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13話 侵攻

占術で何処から攻めるのがDPを多く集められるのかを占い、

それを基に計画を立てる。


他のダンジョンが侵攻を始めたら十中八九、それにつられて殆どのダンジョンが魔物を外に出すだろう。

それを倒した人間か、他のダンジョンのマスターと戦うための準備だと思って早く終わらせよう。



『羅刹!ゴブリンの軍隊を率いて外の人間どもを殺しまくれ!』


『主様、ある程度の人間を殺すことに成功することが出来たら彼らに自由に行動する権利を下さい。』


『はぁッ?...あ゙ぁ〜〜...女か?邪魔にならないなら連れ帰ってもいいぞ。実験にもなるしな。ただし!

確実に100人以上は殺せよ?350体はゴブリンいるんだからそんぐらいは働いてもらわないと困る。』



羅刹はホブゴブリンだし、ユニークモンスターだしで、知能が高い。

だから褒美がないと他の奴らが従わないと思ったんだろう。


決して羅刹自身の欲望に忠実でこんなくだらない願いを申し出たとは思いたくない...。



ダンジョンの防衛はコボルトとスライム、ミニスライム合計1680匹が、

新しく召喚したコアスライムに合体して擬似的にスライムの3段階上の魔物、「メガスライム」

がコアルーム前で陣取っている。



これならもし、あの〝鬼〟がこのダンジョンを攻めてきたとしても守りきれるだろう。


これで安心して俺も前に出られるな!そうコアに言ったらブチギレられた...。

あいつ普段私は冷静沈着で感情なんて殆どありませんって感じで話すくせに怒るときと馬鹿にするときは

結構人間っぽい仕草をする。


声が女性的な機械音声だから、ゴブリンたちに声だけ届けると偶にドコとは言わないが、立つやつがいる。

コアが声を出す時というのは俺が命じたときなわけで、

ゴブリンたちの様子は俺も見ているわけだ...


発散できる場所を作れたらそういうことが減る...かなぁ...



そんなくだらないことを考えながら、出陣の準備が完了した。


ゴブリンの士気は上々、

いつの間にかゴブリンシャーマンの導馬に改造されていたカースジャンカーゴブリンという新種、

(もとのゴブリンより攻撃力は上がったが脆く、そのゴブリンが倒した経験値は導馬に流れるようになっている)が先陣をきる。


羅刹は導馬は不利になったらすぐ裏切ることを理解しているようで、

最後尾に居たがる導馬のやつを自分の隣に置いている。



近くのダンジョン、(半径5km以内には他ダンジョンはない)

から魔物がでてくる前に目的地へ向かう。



目的地は...

『北だ!北に進軍せよ!目に写った人間は老若男女関係なく殺せ、世界に我らを知らしめるときだ!』


『『『『『『『『『gyagyaaaaaaaッッッッッッッッッッッッ!』』』』』』』』』


全てのゴブリンが雄叫びお上げながら市街地を進む

時代の変わる音があるとしたらそれはきっと、これから始まる大虐殺の悲鳴と雄叫びと恐慌と混乱と地響きや建物の壊れる音...


これから、外で元気に遊んでいる子供は踏み潰され、買い物に出かけようとした主婦は弄ばれて死に、

逃げ惑う人に押しつぶされる人、捕まえられて空から落とされ地面のシミになる人、

喰われ、溶かされ、四肢を失い苦痛の中でその鼓動を止める人、建物が崩壊して巻き込まれる人、

恋人を目の前で失う人、混乱時に人に襲われ死ぬ人、自分が助かるために他の人を犠牲にする人、

犠牲にされる人、ステータスを得て調子に乗って自滅する人、


人、人、人、人人人人人人人人人人人人人人人人人人...

多くの人が死ぬだろう。


そして、俺はその引き金を引く。

他のダンジョンも人間を襲いに行くことを前提に行動しているが、

もしかしたらそんなこと起こらないかも知れない。


もしかしたら魔物はダンジョンの中でだけで暮らし、外に興味を示さず、

人々は徐々に世界に適応して大した被害も出ないかも知れない。


俺のせいで人、同族が死ぬ。

俺のせいで俺の家族かも知れない人が死ぬ。


記憶をなくしているんだ、もっと慎重に行動したほうが良かったかも知れない。

ダンジョンに来た7人を誰も殺すべきではなかったかも知れない。



しかし、俺はこれからどうなろうと過去の選択を後悔するつもりはない。

今、やりたいこと、思いついたこと、全てが未来の俺を形成する。


俺が俺の意思でこれから人々を死に追いやる。

大きなことを起こそうとした途端にこんなことを考えるなんて、

俺はちゃんと人間だったらしい。



悲鳴が聞こえてきた。

ゴブリンたちを町の人々が見つけたみたいだ。


ストレッチを終え、氣を循環させる。

レベル6になった「練気」スキルが高速で氣を全身に巡らせ、それと同時に全能感が俺を満たす。


初めて洞窟で氣を操作した時「練気」のレベルは1、それでもアスリート並み、

元の身体能力から大きく能力が底上げされていた。


氣による身体能力の強化は氣を巡らす速度に比例する。


1歩前へ踏み出す。

全力での踏み込みでもなく、ただ地面を蹴り、前に走り出しただけ、

それだけのことであのころと同等の速度...


また一歩と地面を蹴り加速していく。


先行していたゴブリンたちを追い抜き、飛び越え、屋根伝いに進む。


今の俺の速度は時速100kmを超えている。

これでも氣を全力で動かしているわけではない。

ある程度無意識で使えるレベル、5割程度の力、これで興奮しないわけがない。

最高の気分だ!


氣を知り、戦い、レベルが上がり、修行した...。

まだ半月も経っていない。

それでこれだ、高揚する気分とは別に脳は冷静に考える。

俺は才能があるかもしれない、だが、コアが言っていたが、天才と呼べるほどでは無いらしい。



ふざけている、過去、東洋では仙人と呼ばれる修行者たちが居たらしく、世界のシステムとつながっているコアが一部情報を抜き出したところ、俺のレベルに到達するのに、100年に1人の天才ならば5日、

それで到達でき、1000年に1人の天才ならば1日でたどり着くという。



「酒気」...昴が持っていたユニークスキル、俺があのスキルを褒めたのは本心からだ。

氣にまつわるユニークスキルを持っている時点で100年に1人レベルの天才、

その可能性が高かった。


あいつは俺のために、軍を作ろうとしていたが、無駄に終わった。

あんなことに意味はなかった、ただ一体、ユニークモンスターが生まれる、

それだけでアイツラはまとまり、俺に服従を誓った。


自己中にやるべきだった...和倉のようにレベリングして、「酒気」を籠絡するために使うのではなく、

攻撃のためにつかい、氣を覚えるべきだった。


そうれば少なくとも生まれたばかりの羅刹よりは強くなれただろうし、

将来俺の右腕になっていたかも知れない...


「酒気」についてはいいだろう...予想外のことも起きたし...。


まあ、話を戻すと...氣のスキルはいろいろなスキルの内の一つ、

魔法も、魔術も、剣術も、世界が変わったことでこの平和な世界では日の目を浴びなかった天才たちが次々と現れるだろう。



これも人間を多く狩ろうとしている理由の一つだ。


学校が見えてきた。

あれば、小学校だ...。 ニュースにでもなっているのかな?

周りの家から避難してきている人が大勢いる。


普通に魔物が襲ってくるので逃げてくださいと言っても信じる人は少ないだろうから...

テロが起こっているとか...そんな感じだろう。


火事場泥棒をしているバカどもは後からくる羅刹たちが処理してくれるだろうし、

せっかく一箇所に集まってくれているのに姿が視認されて逃げられたら困る。


スキル「魔術」に進化して使えるようになった結界魔術、

術の準備に要となるものを置かないといけないくせに、レベルが4とかあれば簡単に壊せる弱い魔術、

でも今は最高の効果を発揮してくれる。


要は結界内にあるあからさまな仏像!...ではなく、羅刹が来るであろう方向の結界の外に落ちている板!

要を結界の外に置くことで、内側から弱くなる代わりに外からの力に強くした。


板はゴブリンが乗れば簡単に割れ、結界が解ける。

そして結界の内側からは、レベル2あれば思い切りパンチしたら割れるだろう。


つまり、外敵(他のダンジョンからの魔物)から守れて、逃げ出されるのも防げる...。

鳥かごの完成だ!

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