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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国編
81/93

第七十六話「刺客」


「少女……?」


 それは、予想していた相手よりもはるかに、小さかった。

 普通の大人、盗賊かと思っていた。

 だか、違う。 

 

 そこに居たのは、見知らぬ少女だ。


(なんだって? この少女、なぜここに……)


 その時、ローバンと、少女の目があった。

 少女の目は、凛としている。

 そして……彼女は口にした。


「……バレたか」


(なに、バレただと……?」


「今は居ないはずだったけど……見逃したな」


 この少女、言葉通りならば、この部屋に侵入したと考えられる。

 しかし、この少女を見ると、それは信じられない。


 なんたってこの部屋に侵入してきたのだ。

 姿をみるからに、彼女はここらでは見かけない貴族か何か。

 そして……極めつけに頭に生えた目立った角。

 ここからわかるに、彼女は人間ではない。


(鬼人か)


 オーガではないか………しかし、なぜ彼女が……。

 土の国とは無縁だろう。

 それが、なぜこの国に、よりにもよってこの部屋に……。


 困惑している。

 その間も、彼女は、こちらを警戒しているようだ。


 しかし、ここでローバンは彼女の服装をみて思った。


(この少女の服装……そうか貴族! 貴族は昨日も……!)


 同じだ貴族の服装。

 あの貴族の言葉と、闇の者。

 そして……ロベルト。


(この部屋はロベルトの部屋……最近の出来事的にも、この少女の事を考えると……)


 にわかには信じにくい答えが出た。

 この少女……。


 この少女は、昨日の夜出くわした貴族の男と同じ。

 そして……奴が言っていた通りなら。

 この少女は、差し向けられた刺客。


 到底そうには見えないが。


「向かってこないんだ」

「なんだって?」 

「ほら。おじさんからみれば、私は侵入者、つまりここの盗賊と一緒だ」


 おじさん……。

 事実だが、言われるとな。


「捉えないのか」

「相手が少女だからな」

「……舐めてるな」


 そう言うと、少女は先頭の形に入った。

 その姿を見て、ローバンも若干構え向き直る。 

 ひと目見て分かった。


 彼女は慣れている。 


 少女に剣を向けるのはどうかと思うが、そうせざるおえない。

 ここは仕方ないからである。


「剣か……なら、武器を持つか」


(!? 闇……)


 そう言うと、何か唱えたあと。

 少女の手元に、黒いモヤが集結し、手元をおう。

 そして……次第に何かが見え始めた。


「えっ」


 それは強固な武器。

 そして……先端はトゲトゲ、みるからに荒々しい武器であった。

 極めつけは少女よりも丈の長い武器。


 棍棒だ。


「この武器で、仕留める」

 

「……はっ、鬼人らしい武器だ………」


 少女は棍棒を右手で持ち、後ろ側に寄せる。

 棍棒の先端が地面に落下、地面に罅が割れた。


 これだけ見ればわかる。

 あれをちょくに食らったら、骨の一本二本。

 簡単に持ってかれるだろうよ。

 本当にやばい。


(だが、この状況は、地元の国では慣れっこだ、適応してみせよう)


 それよりも、宿のお嬢ちゃん、すまない。

 弁償は、できない……。


「時間はかけない。なるべく早く仕留める。そこから、目標に向かう」


 目標、というと、ロベルトで間違いないだろう。

 少し情報を手に入れれるか。


「主様の、ご司令か?」

「お前に関係ない」

「主様というと、あの糸、を駆使する貴族か、そして冷たい表情、安易な人殺し

 主がああだと疲れるだろう」

「そんなことはない。主はすごい寛大、幹部の中でも知的だ」


 ふむ……。

 ロベルトの言う通り、闇神、そしてその幹部が関係している。

 それも、あの石とロベルトに。


 こりゃ大変な事に巻き込まれたな。


(まぁ、俺の人生は元から大変、修羅の道。そこは変わらねぇな)


「っと……長く喋りすぎた。お前を仕留める」

「来い」


 ローバンは鋭く、剣を構える。

 剣からは幾多もの戦闘の経験が溢れ出す。

 彼の力気がオーラとして蔓延する。


 それは少女。

 鋼糸を得意とする、主直属の部下。

 グラトニータ自身も気づいていた。


(まだ力気を隠してるな……)


 グラトニータは棍棒を持ち、ローバンに向ける。


(来る)


 そして、グラトニータは棍棒を手にローバンに向け攻撃に入った。


‐‐‐




 ローバンの剣と、グラトニータの棍棒が交差する。


「おぉっ……!!」


 す、凄まじい力だ。

 鬼人は伊達じゃねぇな。

 

 ローバンは剣を降った。

 しかし、グラトニータはその上をいき、高くから棍棒を振り落とした。 

 今はそれに耐えている。


(剣が折れなくてよかった、それよりも……この状況。ちとまずいな)


 今は押し合い状態。

 俺も力は強いご、相手は鬼人。

 少女でもすごい力が入ってくる。


 そして、ここは個室。

 こんな狭いところ、まともに動けない。


(そこだ)


 !? 横!


 グラトニータは押し合いから、棍棒を外し。

 再度横から棍棒を振る。


 しかしそれは外れる。

 ローバンは瞬時に、前へと避けていたのである。

 間一髪の避けだ。


「当たらない」

「戦闘経験は豊富だ、俺は簡単に勝てる相手じゃない」


 ローバンは剣を振り上げ、グラトニータの背中めがけて降ろす。


「すまんな嬢ちゃん……!」

「!」


 グラトニータは抵抗に出た。

 しかし、武器での攻撃ではない。

 驚いた。


「か、硬い」


 少女、グラトニータは、ローバンの剣を腕で受け止めた。

 貴族の服が破け、腕へと入っている。


 しかし、血はない。

 じゃあなんだ、この手は……義手か?


 グラトニータは手を振り払い、ローバンを押しのける。


「この服高いのに」

「それより、さっきのはなんだ?」

「さっきの、なんのこと」

「剣で攻撃したと思ったら、腕に弾かれたぞ」

「なるほど、そんなことか」


 少女は、服の破れ目から、中を見せる。

 そこには、腕ではなく。

 鉄があった。


(! これは、鉄の義手……!)


「武装してるんだよね。重いけど、これを付けてたら強くなれるから」


(………装備だった)


 だか、なんてやつだ。

 あの鉄をみるからに、重いだろう。

 俺は難なく持てるが、ロベルトだと何枚は辛いだろう。

 しかし、それをこの少女が。


 鬼人はちょっと分からないな。


 しかし、鉄の装備なら、どこかに守れない部分があるはず。

 軽装ならそうだ。

 そこを狙う。


 現に、俺はそこを狙い、炎の国の兵士を倒してきた。

 汚い戦法だが、強いのは確か。


「よそ見」

「おっと……!」


 棍棒が振り下ろされた。

 しかし、これは慣れている、速いが避けれる。


(あぶねえ!)


 棍棒をを避ける。

 空振った棍棒は、個室の地面に叩きつけられる。

 それにより地面のヒビ、衝撃が轟く。


(こ、これ。下に伝わらないよな)


(あたった、だけど、ここは木が厚く防音のはず。それなら大丈夫だ)


 防音といっても、今のは下にも伝わる。


「今だ!」

「むっ」

 

 ローバンの剣がグラトニータの棍棒にヒット。

 だか、それだけでは終わらず。

 剣士特有に果敢に攻める。


(早い)


 ローバンの剣さばきは強い。

 グラトニータの武器が重量、武器が武器のため伏せぎにくい。

 その間、高い服には破れ目が沢山。


(少し、犯罪の匂いがする。いや、気のせいだろう)


 しかし、鎧の部分はわかった、少女が軽装だということも。


「少し強めに行くぞ!」

「なっ」


 回転により遠心力をかけ、グラトニータめがけ薙ぎ払い。

 鎧には当たらなかったが、衝撃は伝わったようだ。


 グラトニータは、衝撃音とともに、部屋から廊下の柵へと衝突。

 倒れ伏せた。


 倒れ伏せたグラトニータは天井を見つめる。

 手を広げ、天井を見つめている。

 

 天井を見つめるのは、久しぶりの出来事であった。


(強い。主からいうと、このおじさんは上級クラス。手強いな……でも)


 棍棒を持ち上げ、ゆっくりと立ち上がる。  

 前からローバン。


(さすがにこのくらいじゃ気絶しないか)


 ローバンは構える。

 それと同時に、再度戦闘が開始。


 互いに攻める。

 剣と棍棒、中と重。

 どちらも戦い方が違うので、極めて難しい戦いだ。


「!」


 グラトニータは棍棒を振り回し、剣による攻撃をさせまいと。

 応戦し始めた。


 剣士にとって、距離は大切。

 それを重量のある武器で取られると、難しいのである。


 その間、振り回している棍棒が、廊下や、柵、地面のあちこちに当たる。


 ここは開けた廊下。

 そのため、衝撃音も大きい。

 当然、一階にも、音は響いている。



(なにこの音……)


 それは、受付カウンターの少女のもとにも届いていた。


(気になる、この音。なにか、重いものでも叩いてるような音)


 少女は気になっていた。

 2階から音が聞こえる。


 少女は気になった、先ほどが、聞こえる重音。

 そして、鋼が撃ち合うような音。

 

 少女は、カウンターからでて、一階の階段へと向かう。

 そこで向かう途中、一階から、二階の様子が見えた。

 二階の様子といっても、廊下だ。


 その廊下には、二人の人物が武器を持って、戦っていた。

 二人の中の一人は上客だ。


(なに遊んでるの……?)


 少女にはそれが遊びに見えた、しかし実際はガチバトルである。


(武器を持ってる。あれが音の原因、止めないと……)


 少女は、これでもこの宿の宿主。

 この宿で、このような音を出されるのは営業妨害。

 止めなければならない。


 しかし、2階へと続くは長い階段。

 しかしもこの小さい体。

 登りにくいだろう‥


(たいへん)



 ローバン視点


「うぉっ!」

「っ……」


 剣と棍棒が同時に、同じ力で重なり、相殺し合う。

 それにより、どちらも吹き飛ぶ。


 なんとか体制を立て直す、しかし相手の攻撃は止まらず。

 連続で攻撃を叩き込まれる。


「ちょこまかと、虫だなぁ」

「そうか……!」


 なかなかにやっかい。

 この鬼人の少女、だんだんとこちらの攻撃に慣れてきている。


 このままじゃまずいな……。


(ロベルトみたく、魔法を使ってみたいが。あいにく俺には無縁。

 魔法を使えれば有利を取れるのだろう)


 まぁ、今言っても遅いか。

 魔法剣士か……。


(っと、そんな場合じゃねぇ)


 このままでは、こちらが負ける。

 今は相手も乗りにノッている。

 こちらの戦法も、大体出した。


(あれを、やるか)


 仕方ないの、最近は使ってなかったから、訛ってなければ良いが。


 ローバンは一度距離を取る。

 しかし、それを逃さまいと、グラトニータも攻める。

 しかしその時!


 ローバンから、とても強い気を感じだった。


「っ……!」


 グラトニータも棍棒を引きずりなから、後ろへ勢いよくさがる。


 いきなり力気が上がった。

 やはり、隠してあった、グラトニータは確信した。


(さて、これだ)


 ローバンは、使っていなかった右手を。

 腰につけていた"もう一つの剣"に当てる。

 その剣を引き抜くと、鋼とは違う、紺色の剣が出てくる。


 それは、左の剣とは違う代物。


 グラトニータは見たことがないもの、ただの剣にしか見えない。

 しかし、ただの剣とは違う。

 そんな気を感じた。


「それはなに」

「これか、これは剣だぞ」

「違う。そういうことじゃない、その剣はなんだ、そう聞いてる」 

「あぁ、なるほど」


 ローバンは、少し沈黙したあと、グラトニータに言った。


「これは……魔法武器(マジックウェポン)だ」


「?」


 グラトニータには初耳だった。


魔法道具(マジックアイテム)とは、違うの?」

「魔法魔法は道具用途、そのほか。魔法武器は、戦闘用の武器であり、様々な効果があるものをいう」


「そして……」


 ローバンは、右手に持つ、紺色の魔法武器を振り払う。

 振り払った時、どこか謎のエネルギーを感じた。


「この剣に秘められた魔法効果。それは"受け流し"だ」

「はぁ?」


 受け流し。

 剣術にもよくあるものだ。

 それが、魔法の効果?


「受け流しって、普通の技だ。そんなものが魔法効果」 

「待て、ただの、受け流しではない」

「じゃあ、なに」


 そう言うと、薄くローバンは笑った。

 おっさんだから、謎に色気がある。

 

「これはな、相手の攻撃が重いほど。受け流しのときの攻撃が強くなる。

 そんな効果があるのだ」

「へぇ」


 相手の攻撃が重いほど、こちらの攻撃が強くなる。

 とっても強い効果だ。


「あ……!」


 グラトニータはわかった。

 その能力は自分が持つ棍棒にとても効果的だと。

 理解したのである。


(……だけど、そんな効果だけで、負けない)

 

「嬢ちゃん。悪いが、この剣で一撃で仕留めさせてもらおうか」

「舐めるなよ……」


 グラトニータは、棍棒を握りしめ、ローバンの下へと突撃。

 頭を目掛けて、横から振り落とした。


(ふぅ……)


 ローバンは、息を吸う。

 そして……一本前に出る、グラトニータとの距離は目の前。


「受け流しの構え」


 右手の剣で受け流しによる攻撃を構え、相手の攻撃を受け流す。

 それはスルッと。

 簡単に、受け流した。


 グラトニータの体が、ローバンの前へとのけぞる。

 その姿をローバンは横に受け流しながら避ける。

 グラトニータは、ローバンに背を向けた。


 この時、魔法武器による効果が発現する。


 攻撃するのは右手の、ローバンの剣。

 魔法効果により攻撃が上乗せされる。


(すまないな)


 心のなかで、一つ唱えたあと、剣を背中めがけ、振り下ろす。


 綺麗に服、そして鎧を切り裂き。

 薄く、背中を切り裂いた。


「あ……」


 重症ではない。

 しかし斬られた。

 

 それだけで、負けた。


 

(ふぅ、なんとかなったか)


 結果的に、少女を傷つけてしまった。

 しかしこれは仕方がない。

 命の奪い合い、ひゃくも承知だ。


「む」


 そのとき、頬に冷たい感触を感じた。

 何かと触ってみると、それは液体。

 見てみると、それは......赤かった。


(血か......)


 それよりも。


 少女の方を見る。

 先程の思い棍棒があたったか、辺りは瓦礫だらけ。

 少女は背中を抑えうざくまっている。


 この状況どうするか。

 今はポーションもないしな、傷は直せない、直さないが。


「おーい」


 その時、階段の方から声が聞こえた。

 振り向いてみると、そこには宿主の少女。

 受付カウンターの子が居た。


 姿を見て、俺は頭を悩ませた。

 そして一息吐く。


(今、一番会いたくなかった。さすがに聞こえてたか)


「......大惨事」

「あーすまない」

「......この子は」

「ちょっと侵入者? 敵の刺客だ」

「刺客って、なに? 指名手配されてるの?」


 うーむ、あたっている。


「されてない」

 

 これは偽りだ。

 本当は......いや、辞めとこう。


「どうしょうか」

「方法でもあるのか」

「とりあえず、警備の人につきだそうかな」


 突き出すか。

 この子を、君がか?


「この子は鬼人だ、それに運べるのか」

「その点は大丈夫。拘束魔法使えるから」


 そんな魔法まであるのか。


 受付の子は、少女の元まで向かっていく。

 そして眼の前、少女は振り向く。

 少女はうずくまっているので、今は受付の方が目線は上。


「さて、君が侵入した子であってる?」

「なんだ、お前」

「ここの店主だよ」


 信じられない、そんな顔をしていた。

 それはそうだ、なにせ、まだ子供だ。

 幼いのだ、なのに一人。

 

「君を、兵士につき出すよ」

「出来るの」

「拘束魔法があるからね」

「拘束魔法か......」

「そう。じっとしててねー」


 受付の子は少女に近づく。

 そして、なにか口ずさんだ後。

 手元に紐状の光った物が出現、あれも魔法なのか。


「いくよ」

「意味ない」

「え?」

「お前なんかに、捕まらない」


 そう言うと。

 突然グラトニータが前へと転がりながら勢いよく移動。

 そして煙玉らしきものを取り出す。

 あれは見たことがあった。


(まずい、にげるつもりか......!)


 グラトニータは煙玉を地面にぶつけると、辺りに煙が蔓延、煙に隠れ姿が見えなくなった。

 まずい、逃げられる。

 

 ローバンは剣を持ったまま走り出し。

 煙のところで一振り。


 すると剣による風とともに、煙が散る。

 それにより、煙が消えた。

 しかし、煙のところには誰も居ない。


 グラトニータは消えた。

 

 つまり『逃げられたのである』

 

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