表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国 堅陣龍撃退戦線
88/93

第八十三話「対巨大生物用兵器」

 絶対絶命のピンチ!?


 そこに駆けつけた、いや現れたのは、あの男。

 

 名はタータス。


 子供とそのサポート? と一緒に仲良く暮す優しい大男。

 つい最近まで地脈に潜っていたとは思えない。


(まさか、こんな形で再会するとは思わかなかった、ほんとに)


 拘束されたローバン。

 後ろで立ち尽くす俺。

 そして、目の前で向き合うニヴェリーさんと、タータスさん。


 なんだこの状況。


「あなたは……何者?」

「俺か。後ろの友達だ」

「友達……?」


 一応、友達です。

 

「友達なら、少し退けて欲しいわ。取り込み中なのよ」

「しかし、暴力的に見える。どうも穏やかな雰囲気には見えなくてな」


 タータスさんは薄く笑い、ニヴェリーを挑発。

 大丈夫なのだろうか、相手はお偉いさんだぞ……?


「友達が困ってるもんでな、止めさせてもらおう」

「あらそう。止めるとしても、あなたに止められるかしら」

「ほぉ、自身があるな。」

「えぇ、私は自分を信じてるもの」


 ここからみても、バチバチ。


 大きな大男と、綺麗な女性が立ち会って話している絵面。

 なんだ、コレ。


 タータスとニヴェリーは常に笑顔を絶やさず、冷静に相手を分析していた。


 相手の行動を見るのは、策士にとって重要なこと。

 相手のことなど、把握済み。


「そういえば。貴方も彼のように、情報が一切ない。特例人物だったわね」


 そう言って、ニヴェリーは俺の方に目を向ける。


 まさか、俺のことか? 俺って、そんなに情報ないのか?

 謎の存在だというのか。


「名前は、そう。タータス」

「ふむ、合ってるが、それがどうしたと言うんだ?」

「少し話を……。最近にかけて、身元の分からぬ者が各地から、様々な国へと渡っています」


 それに俺も当てはまるなぁ。


 ニヴェリーは、手を机に触れながら、部屋をゆったりと移動する。


「その者達は、自らの正体を隠し行動し、裏で暗躍する存在。それは、闇神の幹部と名乗る者達。ご存知ですか?」

「ふむ……」


 タータスはそう言って考え込む。


「えと、俺は知ってますよ」

「貴方は、すでに知っていましたね」

「まぁ……発見者だし」


 あの貴族の男と、最初にあったのは俺と、ローバンさんだ。

 

 タータスさんはどうなのだろうか。


「俺も、多少は知っている」

「……そうですか」


 ニヴェリーは、タータスの言葉に、一言答える。

 そして、行動した。


「では、貴方も関係者になります!」


 ニヴェリーの目に周りに、金色に光る模様が浮かび上がる。


 俺は、あれを知っている。


 あれは、あの光はまただ、ローバンさんを拘束した時の光。


 まずい、タータスさんの方に向かっている。

 このままじょ、また拘束される、拘束の連鎖だ。


 光を模した模様は、回転そして、タータスへと、高速で飛んでいく。

 その光は確実に相手を捉らえ――


「!」


 無防備なタータスへと直撃した。


 しかし、なにも起こらなかった。


「!?」

「あ、あれ?」


 当たったよな……なんで? あれ、拘束魔法だよな。


 ローバンさんを捕らえた物と同じ魔法のはず。

 なのに、なぜなにも起こらないんだ。


「き、効かない……?」


 ニヴェリーは、見るからに動揺している。


 しかし、この国の準主、瞬時に冷静を保ち、切り替えた。


「なぜ、私の魔法が……」

「この魔法は、なんだ」

「……後ろをご覧に」


 ニヴェリーの言葉通り、タータスは後ろを向く。

 その方向は拘束されたローバンだ。


「この魔法は、高度な拘束魔法。光で捉えた標的を拘束する魔法……。必中した者は拘束されるはず……」

「なにもないぞ」


 タータスさんの身にはなにも起こっていない。


 しかし、確かに光は当たった、なのになぜ、その魔法は発現しない。


「どうやら、詳しく調べる必要がありそうですね……」


 ニヴェリーは、強く鋭い目で、タータスを捉える。


(! 魔力が上がった!)


 ニヴェリーさんの魔力がいつにもまして、上へと上がった。  

 俺には分かる、この魔力は……。


 上級レベルの魔法は、難なく使いこなせる魔力量だ。


 しかし、その変化にタータスは動じず、その場から動いていない。


 堅陣、堅固な城のような立ち振舞。


 二人が向き合い、異質な空気が生まれる。

 ロベルト、ローバンは後ろで、その二人を見つめる。


 入れる隙はない、この二人からは、他とは違うなにかがある。

 

 二者がまみえ、太守閣の一つの部屋は、他とは違う気配を漂わせる。

 ニヴェリーは、自身の魔力を普段よりも上げている。

  

 いまにも戦闘が始まりそうになる、その時。


 扉が開く音がした。

  

 部屋に居る4人は一斉に、扉の方へと目を向ける。

 そこには、太守閣の授業員である女の人が、そこに居た。


「あ、あの……」


 心細い声、すこし震えている。

 

「……どうしたの」

「あ、えっと」


 女の人はそう言って、真ん中、タータス、ローバンの方へと目を向ける。

 

「あぁ、言って大丈夫よ」


 彼女の動向を察したか、ニヴェリーは、優しく告げる。

 

「あぁ……では。準主様、開発完了しまして」

「! 本当?」

「は、はい!」


 大きく返事をする。


「あっと……失礼しました!」


 そして一度礼をした後、そっと扉を閉めて、出て行った。


(係員の人だろうか、よくこんな状況の中、部屋に入ろうと思ったなぁ……)


「間が入ったわね、では」

「ニヴェリー殿、よろしいか」

「……何かしら」

  

 ニヴェリーは、次へと話を移行しようした時。

 タータスによって遮られた。


「一度、話し合いを所望したい」

「話し合い? 貴方と?」

「いや、彼たちとだ。あの二人も、貴女に用があってここに来たのだろう、その行動兼ねて、どうか一度、話し合いを入れてくれないか? 頼む」


 タータスは頼み込む。

 

 俺達のことを考えて、頼んでくれている、話し合いという体で。


 タータスの懇願に、ニヴェリーは黙り込む。

 内心は悩んでいる最中だ。


(一人はともかく、もうひとりは指名手配犯。話し合いで済むことでは……しかし)


(ニヴェリー殿なら、きっと……)


 一方タータスは、答えが分かっているのか、余裕に満ちている。


 悩み始めて数秒、ついに答えが返ってくる。


 その答えは……。


「ふぅ、分かったわ……心入れましょう」


 了承だった。




‐‐‐




 あの後、拘束魔法をといてもらい、とりあえずは助かった。


 これでようやく話に移れる。


 一時はどうなるかと思ったが、なんとか戦闘にはならずに済んだ。

 半分戦闘のような物だったけど。


 まぁ、いい! 細かい事は気にしない。


 それに、今は迷ってる場合じゃない。


 重要な秘密を掴んだんだ、これは、はやく伝えなければならない。

 そう思い、俺とローバンさんは話を進め、あの事について話した。


 『敵の位置を把握した』事について、話した。


 そしたら、ニヴェリーさんはこう言った。


「フフッ、それならすでに把握済みよ」と。


はぁ……?


 すでに知っていたのである。


 つまり、無駄足。



「敵の本拠地に一人。潜入の得意な人物を向かわせたわ」

「ほぉ、潜入か」

「えぇ、ただ……」

「ただ?」


 何やら不穏な空気を感じる。なんなんだ、一体。


「ただ……、その潜入人が、戻らないのよ」

「戻らない?」

「そう。そろそろ帰ってくるはずだけど、どうしたのかしら」


 ニヴェリーさんはそう言って、上を見つめる。

 目はどこか寂しげだ。


 潜入官が帰ってこないのは。

 だいたい道草食ってるか。

 死んでるかのどちらかだ。


 こういうのは、お決まりなんだ。


 それに、敵の本拠地に一人だけ潜入させるなんて危険だ。

 その道のプロでもない限り、成功するとは限らない。

   

 も、もしかしたら、捕まって……?


「無事を願おう」


 今はこれだけを願うとしよう、俺達には何も出来ないし。

 

「さて、俺にも、少し聞きたいことがある」


 ここで、ローバンさんがニヴェリーに問いかける。


「この敵をどうするかだ」


 この敵をどうするか。

 それが、あとの事に通じるな。


「今の所は様子見よう、下手に動いても上手くいかないもの」

「まぁ、一理ある」

「だけど、この間にも、敵は裏で動いている。見過ごすわけには行かない」 

「適切な対応が必要ね」


 各自話し合う。

 

 話を進めるごとに、情報(明かしていき、さらなる情報へと繋ぐ。


 それは、時間を忘れるほどの事。


 時間を忘れてた話を進める、気付いた時には、十一時になっていた。


「おっと、もうこんな時間だ」


 最初に気づいたのはタータスだった。


「娘たちを待たせている。俺は、そろそろ帰るとしよう」

「待って」


 帰宅の準備をするタータスを、ニヴェリーは待てと言う。


「なんだ」


 タータスは聞く。


「帰る前に、貴方は何者なのか、教えてほしいわ」


 タータスは何者なのか。 


 それは、俺も少し気になる、タータスさんは情報が薄い。

 一人だけ、よく話さない、基本は傍観者の視点で見ているからだ。

 ちょっとは、聞いても良いかもな。


「俺か。何者と言われても……何者でもない。ただ、俺はこの国で、いつもと変わらず暮らせればそれでいい。そう願っているただの一般人だ。ではそろそろ」


 タータスさんは、一度手をこちらへと振る。

 その後そくさくと帰っていった。


(謎深いなぁ……)


 なんだか、意味深な言葉だった、俺はよくわからない。

 でも、なにか込めてあるのだろう。


「ニヴェリー殿よ」

「……なにか」

「あの方は、いつからこの国に」

「分からないわ」


 あの人は、よくわからない。


 でも、いい人だと言うことは分かる。


(そう、信じている)


 タータスさんが去った後、この部屋は静かになった。

 それはなぜか。


 理由は簡単、誰もいないから。


 さっきまでざわざわしてたのに、なんで誰もいないのか。


 それはニヴェリー。


 彼女の一言から始まった。



「貴方達に、紹介したいものがあるわ」




‐‐‐

 


 

 ニヴェリーさんに連れられ、一階まで戻ってきた。

 ちなみにローバンさんの正体についてだが。 

 皆には明かさないらしい。

 

 ホッとした。


 さて、一階に来たが、紹介したいものがある? らしい。

 なんだろう。


 思い当たる節としては、先程の人が言っていた『準備完了』の合図。


 あれが関係しているのだろうか。


「で、紹介したいって言ってたな。それは、どこにあるんだ」

「こっちよ」


 ニヴェリーさんがこちらへと引き寄せる。


 従って、そちらに向かってみると、そこには階段。


「まだ、下が……」


 地下への階段があった。


(こんな所、来た時にはなかった気が……あ、隠し階段か?)


「この先に、お目当ての見世物があるわ、行きましょう」


 地下へと先導するように、階段を降りていく。

 それを追い、ローバンさんもあるきだす、地下か。


 俺も行くかな。


 

 地下の渡りを通り、先へと進む。地下は少し明かりがあるので、一応道は見える。

 抜け穴とかはない、安心できる。


 それに、地下の渡りは広い、縦横と大幅に広い。

 まるで何か大きな物を運ぶために作られたような。


 大きい物、うーん、なんだろう……投石機とか、って、なんかぶつかった。


 そう考えているうちに、二人は既に先へと進んでいた。


 遅れちまう、急ごう。


 先へと進む。歩いていると、光が見えてきた、外の光だ。


 ちょ明るい。あまりの明るさに手で視界を防ぐ。

 何秒かして、光が止んできた。


 俺は目を開ける。すると視界には、大きな渓谷が広がってきた。


(なるほど。下まで降りてきたか)


 渓谷の中間より上あたりか、下まで降りたわけではなかった。

 地面は、渓谷の地形をうまく使って、足場が出来ているようだ。


 それよりも、ここに何があって……。


(うん?)


 今、気付いた、俺と、ローバンさん、ニヴェリー以外に。

 数人くらい人がいる。


 それも、なにか準備をしているような光景だ。


「こっちよ」


 声がかかった。


 声の主はニヴェリーさん、横側に居た、そっちか。


 そちらへと向かう、それにしても……高いな。


「ここですか」

「えぇ、お目当てはここよ」

「ここ」

「ロベルト、こっちだ」

  

 ローバンさんが呼んでいる、何やら足場の淵にある柵から、下を眺めている様子。

 下に、何かあるのか。


「すげぇぜ、これは」


(ふむ、そこまでか……どれどれ。俺も拝見するとしよう)


 心のなかで妙なキャラ付けをしながら、そちらへと向かう。

 到着し、柵に持たれかかり、下を見る。


 するとそこには、大きな物、いや。


「な、なんだアレ……」

「武器だろう、とんでもねぇ大きさのな」 


 武器があった。


(で、でけぇ……)


 十メートルは有に越えるだろう、あの武器、なんだ?

  

 形からして……大砲?

 なにかを、撃ち込むような武器ににている、遠距離系の。


「ニヴェリーさん、あれは?」

「水の国からの資源と、私たちの国の技術を兼ね合わせた、試作品。名前は決めてないけど、そうね……巨大な大砲、そして大型の生物用だから……竜砲。とでもいうかしら」


 竜砲か……巨大な生物に目掛けてうつ巨大な兵器。

 

 ロマンだぜ。


「威力、速度、射程ともに、凄まじい成果を発揮できる。方向も入れ替えれば、自由に狙える。ただ、撃ったあとの衝撃と効率が弱点ね」

「量産すれば、すごい兵器になりうる……」


 こりゃ、とんでもないものが完成してしまったな。


「巨大な生物に撃つと言ったな」

「えぇ」

「あんた達は、これを今作り上げたのか」

「ちょうど5日前から、制作を始めたわ。ぶっ続けで」 


 ぶっ続け5日でこれができるのか。

 なかなかに効率がよい、じゃなくて、ブラックだなぁ……。


 鍛冶の人死なない? 大丈夫?


「そんな短時間でか。それならば、これを作るなりの理由はあるのだろう?」

「えぇ、もちろん」


 理由、なんだろう。


「主に魔物の撃退用ね」

「撃退か、魔物ではないだろうこの大きさは。主な的に言えば……そうだな。狙いはそう……堅陣龍、とかか?」


 え、堅陣龍だって?


 そんなまさか。


「当たってるわ」

「マジか……」


 これって、堅陣龍のために作り上げられたのか、嘘だろ。

 え、でも、堅陣龍は土神の眷族で、敵ではないはず。


「これで、堅陣龍攻撃するのか」

「……そのつもりよ」

「なぜ? 堅陣龍は土神の眷族、この国を守らんとする龍だぞ?」

「分かってる。でも、必ず守ってくれるわけではない」


 ニヴェリーはそう話す。


 守ってくれる存在が、必ず、守るとは限らない、か。


「あの時の出現でだいたい察した。あれは、攻撃、会議でもそう定義された」

「攻撃だとしても、堅陣龍は……」

「国に被害が及び、民衆を危険にさらした。それはなってはならぬこと、この事を踏まえ、私達は、攻撃……撃退を決意したわ」


 ニヴェリーさん……。


 撃退か。

 まぁ、俺もみたから分かる堅陣龍のあれは、攻撃に見えなくもない。

 思いっきり腕振ってたし。


 堅陣龍ゴライアス、なぜ、現れたのか。


「これだけじゃない。もちろん、投石、警鈴、そして拘束用の武器、魔法も用意してあるわ」


 ニヴェリーさんは、やる気だ。今堅陣龍が現れれば、すぐに向い撃てる体勢。

 見て熱意が伝わってくる。


「準備万端だな」

「えぇ、私は国を守る準主よ、当然」


 きっぱり言い放った。


「せっかく来てくれたの、貴方達にまやってもらいたいことがあるわ」

「俺もか」

「えぇそうよ、大盗賊……だったかしら。力を見せてくれるかしら」


(大盗賊の事まで知られているのか……)


 内心、少しだけ恐ろしさを感じるローバン、しかしそれくらいでは揺るがない。


「いいが。そのやってもらいたい事、とはなんだ?」

「貴方達がよく知ってること」


 俺達が知ってること……? うーん、なんだ、俺達が。


 ………あ!


「敵居地」

「そう。侵入作戦決行よ」

「それか。まぁ、これは俺達の仕事みたいなもんだ。それに、俺の得意でもある」


 潜入はローバンさんのお手の物、盗賊の力が活かさせる時。


 胸が高鳴ってきた。


「やってくれるかしら」

「問題ない」


 決まった、さて、侵入作戦か。


 やるしかないか、よし。そうと決まれば作戦立てだ。


 やってやろうじゃないか。


 

 

 

  


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ