17話
場所を京都としているのに標準語?でしか登場人物が話さないのはただただ筆者が東京育ちで、方言が分からないからなので、脳内補完しといて下さい。
羅刹が魔物を、導馬が人間を狩っている間、俺は何をしているかというと、
5分毎にゴブリンを入れなくてはいけないからその場を離れられず、
何もしていないというわけではなく、同じく待機中のゴブリン達に俺直々に氣の指導をしてやっていた。
あの2体についてきた60体のゴブリンは羅刹に従うゴブリンの中ではエリートで、
氣を感じることができた者たちなのだ
最初の30分までに結界内に入る奴らは特に何の成果が得られたわけでもなく、
簡単に導馬にやられてしまった
しかし、少し氣を操れるようになった奴が現れると、他のやつも後を続くように操れるようになり、
35分に中に入ったやつに導馬がはじめて手間取ったようすを見せた
レベルが上がり続けており、どんどん楽になっていくはずが追加のゴブリンを操り人形にするのが難しくなる。
そして、原因に思い至ったのか、怒りと驚きの表情でこちらにふりむいた
こいつはよく表情が変わって面白い、
こうやって大きく感情が揺さぶられると特に面白い顔をするので、
いつか腹筋が崩壊して殺されそうだ。
ちなみに、この急なゴブリンたちの練気の上達速度はアイテムを使ったとかではない
壁を乗り越えたからだ、俺には階段に思えるぐらいの小さな壁、
小さな壁だが、乗り越えた先、しばらくは平坦な道がある。
氣を操れるようになれば身体強化は容易い、練度は比べ物にならないほどお粗末だが
強化された体に馴染む時間が後続であるほど長くなる。
俺が氣を分けてやっているので、氣を使い切る心配をしなくて良いのもこれを後押ししている。
ゴブリンは種族進化以外大して力が強くはならない、
これは職業持ち、ゴブリンシャーマンであっても同じだ。
それなのに氣で戦闘力が大きくプラスされたやつを一度に5体相手するのはきつかったのだろう。
ゲーム開始から50分目、ゴブリンが追加されたが、前のゴブリンが2体残っていた。
3体はカースジャンカーゴブリンにされてしまったが、これは人間狩りに向かわず、とどまっている。
そして、プラスで1体カースジャンカーにした時点で、そいつらにゴブリンの足止めを頼んで人間を直接狩りに向かった。
校舎内には43体のカースジャンカーゴブリン、そいつらがサーチ・アンド・デストロイ状態で徘徊している。
そして、彼らの視界は半分、呪物の盲目の邪眼で導馬に奪われているため
中の状況は全て導馬には丸見えなのだ。
だからこそ目にとまった、子供(経験値)を無駄に減らす害虫(山田太郎)が、
質の悪いレベルアップはつまるところどれだけの経験値を無駄にしているかということでもある。
無事なロッカーをすべて潰し、地面を赤く染めながら害虫のもとへ走る
非力なる者の怨嗟をはめ、剣を振りかぶる
導馬は呪術師の職についているが、弱点を放置する阿呆ではない
職業特有の非力を呪物をもって解決し、最小限の力で相手を斬る剣術は
美しいとまでいかずとも、返り血が付くような練度ではない
子供と害虫の首は地面に転がった
それと同時に進化が始まる
カースジャンカーを呼び寄せ、意識を手放した。
これで二度目の進化、
一回目は1つしか選択肢がなかったが、今回は複数の選択肢が見える
ホブになり、純粋に強くなる道、
呪術師としての力を呪物作成に特化させる道、
新種を誕生させたからか、カースジャンカーの上位種だと思われるゴブリンじゃなくなる道、
まず、ゴブリンじゃなくなる道、これは論外
どれだけ強くなれるかもわからないのに、羅刹に有利な同族であるというのを自ら捨てるなんて馬鹿だ
次に呪物作成に特化させる道、
これにすればカズクラがなくてもここにある人間の死体でかなり強力な呪物、
それこそ羅刹と互角になれるレベルのものが出来るかも知れない
しかし、負けたらほぼ間違いなくその呪物は没収されてあいつの力になる
それは癪だ
なら選択肢は1つしか無い
我は目を覚ました
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side 羅刹
『導馬が進化したか...』
千の屍の上で急激に増した導馬の気配を感じる
魔物との戦いの中、練気のレベルが上がり、氣を使うのがかなり楽になった
おそらく鬼というのにであった頃のマスターと同じぐらいの速度で循環させることが出来ているはずだ
一般人?にアスリート級の身体能力を与えることができるレベル、
ホブゴブリンになった時点でアスリート級の身体能力は持っている
そこに加算されるのだから、超人的な身体能力になる
ただ、残念なことに進化は出来なかった
戦い始めは俺とそこそこ戦えるものも居たんだが、レベルが上っていって
あまりレベル差がなくなってしまった。
氣が使えれば本来格上の存在とも戦えたからかなりの経験値が手に入ったと思うのだが...
あと1分で結界が解ける
戦いながら移動していたのでかなり離れてしまった、
全力で走ればちょうど解けた瞬間に到着できるだろうが、氣が減った状態で導馬と戦うのは無理だ
力に酔ってマスターに喧嘩を売るような馬鹿はしないだろうし、ゆっくり行かせてもらおうか。
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ゲーム終了間近、導馬が進化した
残る人間は屋上にいる24人のみ、
羅刹のやつはまだ戻って来ないのか...
ッ!
最後に参加する予定だった5体のゴブリンを抱えて飛び退く
遅れて結界が破れ、さっきまで俺の居たところが腐り始めた
『どういうつもりだ?まさか力の差もわからず俺に勝てるなどと思い上がってはいないよな?』
校舎からでてきた導馬にゴブリンどもはすっかり怯えている
(こっちを見ながら震えている気もするがきっと気の所為だ)
『まさか、そこまで我は愚かではありませんよ。当たっていてもマスターならば無傷でしょう?
我はそこにいる雑魚どもを進化させてやろうとしたまで...何か問題が?』
『問題大有りだ。ようやく氣を操れるレベルの者が出来たんだ、後続に教える係として使えるだろうにお前の手駒になんてもったいない!』
練気の熟練度を上げるのには氣を操れる者が手伝った方が効率がいい、
それはコイツラにやってみて実感した。
これから増殖速度が上がるであろうゴブリンどもに毎回俺が手伝ってやるのは面倒だし、
しかも完成した奴らをその都度木偶の坊にされてしまっては意味がない
『そうですか、ではその5体はいいです。代わりに今、中毒者どもと相手している12体はもらってもよろしいですか?教官は5体もいれば十分でしょう。あの12体は我が氣を使えるようになるための呪物になってもらいますから...』
『それは構わんが...羅刹が怒るぞ。』
怒らないわけがない、氣を使える時点で有能な配下だ、それが12体も失われたら...
『もとより、喧嘩をふっかけるきでしたから、変わりませんよ』
自分の命が危ないことを理解した12体はこの隙に逃げるのではなく、
羅刹の危険を排除することに決めたみたいだ
ホブゴブリンに進化したとしても体の強度はそこまで上がらない、
氣を使うものが12体もいれば流石に氣を使わない羅刹よりは強い
進化したてならなおさらだろう
しかし、導馬には余裕があった
そしてそれは過信ではなかった
迫ってくるゴブリンに手をかざすと、先ほど俺に向けてはなった攻撃、
当たったものを腐らせる攻撃を放ち、先頭にいた者は、あっという間に骸骨になってしまった
驚いたゴブリン達はいったん距離を取ろうと飛び退き、導馬に距離を詰められて真っ二つに斬られてしまう
近距離と中距離の攻撃が共に致命的な威力を持っているため数の暴力が上手く決まらなかったのだ
もう本来のゲーム終了時間から2分も経っている
急いでくれば間に合うだろうに羅刹のやつはなにをやっているのだか...
あいつの氣はわかりやすいから場所の探知は簡単だ
だからこそなぜ、最短距離を突っ切るのではなく、左右に振れて感じるのか
この調子だとこちらに着くまでプラス3分はかかるぞ...
前の話で、格下ばかり倒したら逆に弱くなると書きましたが、あれは人間(同族)しか倒していない太郎君がかってに思っただけなので、実際は違います。異種族を倒したならば成長度合いが大きくならないだけで、普通に強くなれます。なので導馬が自分より圧倒的弱者の人間を狩りまくっても進化できるんです。




