7話 犠牲者
ダンジョンが解放されてから3日が経った。
その間誰もダンジョンに来ることはなく、俺はダラダラしていた...。
なんてことはもちろんなく、ひとまず342匹にまで増えたミニスライムの内、
120匹を外の偵察に送り出した。
それでわかったことは此処は日本の京都の北部にあたる山にあるということ、
世界中で非活性のダンジョンが発見されているということ。
スライムたちは俺の言語能力の一部を引き継いでいるので、
日本語は理解できるのだが外国語はわからず、排水口から街の捜査をしていた一部が、
投稿中の学生の話を聞いてこのことを知った。
とりあえず俺のダンジョンから徒歩1時間圏内には他のダンジョンは見つからなかった。
人間のでかたがわからない以上、大々的に俺のダンジョンが活動していることが知られるのはあまり望ましくない。
残念なことに、魔物の視界や聴覚を共有するなどの便利な機能はなく、いちいち帰還したスライムたちが地面に描いた汚い文字を解読しなくてはならない。
幸い姿を見られた個体は居ないようで、皆無事に帰還している。
近年はネットが普及しているため1つの目撃証言でみんながみんな信じるわけは無いだろうが
拡散されるのはきっと一瞬だ。
スマホを持っているかの判断はミニスライムより賢いコボルト達も出来ない、
なぜならスマホがどんなものなのか知らないからだ。
スマホを持っていないだろう、またはSNSをやっていないであろう年代に絞って考えてみる。
まず、小学生以下の子供、親が制限をかけていたり、拡散力自体が無いであろう年代だ。
倫理観とかはコアを守らなくては自分の命が危ないというのに気にする余裕はない、
だが、ろくな情報も持っていないだろうし戦いも期待できない。
次に高齢者、これもあんまり良くない。
弱く、まともに話せなそうだ。
ネットに拡散されるのは諦めるか悩んでいるとふと気がついた。
オタクならある程度のセオリーを知っているからプライベートダンジョンを欲しがるんじゃないか?
まさに天の一声だ。
そうと決まったら行動は早くせねば!
数を減らし、40匹ほどのスライムを高校がある周辺の排水溝に配置した。
スライムたちには1人で行動し、下を向きながらブツブツ独り言を言っていたり、手元を見ながらニヤニヤしている下校中の男子高校生を見かけたら追跡し、周りに人の目が見えなくなったらそいつの前に現れるんだ。近寄って来たら俺のダンジョンの方へ他のスライムたちと協力して誘導するように指示を出している。
しばらく経って、数匹のスライムが帰還した。
そいつらが言うには、
姿を見せたらすぐに追いかけてきたため、裏路地を通って山の麓まで誘導することが出来たとのことだ。
今回はスライムを2,3匹ほど倒させてその後コボルトで追い払うつもりだ。
もちろん、スライムにあとをつけさせ、監視はする。
5人以上がこのダンジョンの存在を知り、その上でネットには情報が出回っていないことを確認でき次第、
2人生け捕り、1人逃がして他はコボルトたちで倒す。
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3日と立たないうちにダンジョンには7人訪れるようになった。そのうち4人はダンジョンを探索に来る時間が被り、一緒に来るようになったが、ネットに書き込むものは1人も居なかった。
このダンジョンの罠は今は稼働していない。
なぜなら意図せず死なれて警察が捜索を始めたら面倒だからだ。
しかし、今日、奇跡的にも7人全員がダンジョンに入っている。
隠し通路からコボルトが出口を塞ぐように出てくる。
4人組は頭の足りないやつしか居ないのか、一定の間隔で出てくるスライムに何の疑問も持たず誘導されていく、
逃がすのはこの中で唯一動画を取っている肥満体型の男にしよう。
1人で潜っている奴らも録画しているが、動画加工を疑われてネットに拡散されるのが遅くなるかもしれない、俺は他のダンジョンより早く活動を始めたからこんなことをしているが、
他のダンジョンマスターは魔物で、何も考えなしで魔物を解き放つかもしれない。
そうなれば俺の手に入れられるDPが減ってしまう。
人間がどうなろうが知ったことではないけど、人を殺せばDPがダンジョンに入り、他のダンジョンより強くなる。
コアによればダンジョン同士で争うことで倒した相手のダンジョンを乗っ取ることもできるし、資源になるらしい。
強い相手は望むところだが俺も強くならなくては話にならない。
俺が求めているのは楽しい戦いだ。そこに意味や過程は求めていない、その戦いで楽しめるかどうか
が一番重要なんだ。




