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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国 堅陣龍撃退戦線
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第八十七話「出現せし龍」


――地上――



(胸騒ぎがする……)


 そんな予感を心に秘めた男、『タータス』は、リオネとミラをつれ、朝の散歩に出かけていた。


 ルーシェや、ミネ達は家で留守番中であった。



「………」


 そんな子供達のお父さんである、タータスは。ある予感に包まれていた。



(これは予感か……。なにかいつもとは違う出来事が起こる、そのような気がするが………気のせいだろうか)


 このようなことはなかったはずだが、なぜ突然。

 もしや、なにか、不吉な事が関係しているのだろうか。不吉な事が起こる前触れか……?


 腕を組み、遠くを見つめるタータス。


「? ねーボスー?」


 それを不審に思ったか、子供であるミラが問いかけた。


(おっと。子供にこの姿を見せるのはまずいな……)


 心配させないように、しなければ。あと、またボスか。


「ボスと呼ぶな。父と呼んでくれ」

「いや! これ気に入ってるもん!」


 やはり、無理か。


 獣人の習性上、強いものに惹かれ、主、ボスと認める事がある。


 ボスと呼ぶのは結構だ。しかし、一目の中でボスと呼ばれるのは、周りが気になってしまう。

 借りにも、ミラと自分は離れている。歳も体格も。身分も……。


 だか、一度は父とよんでほしい。


「やっぱり獣人だねー。わたしやお父さんとは根本的に考えがちがう」


 リオネが横から口を挟む。


「うるさい! 口を挟むニャ!」

「だってほんとだし」

「ほんとでも、言うニャ!」

「だったら自重しなよ」

「ニャに!?」

「はぁ?」


 リオネとミラの言い争いが始まった。二人は喧嘩する。


 昔はそうでは無かったが。何年も見ないうちにこうなってしまった。


 だか、成長が感じられる、良いことだ。喧嘩するほど、仲まじいのだ。


「こら。そこまで」


 ここは止めに入ろう。


「むーっ……!!」

「ん……!」


 まだ、睨み合っている。エルフと獣人、相性が悪いのだろう。


 なんとか、止める事は出来た。さて……散歩の続きと行こう………む?


 タータスは渓谷の方になにか、変な煙が漂っていることに気づいた。

 

 煙は濃い灰色。だが、どこか紅蓮のような赤い炎の色をした煙。

 それに黒い要素も混じっている。

 

 なんだ、あれは……。


「お父さん、あれ」


 リオネが服を引っ張りながら、タータスに聞いてくる。


「あの煙。なに?」

「煙か。わからんな……先程まで出ては居なかったが……」


 なぜ突然あのような煙が、それもあんな大きな。


 ただの火事で起こった煙ではない。考えるとすれば、渓谷が崩れた時にしか、あの大きさは………。


 その時。


「?」


 タータスは地面が少し、揺れていることに気づいた。


 これは……地震、いや。まて、大きい、大きいぞ……っ!?


 その地震は数秒も経たないうちに大きく変化し、大地震が巻き起こった。


「ニャ!?」

「え、な、なっ、なに!?」

「ミラ、リオネ、離れるな!」


 タータスはミラとリオネを自分の胸の中へと引き寄せ、地面に座り体勢が崩れないよう耐える。


(大きな地震だ。この大きさの地震……前の大地震を思い出す)


 いや、今は思い出している場合ではない、耐えるんだ!


 揺れは収まらない。


 次々と荒れ狂う海の波のように、地面を渡っていく。


 この大きさの地震は稀に見ないものだ。



 しばらくして、地震が徐々に収まっていき、立てるようにはなってきた。


(そろそろ、大丈夫か)


 タータスは、二人を抱えながら、ゆっくりと立ち上がり、周りを見る。


 周りは地震の影響が知れ渡っていた。


 自身により、建物は何軒か倒壊し、瓦礫まみれとなっている。

 地面には地震による亀裂がいくつも走り、傷だらけの地面となっている。

 

 そして、煙の量が、明らかに増えているのだ。


「!」


 それだけではない。


 渓谷、煙が、大きく湧き出ているその場所。そこには大きく、異質な形状をした黒い、物体があった。

 全体的に見れば、鱗にも見える。


 あれは、間違いなく人工物ではないものだ、自然の生物。


(……暴れるか)


 タータスの心の言葉。


 それともに、異質な形状をした黒い物体が、ズルズルと海に落ちていき、そのまま海に消えた。


 ただ、海に落ちる時、尻尾のようなものが見えた。




‐--




――天の櫓――



 渓谷の最上層に建てられている、見張り用の櫓。


 そこで、見張り、全体方向として任を任されていた、ドワーフ『ハグワンド』


 彼は大地震ともに、目を覚ました。


「むっ!?」


 うむ。寝ていたか。


 じゃが、この大きな地震、久しぶりじゃ、この日になってくるとは。

 煙も覆い尽くすほどの勢い。下の瓦礫もとてつもない量。大事じゃのぉ。


 む……あの黒いもの………やはり、ニヴェリー殿の予想は正しかったか。


 ハグワンド、柵にもたれ掛かり、海に落ちた黒いものを見つめる。


「赤く染まっているのぉ……」


 落ちた場所。そこは、なぜか。赤く濃く、黒く染まっており、それは徐々に広がっていっている。


「規模が大きいの。これは……報告じゃなぁ!」


 ハグワンドは急いで、自分のハンマーを取りに行き、背中に背負う。


 そして、上へと続いている梯子を登っていく。ここは高いので落ちる危険性があるが、急がないとまずい。


 一つずつ登っていき、ある台へとたどり着く。


 その台には一目大きく目立った、黄金の鐘が置いてあった。


「さて、出番じゃなぁ」


 背中にしょったハンマーを取り出す、そして鐘に向かった構える。


 ハクワンドのハンマーは彼をイメージし大きく頑丈な鋼で出来ている。


 このハンマーで鐘を叩く。


「鳴り上げようぞ……それぇぃ!!!」


 勢いよく両手でハンマーを振り上げ、鐘に向かって叩きあげる。


 鋼と鐘が当たり合う。 


 それにより、この土の国全体に唸りのような轟音が知れ渡った。


 やまびことなり、国中へと広がる。


 この行動。


 これには意味があった、それは。



『避難警告』


 土の国にとって、この鐘の音は避難計画である。

 なにか重大なことがあった時、素早く分かるように知らせるため、作られた鐘である。


 しかし、ここが弱点。

 土の国に住んでいる人にしか、この鐘の音を聞かない。


 ということなので、土の国へと来日した人々は耳にしない鐘の音に困惑することだ。


「あれ? なんの音だ」

「さぁ」

「! この音!」

「えっ? なに?」

「まずいな、急ごう」

「さっきの地震と関係が!」

「あと十分だけ」


 国にいる人々が、一斉に反応した。


 家の中、仕事場、外へ出ていた人、全員が鐘の音に反応し。


 対応が別れた。


 その時、またもや、大きな音が響いた。しかし、今度は地震ではない。


 音の方向は下、崩れたわけではない、となると、海ということになる。


「むむ……下に向かうかの」


 鐘のおいてある台から飛び降り、急な坂をハンマーを使って滑り降りていく。


 急高速も何のその、ハンマーに乗っかり、バランスを保ったま下へと飛び出していった。


 そして、下まで滑り落ち、綺麗に地面へと着地した。


(ふぅ、決まったな。さてと、各地に伝えるとするか避難警告を)


 ここはいったい、作戦区域に入るからの、住民の避難が優先。人は誰も死なせんぞ。


「よいしょっと」


 もう一度、背中にハンマーを背負い、次なる任へと走り出した。




---



――地下――


 

「っ!」


 アランは、地下で戦闘を繰り広げていた。


 アランの戦闘スタイルは短剣による、一撃必殺の勝負術。


 そのためには、一撃できてるための、隙と間が必要だ。


 そのため、アランは、グラトニータの棍棒による、重い重撃を避けながら、隙を見つけないといけない。


「! 危ねぇ!」


 グラトニータによる、棍棒の横薙ぎをジャンプで避けきった。


 しかし、攻撃は止まない。


「! っ……つぅ!」


 今度は棍棒による突撃、もろではないが、自分の持っていた短剣に直撃し、ふっとばされた。


 しかし、アランは冒険者。上手く受け身を取り、地面に留まった。


(まじか……。隙がない)


 普通、このような重い武器を使うと、攻撃の隙が、出来る。

 しかし、この少女には、その様な隙がない、棍棒を使ってるのに対してだ。


 どんな訓練積んだら、ここまでになる!


 闇神の部下はそんなに強いのか!?


 アランは、短剣を持ち構え、少女に向けて構える。


 対するグラトニータ。


 彼女は内心、つまらなさと怒りが混ざっていた。


(いつになったら、攻撃するんだ……)


 アランは、今の所、防戦一方を繰り返している。 


 これには理由があるのだが、理由を知らないグラトニータに取っては、防戦一方にしか見えない。


 攻撃せず、避けているようにしか見えないのだ。


(!)


 アランの手は後ろの壁に触れていた。


(まずい、壁際、逃げ場がない……)


 絶体絶命か。


 ここで終わるわけには行かない。



(やっと追い詰めた。これで終わり)


 グラトニータは棍棒を構え、いつでも攻撃できる体勢をとる。


「終わりだ、冒険者」

「まだ、終わってない」

「どこが」


 グラトニータは、アランの言葉を鼻で笑う。しかし、顔は笑ってはいない。


(早く終わらせよう)


 グラトニータは思った。


 その時、頭に声が響いた。

 

『グラトニータ。なにをしている』


(! 主様)


 その声は主である、ネルブレム。闇の力で遠距離から情報を交換できるのである。


 これぞ、闇の技術、闇の叡智。


『グラトニータ。敵を始末したか、早く終わらせてこちらにこい』


「はぁ……今倒すところだよ―」


 ネルブレムはお怒りだ。機嫌を取らなければ、と。棍棒を強く握りしめ、アランを殺そうと、走りかかった。


(っ……)


 アランは負けじと短剣を構える。


 だか、内心もう終わりだと思った、だが最後までやらなければだめだ。  


 グラトニータとアランが、交差し直撃する。


 しかしその時。


「だ、っ、ダメ!」


「!?」 

「! 君……」


 二人の交わりを止めたのは……セイランだった。


「はぁはぁ……間に合った」


(危なかったぁ……)


 心のなかで、セイランは安居した。


(なぜ、君が……)


 アランは大いに驚いた。彼女が俺と少女を止めた。攻撃を止めた。


 なんで、止めたんだ……死ぬぞ!



(アイツ……また邪魔して……!)


 グラトニータも、また邪魔されたことによる怒りに包まれていた。

 

『グラトニータ、まだか!』


 するとまたもや、頭の中に声が響く。随分とお怒りのようだ。 

 このままでは、私に対する信頼、評価が落ちてしまう、それだけは避けたい。


「おまえは邪魔だ。どけろ」

「いや」

「なんで?」

「なんでも……」


 小声で舌打ちする音が聞こえた。


「なら、先におまえを殺すまで」


 グラトニータは、セイランに向け、殺すと宣言した。


 しかし、それにもセイランは動じず、グラトニータの前に立っている。

 肝が据わっている。普通のしょうじょぞゃ、ここまでは行かない。


(いやちがう。まずい……早くしないと、俺のせいで彼女が……!)


「おい、俺を庇うな! 死ぬぞ!」


 セイランに向かって、強く訴えかける、だが。


「大丈夫だから!」

「はぁ!?」

  

 返ってきたのは、大丈夫といえ、安心の言葉。意味がわからない。


 セイランは後ろを向き、アランと顔を見合わせる。

 そして、見た、彼女の目を。


 彼女の目はなんというか、強かった。何にも負けない。


 そんな目をしていた。


「どくきになった?」

「なってない!」

「あっそ……じゃあ、終わり!」


 グラトニータが棍棒を持ち、セイランに飛びかかる。

 本当に殺す気だ、ダメだ。彼女じゃ無理だ、俺が食い止めなければ。


 セイランは、グラトニータに向い集中し、呼吸をする。


 しかし、その呼吸は、氷のようなものが漂っていた。

 それは、目に見えて分かった。辺りに冷たい氷が増していく。


(なんだ、これ………氷か?)


 その変化には、アラン。そして、グラトニータも気づいていた。


(……これは、アイツ、いや………あの女から……? いや、関係ない。邪魔なものは排除する!)


 グラトニータの棍棒が、セイラン目掛けて振り降ろされる。   


 鉄の硬さを誇る、金棒。


 当たれば、一撃で粉砕される。



 セイランの周りには冷たい冷気に満ちている。


 それは氷、この地下を全てこおり尽くすよう冷度が拡散。


 今、辺は氷に包まれる。


「!? っぁ……!?」


 グラトニータは、突然自身の体を氷漬けにされ、動く事も、驚く言葉もままならず、全身を氷漬けにされた。


 アランを抜いて。


「え……」


 唖然とし言葉を漏らすアラン。


 当然だろう、セイラン目掛け棍棒が振り降ろされるかと思った次の瞬間。


 あたりが一瞬にして、氷に包まれたからだ。


 それも、その氷をだしたのは、ここからみてもセイランだけだろう。


 セイランの方を見てみる、静かにゆっくりと吐息を吐いている。


 グラトニータはら抵抗の行動を見せているが、無意味だろう。全く動けれていないからだ。


(それよりも……)


 アランは、凍りついた床を手で撫でるように触る。


(ここまでの強度、そして氷の威力。これは、彼女ごやったというのか?)


 ありえない、信じれない。


 確かに、彼女は強い魔力を持って入る。たご、ここまでいくか?


 ここまで凍りつくせるほどの威力。彼女は、本当にロベルトの探している人なのか……?


「あ、あの」

「!」


 床を見ていると、前から声がした。


 視線を移すと、そこには彼女がいた。


「あ」

「あの、大丈夫?」


 俺の事を心配しているようだ。


「あ、あぁ。大丈夫」


 俺は立ち上がり、彼女と向き合う。


(そんなに身長が変わらない)


 ここで危機感が流れ込む。


 俺も身長が高くなりたい。アイツと向き合ったときにも思った。

 まぁ、今は慌てなくていいだろう。

 

 俺は15だ。まだ伸びるはず。



 さて、この少女。どこからどう見ても、普通の一般人にしか見えない。


 名だたる魔法使いにも見えない。



 それが……。


 彼女の後ろには、広範囲に広がって氷。後ろは氷だらけだ。


 本当に彼女が、やったのか……。


 ……まぁ、いい。ひとまずは、彼女と話すとしよう。


「よかった、無事で」

「助かった、すまない。……そして、君がセイラン、で、合ってるか?」

「うん、そうだよ」


 嘘偽りのない目をしている。


 これは事実だろう。


「そうか。さて、君を助けにここに来たが………」

「? あっ……」


 俺が後ろの凍りつくされた光景を見ていると、彼女も気づいたようだ。


「あ、えっとこれは、ね」

「凄い威力だ。この威力を出せるのは、上、いやもっと……」

「あ、違うから!」

「違う?」


 次第に慌てだした。彼女は違うと言うが、俺からすれば必死に誤魔化しているようにしか見えない。


(何がちがうというんだ……)


「これは、私じゃないから!」

「?」

「私の中の、変な力ーというか。私だけど、私の力じゃなくてー!」 

「………」


 言っている意味は分からない。必死さは伝わってくる。

 

 それの、なぜ彼女はこの氷をごまかそうと必死なんだ、自分の力ではない?


 ありえないはずだ。


 彼女はまだ誤魔化しを続いている、時間の無駄だ。


「分かった分かった。ともかく、早く君を連れて帰らなきゃけない」

「あ、そう。連れて帰る……?」

「あぁ、とりあえず……地上」


 ん、待て。


 まだだ、まだ地上はだめだ。今思い出したが、まだロベルト、バーンの二人と合流していない。


 ここは、一旦合流が先だ。そこから状況を見て、先の考えを……。


 と、その時。


「!?」


 また、地震が起こった。


 それも、大きい地震だ、今までの比ではないほどの大きさ。なんだ!


(立っていられない……!)


 体勢を崩し、座り込む。彼女もまた立ってはいられない。


 地が地震を刻む。


 いきなりなぜこんな大きさの……まさか。地上で何か……!


 数秒経って、地震が弱まり、立てられた。立ったらやる事は一つ。


「はぉ……合流。急ぐ」

「……えっ?」

「一旦、二人と合流だ、ついてきてくれ!」

「え、あ、うん!」


 急がなければ。


 急いで二人と合流し、地上へと戻らねば……!


 アランは走る。脇目も振らず走り、ローバンの元へと戻る。


 暗い回廊を走り抜き、あたりが開けた場所へと戻ってきた。

 そして、目の中に。ある光景が入ってきた。


 辺は血だらけ、瓦礫だらけ、剣で斬りつけられた跡もある。

 そして、目の前には二人の人と思える者が無残に倒れていた。


 血を被って。


「……っ」


 あまりの光景に絶句した。


 倒れている二人。


 一人は大きな鎧を被っている。至るところに損傷と切り跡が見える。


 そして、血だらけ。多分もう死んでいるだろう。


 そして……あと一人は………。


「バーンさん………」


 バーン。ロベルトと一緒にこの館へと来たもう一人の助っ人。


 その人が、無残に倒れている。


「はっはっはぁ……ふぅ、やっと追いついた………」


 と、そこへセイランが、後ろへと追いついたようだ

 それと同時に、この光景を見て、絶句した。


 それだけではない。セイランの目は、バーンさんの元へと向いていた。


「え」


 彼女から言葉が漏れた。



 バーン、さん。


 セイランが近寄る。微かな声を出して。


「あ、あぁ」

「………」

「え、あ、ローバンさん?」

「…………ん?」


 彼女はローバンといった、ローバンと。ローバンといえば、世界で指名手配中の極悪人。


 それを彼女が、バーン。あの人に向かってそういった。


(意味がわからない)


 彼女は少しづつ近づいていく。彼女の向かう先は、倒れは、ピクリと動かないバーンさん。無意味だ。


 あの人は死んでしまった。


 状況的に相打ちだろう。


 セイランはゆっくりと足を進める。そして突然吹っ切れたか走り出し、バーンの下へと猛ダッシュ。


「……!」


 止めようと思った。


 だが、できなかった。


 走りローバンの下へと急ぐ。そして、セイランとローバンの距離がわずか二メートルへとなった時。


「あ゙ぁ゙っ!」

「!?」


 鈍い唸り声をあげ、ローバンが起き上がった。


 ローバンが起き上がったのだ。


 突然起き上がったので、セイランの涙が一瞬で引っ込む。そして、いきなり止まったからか、前へと倒れ伏せた。


 この光景にアランは、唖然とした。


「あ゙ー疲れた……っと、気を失っていたか」


 ローバンはそう言って、体を捻る、その時、地面で倒れているセイランと、向こうで唖然としているアランに気がつく。

 

「アラン? そして、セイランか?」

「あ」

「……」

「どうしたんだ」


 ローバンはそう言った。


「……こっちが言いたい」

「なぜ?」

「死んでなかった。死んだと思った」

「はっ、そう簡単に死なんさ」


 そう言ってローバンはゆっくりと体を起こす。床に寝そべっている彼女を支えながら立ち上がった。


「……やはり、セイランで間違いない。おーい、聞こえてるか」

「……聞こえて、る」

「?」


 ここでひとつ、疑問に思った。


「お前ら、元気ないな」


 ローバンは、そんな事を口走った。


 その言葉に、アランとセイランはピキッと来た。


「誰が……!」

「誰のせいだと」


 息ぴったり。


「「思ってるんだァー!!!」」


 二人の怒声が響いた。




---




「………登った」


 ロベルト、地上へと到着。

 

 ロベルトが地上へと上がりみた光景、それは洞穴だった。


(ここは……?)

  

 洞穴。


 薄暗いが、先には少しだけ光が見える、出口だろう。


 こんな所と繋がっていたのか………いや、ここどこだ。


 辺は人気もない、まぁそれもそうだろう。ここはなにもない、変哲もないただの洞穴。

 人もよらないのは当たり前だ。


「とにかく。洞穴から抜けないと……」


 人のいる場所へと向かわないと、外の様子が気になる。

 あの地震に、堅陣龍ゴライアス。外はとんでもない事になってるはずだ。だから、一刻も早く。


 ロベルトは脇目も振らず走り出した。


 先には光。

 光に向かって走る。

 

 走るに連れ、自分を照らす光がどんどんと増えていく。そして、俺は光に包まれる。


 光を抜けた先は。


 見慣れた光景、渓谷。上層の渓谷ではない、中層。


 柵に囲まれ、大砲などが置かれた所、いつもと変わらない場所。

  

 ではなかった。


「あ……?」


 俺の目の前。2つの渓谷が挟む、海。そこに、奴がいた。


 溶岩のような体格、黒く輝いた強固な鱗。鋭い爪に強靭な腕と脚。ドラゴンのような顔に、岩のような牙。


 全体は赤い。間違いない。


 こいつが……。


「堅陣龍……ゴライアス」


 堅陣龍ゴライアス。


 海を渡り、出現した。


 



 






 


 


 


 

 


 



 


 




 



 

 


 


 



 


 

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