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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国編
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第七十四話「迫る敵」

「早い所帰ろう」


 タータスさんから注意喚起されているからな。

 盗賊……とか、あった襲ってくるヤバい奴らだし。

 いや、ローバンさんも盗賊なんだけどな。


 とにかく。

 危ない目に合う前に、早い所宿に戻るとしよう。

 こんな真夜中に戦闘とか、したくない。


 あたりは真っ暗。

 まだ目が慣れていないのだろうか、先が見えない。

 

 それに加えて、この夜の寒さ。

 早い所戻ろう。

 凍え死にたくないし、盗賊にも会いたくない。


 そういえば。

 ローバンさんは、夜、大丈夫なのだろうか。


「道わかります?」

「当たり前だろう」

「前、見えます?」

「俺は夜の中で、何年も暮らしてきたからな。目は良いさ」


 流石に道は分かるか。

 にしても、このくらい中、よく前が見える。

 盗賊の力なのだろうか。

 それとも、慣れか。


 俺はそう簡単に慣れはしない。

 今日は、月も雲で隠れてるからな。


 来た道を辿り、宿へと急ぐ。


 宿とタータスさんの家は、同じ渓谷にあるので。

 道を辿るだけでよい。

 橋を渡らずに済む。


 でも、あの宿。

 結構迷いそうなところにあるからな……。

 路地は避けられないだろう。


「ここを進んだ先に路地がある。暗いがそこが近道だ」


 やっぱり路地だ。


 本当に行きたくない。

 しかし当然、そんな事言えるわけなく。

 渋々、ローバンさんの後を追い、路地へと向かうことに。


 近道してまで、危険を犯したくないんだがな。


(今言っても、遅いか)



‐‐‐



 路地は真っ暗。

 先程と同じく、前が見えない。


 しかし、それを見かねたローバンは、松明をつけるとのこと。


「火をつければ、辺も見えるだろう。問題は起こるが……」


 良かった。

 これで、あたりが見える。

 あと、温かい。

 炎で照らした灯りで、先へと進む。


 洞窟探検を思い出す。


 しかし、松明をつければ問題も起こる。


 それは……盗賊に目当てにされること。

 このくらいなかの松明の灯り。

 さぞ目立つことだろう。

 なにせ、暗い中、一つの灯りだ。


 加えて、俺たちは人数が少ない、ローバンさんと俺の2人だけ。

 格好の的だろう。

 絶対、有り金を要求してくる。


「静かですね」

「あぁ、嵐の前触れみたいな静けさだ」


 今のところ、気配はない。


 だとしても、油断はできない。

 いつ現れるか分からない。

 だから、あたりを索敵する。


(自分的には、このままなにも起きなければよいのだが)

 

 2人は歩く。

 静かな道をひたすらに。

 

 夜は長い。

 暗く明かりもなく、冷たい。

 その夜を、盗賊たちは好むもの。


 盗賊たちにとって夜は武器。

 夜にこそ、盗賊たちの本領を発揮できる。

 夜だからこそ、できる事がある。

 

 盗賊達は見る。

 一つの灯火を、今。

 一斉に獲物を捉える、鋭い目をした、盗賊たちが。


 このくらい夜の中の路地を、拠点とする盗賊たち。


 今、盗賊の中のひとりが、弓を構える。

 徐々に狙いを定め、松明を持つ男の背中を狙う。


(ヒヒヒ)


 見せつけてやるのだ、

 この夜の中、出歩く怖さを。

 盗賊たちの恐ろしさを。

 有り金と小道具を奪い取り、盗賊たちの強さを見せつけてやるのだ。


 盗賊たちは、二人を見る。

 未だ、こちらに気づく様子はない。

 なにも心配はいらない。


 松明を持つ男の力気は、苦戦するほどでもない。

 盗賊の一人は感じ取っていた。


 ただ、一つの疑問として、あの男の後ろにいる若い男。

 あいつからは力気も魔力も。

 なにも感じない。

 人形のように、全くと言って気が感じられない。


 この異質な男は一体………。


(まぁいい)


 男は弓を男に向ける。

 矢に全身を集中、狙うは頭。

 脳天に矢を打ち込み、一撃で仕留める。

 これこそが盗賊の快感。


(さぁ………いまだぁ!)

 

 今、矢が放たれた。


 音もなく矢は放たれ、松明わ持ったローバンのもとへ向かう。

 そしてそのまま音もなく、刺さる。



事はなかった。



「!」


 ローバンはすぐさま、剣を取り出し、後ろから迫る矢を斬り落とした。

 一瞬の出来事であった。

 素早い剣捌き、強者。


「なに!?」

「なっ……!?」


 ロベルトと盗賊は。

 この出来事に驚愕した。



 何だこれは。


 なぜ、ローバンさんは矢を斬り落とせれたのか。

 矢に気づき、素早く斬り落とす。

 まさか、そのくらいの技術があったのだろうか。


 それよりも!


「バーンさん!」

「ロベルト、敵だ。やりたくなかったが戦闘は避けられないらしい」


(えっ、なんだって)


 ロベルトは、あたりを見回す。

 暗闇の中でいない、と思った。

 しかし、違った。


 暗闇の中で、足音が響く。

 一人じゃない、何人もいる。

 これは、まずいことになった。


 そして、姿が見えてきた。


「ヘヘっ」

「刺す」

「おい、金、置いてけ」


 盗賊たちが、腰や、懐から剣や短剣を取り出し近づいてくる。

 殺す気満々のようだ。


 盗賊たちは、俺とローバンさんの二人を狙っている。

 おっさんもいれば、ちょっと若い男もいる。

 よりどりみどりだ。


「バーンさん、あの盗賊、お知り合いで?」

「いや、残念ながら違うな」


 カサドラ盗賊団の一員ではなかった。

 つまり、この国を拠点とする、野良の盗賊団か。

 ならば、問題ない。


 俺は背中の剣を抜き、片手に持ち、盗賊たちに向け構える。


「盗賊共、舐めるなよ」


 ローバンさんの団ではないのならば、問題はない。

 相手は野良。

 数々の人々を、ここで襲ってきた。

 

 容赦はしない!

 

「! ヒヒヒ」


 盗賊達は、未だに気色悪い笑顔を浮かべ、笑っている。

 気味が悪いな。


「ロベルト、準備はいいな」

「もちろんです。」

「よし。ロベルト、今回は殺さずに気絶、もしくは戦闘不能にするまで叩きつけろ」

「結構、惨くなりますけど」

「例えば?」

「土魔法で、四方から高速で岩をぶつけます」

「痛そうだな……」


 まぁ、しないけど。


「なに、喋ってやがる! かかれ!」


 盗賊達は脇目も振らず、襲い掛かってきた。

 一斉攻撃だ。


「さて、片付けるぞ」

「はい」


 俺とローバンさんは同時に飛び出した。

 その方向はどちらとも別。

 前と後ろで、背中を預けた。


 前には盗賊3人。

 それぞれ剣、短剣、剣。

 

 相手をみるからに、技術はそれほどではないが。

 戦闘経験は高いだろう。

 

 そして、気絶、戦闘不能にする……ここは。


 俺は飛び出したと当時に、持っていた剣を、上空に高く投げた。

 盗賊は気づいていない。


 しかし、ただ、投げたわけではない。


(俺が持っ武器は……)


 右手に土魔法を込める。

 武器を形成するんだ………形成する武器は。


 固く強靭。

 そして、打撃武器。


(そう、棍棒だ)


 打撃の武器なら、お手の物よ。


 突然の魔法による棍棒。

 それにより、盗賊は大いに驚いた。

 なにせ、剣を持っているのに、魔法を使ったからだ。


「魔法!? まさかコイツ、まほうけぶっ……!」


 盗賊が言い終わる前に、棍棒で顔面を殴り飛ばす。

 見事クリーンヒット。

 口から音を立て、後ろに飛んでいった。


「コイツ!」


 盗賊は攻撃を仕掛ける。

 ここはさすがの戦闘経験。

 武器の使い方は慣れているようだ。


 棍棒と、剣が交差する。


(良かった、石で作っておいて)


 土で作っていたら、壊れていただろう、危ない。


 ここで、上空に飛んだ剣が、落ちてくる。

 それを、見事キャッチ。


 棍棒で強引に、盗賊の剣を押しのけたあと。

 キャッチした剣の、手持ち部分を、勢いよくみぞおちに入れる。


 衝撃で、盗賊は、鈍い声をあげたあと、地面に倒れ伏せた。


「………コイツ」

「ふざけた真似を!」


「ほぉ」


 ローバンも、その状況を巧みなステップで見ていた。

 

「どこ見てやがぅ゙ぐがっ!!」


 ローバンは、素手での近接戦2持ち込んでおり。

 相手との距離感は掴んでいる。


 そして、衰えた所に、剣の持ち手部分で、盗賊の腹を突く。

 ドスッという音がした。


 2方向。

 ロベルト、ローバン。

 同時に攻撃したのだ。


(結構深く入ったか)


「コイツラやべぇ」

「言ってる場合か、早く!」

「させるか」


 ロベルトは、盗賊が驚くスピードで懐に迫る。

 ここでローバンと向き合う。


「ロベルト、行くぞ」

「! はい!」


 盗賊が、二人の後をおう。

 それと同時に2人は交差する。


 交代だ。

 

「ッ……!」

「!」


 剣に魔力を込める。

 込めるのは風の魔力。


 相手は殺さない、ただ戦闘不能にするだけ。


 地面に足を踏み込み。

 剣を勢いよく振った。


「真空波!」


 剣が振られるとともに。

 凄まじいほどの風が、敵を襲う。

 

「ぬぁぁあ!!?」

「なにぃぃぃ!!」


 盗賊は、衝撃と、凄まじい風により、飛んでいき。

 数十メートル先の、地面に転んだ。


 風の威力が強かったか、起きれないようだ。

 ……あ、ローバンさんは!


「終わったぞ」

「え」


 ローバンさんの方をみてみる。

 ローバンさんの奥には、盗賊達が、口から血を流して、倒れている。

 全員がだ。


(もう、終わっていたのか……)


「ロベルト、お前はどうだ」

「え、えぇ、今終わりました」

「ふぅ、終わったか。これにて、落着というわけだ」


 一応、これで、全員か。

 

「ん、まだ動いてるぞ」

「なに......」


 俺は風で吹き飛ばした盗賊を見る。

 気絶した、と思っていたがまだだった。

 まだ、少しは動けるようだ。


 だが、ここで動いても、変わらない。


 すぐに、気絶させる。


 俺とローバンさんは一度見合った後、同時に盗賊めがけ走り出す。

 ソレを見た盗賊は腰を抜かし倒れ込む。


「ッ......! 来るな!」

「やめろっ!!」


 来るな。

 そう言われても、こっちも譲れない。

 見てると可哀想だが、俺達を襲ったんだ。


 覚悟してもらおう。


「ッ......!?」


 ローバンは走ってる途中、感づいた。

 前から漂う、異様な殺気を。

 いち早く、感づいた、ただごとではないと。


「ロベルト!」


 ローバンは呼びかける。


「!?」

「下がれ、危険だ!」


 ロベルトはその言葉を聞き驚いた。


 危険?

 なにがだ、盗賊がか?

 いや、危険も微塵もない。

 一体何が.........。


「上から来るぞっ!」


 う、上。

 ロベルトは一旦後ろ浮きにジャンプし、上を見る。

 そして気付いた。


 上から降り注ぐ、銀の光を。


「おい、なんだ!?」

「なにがおこって......!!」


 その瞬間。

 盗賊がいた辺り一変に。

 鋭い銀の光が、綺麗に降り注ぎ。


 盗賊たちを細切れにした。



「なっ......!」

「なんだ......」


 いきなり盗賊が、あんな。

 細切れ、ありえない、何が起こった。


 前方を見る。

 盗賊の死体の周りに銀色の光が浮いていた。

 あの光は、一体......。


 ん?


 銀色の光をよく目に捉える。

 ここでロベルトは気付いた。


 これは、光とは全く別のもの。


(これは......針? いや、糸......か?)


 銀色の光は、針、または、糸のようにも見えた。


「ロベルト、無事か」


 ローバンが駆け寄ってくる。

 怪我は、負ってなかった。


「えぇ、なんとか」


 だが、いまのは一体。

 なぜ、いきなり盗賊たちが細切れに......。

 わけがわからない。


(......それよりも)


 激臭。

 人間の死んだ臭い。

 とんでもない臭いだ。

 きついな......。


 とっさに、手で鼻をつまむ。

 

 まだ臭う、やばい。

 だが、一番の問題は、この死体を、どう処理するかだ。

 このまま放置しておくわけには行かない。


「この死体、どうしましょうか」

「さぁな、魔法でなんとか出来ないか」


 魔法。

 死体をどうにかするならば。

 水魔法、風魔法、炎魔法、土魔法が思い浮かぶ。

 

 あ、待て。

 風魔法はダメだ。

 臭いが国中に蔓延してしまう。

 想像するだけで、壮絶とするな。


「火葬にしときます?」

「燃やすのか......まぁ、それが一番手っ取り早いか。死体を処理するにしても、辺りに蔓延しな......!」


 突然、ローバンさんの言葉が途切れた。 

 ローバンさんは死体の方向を向いている。


 俺は、疑問に思った。


「ローバンさん?」

「なにか居る」

「え?」

「見ろ。あれは誰だ......」


 ローバンさんの言葉どうり、死体の方向を再度見る。

 そこには......人がいた。


(は......?)


 死体の方向には、貴族を思い浮かべる格好をした、人が居た。 

 いや、あの格好は遺族そのもの。

 男の貴族、漫画で出てきそうな風貌。

 冷たく表情のない顔だ、でも、なぜここに?


「誰だ」


 ローバンはすぐさま、その人に向い、強い言葉を放つ。

 警戒している、それもそうか。


 ローバンさんの言葉に対し、男は初めて、言葉を話した。


「私は......闇のもの」

「......なに?」


 ......なんだって?

 闇の者だって? 闇って言ったら、あの闇か?

 闇、思い化べるは闇神と、その部下。

 こいつがそうなら、あのピエロとイケメンの仲間ということになる。


 充分に警戒が必要だ。


「名を名乗れ」

「今は、その時ではない。時間をおいて話そう」

「なんだお前は......闇の者とか言ったな、それはなんだ」


 ローバンが質問する。

 闇の者、闇神の者のことを指すのだろう。

 俺は知っている。


「私は闇神に忠誠を誓う闇の者。闇を崇拝し、闇の道を作る者。私の計画はすでに始まっている」

「計画......?」

「私は、命により。この国を混沌に招き入れる、そのつもりだ。ロベルト・クリフ、お前なら分かるであろう」

「!?」


 いきなり名前を呼ばれた。

 俺の名を知っているということは、やはり。


「知り合いか」

「いえ、ただ間接的に、関係があります」

「そうか」


 ローバンは少しだまりこむ。

 その間に、男は話す。


「ロベルト・クリフ、石を持っているだろう。渡してくれないか?」

「なぜ、渡す必要が?」

「その石が必要だからだ」

「なるほど......だが、、答えはNOだ。理由はお前は怪しいこと。そして、得体のしれないやつに、この石を渡すわけがないからだ」

「アイツのときもそうだった。お前は警戒深いようだな」


 男がゆっくりとこちらへ歩みを進めてくる。

 それに気づき。

 ローバンは素早い動作で男に剣を向ける。


「......それ以上近づいてみろ」


 ローバンは剣を横に振る。


「怪我ではすまんぞ」


 脅しである。

 こうすれば、大抵の敵はビビって逃げていくだろう。

 しかし今回は違った。


「やってみろ。その前に私の鋼糸が、お前の首を飛ばす」


 対抗してきた、怖い。


 それよりも、鋼糸といったか。

 鋼の糸というわけか。

 これはまた、厄介な能力だ......いや、魔法か?


 あのイケメンにピエロの時もそうだったし、よくわからない。


 二人の間に、静かで異様な空間が生まれる。

 どちらも相手を見ている。

 異質な光景、近寄りがたい。


(......!)


 俺は息を飲む。

 

 そして。


「はぁ、このくらいにしておこう」

「?」

 

 男がため息をつき横を向く。

 諦めてくれたか?


「今回は退こう。私は忙しい。そうだ、明日、私の刺客がお前のところに来るだろう、一筋縄では行かないだろう。

 注意はした、私はここで退くとしよう」

「! おい、まて!」


 男は手を巧みに回すと。

 周りに黒色のオーラが出現、男を飲み込み、消え去った。

 あれは、どういう原理で......。


「居なくなったか。ヤツは刺客といった、こりゃ、とんでもないことに巻き込まれたな」


 薄く笑いながら、そういった。

 俺は結構前から、関わってるけど。


「さて、帰るか」

「はい......あ、死体は.........」

「あぁ、気づいたらなくなっていた。訳がわからんな」


 本当だ。

 確かになくなっている。

 どういう事だ。


「一体これは......」

「さぁな、まぁとりあえず。宿へ戻るとしよう」


 そうしよう。








 




 


 




 


 

 


 

 

 

 

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