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14話 羅刹

俺が目を覚ましたとき、周りには緑色の小さな魔物、ゴブリンが居て、

俺もゴブリンだった。


近くには集落があって、そこは人間が同族を支配している村だった。


近くには同族だけの村もあるらしいが、なぜかこの村にいる同族はそいつらを裏切り者だといっていた。


近くの同族に話を聞くと、俺達はマスターと言う存在によって生み出され、

村を支配している人間はマスターのために軍隊を作ろうとして、いくつかの同族に名を与えたらしい...。


そこではじめて俺は他のみんなに名が無いことを知った。

俺には生まれたときから〝羅刹〟、という名を持っていたというのに。


名を得たものはそうでないものに比べ、成長速度が早くなるらしく、名を得た同胞たちは強くなって人間を、マスターを裏切ったらしい。


そして、この村が人間に支配されている理由は、人間に守られているからだそうだ。


なんでも村の外には、〝カズクラ〟と呼ばれる怪物が存在していて、同族を見ると殺しかかってくる名を得た同族よりも強くて恐ろしいそうだ。


人間がそばにいれば〝カズクラ〟はあまり襲ってこない。

だから人間...スバルはこの村の長をしているのだと。


スバルがそんなに強いと言うならそれはとても素晴らしいことだと思った。


なぜなら、強者の保護下にいれば種は繁栄し、栄えることができるから...。


しかし、スバルが狩りに行くのに新入り、つまり自分たちもついて行ったところ、

気づいたんだ...。


同族の弱さを、自分の強さを、そして、スバルが自分と大して変わらない実力しか無いということを...

スバルといるときにカズクラに襲われないのはカズクラも人間だからだと...。


俺は激怒した。

同族を騙し、支配してきたという事実に、

簡単に騙された自分自身に!


俺は自分の使命を理解した。

種の繁栄それが自分の使命...


それから、スバルを倒し、カズクラを倒した導馬を下して配下にし、圧倒的強者であるマスターに忠誠を誓った。


マスターは見た目こそ人間だったが、あれは絶対に人間ではない。


本人に種族を尋ねても人間とおっしゃっていた...

きっと秘密にしたいのだろうからそれ以上聞くことはなかったが、

ときたまに出る異形の気、


邪悪とも神聖とも取れる禍々しい気、

普段の洗練された美しい氣とは違う...十色に揺らめくあの氣に当てられると気分が高ぶって無性に暴れたくなる。


マスターの氣の上達速度が凄まじいお陰で、知能が低い同族もマスターの氣を感じれるようになったやつがいくつかいる。(もちろん自分は最初から感じられた)


きっとマスターは邪神か、それに連なる存在に違いない。


今日は人間どもの集落を襲撃する日...

マスターに恩賞を願い出て、少し複雑な顔をされたが了承してもらえた。

願いを不敬で罰せられることも覚悟したが、意外とあっさりとしたものだった。



マスターのお力で毎日同族は増えているが、それだけではだめだ。


より優れたものの力を次世代に継承しなくては数が増えるばかりで発展できない...。

繁殖し、力を増し、マスターのお力になる。


そのために今回の侵攻、早急に戦果を立てて、褒美を手に入れなくては!


ただ、懸念点があるとしたら...、それは導馬だろう。

導馬は俺に負けて配下に加わったことに不満を持っているようで、

恨みつらみをぐちぐちと言ってくる。


カズクラを倒した際に作っていた〝呪物製造器〟

〝肉〟がうごめいていて気持ち悪かったが、その能力は素晴らしかった。


死体を製造器に呑み込ませると、導馬の呪術を上手く「誘導」させていた。


そしてこの〝酒の入った瓢箪〟こいつは、マスターが導馬に作らせて、俺にくださったもの...


瓢箪とスバルの死体、それを製造機に入れて作られた。


この酒をのんで酩酊状態のとき、「酒気」を使えるようになる呪物...。


その力は強力だった。

だからこそ、恐ろしいんだ...導馬は死体さえあればいくらでも呪物を作れる。

それは俺にその矛先が向かう可能性が高い...

マスターは俺がスバルを倒しても罰を与えなかったように、俺が導馬に敗れて呪物になっても気にしないだろう。


隣でしかめっ面をしながら進軍している導馬...

できるだけ強い同族を殺したくない。


俺に殺させるなよ?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

我が名は〝導馬〟、馬鹿な人間から名前を、馬鹿な同族から力を奪った賢き小人だ。


策を弄し、罠にはめ、ようやくゴブリンの王になれるといったところで奴が邪魔しやがった。

羅刹だ、羅刹の野郎は生まれたばかりだというのに我の計画を全て壊し、

王になったいけ好かないやつだ。


何がユニークモンスターだ!

ふざけるな、

その立場は我のもの、その力は我のものだ!


愚かな同族達も同族たちだ...

ぽっと出に簡単に従いやがって。


せっかくの最高傑作、〝飲めや唄えや宴の華(茨木の盃)〟を奪いやがって...

意趣返しとして、瓢箪の真名を教えず、本当の能力を上手く使えないようにしてやった。


それに呪いもかけてある...盗み聞きした、あいつの欲しいもの、

壊してやる、奪ってやる、我の恨みを味わうが良い...。



とはいっても、それで殺されてやるのは面白くない。


どう頑張っても、今の我に羅刹を殺せるほどの力はない...

嫌がらせをして、その報復に来られても逃げ切れる程度の力は付けなければな。


我とともに人間を裏切った同胞の死体、毎日補充される大量の雑魚、

本来、今の我の実力では呪物にすらできないレベルの粗末な素材、

それがカズクラを使えば良質な呪具になり、我を助けてくれる。


マスターは我の足掻くさまを楽しんでいるらしいが都合がいい...。


「怪力」を持っていたやつを他の雑魚と合わせて作った〝非力なる者の怨嗟〟グローブ。

「暗視」と「遠視」を持っていたやつと目をくり抜いて絶望に落とした雑魚を合わせて、

〝盲目の呪眼〟イヤリング。


他にもいくつかの呪具を作成し、微調整をしていく。

此度の侵攻では逃走経路を考えながら行動しなければ、逃げられない。


離脱しようとしたらマスターも我を経験値にしようとしてくる。

が、準備は万端、だれも我を殺せない。

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