28話
武器に付いていた特殊能力は吸血もどきだった
武器を手に入れ、鑑定代を差し引いた金額で買い取ってくれる覚醒者連合に持っていった
そこで武器についている能力を教えてもらったのだが、それが吸血もどきとでも言いそうなものだったので
暫定的にこういっている
激変時、大量殺人をしたやつがいたんだが、そいつの武器には切った相手の血で体力を回復させる
吸血と言える能力がついていた
吸血もどきの能力は、切った相手の鉄分を奪い、耐久値を回復するというものだった
吸血のナイフのイメージが強かったのだろう、鑑定をしてくれた人はオークションに出そうといってきたので、二つ返事で許諾した
よく考えたらわかりそうなもんなんだがな...あれ、だいぶ微妙な強さだぞ
ーーマスター、どこに向かって話しかけているのかわかりませんが、
聞いた感じ優秀そうな能力ですがーー
あれ?ナビ、わかんない?
ーー記憶をすべてわけられたわけではありませんから、基本的に知らないことも多いですしーー
じゃあ、教えてあげよう
まず第一によほど特殊な場合を除いて、武器のレア度はそのまま武器の格だから、
一般級の武器はどこまでも一般級の武器なんだ
なにも特殊能力がない希少級の武器と打ち合ったら簡単に壊れる
次に、人間1人の血液に含まれる鉄は5グラムちょっと、
切りつけた際に接触するのはその内の0.0数バーセント
耐久値の回復より損傷のほうが圧倒的に大きい
以上から、字面は強そうだが、実物はそうでもないと判断したわけだ
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オークションが終了した
VIPしか参加できないものらしく、様子を見ることは出来なかったが、
落札額は3050万になり、鑑定代10万、オークション手数料40万、
を差し引いて3000万を受け取った
どこのマヌケが3000万もだして買ったのかと
そいつの姿を想像しながら笑いを堪えていたせいで、現金をスーツケースで持ってきてくれた鑑定屋に
金額に不満があると勘違いされたときは、違うんだと説明してやりたくなった
ちなみに、なぜ現金なのかと言うと、激変後、通信系のものが軒並み使えなくなった影響で、
キャッシュレスや、クレジットは一切使えなくなったから
お金自体の価値がなくならないのは、人が集まってある程度の文化的生活をする以上、
物々交換よりは、こっちの方が便利だしな
意気揚々と店をでて、早速なにかうまいもんでも食べに行こうと思ったが、
流石にずっとこれを持ちながら歩き回るのは
金持ち自慢みたいでキモい...
よってくるのもろくにダンジョンで稼ぐことも出来ないカスばかり
100万、それでも多いかもしれないが持ち歩くのはそれぐらいで十分だ
残りは持ち運びやすいもの...魔石はちょっと違うし...
ーー無難に金や銀のアクセサリーがいいのでは?ーー
特に良案が思いつくこともなかったのでナビの言う通りに18金のネックレスに、
いくつかの指輪、金銀宝石のついたものを通して首からかける
金は魔術触媒や悪魔との取引などに使われているイメージのおかげか、価値が失われない
どころか、値段が上がっているみたいで、
2500万分を集めるのに店長がでてきててんやわんやしていた
得てして、成り金ファッションになったが、フードをかぶり、ネックレスが見えないようにして
歩けば、絡まれることはない(フードは絡んできたホームレスから剥ぎ取ったがボロボロではない)
『お金は手に入れた、不審がられないような生活を送ることはできる...
でもなぁ...』
コアにはいつも世話になってるし、
妥協案として今も協力してくれているのにそれを裏切る行為は...でも...
ーーマスター、危ないことはだめですからね!ーー
なんども言われなくてもわかっている
ハア...ナビは、コアのときより文句を言うのが多くなっている気がする
大体、こいつはコアに疑似人格を入れられた存在で、コアじゃないじゃないか!
俺をサポートするようにと、生み出された存在のくせに
俺の行動を制限するようなことばかり言う
便利ではあるが...それだけだ
というか...なぜ、それに素直に従ってばかりなんだ?
そうだ、俺が主人だ。俺がマスターだ
ナビが俺に従うんだ。俺がナビに従うんじゃない
『この建物は...めちゃくちゃになっているがジムだな。
どのダンジョンの領域にもなってないし、そうだな...
もし、ここを、ダンジョン化してしまえばどうなる?いや、ダンジョンの機能はコアの本体に全部おいて来たんだっけ?』
ーーマスター!そんなことしたら人間からもダンジョンからも全員から狙われますよ、
絶対に駄目ですからね!ーー
『そんなことを聞いているんじゃない。できるのか、出来ないのかと聞いているんだ!』
ーーマ、マスター?どうしたんですか?危ないことはしないって約束...ーー
『いいから答えろ!』
ーー...出来ません、本体がなければコアとしての力が残っていてもダンジョン化だけはーー
コアがあればいいんだな?
じゃあ、することは決まった
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『ダンジョン攻略じゃ〜!』
覚醒者連合が管理していたダンジョン、ではなく、近くでダンジョンの入口を所有しているという
極龍会、ヤクザにカチコミをかけ、ダンジョンの場所を聞き出した後、
その足でダンジョンに突入した
グラサンにマスク、フードかぶったし、顔はバレていないはず
『封印の限界ってものあるけど、人間はだめだな。どうしてこうも人間と魔物とで
戦力に差があるんだろうな?』
ーーそれは、ほら、初期段階で十分適切な対策をされていたらどこのダンジョンも生き残れないでしょ?
きっと、人間たちの動き出しが悪かっただけですよ(よかった、元のマスターに戻った)ーー
『あー、たしかに!』
ちょっとイライラしてこんなことしたけど、やっぱ戦うのって楽しいわ
ここのダンジョン、下水道のダンジョンよりバラエティに劣るけど、
一体一体のレベルが高い
ステータス的なレベルじゃなくて、戦闘能力的なレベルだけど
人型魔物には教育が施されているように感じるし、
策や罠を仕掛けてくるからパズルを解くような楽しさがある
『ヒャッハー!!』
おっと、ボス部屋発見
今は14階層にいるから、ここからが本番なのか、ここで終わりなのか
できればここからが本番であってほしいが、東京のヨワヨワダンジョンでは15階が限界だろう
ボスは何かな♪
『gyuuuugyaaaaaaaaaaaaッッッ!』
これは、獣?
人型の体毛で覆われた巨人、そうとしか形容できない存在
ストアでは見ていない新種で名前はわからん
でも、進化元はコボルトだな
コボルトは正統進化進化すれば知能が上がるが、相当体をいじられた形跡がある
縫い目の部分が赤く膨張していて弱点かと思ったが
ぶにょっ
攻撃しても痛がる素振りはないし、手応えもない
柔らか過ぎてダメージが入っていない
ガンッ!
パラパラッとやつが攻撃した地面がえぐられた
正気を失っているから闘牛士のようにひらひら避けられるが、食らったら一発でぺしゃんこになるな
もちろん、ギャいギャいなかでは騒いでいるやつがいるが無視を決め込み、観察を続ける
筋肉のバランスが前寄り、防御や回避を考えていない前傾姿勢
腕の可動域は狭そうだが、関節を外せば背中側にもギリ腕が届くか...
目は動く大きなものをなんとなく認識できる程度だろう、焦点が合ってない
鼻や耳が良くなっているな、振り回している爪が地面や壁にぶつかって音がうるさくなると、
耳がぱたんと閉じている
相手の得意不得意を予想しながら策を練り、勇気を持って挑戦する
弱者にしか許されない特権を思う存分にふるえるなんて...
そこには、笑いながら攻撃を避け続ける男と、よだれを垂らしながら改造された肉体で暴れまくる獣という
異様で、(天霧の価値観で)素晴らしい光景が広がっていた
保存していなかったせいで一度消えちゃったから、
飛躍している部分は無いか心配です:(´◦ω◦`):
なんとなく、主人公がナビに対して少し反抗的と言うか、反発するような態度を取ったのは
小言の多い母をうるさく思う思春期の息子のような感じをイメージしました




