ、我が宿敵よ!」
博士が顔をしかめる。
「……やっぱり来やがったな、クロダ」
黒いコートを翻して入ってきたのは、長身でサングラスの男。
その手には、なぜか巨大な観葉植物の鉢が抱えられていた。
「これが最新の研究成果だ!」
クロダ博士は得意げに、鉢植えをテーブルに置いた。
「……鉢植え?」立野くんがぽかんとする。
「見た目はただのパキラだが、話しかけると返事をするぞ!」
クロダ博士はパキラに向かって「おはよう」と声をかけた。
『おはようございます、クロダ博士』
本当に返事が返ってきた。立野くんは「おおー!」と感動。
だが博士は冷ややかに言った。
「……これ、前にうちが作った人工音声モジュールと同じやつじゃないか?」
「ふっ……細かいことは気にするな!大事なのは見た目のインパクトだ!」
クロダ博士はサングラスをくいっと上げると、鉢を抱えて去って行った。
残された立野くんはぽつりと呟く。
「……あの人、なんでいつも舞台俳優みたいなんですか?」
博士は深いため息をついた。
「研究よりポーズに命かけてるからだ」
――この時はまだ、立野くんも博士も気付いていなかった。
このパキラが、後の大騒動のきっかけになることを……。
研究所の一角で、例のパキラが不気味に揺れていた。
「おはようございます、クロダ博士」と、機械音声が繰り返す。
博士は机を叩いた。
「やっぱり怪しい……!立野くん、あのパキラ、光合成だけじゃないことしてるぞ」
「え、何をですか?」
「Wi-Fiに勝手に接続して、研究所のデータを吸い上げてる!」
その瞬間、ドアがバンッと開いた。
「フッ……気付いたか、宿敵よ」
クロダ博士がコートを翻し、いつものポーズで立っていた。
「お前、観葉植物を使ってスパイ行為とは……!」博士が指を突きつける。
「違う!私はただ、このパキラで人類の心を癒やそうとしていただけだ!」
「癒やすって……立野くんの研究データまで吸い上げてるじゃないか!」
「副作用だ!小さな犠牲だ!」
博士とクロダ博士の言い合いはヒートアップ。
その横でパキラが突然、根を持ち上げて歩き出した。
「うわっ!?パキラが!?」立野くんが後ずさる。
「暴走モードだ!」博士が叫ぶ。
パキラは「おはようございます」を連呼しながら、所内をズンズン進む。
しかも葉っぱから謎の香りを撒き散らし、吸った者をやたら前向きにする効果が……。
「なんかやる気出てきた!今日から筋トレ始めようかな!」
立野くんまで影響を受け始めた。
博士は慌ててラップトップを開き、暴走プログラムを解析。
「クロダ!お前のパスワードは!?」
「そんなの言えるか!」
「じゃあ勝手に推測するぞ!…えーと、kuroda_love_pachira」
「なぜわかった!?」
パスワードを突破した博士は暴走を停止。
パキラはその場でしおれ、最後に小さな声で「おはよう……」と呟いて静かになった。
立野くんは深呼吸しながら言った。
「いやー……植物って、あなどれませんね」
博士はため息をつく。
「全くだ……で、クロダ。お前これからどうするんだ?」
クロダ博士は少し照れたように笑った。
「……観葉植物カフェでも開くさ」
そう言って、彼はパキラを抱えて去っていった。
――こうして博士とクロダ博士の奇妙な対決は幕を閉じたが、立野くんの日常が平穏になる日は、まだ遠そうだった。
研究棟の屋上。博士と立野くんは、クロガネ博士との「発明頂上決戦」に挑もうとしていた。
「本日のテーマは、どちらの装置がより“人の生活を豊かにするか”だ!」
クロガネ博士は両腕を組み、風になびくオールバックを直す。
その横には、なぜか巨大な銀色の球体が鎮座していた。
「私は“多機能型ロボ・ミスター快適”だ!」
「名前が昭和くさい!」博士が即座にツッコむ。
「お前のはなんだ!」
「これだ、“自動洗濯・乾燥・畳み込みまで一括マシン”!」
「…それ、普通に便利だな」立野くんがぽつりと漏らす。
試験開始。ミスター快適はカレーを作り、掃除をし、マッサージまでしてくれる。
しかし博士のマシンは、黙々と洗濯物を仕上げ、最後に香り付きのリボンを結んでくれた。
審査員(通りすがりの教授たち)は口を揃えてこう言った。
「生活の質が上がるのは…洗濯マシンだな」
「なにぃ!」クロガネ博士が膝から崩れ落ちる。
博士は勝ち誇るが、その足元で立野くんはため息をついた。
「でも博士、あのマシン、電気代がものすごいことになってますよ」
「……改良の余地あり、だな」
こうして発明頂上決戦は博士の勝利に終わった。
だがクロガネ博士は負けを認めるどころか、にやりと笑った。
「次はもっと面白い勝負にしようじゃないか、白衣博士…!」
その目は、次なる騒動の予告そのものだった