29話
ブンッ ヒョイッ ガンッ ぶに バッ ガガガガッ!
それにしてもここのダンマスはモンスターに甘いのやら厳しいのやら...
俺はこの獣を見るまで召喚した魔物を仲間として、家族として扱う下水道のマスターと同じタイプの
人間だと思っていた
バチンッ ガンッガンッガン グニュグニュ...ジュウウ
でてきた魔物は、ゴブリン系、スライム系、獣系、アンデット系、いろいろ居たが
それぞれが争わないように、不自由ないように上手く配分されていた
例えば、スライム、アンデットは食用部位が無いからゴブリンと獣の間に配置しておくことで
そもそも近寄らないようにしたりな
ズバッ ぶしゅうううー べちょっ ジュウウウ...ボコボコッ!
ヤクザが来てるからDP的余裕もあるんだろう、自然の環境もあった
gyaa! ベキッ guaッ ジュウウウ
俺の蠱毒みたいなダンジョンと比べたら天と地だ
ボキ ベキッ バチンッ ズバッぶしゅうう ガンガンガンガン ゴキゴキゴキバキン
だから、こいつがあまりにもノイズ、
魔物を大事にするマスターが人間的には非道徳的な改造をするとは思えない
gyaa、haa、haa、gurrrrr ジュウウウ
避けるのが結構余裕だったから時々反撃を加える
打撃がだめなら鞭打、痛みを与えてみたが怯まない
骨部分を集中して攻撃してバキバキに折っても再生し、
貫手で傷をつけたら、赤黒いゲル状の物体が吹き出てきて地面が溶けたし、再生された
関節外しも、だめ、息継ぎの間もなくボコボコにしても息切れするだけでダメージはなし
そして俺の方は体力に余裕があるかと言うと、封印前との感覚差で結構キツイ
こっちはダメージ=死だってのに、相手は再生して行動に支障なし
明らかにギミックモンスターだ
ギミックを無視することが出来ない
その事実はあまりに甘美で、愛おしく、あまりに...我慢できない
余計なこと(ダンマスの性格について)を考えるのをやめ、周りにあるものでいかに攻撃を仕掛けるか
に集中する
ボス部屋はとくに環境が設定されていないただの洞窟で、足元はでこぼこしている
そこら辺に落ちている石は武器になり得るほどの大きなものはなく
洞窟内の明るさは手元のアクセサリーの模様もわからないほどに暗い
攻撃には利用できないが、こいつの攻撃を受けても傷一つ付かない支柱が12本円を作るようにあり、
先ほどから回避に利用している
...困った。なにも策が思いつかない
ズガガガガガガガッ!
今すぐにでも真っ向から殴り合いたい衝動を抑えながら考えを巡らす
でも、いくら考えても氣を使って再生能力を潰すしか思いつかない
自分のあまりの脳筋であると言うわけではない
シンプルに判断材料が少なすぎるのだ
だから、わかっていることから考えてでる選択肢がこれだけなのだ
あの再生能力は、”氣によって成り立っている”ということが眼でみてわかってしまうから...
偶然の産物だろう、改造する中で、丹田を刺激し、こいつは氣に目覚めた
しかし、使い方がわからない
するとどうだろう、生成されるだけされて、使われも、巡りもしないでたまり続けた氣は、
これまた偶然に、こいつを霊物に変質していき、魔術的にもわからない超再生を手に入れた
それが俺の推測だ
ゴキゴキゴキッジュウウウ、バキッ!
...可哀想になってきた。
幸運に恵まれて氣に目覚めたはずなのに、再生能力は改造後を正常な状態と認識し、
自我を回復するまでには至らない
その上、狂気とも言えるこいつの氣は、いずれ周りの物質に生命に影響を及ぼすだろう
そうして、処分されるんだ
あくまで不確かな推測からくる想像、妄想だが
そうだと思えば思うほど、ここのダンマスを憎く思えてきて、そして、こいつを救いたいと...
『封印を解いて、全力で相手してやる』
誇りを与えてやろうと思った。
1つ目...『”土壁”』魔術を行使して残りの封印解除の時間を稼ぐ
2つ目...『”思考加速”』氣を頭に集中して早く解除できるように思考速度を加速させる
3つ目、4つ目...『”金剛体”』1つ目の土壁が崩れるだろうタイミングでより強い防御を張る
5つ目、6つ目、7つ目...すぐに封印を解けるのはここまで、元の力の5割の力、
今すぐ出せる全力、
金剛体で傷一つつけられない俺を殴り続けているのをやめさせ、
空間魔術で弓を取り出す
こいつは高等級の武器だ、もちろん特殊能力が付いている
”魂を矢にする”能力、俺のダンジョンで射つときはDPを消費することで際限無く威力を高めることができた
それを今回は、こいつの魂を回収するのに使う
能力を拡大解釈して、魔術的な効果を上乗せする
射た相手の魂を矢にして現世に留める
魔術で石の矢を作り...
バァン!
銃声にも似た爆音を立てて、矢は心臓を貫いた
倒れ、ジュウウという再生音が聞こえなくなった死体に近づき、心臓の位置にある
白銀に輝く矢を拾い、空間魔術で弓と一緒に収納した
『喜べ、今の一撃は、ワイバーンを殺せる一撃だ』
そして、再封印すること無く次の階へと進む
あらん限りの怒りを込めて、
必ず殺すために
お前、導馬がデスゲームを始めるって言ったとき楽しそうにしてたよなっていうのは、
言わないお約束で!
自分がする外道と、他人がする外道は違うでしょ?
いろいろ、琴線に触れるものがあったんだよ




