第七十八話「太守閣」
(堅陣龍……)
俺は思っていた。
堅陣龍ゴライアスを、この国との関係を。
そして、この事態を。
あの人と、ハグワンドさんから話を聞いて考え込むロベルト。
(考え込んでいるのぉ)
ハグワンドは考え込むロベルトを見て思った。
この若い年にして、こんなにも落ち着き考えている。
彼の目は真剣そのもの。
(どうにも、17という年令には見えんのぉ)
精神が研ぎ澄まされているようじゃ。
最新まで成人もしてなかった事は思わん、そう思っていた。
ロベルトの事は話で聞いていたので、知っている。
「むぅ………」
「………」
ロベルトは考え込み、ハグワンドはそれを見て唸っている。
しゃべりにくい空気だ。
「重い空気ね」
その空気を壊すかのごとく、先程の女性が間に入っくる。
「堅陣龍の事でしょうけど」
「うむ。まぁそうじゃな」
「私達にとっても突然の事。無理もないわね」
女性はそう言う。
「それより。私は彼に用があるの、すこし借りるわね」
「あぁ」
ロベルトに用があるとのこと。
なんだろうか、彼女とロベルトはあったことのない初対面。
なのに、何があると言うのだろうか。
彼女はロベルトに近づき、後ろから話しかける。
「ちょっと」
誰かに話しかけられた気がした。
「あなたに用があるの」
用、だって?
俺になんの用があるんだ。
さっきの堅陣龍のことか、いや……俺に聞いたと所で、意味はないだろう。
(分からない)
とりあえず、俺は一旦考えるのを辞め、後ろに振り向く。
(あ……)
そこには先程すこし話した、あのお偉いさんがいた。
その人が俺になんのようで……。
「貴方に用があるわ」
「俺に、用……?」
「えぇ。話したいこと、聞きたいこと……それと、あと少し」
「はぁ」
なんだ、事情調査か?
いきなりそんな事言われてもなぁ……。
でも、断るわけには行かないし。
相手はこの国のお偉い方。
断ったらなにされるか分からない、怖い。
「聞いても?」
「……分かりました」
「少しどけ時間を取るけど、構わないわね?」
「えっ、あ、まぁ……大丈夫です」
そうして、俺への質問攻めが開始された。
Q1「まず最初の確認……。貴女の"名前"を教えてくれないかしら」
そういえば、まだ名前すら言っていなかったな。
「ロベルト・クリフ。17歳です」
「ふむふむ」
(ロベルト・クリフ。特に偽る様子もないし、ドワーフの人が言う名前と一致する、名前は合ってるわね………それと、17、若いわね)
女性は軽く考える仕草を見せる。
その数秒後、ロベルトに向かいこう言う。
「名前は確認したわ。それと、次の質問の前に、私の方からも名前を言っておくわ」
「あ、名前……」
そして、女性はどこからか紙を取出し、それに何かを書き込む。
それにしても、紙か。
それも結構高そうな紙だ。
国のお偉いさんは伊達じゃないということか。
お金沢山なのだろう、分けてほしい。
女性は書き込みが終わったあと、その紙を俺の目に入るように前に出す。
その紙には……。
「……ニヴェリー?」
そう書かれていた。
「そう。私の名前はニヴェリー、覚えておきなさいね?」
「えっ、はい……」
流れに流されてしまったな。
それより、また1文の名前。
俺やグラスさんみたいに、◯・◯ではないのだろうか。
(あーもしかしたら、国ごとに違うのだろうか)
考えていると、ニヴェリーさんにより次の質問に進められた。
Q2「貴方は旅人のようだけど。なんのためここに来たのかしら?」
次は行動目的か。
旅人に聞いても旅で来ていますと思うが、いいのだろうか。
まぁ……でも、ここは答えておこう。
それに聖水もあるし。
「えー、この国に来たのは主に……人探し。そして聖水を届けるために」
「ふむ……ん、聖水?」
聖水の部分になにやら、感づいたようだ。
こちらを見ている。
「えぇ、俺の仕事で土の国のための聖水をととげるために」
「聖水は、どこにあるのかしら?」
「聖水は……あー、宿ですね」
今は手持ちにはない。
バックもない、肩の剣しかありません。
まぁ……今日は良い気分で外にお出掛けに来てるからな。
そして良い気分でお出かけして、偶然ハグワンドさんと出会って。
楽しく食事中に地震発生。
その後に、堅陣龍が渓谷に現る。
いきなり過ぎて分からない。
それにニヴェリーさんもだ。
(! もしや、この人があいつが言っていた刺客……?)
「その聖水を用意できるのは。アトリス王国、生命の大樹付近の街、貴方はどちらかしら?」
「アトリス王国から来ました」
「わかったわ。では、聖水は……そうね」
女性が腕を組み考え始める。
そして、少し上を向いたと、こちらに向き直りこう答えた。
「それなら、今日の夜。私たちの本拠点へと参ってほしいわ」
「本拠点?」
「えぇ、拠点へと参り、私の元へ聖水を届けに来て貰えるかしら」
本拠点か……。
そこに行き、聖水を届ける。
これで目的は完了でいいのかな?
(よし、いいぞ)
「貴方も」
「儂もか……」
どうやらハグワンドさんも本拠点に呼ばれるらしい。
「あの、ちなみに本拠点って、どこにあるんだ?」
「立派な建物。見れば分かるわ……それじゃあ、よろしく頼みますよ」
そう言われでもな。
あ、行ってしまう。
早い、歩くのが早い。
(行ってしまった……さて、夜か)
俺とハグワンドさんで行くことになる。
ローバンさんは無理だろう、指名手配中だし。
セイランは……いなかったんだった。
どこに行ったのだろうか。
それよりも……。
(また用事を作ってしまったな)
‐‐‐
夜
「それで、行くのか?」
「はい」
夜、少し支度したあと、ローバンさんと話し合っていた。
夜といっても、まだ薄暗い。
完全に真っ暗というわけではない。
まぁ……真っ暗でも、炎の光で明るいけど。
「大丈夫か?」
「なにがです?」
「そのニヴェリーという者、俺の知ってる限りだと、そんないい人ではないが」
「そうなんですか?」
そんな話初耳だ。
だが、見た感じだと、美しくていい人そうだけど。
「まぁ、お前次第だ。行ってみなければ分からない」
「そうですね」
そんな他愛のない話を続けていくうちに、時間が過ぎていく。
そしていつの間にか、7時を回っていた。
(もうこんな時間か……)
「では、そろそろ」
「あぁ、時間的に急いだほうがいいぞ」
それは確かに。
少し急ぎ目に行こう。
夜は暗いし、迷ったら困るけど。
最後に荷物の確認。
うん、バック所持、よし。
護身用剣、よし。
そして、土の聖水、よし。
準備は整った。
「行ってきまーす」
俺は出発した。
ここからは猛スピードだ。
素早く扉をしめ、廊下を音を立てないように走る。
そして階段を素早く降りる。
転ばないように。
「出かける」
走りながら、一言宿の受付に挨拶して扉を通る。
扉は閉める。
外は夜、真っ暗。
まぁ、火が灯ってるので、多少は明るいけど。
だが、それだけでは心もとない。
なので炎魔法で、手のひらに炎を浮かせる。
これを最大限に使う。
そうすれば、周りの光となれる。
遠くからみたら火の玉にしか見えないが、不安だからね。
さて、本拠点の場所。
ローバンさんから聞いた話ならば、今いる右渓谷のどこかにあると。
あと、炎が灯っており、立派で派手な建物なのですぐ見つかるらしい。
俺が立っている右の上側。
あっちに何か、すごい明るい光が薄ら薄ら見える。
(あそこだ、あそこにある)
上なので、階段を一気に登り上へと上がっていく。
登り切るのに胆力が必要。
足がつかれる、だがここでは終わらない。
(まだまだ!)
勢いよく登り続け、登りきった。
少し膝に腕をつけ、少し息を何度かはいたあと。
急いで走り出す。
走っている途中、前方を見ると、地面にそれらしい看板が立っていた。
(はぁ……はぁ……なんだ……これ?)
俺は立ち止まり、その看板を見る。
『この先、『天地の太守閣』天に広く、遥かな大地、天と地の大きな力を表した建物。
一人の天主。
下に2人の準主にて管理されています。
御用の方は、入口にて』
「ここだ」
この看板のある先、そこに大守閣はある。
一人の天主がニヴェリーさんだろう。
その下に準主が居るのだろう。
そうと決まれば、早速行ってみよう。
あの光の先へ。
俺走る、そして走り抜けると、渓谷が大きくごっそり削られた場所に到着。
そしてそこに太守閣はあった。
文字通り大きく立派、そして派手!
とても印象に残るような見た目、大きさを誇る建物。
これがそうだ。
「来たぞ、太守閣!」
大守閣に到着した。
ここからみてもとても立派だな、重要な場所だってひと目で分かる。
ニヴェリーさんの話だと、たぶんここにいるはず。
入口から入って、ニヴェリーさんの下へと向かう。
そういえばどこに居るかは分からないな……聞けばいいか。
よし、やる事は決まった。
さて、太守閣に入るとしよう、入る許可はもらっている。
太守閣へと向かい歩き出す、入口はあの扉だろう。
目立っているので分かりやすい、配慮は万全のようだ。
扉はオレンジ色の模様に木出できた頑丈な扉。
土の国らしい装飾もされている。
扉を押し、開ける、中に入ると広い空間に出た。
壁に松明が掛けられ、天井にはシャンデリラ、合ってはないけど綺麗。
そして真ん中に大きな柱、それを囲うように曲がったカウンターが置かれている。
受付は3人か。
周りには物を置くための台、そして何かの資料。
周りにも人だ。
そして目に入るのは右側と左側に見える大きな螺旋階段。
中もバッチリ……っと、早く受付に聞きに行こう。
受付は3人、まぁ……俺の正面の人でいいだろう。
受付カウンターに向かう、並んだりはしてないので早く行けた。
「すみません」
「あ、はい。ようこそ太守閣へ」
「えぇ、あの……用がありまして、大事な事なんですが」
「はぁ……」
ふと思った、ニヴェリーさんはお偉いさん。
そう安安と名前を出したり、この事を大きく言っていいのだろうか。
「あの、少し小声でお願いします」
「はぁ……はい」
俺はカウンターに右腕を置いて、受付の人に近づく。
そして右手でコソコソと喋る、周りからみれば、密談だな。
さて、ニヴェリーさんは天主だったな。
「実は……私、かの天主殿に、ここへ呼ばれているのです」
「えっ、ええ!?」
「あ。静かに」
「あ、すみません……」
ちょっと声が大きかったな、まぁ……驚くのは当然だろう。
「そ、それは本当ですか?」
「えぇ、今日の夜、こちらに参れと言われたもので」
「えぇ? ど、どういうことですか?」
「はぁ?」
伝えた、だが話がなんだか、合わないような感じだ。
受付の人は、どこかおかしな顔をしている。
「だから、今日の昼頃にそう言われて」
「ですが……天主様は―――」
「天主様は現在、アトリス王国へと向かわれております」
はい?
え、どういうこと? アトリス王国だって?
ここ、土の国だよな……でも、今日見たよな、地震のときも。
あんな流暢に話していた……あれは幻覚だったのか?
(ちょっとわからないな)
「ですが……今日の昼、見かけましたので」
「えぇ……? えっと……なにを?」
「なにって……地震のあと、私はこちらへ参れとと言われました。お偉いさんである女性から」
「…………あぁ!」
女性は、俺の言葉を聞いたあと、少し考える。
そして、突然なにかに気づいたかのように声を上げた、分かったか。
「ふふっ、あなた勘違いしてますよ」
「勘違い?」
勘違いだって、なにをだ?
「貴方は、ニヴェリー様の事を言っているのですよね?」
「あ、あぁはい、そうです」
「ニヴェリー様は天主ではなく、準主なのですよ」
あぁ、そうだったのか。
てっきり、この国の管理とか言うものだから、ずっとトップだと思っていた。
じゃあ、この国の実質トップは誰なんだ……?
「ちなみに。天主様はニヴェリー様のお父君なのです」
お・父・さ・ん・かよ。
はぁ……恥かいてしまった、こんな勘違いをしてしまうとは。
ロベルトよ、なんて情けない。
「さて、準主様に、用があるのですね……?」
「はい」
そうだった、さぁ、用を済ますとしよう。
「見たところ……配達員、貿易、どれにも見えませんが……」
そう言って、俺の姿を隅々まで見る、そんなジロジロと……。
「まぁ……いいでしょう。一旦人を通します。少々お待ち下さいね」
そう言って、受付の人は、人を呼び、先程のことを伝える。
伝え終わったあと、その人は階段を伝って上へと上がっていった。
ニヴェリーさんは上にいるのか。
そして数分経ったあと人が戻ってきた、受付に事を伝えている。
「……そうですか、ありがとうございます」
一言お礼を言うと、その人は持ち場へと戻っていった。
受付の人は、こちらへと向き直る。
そして一言。
「許可が出ました。準主様の部屋は。3階右廊下、その扉の奥に居ます」
ちょっと複雑だな、てか3階か。
「正式な場所なので、品の悪い事はお辞めに、それでは。ニヴェリー様がお呼びです」
「あぁ、ありがとうございます」
お礼を言ったあと、右側の階段から登りに階へと向かった。
二階は、またもや机や物、荷物なことで一杯一杯だ。
仕事天国ということか、大変だな。
よく見たら、変な鉱石もある……それを見たり触ったりしている。
研究なのだろう、物質の。
長くは見てはいられないので、続く階段を登り3階へと急いだ。
3階に着くと、3つの方向に廊下が分かれていた。
(ニヴェリーさんは、右だな)
こちらから見て、右の方向の廊下を歩く、歩いていると扉、そして。
一人の人物が見えた。
見た感じあの人は男の人、先客が居たようだ、挨拶しよ。
俺は後ろから近づき、声をかける。
「あのぉ……すみませんー」
「!」
俺の声に驚いたか、男の人は後ろへと振り向く。
若い人だ、整った顔をしている。
服装は土の国模様の服みたいだか、全体的に黒い。
ひと目で分かるが、俺より身長が低い。
「ここ……ニヴェリーさんの、部屋で合ってますか?」
「………あぁ」
良かった、合っていたようだ。
「お前は誰だ?」
ちょっと疑われてるのだな、まぁそれは仕方ないか。
「俺はロベルト・クリフです」
「ロベルトか………どうやって近づいた」
力強い目、タカのような目だぜ。
こちらを鋭く捉えている、俺、何かしたか……?
(何もしてないよな、うん。だよな)
心に聞いても、何も無い、なんで疑うのだろうか。
「ただ、後ろから」
「そうか」
「それより、貴方もここに用が」
「あぁ、呼ばれている」
同じだったようだ、それなら今なにをしてるんだ?
「今は?」
「待っているとこだ」
待っているところか、中でなにか準備でもしてるのだろう。
俺も、部屋に誰かが入るとき、少し待たせる。
部屋が散らかっていたら、見映えが悪いだろう。
と、思っていると、部屋の中から声が聞こえた。
ニヴェリーさんだろう。
「入るぞ」
「あぁ」
男が扉を開け、中に入る。俺もあとに続く。
中に入ると、またもや豪華な内装、色分なものが置かれている。
そして中央には高級そうな机、イス、そこにニヴェリーさんは座っていた。
社長室だな。
「よく来てくれたわね、アラン。そしてロベルト」
ご丁寧にお出迎えどうも。
あと、あの若い男はアランというのか。
「10分待った。先に用を言ってもらおうか、準主さん」
「えぇ、そのつもりよ」
そう言って、ニヴェリーさんは、資料を持ってくる。
ちなみにだが、席からは一切動いてない、棚や机の上の資料を素早く持ってきているのだ。
それも慣れた手つきだ。
「貴方宛の手紙よ」
先程の資料を、アランのもとに届くよ飛ばす、ゆらゆらと。
「なんだ?」
「冒険者の貴方にとって、大事な手紙。よくみなさい、重要よ」
「………」
アランは手紙の中を隅々まで見渡す、そして段々顔色が赤くなっていく。
「なんだと!」
「!?」
そして、いきなり叫びだした。
「待機、ここで? ふざけるなよ、何ヶ月待ったと思っている。なぜここにいかなければならない!」
「仕方ないわ、冒険者協会の伝言なのだから」
そう言うとまたもや、アランの顔色が赤くなった。
色々とあるようだ、関わったら面倒臭いことになる。
「……あんたの権力ならどうにでもできるだろう」
「その後が怖いのよ。相手は冒険者組織……つまり、アトリス王国」
冒険者組織。
アトリス王国が大々的に始め、今では全世界に広がった組織。
基本的には依頼式、冒険者は依頼をこなし成形を立てるのだ。
「くそ……いつまでこの国にいればいいんだ」
「一ヶ月は居てもらうわ」
アランは大きく舌打ちをして、後ろへと歩き敷き詰められた本に腰をおろした。
囚われているのだろう、組織からここにいろと。
囚われ……ということは、遠征班なのだろう。
「さて」
「あ」
俺の番か、よし。
「では、クリフさん」
「あ、はい」
「用……その前に、聖水をこちらに」
おっと、そうだった。
俺は鞄から慎重に土の聖水を取出し、慎重にニヴェリーさんに渡す。
よし、行ったか。
これでいいだろう、聖水。
「………確かに受け取ったわ。さて、本題に入ろうかしら」
聖水を棚に収納したあと、こちらに向き直り腕を組む。
どこかの父親のような手の組み方だ。
「クリフさん。あなたは力気、魔力をご存知?」
「そりゃ、基礎知識なので」
子供の頃に習うこと、貧乏な子供でもそのくらいは知っている。
「では、あなた力気、そして魔力を認識できますか?」
「できます」
戦闘中にさんざんやる事だ、慣れている、集中しないとできないけど。
「ふむ……では、後ろの男の力気、魔力を測ってみてください」
「あぁ?」
ニヴェリーの言葉に、アランが唸り声を上げた。
ちょっと怖いけど、測ってみるか。
俺は後ろを向き、アランに集中する、「測るのかよ……」という言葉が聞こえたが、気にしない。
集中し、相手の力気、魔力を測り、実力を捻り出す。
「む……」
お、湧き出てきた。
力気、魔力のオーラが溢れ出てきている、全体的に力気が多い、魔力も少し感じるぞ……。
このオーラ的にも強い、見た目が若いのに反して、凄いな。
「測れたかしら」
「えぇ」
「では、私も測ってもらいましょうか」
「えぇ……」
疲れるんだよな……。
俺は再度測る、結果的にはアランと真逆であった。
魔力が多く、力気が少し。
人によって戦士タイプ、魔法使いタイプがあるのだ。
「測れたわね、お疲れ様」
「あぁ」
一度に魔力や力気が多い人を測ると、とても疲れる、精神にくる。
読み酔い、というやつだ、なかなか厄介なんだよな……頭ジンジンする。
「測ってもらったけど……読みは、他人だけじゃなく、自分でも測れるのよ?」
「えっ?」
自分で測れるのか? 力気とか、魔力も。
本当なのか? だって、普通水晶玉を使って測らないと無理だ。
それを、自分で測るのかよ、ここでか?
「なにを教えようと言うんだ」
アランが口を挟む、しかしニヴェリーはそれを無視して話を進める。
「自分で測れると楽でしょう、ぜひやってみたい。そう思うでしょう」
「それはまぁ……本当に、できるのか?」
「えぇ。でも、それなりの集中力と見極める力が必要だけど」
結局は相当な訓練をしないと無理なのか、それもそうか。
「でも」
「でも?」
「簡単に測る方法があるのよ?」
「……!」
本当なのか、それは。
なんなんだ、その方法、急に気になってきたぞ。
知りたい、知ってみたい。方法があるのならば、それは。
「それはなんだ……!」
ニヴェリーさんが薄く、口をニヤつかせる。
「それは―――」
その時、ドアがトントンとノックされた、誰か来たようだ。
「入っていいわよ」
ニヴェリーさんが、手を机に置き、外に聞こえるよう言う。
それに応じてドアが開かれ、中に人が入ってくる。
従業員だろうか……あの耳はエルフか。
「わっ」
その人は、俺とアランを見て、驚く。
すみませんね、俺達いま、取込み中なんですよね、はい。
「言っていいわよ」
「あ、はい。ゔん……ニヴェリー様、そろそろ、会議のお時間で」
「あら、もうそんな時間。分かったわ、ありがとうね」
「い、いえ」
報告の後、あの人は、扉から出ていった……会議か。
「会議あるんですね」
「それはもちろん。私はこの国の管理者なので、国の行先を決める会議は必須なのです。貴方も体験しますか?」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん」
まさか、会議を体験していいとは……よい時に訪れたものだ。
貴重な体験だ、行く他あるまい。
「ならば、ぜひ」
俺はそう答える。
会議か……楽しみだ。
ワクワクしてきた。
心のなかで、がっポーズを取った。
「アランさん。あなたもよ」
「あぁ」
アランさんも一緒に行くようだ、さて会議か……どんな感じなのだろう。
(国の会議だし、国会みたいな感じなのだろうか……まぁ、詳しくは見てからのお楽しみだ!)
「では、着いてきて。会議所は一階よ」
そう言って、二ヴェリーさんが扉を開け、歩き出した、アランさんもその後についでいく。
俺も行くとしよう。
次回! 五章 土の国とゴライアス
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