第八十七話「出現せし龍」
――地上――
(胸騒ぎがする……)
そんな予感を心に秘めた男、『タータス』は、リオネとミラをつれ、朝の散歩に出かけていた。
ルーシェや、ミネ達は家で留守番中であった。
「………」
そんな子供達のお父さんである、タータスは。ある予感に包まれていた。
(これは予感か……。なにかいつもとは違う出来事が起こる、そのような気がするが………気のせいだろうか)
このようなことはなかったはずだが、なぜ突然。
もしや、なにか、不吉な事が関係しているのだろうか。不吉な事が起こる前触れか……?
腕を組み、遠くを見つめるタータス。
「? ねーボスー?」
それを不審に思ったか、子供であるミラが問いかけた。
(おっと。子供にこの姿を見せるのはまずいな……)
心配させないように、しなければ。あと、またボスか。
「ボスと呼ぶな。父と呼んでくれ」
「いや! これ気に入ってるもん!」
やはり、無理か。
獣人の習性上、強いものに惹かれ、主、ボスと認める事がある。
ボスと呼ぶのは結構だ。しかし、一目の中でボスと呼ばれるのは、周りが気になってしまう。
借りにも、ミラと自分は離れている。歳も体格も。身分も……。
だか、一度は父とよんでほしい。
「やっぱり獣人だねー。わたしやお父さんとは根本的に考えがちがう」
リオネが横から口を挟む。
「うるさい! 口を挟むニャ!」
「だってほんとだし」
「ほんとでも、言うニャ!」
「だったら自重しなよ」
「ニャに!?」
「はぁ?」
リオネとミラの言い争いが始まった。二人は喧嘩する。
昔はそうでは無かったが。何年も見ないうちにこうなってしまった。
だか、成長が感じられる、良いことだ。喧嘩するほど、仲まじいのだ。
「こら。そこまで」
ここは止めに入ろう。
「むーっ……!!」
「ん……!」
まだ、睨み合っている。エルフと獣人、相性が悪いのだろう。
なんとか、止める事は出来た。さて……散歩の続きと行こう………む?
タータスは渓谷の方になにか、変な煙が漂っていることに気づいた。
煙は濃い灰色。だが、どこか紅蓮のような赤い炎の色をした煙。
それに黒い要素も混じっている。
なんだ、あれは……。
「お父さん、あれ」
リオネが服を引っ張りながら、タータスに聞いてくる。
「あの煙。なに?」
「煙か。わからんな……先程まで出ては居なかったが……」
なぜ突然あのような煙が、それもあんな大きな。
ただの火事で起こった煙ではない。考えるとすれば、渓谷が崩れた時にしか、あの大きさは………。
その時。
「?」
タータスは地面が少し、揺れていることに気づいた。
これは……地震、いや。まて、大きい、大きいぞ……っ!?
その地震は数秒も経たないうちに大きく変化し、大地震が巻き起こった。
「ニャ!?」
「え、な、なっ、なに!?」
「ミラ、リオネ、離れるな!」
タータスはミラとリオネを自分の胸の中へと引き寄せ、地面に座り体勢が崩れないよう耐える。
(大きな地震だ。この大きさの地震……前の大地震を思い出す)
いや、今は思い出している場合ではない、耐えるんだ!
揺れは収まらない。
次々と荒れ狂う海の波のように、地面を渡っていく。
この大きさの地震は稀に見ないものだ。
しばらくして、地震が徐々に収まっていき、立てるようにはなってきた。
(そろそろ、大丈夫か)
タータスは、二人を抱えながら、ゆっくりと立ち上がり、周りを見る。
周りは地震の影響が知れ渡っていた。
自身により、建物は何軒か倒壊し、瓦礫まみれとなっている。
地面には地震による亀裂がいくつも走り、傷だらけの地面となっている。
そして、煙の量が、明らかに増えているのだ。
「!」
それだけではない。
渓谷、煙が、大きく湧き出ているその場所。そこには大きく、異質な形状をした黒い、物体があった。
全体的に見れば、鱗にも見える。
あれは、間違いなく人工物ではないものだ、自然の生物。
(……暴れるか)
タータスの心の言葉。
それともに、異質な形状をした黒い物体が、ズルズルと海に落ちていき、そのまま海に消えた。
ただ、海に落ちる時、尻尾のようなものが見えた。
‐--
――天の櫓――
渓谷の最上層に建てられている、見張り用の櫓。
そこで、見張り、全体方向として任を任されていた、ドワーフ『ハグワンド』
彼は大地震ともに、目を覚ました。
「むっ!?」
うむ。寝ていたか。
じゃが、この大きな地震、久しぶりじゃ、この日になってくるとは。
煙も覆い尽くすほどの勢い。下の瓦礫もとてつもない量。大事じゃのぉ。
む……あの黒いもの………やはり、ニヴェリー殿の予想は正しかったか。
ハグワンド、柵にもたれ掛かり、海に落ちた黒いものを見つめる。
「赤く染まっているのぉ……」
落ちた場所。そこは、なぜか。赤く濃く、黒く染まっており、それは徐々に広がっていっている。
「規模が大きいの。これは……報告じゃなぁ!」
ハグワンドは急いで、自分のハンマーを取りに行き、背中に背負う。
そして、上へと続いている梯子を登っていく。ここは高いので落ちる危険性があるが、急がないとまずい。
一つずつ登っていき、ある台へとたどり着く。
その台には一目大きく目立った、黄金の鐘が置いてあった。
「さて、出番じゃなぁ」
背中にしょったハンマーを取り出す、そして鐘に向かった構える。
ハクワンドのハンマーは彼をイメージし大きく頑丈な鋼で出来ている。
このハンマーで鐘を叩く。
「鳴り上げようぞ……それぇぃ!!!」
勢いよく両手でハンマーを振り上げ、鐘に向かって叩きあげる。
鋼と鐘が当たり合う。
それにより、この土の国全体に唸りのような轟音が知れ渡った。
やまびことなり、国中へと広がる。
この行動。
これには意味があった、それは。
『避難警告』
土の国にとって、この鐘の音は避難計画である。
なにか重大なことがあった時、素早く分かるように知らせるため、作られた鐘である。
しかし、ここが弱点。
土の国に住んでいる人にしか、この鐘の音を聞かない。
ということなので、土の国へと来日した人々は耳にしない鐘の音に困惑することだ。
「あれ? なんの音だ」
「さぁ」
「! この音!」
「えっ? なに?」
「まずいな、急ごう」
「さっきの地震と関係が!」
「あと十分だけ」
国にいる人々が、一斉に反応した。
家の中、仕事場、外へ出ていた人、全員が鐘の音に反応し。
対応が別れた。
その時、またもや、大きな音が響いた。しかし、今度は地震ではない。
音の方向は下、崩れたわけではない、となると、海ということになる。
「むむ……下に向かうかの」
鐘のおいてある台から飛び降り、急な坂をハンマーを使って滑り降りていく。
急高速も何のその、ハンマーに乗っかり、バランスを保ったま下へと飛び出していった。
そして、下まで滑り落ち、綺麗に地面へと着地した。
(ふぅ、決まったな。さてと、各地に伝えるとするか避難警告を)
ここはいったい、作戦区域に入るからの、住民の避難が優先。人は誰も死なせんぞ。
「よいしょっと」
もう一度、背中にハンマーを背負い、次なる任へと走り出した。
---
――地下――
「っ!」
アランは、地下で戦闘を繰り広げていた。
アランの戦闘スタイルは短剣による、一撃必殺の勝負術。
そのためには、一撃できてるための、隙と間が必要だ。
そのため、アランは、グラトニータの棍棒による、重い重撃を避けながら、隙を見つけないといけない。
「! 危ねぇ!」
グラトニータによる、棍棒の横薙ぎをジャンプで避けきった。
しかし、攻撃は止まない。
「! っ……つぅ!」
今度は棍棒による突撃、もろではないが、自分の持っていた短剣に直撃し、ふっとばされた。
しかし、アランは冒険者。上手く受け身を取り、地面に留まった。
(まじか……。隙がない)
普通、このような重い武器を使うと、攻撃の隙が、出来る。
しかし、この少女には、その様な隙がない、棍棒を使ってるのに対してだ。
どんな訓練積んだら、ここまでになる!
闇神の部下はそんなに強いのか!?
アランは、短剣を持ち構え、少女に向けて構える。
対するグラトニータ。
彼女は内心、つまらなさと怒りが混ざっていた。
(いつになったら、攻撃するんだ……)
アランは、今の所、防戦一方を繰り返している。
これには理由があるのだが、理由を知らないグラトニータに取っては、防戦一方にしか見えない。
攻撃せず、避けているようにしか見えないのだ。
(!)
アランの手は後ろの壁に触れていた。
(まずい、壁際、逃げ場がない……)
絶体絶命か。
ここで終わるわけには行かない。
(やっと追い詰めた。これで終わり)
グラトニータは棍棒を構え、いつでも攻撃できる体勢をとる。
「終わりだ、冒険者」
「まだ、終わってない」
「どこが」
グラトニータは、アランの言葉を鼻で笑う。しかし、顔は笑ってはいない。
(早く終わらせよう)
グラトニータは思った。
その時、頭に声が響いた。
『グラトニータ。なにをしている』
(! 主様)
その声は主である、ネルブレム。闇の力で遠距離から情報を交換できるのである。
これぞ、闇の技術、闇の叡智。
『グラトニータ。敵を始末したか、早く終わらせてこちらにこい』
「はぁ……今倒すところだよ―」
ネルブレムはお怒りだ。機嫌を取らなければ、と。棍棒を強く握りしめ、アランを殺そうと、走りかかった。
(っ……)
アランは負けじと短剣を構える。
だか、内心もう終わりだと思った、だが最後までやらなければだめだ。
グラトニータとアランが、交差し直撃する。
しかしその時。
「だ、っ、ダメ!」
「!?」
「! 君……」
二人の交わりを止めたのは……セイランだった。
「はぁはぁ……間に合った」
(危なかったぁ……)
心のなかで、セイランは安居した。
(なぜ、君が……)
アランは大いに驚いた。彼女が俺と少女を止めた。攻撃を止めた。
なんで、止めたんだ……死ぬぞ!
(アイツ……また邪魔して……!)
グラトニータも、また邪魔されたことによる怒りに包まれていた。
『グラトニータ、まだか!』
するとまたもや、頭の中に声が響く。随分とお怒りのようだ。
このままでは、私に対する信頼、評価が落ちてしまう、それだけは避けたい。
「おまえは邪魔だ。どけろ」
「いや」
「なんで?」
「なんでも……」
小声で舌打ちする音が聞こえた。
「なら、先におまえを殺すまで」
グラトニータは、セイランに向け、殺すと宣言した。
しかし、それにもセイランは動じず、グラトニータの前に立っている。
肝が据わっている。普通のしょうじょぞゃ、ここまでは行かない。
(いやちがう。まずい……早くしないと、俺のせいで彼女が……!)
「おい、俺を庇うな! 死ぬぞ!」
セイランに向かって、強く訴えかける、だが。
「大丈夫だから!」
「はぁ!?」
返ってきたのは、大丈夫といえ、安心の言葉。意味がわからない。
セイランは後ろを向き、アランと顔を見合わせる。
そして、見た、彼女の目を。
彼女の目はなんというか、強かった。何にも負けない。
そんな目をしていた。
「どくきになった?」
「なってない!」
「あっそ……じゃあ、終わり!」
グラトニータが棍棒を持ち、セイランに飛びかかる。
本当に殺す気だ、ダメだ。彼女じゃ無理だ、俺が食い止めなければ。
セイランは、グラトニータに向い集中し、呼吸をする。
しかし、その呼吸は、氷のようなものが漂っていた。
それは、目に見えて分かった。辺りに冷たい氷が増していく。
(なんだ、これ………氷か?)
その変化には、アラン。そして、グラトニータも気づいていた。
(……これは、アイツ、いや………あの女から……? いや、関係ない。邪魔なものは排除する!)
グラトニータの棍棒が、セイラン目掛けて振り降ろされる。
鉄の硬さを誇る、金棒。
当たれば、一撃で粉砕される。
セイランの周りには冷たい冷気に満ちている。
それは氷、この地下を全てこおり尽くすよう冷度が拡散。
今、辺は氷に包まれる。
「!? っぁ……!?」
グラトニータは、突然自身の体を氷漬けにされ、動く事も、驚く言葉もままならず、全身を氷漬けにされた。
アランを抜いて。
「え……」
唖然とし言葉を漏らすアラン。
当然だろう、セイラン目掛け棍棒が振り降ろされるかと思った次の瞬間。
あたりが一瞬にして、氷に包まれたからだ。
それも、その氷をだしたのは、ここからみてもセイランだけだろう。
セイランの方を見てみる、静かにゆっくりと吐息を吐いている。
グラトニータはら抵抗の行動を見せているが、無意味だろう。全く動けれていないからだ。
(それよりも……)
アランは、凍りついた床を手で撫でるように触る。
(ここまでの強度、そして氷の威力。これは、彼女ごやったというのか?)
ありえない、信じれない。
確かに、彼女は強い魔力を持って入る。たご、ここまでいくか?
ここまで凍りつくせるほどの威力。彼女は、本当にロベルトの探している人なのか……?
「あ、あの」
「!」
床を見ていると、前から声がした。
視線を移すと、そこには彼女がいた。
「あ」
「あの、大丈夫?」
俺の事を心配しているようだ。
「あ、あぁ。大丈夫」
俺は立ち上がり、彼女と向き合う。
(そんなに身長が変わらない)
ここで危機感が流れ込む。
俺も身長が高くなりたい。アイツと向き合ったときにも思った。
まぁ、今は慌てなくていいだろう。
俺は15だ。まだ伸びるはず。
さて、この少女。どこからどう見ても、普通の一般人にしか見えない。
名だたる魔法使いにも見えない。
それが……。
彼女の後ろには、広範囲に広がって氷。後ろは氷だらけだ。
本当に彼女が、やったのか……。
……まぁ、いい。ひとまずは、彼女と話すとしよう。
「よかった、無事で」
「助かった、すまない。……そして、君がセイラン、で、合ってるか?」
「うん、そうだよ」
嘘偽りのない目をしている。
これは事実だろう。
「そうか。さて、君を助けにここに来たが………」
「? あっ……」
俺が後ろの凍りつくされた光景を見ていると、彼女も気づいたようだ。
「あ、えっとこれは、ね」
「凄い威力だ。この威力を出せるのは、上、いやもっと……」
「あ、違うから!」
「違う?」
次第に慌てだした。彼女は違うと言うが、俺からすれば必死に誤魔化しているようにしか見えない。
(何がちがうというんだ……)
「これは、私じゃないから!」
「?」
「私の中の、変な力ーというか。私だけど、私の力じゃなくてー!」
「………」
言っている意味は分からない。必死さは伝わってくる。
それの、なぜ彼女はこの氷をごまかそうと必死なんだ、自分の力ではない?
ありえないはずだ。
彼女はまだ誤魔化しを続いている、時間の無駄だ。
「分かった分かった。ともかく、早く君を連れて帰らなきゃけない」
「あ、そう。連れて帰る……?」
「あぁ、とりあえず……地上」
ん、待て。
まだだ、まだ地上はだめだ。今思い出したが、まだロベルト、バーンの二人と合流していない。
ここは、一旦合流が先だ。そこから状況を見て、先の考えを……。
と、その時。
「!?」
また、地震が起こった。
それも、大きい地震だ、今までの比ではないほどの大きさ。なんだ!
(立っていられない……!)
体勢を崩し、座り込む。彼女もまた立ってはいられない。
地が地震を刻む。
いきなりなぜこんな大きさの……まさか。地上で何か……!
数秒経って、地震が弱まり、立てられた。立ったらやる事は一つ。
「はぉ……合流。急ぐ」
「……えっ?」
「一旦、二人と合流だ、ついてきてくれ!」
「え、あ、うん!」
急がなければ。
急いで二人と合流し、地上へと戻らねば……!
アランは走る。脇目も振らず走り、ローバンの元へと戻る。
暗い回廊を走り抜き、あたりが開けた場所へと戻ってきた。
そして、目の中に。ある光景が入ってきた。
辺は血だらけ、瓦礫だらけ、剣で斬りつけられた跡もある。
そして、目の前には二人の人と思える者が無残に倒れていた。
血を被って。
「……っ」
あまりの光景に絶句した。
倒れている二人。
一人は大きな鎧を被っている。至るところに損傷と切り跡が見える。
そして、血だらけ。多分もう死んでいるだろう。
そして……あと一人は………。
「バーンさん………」
バーン。ロベルトと一緒にこの館へと来たもう一人の助っ人。
その人が、無残に倒れている。
「はっはっはぁ……ふぅ、やっと追いついた………」
と、そこへセイランが、後ろへと追いついたようだ
それと同時に、この光景を見て、絶句した。
それだけではない。セイランの目は、バーンさんの元へと向いていた。
「え」
彼女から言葉が漏れた。
バーン、さん。
セイランが近寄る。微かな声を出して。
「あ、あぁ」
「………」
「え、あ、ローバンさん?」
「…………ん?」
彼女はローバンといった、ローバンと。ローバンといえば、世界で指名手配中の極悪人。
それを彼女が、バーン。あの人に向かってそういった。
(意味がわからない)
彼女は少しづつ近づいていく。彼女の向かう先は、倒れは、ピクリと動かないバーンさん。無意味だ。
あの人は死んでしまった。
状況的に相打ちだろう。
セイランはゆっくりと足を進める。そして突然吹っ切れたか走り出し、バーンの下へと猛ダッシュ。
「……!」
止めようと思った。
だが、できなかった。
走りローバンの下へと急ぐ。そして、セイランとローバンの距離がわずか二メートルへとなった時。
「あ゙ぁ゙っ!」
「!?」
鈍い唸り声をあげ、ローバンが起き上がった。
ローバンが起き上がったのだ。
突然起き上がったので、セイランの涙が一瞬で引っ込む。そして、いきなり止まったからか、前へと倒れ伏せた。
この光景にアランは、唖然とした。
「あ゙ー疲れた……っと、気を失っていたか」
ローバンはそう言って、体を捻る、その時、地面で倒れているセイランと、向こうで唖然としているアランに気がつく。
「アラン? そして、セイランか?」
「あ」
「……」
「どうしたんだ」
ローバンはそう言った。
「……こっちが言いたい」
「なぜ?」
「死んでなかった。死んだと思った」
「はっ、そう簡単に死なんさ」
そう言ってローバンはゆっくりと体を起こす。床に寝そべっている彼女を支えながら立ち上がった。
「……やはり、セイランで間違いない。おーい、聞こえてるか」
「……聞こえて、る」
「?」
ここでひとつ、疑問に思った。
「お前ら、元気ないな」
ローバンは、そんな事を口走った。
その言葉に、アランとセイランはピキッと来た。
「誰が……!」
「誰のせいだと」
息ぴったり。
「「思ってるんだァー!!!」」
二人の怒声が響いた。
---
「………登った」
ロベルト、地上へと到着。
ロベルトが地上へと上がりみた光景、それは洞穴だった。
(ここは……?)
洞穴。
薄暗いが、先には少しだけ光が見える、出口だろう。
こんな所と繋がっていたのか………いや、ここどこだ。
辺は人気もない、まぁそれもそうだろう。ここはなにもない、変哲もないただの洞穴。
人もよらないのは当たり前だ。
「とにかく。洞穴から抜けないと……」
人のいる場所へと向かわないと、外の様子が気になる。
あの地震に、堅陣龍ゴライアス。外はとんでもない事になってるはずだ。だから、一刻も早く。
ロベルトは脇目も振らず走り出した。
先には光。
光に向かって走る。
走るに連れ、自分を照らす光がどんどんと増えていく。そして、俺は光に包まれる。
光を抜けた先は。
見慣れた光景、渓谷。上層の渓谷ではない、中層。
柵に囲まれ、大砲などが置かれた所、いつもと変わらない場所。
ではなかった。
「あ……?」
俺の目の前。2つの渓谷が挟む、海。そこに、奴がいた。
溶岩のような体格、黒く輝いた強固な鱗。鋭い爪に強靭な腕と脚。ドラゴンのような顔に、岩のような牙。
全体は赤い。間違いない。
こいつが……。
「堅陣龍……ゴライアス」
堅陣龍ゴライアス。
海を渡り、出現した。




