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8話

_______________________

ハア、ハア、ハア、、、、

どうしてどうしてこうなった!


『gav gavッ!』


後ろからは犬顔の化物、コボルトが追いかけてくる。

僕はただ、レベルを上げてクラスのみんなを見返す...ううん、誰かに認めてもらいたかっただけなのに...。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

30分前、

天霧のダンジョン入口で4人の若者が集まる。


「花沢さん、祐介くん、洸汰くん、ちゃんとこのダンジョンのことは誰にも言っていないよね?」

「こんにちは、牛山くん、もちろん言っていないよ...話す友達も居ないしね」ボソッ

「そうだよ、誰にも話していないよ。牛山こそネットに写真とかあげていないだろうな?君はいつも動画を取っているからね。」

「それは録画をしていたほうが後で何か気づけることがあるかもしれないからって僕がやっているんだろう?それに動画はみんなに共有しているんだから他のみんなにも注意してよ!」

「喧嘩はやめようよ。仲間割れしてこのプライベートダンジョンのことが他の人にバレるのはみんなも本意じゃないでしょ?」


天霧が誘い込んでいるのは世間一般的に陰キャと呼ばれる高校生だ。

その容姿が言い訳でも、性格がいいわけでもなく、周りに馴染めず、孤立してきた奴らだ、

出会ってまだ2日目、同じ陰キャで、趣味が同じような者たちでも、

仲間と力を合わせるという行動が苦手な彼らにいきなり仲良くなれというのは難しい話だった。


牛山と呼ばれる肥満体型の男は疑心暗鬼に周りを疑い、

花沢と呼ばれる前髪が長く、眼鏡をかけた女は小さい声でブツブツ独り言をし、

祐介と呼ばれる低身長で細身の男は牛山に突っかかり、

そして洸汰と呼ばれるジャージ姿でマスクと眼鏡をした男は言い争いを仲裁をする。


「昨日ステータスは共有しあったし、それぞれ準備は出来ているね?」

「うん、生命力の一番高い洸汰くんが先頭、次に瞬発力の高い祐介くん、その次が私で、

最後は2番目に生命力の高い牛山くんだったよね?」

「一番危ない先頭を自ら買って出てくれて助かったよ。あのままだったら今も言い争っていたかもしれない。」

「気にしないでよ祐介くん、もしかしたらより多くのモンスターを倒せて早くレベルアップできるかもしれないっていう打算で申し出ただけだよ。」


一応4人の中で上下関係はないが、誰が見ても洸汰がリーダーであることは一目瞭然だ。

もちろん先程から態度の悪い、牛山はその状況が気に入らないようだが、

ステータスという明確な能力の優劣がある以上、ワガママばかり言っていられないのも事実、

渋々従っている形だ。


多少の言い争いはあれど、

順調に今のところ探索が終わっているエリアを通り抜け、まだ探索していないエリアまでたどり着いた。


そして、宝箱を見つけた。

牛山は走り出した。

同じ景色ばかりでつまらないマッピング

洸汰が中心で感じる疎外感

そこに現れたファンタジーの醍醐味とも言える宝箱はまさにオアシス

たとえそこに罠があるとわかっていても飛びつかずにはいられない

ましてや今までスライムしか出てこず罠もなかったため忘れていたのだ...

此処はダンジョン、

フィクションの世界では簡単に攻略されているそこは

怪物あふれる迷宮であり、

人の命など簡単に奪われる場所なのだと。


開く仲間との距離

壁が崩れ出てくる無数のコボルト

牛山の固有スキル「被害妄想」の能力により分かる

食い殺される”祐介と花沢”の姿、

これは可能性だ。

最も高い確率で起こり得る未来の姿だ。

それと同時に見えた自分だけ逃げ切れる未来


ここで立ち向かえるのが主人公なのだろうか?

ならばきっと一生なることは出来ない。


牛山は逃げ出した。

後ろから聞こえる悲鳴から耳をふさいで、

地獄のような光景から目を逸らして、

ただ自分だけでも生き残れるようにと、

自分だけは先ほど見えた未来の姿にならないと信じて、

まだ一度も来たことのない道を、恐怖から逃げて逃げて逃げて逃げて...

逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて...


ただ、牛山の持っていたカメラの中にのみ、2人の最後は映っていた。

ぶれていてろくに取れていないそれに赤が溢れそして埋め尽くされていく様子がぼんやりと...


足を止めたら、冷静になったら、もう動くこともできなくなる。

そんな漠然とした恐怖が脳を支配し、考えることを放棄せざるを得なかった。

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