41話 シンクロニシティ
今日、激変と言われる世界の変貌より時間がたち、ひとまずの安定、人と魔の勢力図が固定化され、
互いに拮抗した状況が続いている
これは、戦いに参加しない人が安全に暮らせるようになったかと言われると違うが、
生活圏内にて、まともな経済活動が再開し、魔法やスキルなどの、新しい概念に対する研究も始まっている
主に、騎士、ランスロットがもたらした、一時の平和である
新興国が乱立し、人類が踏み入ることができない魔の領域も形成されているが
人同士の争いは縮小化され、魔の領域からでてくるのは、縄張り争いに負けた魔物で、覚醒者に討伐される
イギリスは魔導都市になったロンドンを中心に超大国として君臨し、
アメリカはバーテックス王国という分離した新しい国と強固に結びつくことで大国の地位を維持、
中国は国の領土が半分以上魔の領域になってしまい、
北京と、周辺都市を除き、小規模の新興国に独立していった
ロシアは、国境をなぞるように、魔の領域が形成され、ブラックボックス状態
日本を含めたアジア諸国とヨーロッパの多くは、
ランスロットのおかげで生活圏の一部を取り戻し、復興中、
アフリカは、国家の枠組みが、維持できず、村単位の自治に移行、
技術者が消え、時代を巻き戻したかのような世界が広がっている
さて、シンクロニシティ、Synchronicity、という言葉を知っているだろうか
心理学者のユングが提唱した「意味のある偶然の一致」を指し、因果関係のない事象が偶然とは思えないほど意味深に重なる現象で、「共時性」とも言われる
ある時、ある場所で起こった出来事が、全く違う場所で、同様の現象が発生することを言う
人類にレア度を識別する手段はほとんど無いが、ランスロット...ランスに続く二人目の神話級武器を獲得したものが現れ、
それから次々と各地の強者が神話級や、準神話級、伝説級、準伝説級の武具を手にしていった
それらの多くは、ダンジョンから排出されたアイテムであるが、
中には既存の神器が覚醒した場合もあった
例えば日本の三種の神器、場所がわれていて、内、皇居にある八尺瓊勾玉は、日本武尊が所有し、
効果は、質量を持った光の魔法を無制限に使えるというもので、
パフォーマンスとしては、大きな効果があったが、ほかの2つは保管場所のダンジョン化の影響で、
回収が困難であり、特殊な鑑定能力持ちの鑑定結果では、3つ揃って力を発揮するタイプなので、
実戦的な能力は微妙
レベル100に到達した覚醒者がいない以上、
強力な武具は、一部ハズレ値を除き、その所有数が、そのまま国家間の軍事的戦力に考えられる
そんな中、まことしやかに話される噂があった、
シゲルという、多様な魔法を自由自在に扱う日本人のハゲが、1人で最高級の武具を3つも持っているという
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
in日本
「(ターゲットは京都にいるらしい)」
「(まじかよ、東京まで来た意味よ!?)」
「(あそこに住んでいるのは、ワケアリの人と、故郷に帰りたかった人達だけだろうから、さっさと次に進もうって言ったのはあなたじゃない!)」
「(まあ、マジで最高級のを3つも持ってたら噂が広まってるだろうって、みんな賛成したけどね...)」
シゲルを狙う彼らは、イタリアから来た
イタリアは、マフィアの覚醒者が幅を効かせ、政府の影響力が薄く、治安が悪くなっている
そのため、政府所属の覚醒者に高レア度の武具をもたせて、国の安定を図りたい
しかし、準伝説以上のものは、金で買えるようなものではない
そんなところに流れた噂、期待は薄いが、一途の希望に飛びつかないという選択肢は無かった
「(あの、あなた達の仕事は、交渉がうまくいかなかったときに、武力で奪い取ることですからね?
「翻訳」スキルを持っているかもしれないですし、ヘタに煽って、作戦が失敗になったら、
報酬もありませんから...)」
「(うっせえな!覚醒者は、覚醒者にしか対処でき無いんだよ、非覚醒者の分際で、舐めた口聞いてたら潰すぞ、...ッ????!)」
「(ッ?!何をするんですか?!)」
もちろん、政府所属の覚醒者は、必ず正義感に溢れた人間である、なんてことはなく、
この大男のように、粗暴な輩は一定数そんざいし
そして、中には他の国と通じているスパイも紛れ込んでいる
「(ごめんなさいね、私達、こっち側の人間なの)」
そう言って、マフィアの入れ墨を見せる
「(最初は、あなた達がアイテムを回収してからにしようとしてたんだけど...
どうやら、あなた達、罠(捨て駒)だったみたい)」
ぞろぞろと、黒服を着たアジア人に囲まれる
「(あなた達はどこの国から着たのですか?)」
丁寧に英語で質問してくるアジア人は、隠そうともせず、一冊の本を持っていた
「(アメリカよ、あなた達こそどこから来たの?それにその本はかなりレアなダンジョンアイテムでしょう?随分と贅沢な装備じゃない)」
「(アメリカですか...ふむ、嘘ですね。ヨーロッパの何処かでしょう。
イギリスではないようですから、消えてしまっても問題ありませんね)」
「(ッ!待って!あなた達もシゲルを探しているんでしょう?一旦協力しない?)」
「(ちょっ!なにを勝手なことを言ってるんですか?!ボスの命令は...)」
ズバッ、反応する間もなく、反対する男の首が切られる
「(私としては、政府の方に力が偏ると、めんどいから、来ただけ...
他んとこにいくぶんには問題ないの、戦力は多いほど良いでしょ?)」
「(...はあ、勘違いしているようだがな、ウチはシゲルさんとはもう、話ついてんだよ!)」
男が本を開き、何かブツブツと唱えたら、紫色の煙がでて、
イタリアから来た彼らは強い眠気に襲われる...
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「......だから、別にそういうの要らないって言ってるじゃないですか。
僕の方も...んたちとは仲良くしたいと思っているんですから」
「......さん、あなたがぽんっ、と渡したこの通訳できるアイテムだって、ネットが使えなくなった今、
ものすごい価値があるんですよ?どうやったらこう、何個もアイテムを手に入れられるんですか?!」
手足を拘束され、目隠しをされた状態で、先程の女性の耳に会話が聞こえる
しかし、ゴトッ、と物音を出してしまい声の主が気づき、扉を開ける
「やあやあ、はじめまして?僕が君たちの探していたシゲルだよ」
日本語のはずなのに、簡単に言葉が理解できることに驚きつつ、先程聞こえてきたことから、
アイテムの効果だと予想がつき、女性は冷静に、言葉を選びながら声を発する
「はじめまして、私は、カーラ」
「じゃあ、早速なんだけどカーラ、僕には君たちの事情はどうでもいいんだ
さっさと帰るか、四肢をなくして帰るか、それとも僕の魔術の実験台になるか、好きなのを選んでいいよ」
「シゲルさん、この女は、他の者達とは別の思惑で来ていたらしくて...」
「あ、そうなの?うーむ、こんなことになるなら、学生の頃、心理学の勉強もしておくべきだったな...」
「あのっ、私!、帰れるなら帰りたいです!」
「...ふっ、ふふふ、そう...じゃあ、この建物から出ていっていいよ、扉はあっちね」
以外なことに、死の選択肢をつきつきてきた男は、シゲルは何もせず、帰っていいという
「あ、ありがとうございます。」
...
「あの女、自分以外がいないことに気が付きませんでしたね」
「まあ、命の危機に、視野が狭くなってしまうのは仕方がないことだよ」




