第八十五話「潜入の地下、襲来の地上」
俺達は、地下へと繋がる通路を見つけた。
この下に、ネルブレムや部下たち、そしてセイランが、いるはずだ。
気を引き締めて、前に進もう。
(って、暗!?)
3人が、同時に通路へと入った、落下したが、そんなに深くなかった。
と、それよりも問題なのは、暗すぎて視界が真っ暗なことだ。
だから、どこに皆がいて、どこに自分がいるのか分からない。
「入ったが、全く見えん。ロベルト、アラン、いるか」
「一応、な」
「居ますよ」
「うむ、さてと……まずはこの暗さをどうにかするか」
ローバンは考える。
(この暗さをどうにかする方法、まぁ、火で明かりを照らすのが最善か。しかし、俺は魔法が使えない)
ローバンは魔法が全く使えない、剣一筋の男、魔法の知識も全然。
そして、今回に限って、松明なども置いてきたので、持っていない。
つまり、自分には何も出来ない。
「痛て」
「俺か、ぶつかったか?」
「いや、違う……何だこれ」
(あっちはあっちで、何やら暗さに戸惑ってるな……ここはなんとかせねば)
考えを決め、ローバンは振り向く、しかしそっちは逆方向。
しかし、この暗さでは、誰がどこにいるのかが分からない。
一応、魔力探知や力気の単位で、アランだけは分かるのだが。
肝心のロベルトは全くわからない、理由は知ってのとおりだ。
(ここは一回皆で話し合うか)
「おい、お前ら、一旦止まれ。あと振り向くな、周りが分からなくなる」
「! なるほど」
「止まりました」
「よし、この暗さは危険だからな。一旦話し合うぞ」
ここは落ち着かせ皆で話し合う、慎重になるのが大切ということだ。
(現状確認だ)
「皆、今自分がどこにいるか、わかるか? できれば説明求む」
「俺は、そうだな……ゴツゴツとした所にいる、足場のこれは分からない」
「俺は、なにもない。周りを見た所、左側に壁があるくらいですね」
「ふむそうか。俺は周りにはなにもない、ゴツゴツもない」
ローバンはなにもない普通の場所にいるということ、これは把握。
そして、アランが、ゴツゴツとした足場に立っているという。
ゴツゴツは分からない、しかし予想するとしたら、足元に物でも散らばってるのだろう。
次に、ロベルトが言う、左側にある壁。
声の方向からして、そう遠くない。
つまり、ここはそんなに広くない。
(ふむ……さて、ここからは脱却方法を求めるか)
「さて次にだが……皆。灯りつけるもの持ってないか?」
「ない」
「同じです」
みんなに向けて、ローバンは聞いた、明かりをつけるもの。
しかし、答えはなにもない。
俺はないな、松明とか、持ってない、あ、でも魔法なら。
ロベルトには、魔法がある、これならば、有効できる。
「ローバンさん。俺なら、魔法がありますよ」
「おっ、そうか。炎魔法、使えるな?」
「えぇ」
(よし、ロベルトは炎を使えるか、これならば大丈夫だろう)
ロベルトは剣だけではなく、魔法も使える、魔法剣士。
魔法剣士自体、簡単になれるものではない。
「火で、照らしてくれ」
「えぇ」
(さて、周りを照らす。炎……いや、ここは光を手に乗せるか………ん、待てよ」
炎と光が2つ、俺の頭に浮かぶ、どちらも周りを照らせる。
しかし、どちらも手の平で集中して、保たねばならない。
松明みたいに、つけられないので、常に集中を持続しなければならない。
それに普通の火や光だとしても、何分も続ければ、魔力も消費する。
現にここがどこかもわからないので、それをするのは、ちょっと危ない。
「どうした」
「いえ、ちょっと」
魔法を使おうとする手が止まる。
なにか、他に方法がないだろうか、例えば、一つに固定して、周りを照らしてくれるようなもの……。
頭の中を探り、あるはずの答えを探す……そして。
(あっ)
一つ、方法が浮かんだ。
それは……友人から、教えてもらった魔法、普通の魔法ではない。
召喚魔法だ。
「少し準備するので、待ってください」
「ん、おう」
「待機、か」
手順は簡単だけど……召喚魔法自体、そんなにやったことがない。
それに普通の魔法とは少し異なる。
俺は、一度しゃがみ、地面を手で探す、あった。
えーっと、まず地面に手を当て、そして魔力を込める。
その次に、召喚魔法を唱えるんだっけ、アイツはなんか言ってしたしな。
(えーと、確か……)
『青き光、その光自らの道とならん』
「?」
「! 召喚魔法」
「なに?」
ロベルトの言葉に、二人は別々の反応を見せる。
その時、青い光が、辺りに充満し拡散した。
辺を覆い尽くすほどの蒼白い光。
光が徐々に収まる。しかし、先程の真っ暗な闇は、そこにはなかった。
「む、後ろか。随分青いな……ん、なんだ、あれは」
後ろに向いていたローバンは気づく。
蒼白く照らされた辺りに一つぽつとんと。
光の中心となるように、青く綺麗な物体が宙に浮かんでることに。
「あれは……蝶か」
「これも魔法か、幅広いな」
「これは……召喚魔法です」
召喚魔法。
これはあの時、まぁちょっとした任務の時に、友人が披露してくれた魔法。
召喚魔法をやってみようかな。って思った起源。
一つの思いでだな。
「なるほど、召喚魔法とか言ったな、あの飛んでるものが、召喚体か」
「はい。見た目は青い蝶ですね」
蝶をモチーフにしたのだろう。
「青か、珍しい色だ」
アランが横から口を挟む。
「そうか?」
「あぁ、普通は赤い。青い希少、よく使えるな」
「あぁ……これ、友人から教わったんだよ」
「友人。友人も使えるのか」
「あぁ」
テトラって、希少なんだ。
希少な魔法を使える、本当は凄いやつなのか?
そして、それを使える俺も凄い。
「魔法の語り合いはそこまでにしろ。さっさと探索を開始するぞ」
「あ、そうか」
話してる場合じゃない、ここは敵の本拠地。
油断をしてはいけない、常に警戒を怠らない事。
これを心に留めておこう。
「さて、慎重に進むぞ。その魔法を使ってな。さて、進むぞ」
その言葉を承諾し、俺達は地下の道を進んだ。
‐‐‐
地下での探索は進んでいった。
地下は変哲もないただただ、暗い道が続いていた。
今のところ、罠もないし、ダンジョンによくあるギミック。
魔法陣とかも見当たらない。
ただ暗くて、ちょっと古くさいだけの道だった。
一応、場所は代わり映えがあって、ループしてるわけではない。
進んでいる、そう感じないだけ。
でも。
「なにも無いってのは、怖いもんだ」
なにもない、つまり何が起きるか分からない。
最大限の警戒を保っているけど、本当に必要なのか? そう思う。
とりあえず、暇だ。
「なにもない、ほんと」
「ずっと続いている、なにも起こらん。宝もなければ魔物も居ねぇ……ただの通路ってわけか」
「……」
ここまで虚無ならば、逆になにか起こってほしい。
そう思うくらい暇だ。
あと、道がながければ長いほど俺が困る。
今、この暗い廊下の明かりとなっているもの。
それは、俺が何十分か前に召喚した、青い光の蝶。召喚魔法。
召喚魔法で召喚した物は、通常死んだり、時間で消えてしまう。
そして、今使っているこの青い蝶、魔物が居ないので死にはしないのだが。
青い蝶を召喚している時間が、少ない。
ほんと、十分ちょっとで粉となって消えてしまう。
だから、消えた瞬間あたりが真っ暗になってしまうのだ。
いきなりなったときは驚いた、みんな驚いていた。
まぁ、もう一回召喚したから大丈夫。だが、魔力の消費がな。
この魔法。召喚魔法の中でも、消費は少ない方なのだけど。
それでも、何度も使うと魔力が減っていく、体で感じる。
自分の中から、魔力が減っていく感覚が感じる。
魔力は永遠ではない。
このまま何度も魔力が減っていけば、いつかなくなる。
ゼロにならずとも、魔力が少なくなれば、体にも影響が起こる。
体調が悪くなる、頭が痛くなるような感じだ。
「このまま召喚魔法を、使えば、いつかは消えてしまいます」
「まじか……急ぐ。っても、なにもねぇんだわな」
「周辺は変わりないか」
「ないぞ。ずっとだ。……ロベルト、青い蝶の持続の残りは?」
「あと数分、くらいです」
「ふむ……」
その言葉を聞いて、ローバンの顔が曇る。
そりゃそうだ、もう青い蝶5回も使ってるのだから。
「まだ、魔力は残ってるか?」
「えぇ。ですけど、魔力は……時間の問題でしょうね」
3人は道を進んでいく、しかし先には何も見えない暗闇。
永遠に続いてるような通路。
音のしない、生物もいない空間。
本当になにもない、ただ。歩いているだけ。
(いつになったら……いや、これ。本当に進んでいるのか?)
この通路でも間取り角や、右折左折する道もあった。
しかしそれがフェイクだとしたら。
嘘だとしたら、ループしている?
不安に包まれる、それは皆も同じだ。
「……いつになったら着くんだ!」
最初に爆発したのはアランだった。
「アラン」
「いつ? 俺は待ってられない……! もう何十分たった!?」
青い蝶を5回だから……50分くらいだな。
青い蝶を酷使しすぎだ。
「なぜこんなにも、ここを彷徨わないといけないんだ。道は続く、何も起こらない、暗くて辺もこの写真も見えない……ずっとだ、ずっと!」
アランは癇癪を起こして、文句を言う、まぁそれは共感だ。
今までよく耐えたレベルだよ。
というか、胸の服から、写真を出してたけど。
めっちゃ大事にしてるな……。
「落ち着け」
「落ちつけられるか。アンタも! お前も、思ってるんだろ?」
「それはな」
「まぁ、俺も心の中では思ってるさ。だが、そんな事言っても何も変わらん」
ローバンさんの言う通りだ。
今言ってたって、意味がない。言いたいのはわかるが、だ。
「ただ文句を言うだけじゃ、子供の癇癪と一緒さ……分かるな?」
「………あぁ」
「うむ。まぁ、お前もまだ若い。若いから若いままでいい」
ローバンさんはそう言って、アランを落ち着かせる。
徐々にアランも落ち着いてきた。ちょっとした喧嘩? は収まった。
まぁ、こういうときもある。
「っと……ここで、お前らにいい知らせだ」
その時、ローバンさんが、俺達に向かってそういった。
いい知らせって、なんだろう。
「それは?」
「それはな……あの奥にいる敵をぶっ飛ばせるってこと!」
その言葉とともに、ローバンさんは高笑いをあげる。
ローバンさんの視線の際には、いかにもな雰囲気の大きな扉!
あの先に敵!
それを知って、俺やアランも感激の声を上げた、やっとだ……!
「やっ……ッた………!」
あの先に敵、間違いない。行こう。
脇目も振らず、扉に向かって、アランは飛び出す。
俺とローバンさんも、遅れず後を追い、扉の前までついた。
「扉は……」
ローバンさんが軽く、扉を押す。
すると、音を立てて、扉が少し開いた。
「開くぞ……よし。準備はいいな?」
「できてる」
「問題なし」
「よし……行くぞ!」
ローバンさんの掛け声とともに、扉を蹴り破り中へと入った。
しかし、中は奥が真っ暗で、なにも見えない。当たりは広かった。
「……?」
敵の気配はない。
いや、隠れてるかもしれない、油断は禁物だ。
念の為、辺を探ってみるか……。
「慎重にな」
「気をつけろ」
「そちらこそ」
3人は各各、背中を預け合いながら、先へと探索。
辺は真っ暗、何も見えない。
でも、なにかはあるはず、扉が異様に豪華だったことも関係あるはずだ。
辺を見回し、探索を進める。そして……天井になにかあることが分かった。
「あ、上になんかありますよ」
「む……あれは」
ローバンは自慢の目を使って、天井の物体を見つめる……。
「……ジャンデリラ?」
物体はシャンデリラだった。
ついに光を発見したのだ。
「一つだけじゃねぇ何個もある。これなら光を確保できる。ロベルト頼む」
「火を灯すのが難しそうだなぁ……やってみます」
狙いを定めて、シャンデリラに向かって炎魔法を飛ばす。
何発か外したけど、何回かしてやっと当たった。
まだまだ……!
俺は残りのシャンデリラに向かって炎魔法をよく狙い飛ばす。
シャンデリラに全ての火が止まり、当たり全体は明るくなった。
そして気づいた。
目の前に、巨大な大砲の様な物がある事に。
「!」
「あれは……まずい、伏せろ!」
「ッ……!!」
時既に遅し。
巨大な大砲のようなものから、なにかが発射され、こちらに向かって飛び。
俺に直撃した。
かに見えた……。
「………!?」
「ッ………」
迫りくる物体、それを……土魔法とも思える物が。
ロベルトに迫る、物体を防いでいた。
そして、ころんだロベルトの前には……。
「アラン!」
アランがいた。
「ぐっ……ッ!!」
アランはロベルトをかばい、自分の魔法で物体を弾き飛ばした。
アランの、周りには土魔法、そして緑色のようなエネルギーが満ちてたいた。
「はぁはぁ……っ、ふぅ」
アランは過呼吸になっていたが、何秒かして元に戻った。
「大丈夫か」
「……あぁ」
ローバンさんがアランを手を肩にふれ、心配している。
って……俺、なにしてんだよ……!
俺は立ち上がり、アランに向き直り話す。
「アラン」
「なんだ」
「……! ありがとう」
とっさに手が、アラン手をつかみ、握手へと変わる。
「!」
「お前のお陰で、助かった。命を救ってくれた。本当にありがとう」
「……そこまでではない。俺は、周りが危険に晒されるのを防いだだけだ」
「……アラン」
俺は思った。
(コイツ、いいやつじゃねぇか)
ツンデレで。
「そうか……そうか。でもありがとう」
「例はいらない。それよりも手を離せ」
「いや、もう少し」
「離せ」
「あと数分」
「おい!」
強制的に手を離されてしまった。
ちょっと冗談を言っただけなのに、全く……。
まぁ、でも。助かった、うん。
「お話を遮ってすまないが。お前達は私が狙いなのだろう」
その時声が聞こえてきた。
聞いたことがある声、それは……。
「! ネルブレム!」
「……ふっ」
ネルブレムが、この部屋の奥の銅像の上に立っていた。
それだけではない。
周りには部下と思える者が二人は立っていた。
お嬢様のような女の子、見た目とは裏腹のでっかい棍棒。
ローバンさんから聞いた刺客の一人。
全身の鎧で固めた大きな人物。
そして貴族の服装をした男であるネルブレム。
3人が、立ちふさがった。
(!)
俺はよく見て気付いた、あの3人は何かを守るかのように立ちふさがっている。
つまり、後ろになにかあること。
それは……セイランへの手がかり!
「ついに出やがったか……やっとだ」
「暴れれる」
「ネルブレム。お前の企みは、ここで終わりだ」
ここでおしまいにしてやる。
対する敵の3人には動じず、立ちふさがっている。
立っているだけで、圧を感じる。
「ふっ……企か、残念だがそれは既に実行済みである」
「なに……?」
実行済み? そんなはず……いや、そもそもアイツラの企って、なんだ?
「主様は、お前らが呑気に作戦会議を開いていた時に、既に終わらせてた。主様は行動が早いから」
「終わっていたのか……」
「……ならば、お前らの企は……なんだ!」
「いずれ分かるだろう」
ネルブレムが不敵に笑いそういった後、宙に飛ぶ。
そさて、空に浮いた。
いや違う……あれは……乗っている?
「……鋼糸か!」
アランがそう叫ぶ。
鋼糸って、人が乗れるほど硬かっただ、すごいな。
「3人。そうかぴったりというわけか。……では、別々に別れるとしよう」
そう言って、ネルブレムは二人は視線による指示を送る。
その瞬間、女の子……グラトニータは右側へと走り抜ける。
鎧を来た人物はこちらへと迫っていく。
(別れるって、そういうことか!)
「俺は!」
「右の少女を追う」
「お、おい」
「ロベルト前だ!」
「ッ!」
前から迫る鎧を来た人物の攻撃を、剣で受け取る。
お、重い……だが、弾く!
力任せに攻撃を弾き返す、重かったが大丈夫だ……はぁ。
しかし、攻撃はまだ続く。
「ロベルト!」
横からローバンさんが入り、攻撃を代わりに防ぐ。
「バーンさん!」
「ロベルト、お前は奴を追え。ここは……俺に任せろ!」
まさか……俺を先に行かせて?
くっ……そうか。ローバンさんは、俺には奴を……。
分かった、行って奴を倒す。
ついでに情報も吐かせる!
任せてください、ローバンさん!
と、ふざけてないで、早く急がなければ。
俺は後を追い、駆け抜ける。
前方にネルブレムを発見、どこへ向かっているんだ。
ネルブレムは走るごとに、自慢の鋼糸を使い、辺を切り裂く。
それにより瓦礫、壁の破壊、落石などが起こる。
「危ねえ!」
後もう少しで、下敷きになる所だった……アイツ!
なかなか、捕まえられない、さすがは幹部といったところか。
だか、俺はまだ!
足に魔力がたまり、爆発を生み出す。
そして、最大限までたまり爆発。
爆発による衝撃とともに、ロベルトは宙を高速で飛び出し。
ネルブレムへと急速にせまる。
それを気付いたネルブレムは、ロベルトが飛ぶ方向に鋼糸を張り巡らせる。
(鋼糸か……当たれば……いや、突き抜けるのみ)
からだを回転させ、鋼糸の方向に向け足を向ける。
爆発の勢いに任せ、飛び込む。
目線、足の先には鋼糸。
突き抜けるか、足から体に向けて裂かれるか……。
結果は……!
「っ……ッッ!!!」
「ふむ……」
突き抜ける!
ロベルトは爆発の勢いで鋼糸を突き抜けた。
しかし、少し足先が裂けてしまった。
爆発の残り火と、少し裂けたことによる出血を足にとどめながら、着地する。
「傷……少し深いが、まだ動ける。それよりも」
ロベルトは辺りを見回す、暗いだけど、この先はなぜか黄色い光で照らせれている、なんだ?
天井には穴、あそこから光が注がれている。
「陽の光か……」
あそこは地上、ここは地下。
陽の光をじっと眺める。
(って、もう朝!?)
ついた時には3時だったから……あれからな。
それにしても、もう朝か。
時間的に……5時くらいか?
「ふむ。まさか穴が空いているとは……」
その時、思い出した。今自分が何をするためにここに来たのか、ネルブレムを追いかけに来たことを。
「ついに追い詰めたぞネルブレム」
「ふむ、追いつかれたか」
「さて、観念してお縄につきやがれ」
「それは無理な話だ」
そう言うとネルブレムは、上へと続く台座を登り始めた。
「計画は実行した。私はここで帰還する」
な、なんだって。
帰る、そんな事許せない。
かってに悪さして、後は任せる形で自分は変える帰か……ふざけんなよ。
そう思ったときには走り出していた。
剣を構え、ネルブレムめがけ斬りかかる、しかし。
「!」
弾かれた! 鋼糸か。
「なるほど、ここまで厄介だとは……ヴィクセルのときから聞いていたが、片手間では不可能」
「何いってんだ!」
勢いに乗り剣で鋼糸を断ち切る、上手く切れた。だけど。
「再生!」
鋼糸がもとに戻っている……なぜ!
「お前には不可能、お前はダメだ……」
くそ、イラッときた。
ネルブレムは上へとどんどん登っていく、だめだ止められない、このままでは……。
諦めかけた。
自分には無理だ、止められないと。
だがその時、上から声が響いた。
「逃げさせるわけには、行かないわ」
その声とともに、上空、陽の光が照らす場所から……地面が降りてきた。
じ、地面と言った、大地が地下へと降りてきた。
自分でも何言ってるかわからない。
そして、その地面に二ヴェリーさんが乗っていた。
(どういう方法でそんなことを………?)
二ヴェリーさんはなんか棒のようなものを持っている。煙が先で漂ってるし……もしや、煙草か?
「準主直々のお出迎えか」
「えぇ、どう? 優雅でしょう、この魔法」
「ふむ」
二ヴェリーの言葉を聞いて、唸るネルブレム。
あれも、魔法なのか……。
「さぁ、この国でのお遊びはおしまいよ」
そう言った後に、指でぱちんと音を立てる。
その瞬間、あたりが一瞬揺らめいたかと思った次の瞬間、二ヴェリーさんを包み込むかのような、光の魔力が周囲に散らばる。
この魔力、あのときと同じ……本気のようだ。
この変化に、ネルブレムも警戒を強める。
二ヴェリーさんは足を進め、ネルブレムに向かって宣告するように言い放った。
「私は宣告するわ。ブレムさん、アナタを裁くと」




