9話
おっ!
いい感じに分断できたな。
俺は今、ダンジョンコアを通して迷宮内を観察している。
ダンジョンはいわば体内にいるようなもので、
内部のことはリアルタイムでコアに情報が伝達される。
ーー対象がパーティーを離脱、出口へと向かっています。ーー
『流石に動画を撮っているし帰り道は分かるよな?』
ーー対象が予想のルートを外れ、最短で出口へと向かっていきますーー
?!
『どういうことだ?偶然か?』
ーーいえ、隠しルートも使用しての最短ルートですので、おそらく固有スキルでしょうーー
『固有スキルって言うとあれか?最初から持っていたり、強力な独自のスキルのことでいいのか?』
ーーその認識でいいでしょう。道を曲がる際、その道の先に魔物が配置されていない方へ方向転換していますーー
『あり得るとしたら...未来予知、空間把握、危険察知、そういった能力の可能性が高いな...。
先天スキルは強力なスキルだったりは覚えている可能性はあるか?』
ーーそのものが最初から持っている素質ですから、特別な血筋や才能を持っていればありえます。
また、マスターの練気スキル同様鍛錬により獲得可能ですので、生活してきた環境によってスキルを獲得した可能性もありますーー
なら危険察知系の能力だろう、
おそらくイジメか何かを受けて危険に敏感になったから手に入ったのではないだろうか?
俺はこいつが何をやってもパーティーから離れなかったら殺す気でいたし、
そういう意味で言ったら無警戒に宝箱に近寄って分断されたのも最良の行動だったと言えるだろう。
ーーこの男を捕獲しますか?ーー
『未来予知ではなさそうだし、少し興味は湧いたがこれで予定を変更するかと言われたら、それほどの価値は感じられない。予定通りこいつは外に逃がせ。』
ーー了解しましたーー
さて、こちらの戦闘は終わっているかな〜?
女死亡、片方の男死亡、残りの1人は...宝箱にたどり着いて鉄剣を手に入れて耐えているな。
『その生き残った男は生け捕りにするように伝えてくれ、他の1人で行動していた4人はもう終わっているようだし捕らえたら大広間に捕虜を全員集めるように!』
ーー丸腰で会いにゆかれるのですか?ーー
『なんだ?心配か?コボルトたちと行くしそもそも俺を倒せるようなステータスのやつは捕まってねえよ』
俺はコアルームをあとにし、捕虜たちのいる大広間へと向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
捕虜たちは気絶しているので水の魔術で水玉を浮かせ、かけて起こしてやる。
『はーい、みんな起きろー〜!10秒以内に起きなかったら殺すからな。10...9...8...みんな起きたな?』
4人は起きると混乱しているのかそれとも頭が悪くて状況が把握できないのか、
俺を人間と見ると、誰だとか、誘拐だぞとか、当たり前に自分が生きて帰れると思っている。
馬鹿なのかな?いや、できるだけ馬鹿そうなのを集めたけれど...
『静粛に!お前らは今俺に問いを投げかけられる立場にいない。身の程を弁えろ。』
「ハア?!テメエ何様のつもりだよ?今すぐ家に返せ!」
「そうだよ!返してくれ!」
「さっきけしかけてきたコボルトは何だ?スキルか?」
!!なるほど、こいつらのレベルは0か1、どんなスキルが手に入るのかどういう基準で
レベルが上がるかとか基本的なことはわかっていないんだ!(俺もいまいち何ができるかわかっていないけど)
だからわからないことはスキル、
そう結論をつけているんだ。
それはそうと...
『コボルト、今騒いだやつは死なない程度に殴っておけ』
ッ?!
「待て!謝るかボゲェッ!ぅ゙っ」
「来るなっ!ギャッ」
「ぐぁッ!」
唯一起きてからずっと黙ったままの男の前に立つ
『お前、なぜ蹲り動かない?』
「な、殴られるのが怖いからです。こうやってうずくまって何も反応しなければ飽きてやめてくれるから...」
『それが俺に通用すると思ったのか?』
「い、いえ、でも、じゃあ、どうしたら...」
『愚かだな、だが、この中では一番マシだな。立て、1人はお前に決めた。
俺の機嫌を損ねなければお前は生かしてやろう。名前は何だ?』
「あ、ありがとうございます。茨木 昴といいます。」
『さて、おい殴るのをやめろ。』
すっかり静かになってしまった奴らを一列に立たせて気づいたことがある...。
しまった!ぼろぼろになり涙と鼻水でグチャグチャな顔面になったので
区別がつかない。
『右から名前と持っているスキルを教えろ。』
ビクッ!「...和倉 洸汰です。スキルは「誘導」相手の意識を誘導したり、投げたものを少しだけ思い通りに動かせます。」
「...高峰 修平です。スキルは無いけど軽く魔法が使えます。」
「佐藤 一馬です。ステータスは持っていません。」
???『ステータスがない?そんなはずはない、全人類が持っているはずだ。』
「でも実際に読んでもでないし、スキルだって魔力だって感じません。」
『少し待っていろ、確認してくる。』
誰も何を誰に確認してくるのかなんて聞ける余裕はなかった
頼朝がいなくなってもコボルトは残っている
茨木以外は体がボロボロでそんな元気はなく
騒がしくして機嫌を損ねるのは良くないことだと体に教え込まれたばかりだったから
しばらくすると頼朝は帰ってきて...
『佐藤、お前にもステータスはある、がステータスのシステムに不具合があり一時的に一部の人間は表示できない可能性がある。システムの恩恵の大半が制限されている状態だ。しかし、それでも魔法を使えるレベルの魔力があれば感じられるだろうし、スキルも発動自体はできるはずだ。それが出来ないのなら両方ともないということだろう。』
「そんな...無双が...ハーレムが...」
絶望しているようだがその内容が低俗だ
こいつがまず心配するべきなのは自分の価値を示せず
俺に殺されてしまうことだろうに...。




