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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国 堅陣龍撃退戦線
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第七十九話「代表集う会議」

 俺はニヴェリーさんに連れられ、一階へと降りてきた。

 一階は先程とは違い、皆が急いでるようだ。


 これも会議の影響だろうか。


「先に行ってる」


 アランはそう言うと、一階の、奥にある扉と向かっていく。


 進行方向的に、あの扉の先が会議の場所であろう。

 なんたって、扉が豪華だからな。


「皆、私が参ったぞ」


 その時ニヴェリーさんが、一階にいる人たちに向け、一言言う。

 前に出ており、威厳のある姿。

 これは惚れる。


「おぉっ! 準主様」

「来てくださいましたか!」


 ニヴェリーさんの言葉に、皆は歓迎の声を上げている。


「ニヴェリー様」


 すると、こちらへと向かってくる人が見えた。

 メガネを掛けており、黒い服装の男性だ。

 見た目からは知的な雰囲気を感じる。


「作戦案内人です。ニヴェリー様を案内に」

「それは助かるわ。すぐに向かうとしましょう」


 そう言って、口元を少しにこつかせる。

 その時、案内人の人の目が、俺の方向へと向かった。


「ん、そちらの方は?」


 おっと、俺は部外者だったな。


「こちらの方は……そうね。私が、個人的に気に入ってる者よ」

「ニヴェリー様が、個人的に? ですか?」

「そうよ。貴方も、この者から他ならぬ気配をかんじるでしょう?」


 ニヴェリーのその言葉に、男はこちらに集中。

 鋭く捉えられている。


(ちょっとこわい)


 初対面の人に、こうも見られるとなぁ……。


 数秒見つめられたあと、男は静かに答えた。


「確かに。他とは違うようですね」

「えっ」

「分かってくれたわね」

「はい、しかと」


 なんだか、向こうで勝手に納得しているようだ。

 俺には分からない、他とは違うって……なんだ?


(!)


 ま、まさか……転生者と察せられているのか!?


「それはそうと。もう時間です、ニヴェリー様こちらです」


 執事がするようなポーズをした後、作戦所に向かって歩き出す。

 ニヴェリーさんも後を追い、歩き始める。


 靴のせいだろうか、歩く事に音が鳴っている。

 

(あ、俺も行かないと)


 遅れては大変だからな。


 俺はニヴェリーさん、そして案内人の後をおう。

 この先は会議だ、しっかりしよう。

 

 礼儀、大事!



 会議が行われる場所へと入った。


 中は、受付がある場所と同じくらい広い。

 部屋は今いる場所、そして真ん中に、一段さがった場所がある。


 あそこが会議の中心だろう。


 この部屋も先程と同じく、円となり、雰囲気も似ている。

 違う所は……強いて言うなら、天井が低いことか。


 会議所には沢山の人が集まっている。

 

 ドワーフがいれば、人間もいる、今の所この2つの種族。


 重そうな鎧を着ている人もいれば、軽く動きやすそうな鎧の人もいる。


 他には、どこかの映画に出てきそうなヒゲのおっちゃん。

 アランと同じ雰囲気の男。

 夏に来そうな服装の女の人もいる、色気が溢れている。


(あ!)


 見つけた。 

 

 中央の会議所。

 そこに、見覚えのあるドワーフのおっさんがいた。


「ハグワンドさん」


 小さくつぶやく。


 ハグワンドさんを発見した、先に来ていたようだ。


 彼は自身の強靭なハンマーを地面に置いている。

 手持ちの上に手を添え、目をつぶっている。

 それは、精神統一のよう。


 声をかけようと思ったけど、これは邪魔しては行かないな。

 

(案外俺も馴染めるかもそれない、服装を変えればな)


「皆、待たせたわね」


 俺が頭の中でそう考えていると、ニヴェリーさんが皆に言った。


 反応は先程と同じ、皆、待ち侘びていたようだ。


 ニヴェリーさんは、中央の会議所へと向い歩き出す。

 それに俺も行こうとしたが。


「待って?」

「?」


 後ろには案内人。


 どうやら、案内人に止められたようだ、肩をトンと叩かれて。


「なんですか?」

「中央に行こうとしましたね?」

「はい」

「中央にはそれぞれ各代表の方々が集まっています。これは大事な会議。私たちは代表ではなく、ただの一般人」


 あぁ、確かに、俺は一般人だ。

  

 まだ、この国に来てそう長く経っていない。

 日の浅い青年だ、そんな俺が、この会議には出られない。

 これは、仕方ない事だ。


「ですから、私たちは中央の周りの席に座り、会議を見守りましょう」

「……そうですね」


 それがいいな。


「案内します」


 俺は案内人に誘導され、周りの席へと移動。

 半ば強引だが、まぁ、これくらいは良しとする。


 そこら辺の長いイスに座る、ここからなら見える。

 他の客もそうだ、みんなここに居る。


 中央は、少し緊迫な様子を漂わせている。

 

「始まるようだな……」


 誰かがそんな言葉を口にした、その瞬間に会議は、スタートした。


「皆の衆、よう集まってくれました」


 会議の第一声を果たしたのは、他でもない、ニヴェリーさんだ。


「ひとまず……その前に自己紹介を。私の名前はニヴェリー。準主よ」


 そうやって、少しだけ一礼をする。

 会議は初めてだからなぁ。


「各代表からも、お挨拶をお願いします」


 ニヴェリーさんがそう言うと、他の人が出て来て、喋りだした。


「私は王国研究員です。水の国から参りました」

「研究者、生態、植物などを研究している人よ」


 最初の人は、研究員、見るからに研究員らしい。

 ローブのような服装に手に持つ本、まさに研究員感が出ている。


 水の国から来たのか……どんな国なのだろうな。


「私は兵士代表。兵士長である」

「この街の警備、戦闘、兵士を管理するよ」


 今度は、重そうな鎧を身にまとった人が話した、顔は見えない。

 肩に背負った大剣が派手だなぁ。


「私は物資代表。整備や物資なら、私にお任せあれ」

「この国の物資は、彼女によって貿易、支持されているわ」


 こちらは、この国全体の物資などを見て管理する人。

 重要な人だ、そして同時に整備士でもあるらしい。


「儂は技術、鍛冶専門の代表。ハグワンド、ドワーフじゃ」

「鍛冶なら、お手の物よ」


 そして、最後にハグワンドさん。 


 中央に集まった人の中では、唯一のドワーフである。

 肉体の厚さや、ガタイの良さが目立っている。


 これが会議に出る代表の全貌である。

 

「では、早速。会議を始めましょう」


 待ちに待った会議、ついに始まる、どんなものなのだろう。

 さぁ、観覧といこうか!




‐‐‐

 



 会議が始まった、準主であるニヴェリーさんを進行に。

 会議が進められていっている。


「今回の会議にて、重要になる題。それは、かの堅陣龍ゴライアスの早期出現についてよ」


 堅陣龍ゴライアス。


 早期にやる出現、適格な年を開けていた土神の眷族ゴライアス。

 

 しかし、今回は違う、不定期での出現。

 それも突然、地震とともに出現し、被害を与えた。


 これは問題であろう。


「この事について、各代表、話は聞いてるはず、それに対しての考えを聞きたいわ」


 ニヴェリーさんは、この会議中にいる人に向け伝える。


 その言葉からは強い思いを感じる。


「ふむ、難儀ですねぇ」


 研究員がそう口にする。確かに難儀だな。


「こちらとしても、このような事態は初めて、未だどのような対応をしていいか……おっと、研究中ですよ」

「情報が不足している。か……」

「今のところは、ですねぇ」


 記録にある限りだと、このような事件は初めてですから。

 対応もままならないはずだ。


「じゃあ、被害は?」


 今回の被害について、尋ねる。


「右渓谷、下層部分が一部崩壊。それにより。周りの建物にも被害が及んだ、他にも住民の苦情、崩壊の後始末……っと」


 物資代表の人は、上二何かを書き込みながら言う。

 

「これだけでの被害、それを短時間に起こすなんて、やだねぇ」


「「「………」」」


 物資代表は嫌そうに言う、それに応じて何人かが頷く。

 

「私からも、被害対応に向かった兵士が、何人か負傷を追った、これは被害により飛び散った瓦礫によるもの」

「瓦礫ねぇ、掃除が大変」

「それだけでは無し。堅陣龍は、体を動かし、右腕と見られる部分にて、地面に衝突……した」


 腕が地面に衝突。

 

 それも、動いて衝突ではない、右腕を地面に叩きつけただ。

 これは無意識中に起きたことではない、意志だ。

 堅陣龍の意志だ。


「……つまり」


 ニヴェリーさんが、小さく、兵士代表の人に聞く。

 あの表情に言葉の言い方、多分だけど……分かっている。


 わかっていながらの質問だ。


 この状況に対する兵士代表の応答は………。


「うむ………これは、こちら側に対する【攻撃】だ」


 堅陣龍自身が、こちら側に攻撃をしたということ、自らの意思で。


「攻撃の意志が、あると言うことじゃのぉ」

「あら……」

「堅陣龍が、ですか……」

「………」


 その言葉に各代表も、それぞれ言葉を並べる。

 そして、そのまま黙り込んでしまう。

 

 対する、俺達観客たちはざわめきを上げ、話し合っていた。


 堅陣龍がどうとか、

 被害の状況だとか、

 それに対する答えは、とか、

 この事について、準主はどうなのか、とか。


 様々な考えが飛び交っていった。


「ちなみに貴方はこの事態、どう思います?」


 案内人さんが訪ねてきた。


「あー俺は、そうだな………」


 思う、っても、あんまり出てこないな、そういうのは。


 大変な時代だということは分かる、しかしそれにどう対処するかは、なかなか出てこない。

 

「全く、うるさいヤツらだ」


 ざわめきの中に、一人誰かが鋭い言葉を上げた。

 しかし、周りの喧騒にその言葉は消えていく。


 しかし、俺には届いた。その方向に目を向ける。


 そこには……。


「攻撃されたなら、こちらも返すべきだろ」


 そう独り言を唱えている。


 攻撃されたなら、こちら返すべき。

 まぁ、彼は冒険者だ。魔物などで考えればそうだろう。


 しかし、今回は相手が違う。


 なにせ相手は、土神の眷族、堅陣龍ゴライアスだ。


 この国は土神を崇め、信仰している、その土神の眷族にやり返す。


 たいそれたことだ。


「会議を続けましょう」


 ニヴェリーさんが言う、しかし周りはまだざわめきの中。

 これに嫌気が差したか、ハグワンドさんが自身のハンマーを地面に、何度か打ち付けた。


「これこれ、静まらんかお前たち! 会議中じゃぞ」


 その言葉と音に周囲も落ち着く……といえより、黙った。


 ハグワンドさんの威厳と風格に怖気ついたようだ、やっぱりカッコイイ!


「ありがとうね」

「遠慮ないわ」

「ふふっ、さて。では次に……この事についてよ」


 そうしてニヴェリーさんは会議を進める。

 今度は物資、後始末に付いてだ。

 これは先程の物価代表のお手の物だろう、慣れてそうだし。


 きっと大丈夫だろう。


「いや、これは……難しいわねー」


 そうともいかなかった。


「やはり、物資が足りんか」

「うーん、そうね。最近物資も少ないし、あるとこも鍛冶、外築に使ってる、そう簡単に回せれないわ」


「それに、人でも足りないしねぇ」


 住民は多いが、働く人が多いということ。


 ハグワンドさんみたいなドワーフも居るのは居る、しかし人間に比べれば少ない。

 

(いや、人が多すぎるだけか)


 どの国もそうだが、人間だけ数が異様に多いんだよな。

 

「被害の部分は、兵士達を回そう」

「ところで兵士長よ。そちらの兵士たちには建築、鍛冶技術を持ったものはおるかの?」

「小数。多いとはいえぬな」

「のおっと……」

「土の国は、他の国と比べて、人口が少ないようですねぇ」

「最下位ではないじゃろ」


 代表たちが意見という名の話し合いを重ねている。


 これ、会議なのか? 会議か……。


「それよりも、堅陣龍の攻撃に付いて聞くわ。堅陣龍は、なぜ、攻撃したと思うの?」


 ニヴェリーさんは各代表に向けて質問をする。


「あれは……そうじゃのぉ……ちょっと腕が痒かったとかじゃないのか?」

「たわけ。そんなことがあるか」

「はぁ……」


 研究代表は分厚い本を読み、なにかを調べている。

 ハグワンドさんと、兵士代表は話あいをしている。

 物資代表は腕に顔を乗せている。


 ニヴェリーさんは、代表達の話を真剣に聞き、見ている。

 なにか捉えたか、考えがあるのか。


 その後も会議は続いた。


 話的には変わらないが、重要な話が出ていた。

 

 それは、土神のこと。


 堅陣龍とがっつり関わっていることである。


 土神の事については、タータスさんからも聞いてるし、この会議でも聞いた。


 土神はこの国で崇められ祀られた存在、言うなれば風神の土版だ。


 土神は、この国を見守り、この地に力を与えている存在。

 土神の強大な力は、大地へと、響き伝わる。

 

 もし会えるのなら、会ってみたいものだ、どこにいるか分からないけど。


 風神だってそうだった、フィオネが居なきゃ会えなかっただろう。


 フィオネと会えたのも。運絡みだったし。


(人付き合いって大事なんだぁ……)




‐‐‐




 会議も終わり、真夜中。


 外月の明るさで飽和されているが、真っ暗なのは変わりない。


 今現在は外にて、暇をつぶしている。


 真夜中の外は危険だけど、涼しくて快適だからな。


 あ、あと、今日はこの太守閣にて泊まることになった。

 俺みたいな奴が泊まっていいかは分からないけどな。


「風が涼しい」


 それにしても今日は風が涼しい、今日は終わるけど。

 風の吹き方は穏やかだけど、時折強くなる。


 その時、またもや風が強くなった。


(ふ、吹き方は強っ! い、異常じゃないか……?)


 あまりの風の強さに手で顔を守る。足に力を入れ踏みとどまる。

 

 コートに近い服なので、服が凄い風に持っていかれる。


(なんだか……この光景、前にもみた気が……)


 と、思っている、今度は異様な気配を感じた。

 この空気と気配は……まさか!


 風が弱くなり、気配の元を追う。


 追った先にいたのは人、しかし気配は人間のものではない。


 そして、この人の見た目は……あの時の貴族の……。


「また、会ったな……!」


 あのときの貴族、見つけたぞ……。


 闇神の部下、あのイケメンにピエロの仲間。

 ここで悪事を企てる貴族に見せかけた化け物……。


 ここであったは百年目。


 お前の悪事は、俺が止めてやる。


 俺は肩にあった剣を抜き去り、腰に構える。

 強い目であの貴族を睨み、そして今、相手に向かって走り出す。

 

 その剣筋は一流だった。



 


 

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