第七十九話「代表集う会議」
俺はニヴェリーさんに連れられ、一階へと降りてきた。
一階は先程とは違い、皆が急いでるようだ。
これも会議の影響だろうか。
「先に行ってる」
アランはそう言うと、一階の、奥にある扉と向かっていく。
進行方向的に、あの扉の先が会議の場所であろう。
なんたって、扉が豪華だからな。
「皆、私が参ったぞ」
その時ニヴェリーさんが、一階にいる人たちに向け、一言言う。
前に出ており、威厳のある姿。
これは惚れる。
「おぉっ! 準主様」
「来てくださいましたか!」
ニヴェリーさんの言葉に、皆は歓迎の声を上げている。
「ニヴェリー様」
すると、こちらへと向かってくる人が見えた。
メガネを掛けており、黒い服装の男性だ。
見た目からは知的な雰囲気を感じる。
「作戦案内人です。ニヴェリー様を案内に」
「それは助かるわ。すぐに向かうとしましょう」
そう言って、口元を少しにこつかせる。
その時、案内人の人の目が、俺の方向へと向かった。
「ん、そちらの方は?」
おっと、俺は部外者だったな。
「こちらの方は……そうね。私が、個人的に気に入ってる者よ」
「ニヴェリー様が、個人的に? ですか?」
「そうよ。貴方も、この者から他ならぬ気配をかんじるでしょう?」
ニヴェリーのその言葉に、男はこちらに集中。
鋭く捉えられている。
(ちょっとこわい)
初対面の人に、こうも見られるとなぁ……。
数秒見つめられたあと、男は静かに答えた。
「確かに。他とは違うようですね」
「えっ」
「分かってくれたわね」
「はい、しかと」
なんだか、向こうで勝手に納得しているようだ。
俺には分からない、他とは違うって……なんだ?
(!)
ま、まさか……転生者と察せられているのか!?
「それはそうと。もう時間です、ニヴェリー様こちらです」
執事がするようなポーズをした後、作戦所に向かって歩き出す。
ニヴェリーさんも後を追い、歩き始める。
靴のせいだろうか、歩く事に音が鳴っている。
(あ、俺も行かないと)
遅れては大変だからな。
俺はニヴェリーさん、そして案内人の後をおう。
この先は会議だ、しっかりしよう。
礼儀、大事!
会議が行われる場所へと入った。
中は、受付がある場所と同じくらい広い。
部屋は今いる場所、そして真ん中に、一段さがった場所がある。
あそこが会議の中心だろう。
この部屋も先程と同じく、円となり、雰囲気も似ている。
違う所は……強いて言うなら、天井が低いことか。
会議所には沢山の人が集まっている。
ドワーフがいれば、人間もいる、今の所この2つの種族。
重そうな鎧を着ている人もいれば、軽く動きやすそうな鎧の人もいる。
他には、どこかの映画に出てきそうなヒゲのおっちゃん。
アランと同じ雰囲気の男。
夏に来そうな服装の女の人もいる、色気が溢れている。
(あ!)
見つけた。
中央の会議所。
そこに、見覚えのあるドワーフのおっさんがいた。
「ハグワンドさん」
小さくつぶやく。
ハグワンドさんを発見した、先に来ていたようだ。
彼は自身の強靭なハンマーを地面に置いている。
手持ちの上に手を添え、目をつぶっている。
それは、精神統一のよう。
声をかけようと思ったけど、これは邪魔しては行かないな。
(案外俺も馴染めるかもそれない、服装を変えればな)
「皆、待たせたわね」
俺が頭の中でそう考えていると、ニヴェリーさんが皆に言った。
反応は先程と同じ、皆、待ち侘びていたようだ。
ニヴェリーさんは、中央の会議所へと向い歩き出す。
それに俺も行こうとしたが。
「待って?」
「?」
後ろには案内人。
どうやら、案内人に止められたようだ、肩をトンと叩かれて。
「なんですか?」
「中央に行こうとしましたね?」
「はい」
「中央にはそれぞれ各代表の方々が集まっています。これは大事な会議。私たちは代表ではなく、ただの一般人」
あぁ、確かに、俺は一般人だ。
まだ、この国に来てそう長く経っていない。
日の浅い青年だ、そんな俺が、この会議には出られない。
これは、仕方ない事だ。
「ですから、私たちは中央の周りの席に座り、会議を見守りましょう」
「……そうですね」
それがいいな。
「案内します」
俺は案内人に誘導され、周りの席へと移動。
半ば強引だが、まぁ、これくらいは良しとする。
そこら辺の長いイスに座る、ここからなら見える。
他の客もそうだ、みんなここに居る。
中央は、少し緊迫な様子を漂わせている。
「始まるようだな……」
誰かがそんな言葉を口にした、その瞬間に会議は、スタートした。
「皆の衆、よう集まってくれました」
会議の第一声を果たしたのは、他でもない、ニヴェリーさんだ。
「ひとまず……その前に自己紹介を。私の名前はニヴェリー。準主よ」
そうやって、少しだけ一礼をする。
会議は初めてだからなぁ。
「各代表からも、お挨拶をお願いします」
ニヴェリーさんがそう言うと、他の人が出て来て、喋りだした。
「私は王国研究員です。水の国から参りました」
「研究者、生態、植物などを研究している人よ」
最初の人は、研究員、見るからに研究員らしい。
ローブのような服装に手に持つ本、まさに研究員感が出ている。
水の国から来たのか……どんな国なのだろうな。
「私は兵士代表。兵士長である」
「この街の警備、戦闘、兵士を管理するよ」
今度は、重そうな鎧を身にまとった人が話した、顔は見えない。
肩に背負った大剣が派手だなぁ。
「私は物資代表。整備や物資なら、私にお任せあれ」
「この国の物資は、彼女によって貿易、支持されているわ」
こちらは、この国全体の物資などを見て管理する人。
重要な人だ、そして同時に整備士でもあるらしい。
「儂は技術、鍛冶専門の代表。ハグワンド、ドワーフじゃ」
「鍛冶なら、お手の物よ」
そして、最後にハグワンドさん。
中央に集まった人の中では、唯一のドワーフである。
肉体の厚さや、ガタイの良さが目立っている。
これが会議に出る代表の全貌である。
「では、早速。会議を始めましょう」
待ちに待った会議、ついに始まる、どんなものなのだろう。
さぁ、観覧といこうか!
‐‐‐
会議が始まった、準主であるニヴェリーさんを進行に。
会議が進められていっている。
「今回の会議にて、重要になる題。それは、かの堅陣龍ゴライアスの早期出現についてよ」
堅陣龍ゴライアス。
早期にやる出現、適格な年を開けていた土神の眷族ゴライアス。
しかし、今回は違う、不定期での出現。
それも突然、地震とともに出現し、被害を与えた。
これは問題であろう。
「この事について、各代表、話は聞いてるはず、それに対しての考えを聞きたいわ」
ニヴェリーさんは、この会議中にいる人に向け伝える。
その言葉からは強い思いを感じる。
「ふむ、難儀ですねぇ」
研究員がそう口にする。確かに難儀だな。
「こちらとしても、このような事態は初めて、未だどのような対応をしていいか……おっと、研究中ですよ」
「情報が不足している。か……」
「今のところは、ですねぇ」
記録にある限りだと、このような事件は初めてですから。
対応もままならないはずだ。
「じゃあ、被害は?」
今回の被害について、尋ねる。
「右渓谷、下層部分が一部崩壊。それにより。周りの建物にも被害が及んだ、他にも住民の苦情、崩壊の後始末……っと」
物資代表の人は、上二何かを書き込みながら言う。
「これだけでの被害、それを短時間に起こすなんて、やだねぇ」
「「「………」」」
物資代表は嫌そうに言う、それに応じて何人かが頷く。
「私からも、被害対応に向かった兵士が、何人か負傷を追った、これは被害により飛び散った瓦礫によるもの」
「瓦礫ねぇ、掃除が大変」
「それだけでは無し。堅陣龍は、体を動かし、右腕と見られる部分にて、地面に衝突……した」
腕が地面に衝突。
それも、動いて衝突ではない、右腕を地面に叩きつけただ。
これは無意識中に起きたことではない、意志だ。
堅陣龍の意志だ。
「……つまり」
ニヴェリーさんが、小さく、兵士代表の人に聞く。
あの表情に言葉の言い方、多分だけど……分かっている。
わかっていながらの質問だ。
この状況に対する兵士代表の応答は………。
「うむ………これは、こちら側に対する【攻撃】だ」
堅陣龍自身が、こちら側に攻撃をしたということ、自らの意思で。
「攻撃の意志が、あると言うことじゃのぉ」
「あら……」
「堅陣龍が、ですか……」
「………」
その言葉に各代表も、それぞれ言葉を並べる。
そして、そのまま黙り込んでしまう。
対する、俺達観客たちはざわめきを上げ、話し合っていた。
堅陣龍がどうとか、
被害の状況だとか、
それに対する答えは、とか、
この事について、準主はどうなのか、とか。
様々な考えが飛び交っていった。
「ちなみに貴方はこの事態、どう思います?」
案内人さんが訪ねてきた。
「あー俺は、そうだな………」
思う、っても、あんまり出てこないな、そういうのは。
大変な時代だということは分かる、しかしそれにどう対処するかは、なかなか出てこない。
「全く、うるさいヤツらだ」
ざわめきの中に、一人誰かが鋭い言葉を上げた。
しかし、周りの喧騒にその言葉は消えていく。
しかし、俺には届いた。その方向に目を向ける。
そこには……。
「攻撃されたなら、こちらも返すべきだろ」
そう独り言を唱えている。
攻撃されたなら、こちら返すべき。
まぁ、彼は冒険者だ。魔物などで考えればそうだろう。
しかし、今回は相手が違う。
なにせ相手は、土神の眷族、堅陣龍ゴライアスだ。
この国は土神を崇め、信仰している、その土神の眷族にやり返す。
たいそれたことだ。
「会議を続けましょう」
ニヴェリーさんが言う、しかし周りはまだざわめきの中。
これに嫌気が差したか、ハグワンドさんが自身のハンマーを地面に、何度か打ち付けた。
「これこれ、静まらんかお前たち! 会議中じゃぞ」
その言葉と音に周囲も落ち着く……といえより、黙った。
ハグワンドさんの威厳と風格に怖気ついたようだ、やっぱりカッコイイ!
「ありがとうね」
「遠慮ないわ」
「ふふっ、さて。では次に……この事についてよ」
そうしてニヴェリーさんは会議を進める。
今度は物資、後始末に付いてだ。
これは先程の物価代表のお手の物だろう、慣れてそうだし。
きっと大丈夫だろう。
「いや、これは……難しいわねー」
そうともいかなかった。
「やはり、物資が足りんか」
「うーん、そうね。最近物資も少ないし、あるとこも鍛冶、外築に使ってる、そう簡単に回せれないわ」
「それに、人でも足りないしねぇ」
住民は多いが、働く人が多いということ。
ハグワンドさんみたいなドワーフも居るのは居る、しかし人間に比べれば少ない。
(いや、人が多すぎるだけか)
どの国もそうだが、人間だけ数が異様に多いんだよな。
「被害の部分は、兵士達を回そう」
「ところで兵士長よ。そちらの兵士たちには建築、鍛冶技術を持ったものはおるかの?」
「小数。多いとはいえぬな」
「のおっと……」
「土の国は、他の国と比べて、人口が少ないようですねぇ」
「最下位ではないじゃろ」
代表たちが意見という名の話し合いを重ねている。
これ、会議なのか? 会議か……。
「それよりも、堅陣龍の攻撃に付いて聞くわ。堅陣龍は、なぜ、攻撃したと思うの?」
ニヴェリーさんは各代表に向けて質問をする。
「あれは……そうじゃのぉ……ちょっと腕が痒かったとかじゃないのか?」
「たわけ。そんなことがあるか」
「はぁ……」
研究代表は分厚い本を読み、なにかを調べている。
ハグワンドさんと、兵士代表は話あいをしている。
物資代表は腕に顔を乗せている。
ニヴェリーさんは、代表達の話を真剣に聞き、見ている。
なにか捉えたか、考えがあるのか。
その後も会議は続いた。
話的には変わらないが、重要な話が出ていた。
それは、土神のこと。
堅陣龍とがっつり関わっていることである。
土神の事については、タータスさんからも聞いてるし、この会議でも聞いた。
土神はこの国で崇められ祀られた存在、言うなれば風神の土版だ。
土神は、この国を見守り、この地に力を与えている存在。
土神の強大な力は、大地へと、響き伝わる。
もし会えるのなら、会ってみたいものだ、どこにいるか分からないけど。
風神だってそうだった、フィオネが居なきゃ会えなかっただろう。
フィオネと会えたのも。運絡みだったし。
(人付き合いって大事なんだぁ……)
‐‐‐
会議も終わり、真夜中。
外月の明るさで飽和されているが、真っ暗なのは変わりない。
今現在は外にて、暇をつぶしている。
真夜中の外は危険だけど、涼しくて快適だからな。
あ、あと、今日はこの太守閣にて泊まることになった。
俺みたいな奴が泊まっていいかは分からないけどな。
「風が涼しい」
それにしても今日は風が涼しい、今日は終わるけど。
風の吹き方は穏やかだけど、時折強くなる。
その時、またもや風が強くなった。
(ふ、吹き方は強っ! い、異常じゃないか……?)
あまりの風の強さに手で顔を守る。足に力を入れ踏みとどまる。
コートに近い服なので、服が凄い風に持っていかれる。
(なんだか……この光景、前にもみた気が……)
と、思っている、今度は異様な気配を感じた。
この空気と気配は……まさか!
風が弱くなり、気配の元を追う。
追った先にいたのは人、しかし気配は人間のものではない。
そして、この人の見た目は……あの時の貴族の……。
「また、会ったな……!」
あのときの貴族、見つけたぞ……。
闇神の部下、あのイケメンにピエロの仲間。
ここで悪事を企てる貴族に見せかけた化け物……。
ここであったは百年目。
お前の悪事は、俺が止めてやる。
俺は肩にあった剣を抜き去り、腰に構える。
強い目であの貴族を睨み、そして今、相手に向かって走り出す。
その剣筋は一流だった。




