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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国編
77/93

第七十二話「土の市場」

5日ぶりだ......。

 ロベルトは現在。


 理由は簡単。



 先に行ったミラを追いかけているのである。


 市場に行く。

 これだけで、こんなことになるとは。


 早くいかないと、逸れてしまう。

 ミラたちの見守りを任されている身として、あってなならない。

 なんとしてでも防ぐ。

 でないと、お礼にならない。


 それにしても。

 まさか、先に行ってしまうとは思わなんだ。

 タータスさんから注意されていたから、じっとしてるだろう。

 そう思っていたが……違った。


 全く……困った子だ。



 現状確認。


 リオネやネミなど、一応荒れてる? 

 だが、この2人はなんとか対処できた。

 2人も先に行ったが、ミラほどではない、土壁で周りを囲み確保した。

 ルルは暴れないので大丈夫。

 可愛い子だ。


 ルーシェはやはり長女。

 暴れてないし、やけに......静かだ。

 うつむいてる。

 腹でも痛いのか? と聞いたら、大丈夫らしい。


 本人が大丈夫というのだ。

 大丈夫なのだろう、多分。


 で、問題は獣人のミラ。

 足が早いので苦労する。


(……なんとかならないか)


 何メートルか先にミラ達が走っている。

 さすがは獣人。

 移動に関しては、運動に関しては種族一か。

 いやいや、そんな場合じゃない。


 他の子はともかく、ミラだけは追いつけるかどうか。

 普通に走っていると無理だろう。

 ならば……。


 空中飛行。


 これだ。

 ロープを使って、移動する。

 なるべく目立たないよう、家の屋根を移動していく作戦。

 これなら行ける。

 ロベルト、俺の技術で、追いつく。


 それよりも、この屋根。

 移動しにくい。


 木造建築の家々をロープで移動していく。

 土の国の家は複雑。

 風と違い、障害物が多い。

 地形もまったく違う。

 ふと集中を切らせば、ぶつかる。


 経験した身として、避けたいところ。


「お、止まってる」


 前方の路地。

 あまりの人の多さで、ミラが通れてない。

 そうか、今は夕方、七時くらい。

 この国では、夜になると活発的になる。

 忘れていた、基本知識だ。


 この期を逃すわけには行かない。


 現在屋根の上。

 上から見渡す景色は素晴らしい。

 夕焼け空、すこし暗い。


(......とりあえず降りるか)


 ロープを、そのへんの突起に巻き付け、ガッチリ固定。

 そのまま下におろす。

 大丈夫、下に人は居ない。

 

 ミラは現在進行停止中。

 確保、追いつけれる。


 ロープをたどり、下へと降りる。

 なるべく素早く。

 そして、地面に着地する時に、音を立てないよう気をつける。


(よし、うまくいった)


 さっさと急ごう。

 ミラはすぐそこだ。



‐‐‐



「むー通れない!」


 前も、後ろも、横も。

 人だらけで通れない。

 先に進めないのにゃ!


 ミラは早く市場に行きたいのに、このままじゃだめニャ。


 あたりは人で溢れかえっている。

 どこもかしこも、人、ドワーフ、人。

 場所が場所なので、思うように先にも進めない。

 

 強引に行こうとしたが、タータスと約束したので、それはだめ。

 なので。

 必然的に、止まるほかないのだ。


(はやくしないと、あの人間が来るのです……!)

 

 ミラを捕まえに来る。

 

 捕まったら、どうなるか分からにゃいのです!

 ぜったい嫌にゃ!

 ミラはどうにゃるのです!

 

 ボスは『いい人』って言ってたけど……ホントがどうかは分からにゃい。

 あれは、えんぎ、かも。

 ミラ、経験した事あるから、分かる。


 しょうじき、そう思ってた。

 

(捕まらないように、しにゃきゃ!)


 ミラは腕でガッツポーズをとる。

 その背後には。

 退屈そうな顔をして、こちらへと向かってくるロベルトが居た。


 ロベルト!?


 すぐそこまで、ロベルトは向かってきていた。

 早い、音もなく走っている。


「ミラ」


 その時、後ろから声が聞こえた。


 男の声。

 でも、聞いたことがある声。


 不思議に思ったミラは声の方へと振り向く。

 そこにはしゃがみこんでいる男。

 ロベルト・クリフが居た。


 ミラは思考が一瞬停止。

 そのまま硬直する。

 ロベルトもまた、ミラの反応を待つ。


 数秒たちようやく思考が戻る。


「ぎゃぁぁぁぁ「捕まえた」……!」


 ロベルトに見つかったことに驚き、慌てて叫ぶ。

 ロベルトは腕でミラの肩を掴む。

 途端に、騒ぐのを辞めた。


 ミラは捕まってしまった。


「流石に、人が多かったか」

「ううー!……見つかった!」

「全く、先に行くなと、あれほど言われたのに」


 ロベルトが顔を欠きながら、淡々と口を告げる。


「……ごめんにゃのです」

「いい。それよりも、早くみんなのところへ戻るぞ。待たせてるからな」

「あえ、おこらない?」


 ここで疑問に思った。


 なぜ怒らないのか。

 なぜ叱らないのか。

 悪いことをした。

 普通は叱るはず……と。


(なんで?)


「ん?」

「な、なんで怒らにゃいのです!」


 ロベルトに伝わるよう、大きい声で話す。

 

「怒る?」

「ミラ、悪いことをしたのです。悪い子としたら、叱られる......!」

「あぁ、そうか」


(まぁ、叱るだろうな)


 叱る気配がない……。

 なんで?


「まぁ、先走ることは、誰にだってある。ミラも、興奮のせいで走ったのだろう」


 わざとではない、ということである。

 ロベルトはわかっている。


 ミラ土の市場という、衝動に駆られたことを。

 子供特有の現象。

 これは仕方ないのである。

 だって、子供だから。

 それも8歳。


 こんな事でいちいちキレていたら、大人げない。


「あと、ここは公衆の面前。こんなところでは怒らない」

「そう?」

「そう、とにかく、そろそろ戻らないといけない、いいか?」


 言葉がやさしい。

 いや......最初からだ。

 気づかなかったというより。

 分からな、かった?


「うーん……」

「何か不満か?」



 ロベルトは聞く。

 しかし、ミラは唸ったまま。

 その反応に、ロベルトは疑問に思ったが。


「あー! わかった、はい! にゃのです!」

「おっ!?」


 いきなり大声を出し、肯定した。

 声の大きさに、周りの人が何人か見向きした。


(まずい、見られてる)


「ミラミラ、おおきい声をだすな……静かに。周りに迷惑だから」

「あ」


 それを言われると、途端に恥ずかしくなった。


「行くぞ」

「うん」


 ミラは素直に言った。

 それは、ミラにしては、珍しいことだった。


(なんだ、素直じゃないか)


「じゃあ行こう、あ、手つなぐか?」

「えー?」

「手を掴んでないと、また逃げ出しそうだから」

「でも……」

「ミ・ラ?」

「う……じゃあ.....….」


 半間脅しに近かったが、手を繋ぐことに成功。

 これで逃げられない。

 無理やり振り回されなければな。


 ミラ自体不満はあった。

 こんな、理由のわからない奴の手なんか取りたくない。

 そう思った。


 だけど……今回は少し違う。

 いつもの反応である、不快感は出ていなかった。

 それはなぜだか分からない。


 しかし、ミラは簡単に振り切った。


(まぁ、いいかニャのです!)


 純粋である。

 

 ロベルトの手を握り、来た道を戻る。

 急ぎながらも、ゆっくり歩いたので。

 時間はかかった。


(あれ? また……)

 

 いつもはミラ、駄々をこねる。

 おそいー! って、おこっちゃう。

 でも、今日はなんだか、そんな気にならない。


 怒るときにピンとくる事。

 いつも逆だってる耳。

 それが、逆立ちもしないし、ピンとも来ない。


「ついてこれてるか?」

「できる! にゃのです」

「うん? まぁ、いいか」


 なんだろう。

 怒るとは、別の気持ち。

 ボスとあった時に似てる!


(でも何で、今?)


 ミラは気づいてないが。

 嬉しそうな顔を浮かべている。

 

 それはなんとも嬉しそうな。

 幸せそうな、顔。

 はたから見れば、妹と兄。

 恥ずかしい。

 本人は気づいていない。


 ちなみに、ロベルトは気づいていた。


(嬉しそうだな)


 ロベルトはミラの様子を見ながら、皆の元まで急いだ。



‐‐‐



「おそーい!」



 ミラを連れ、皆の元までようやく到着した。


 みんな、だいぶまったようだ。

 時間を取らせてしまったな。

 早く行こう。


 ロベルトとミラが手をつなぎ、向かってくる姿を確認。

 ここで少女たちは驚いた。

 別に普通なのだが。

 少女たちにとっては驚愕問題であった。


(((ミラが手を繋いでる〜!?)))


 あの凶暴な子猫が。

 わがままで、傲慢なミラが。

 なんでもかんでもパワーで解決しようとする。

 あのミラが......。


 ものも言わずに、手をつながれてる!?


「夢じゃないの?」

「ど、どうしたのかな......」

「ルー姉、手、どうかしたの?」

「えっと......私も、分からない」


 それぞれ驚いてるもの。

 疑問に思っているもの。

 考え事をしてるものに分かれた。


 その状況にロベルトは困惑した。


(何やってるんだ?)


 帰ってきたら。

 こんな事に。

 様子を見るに......なにかに驚いている?


 いや、しかし。

 驚く要素なんてものはないはずだ。

 

 なにがあったのやら。


 うーん。

 自分で考えても、なにもない。

 あ、俺に何かついてるのか?

 いや、ついてない、顔も通常通り。


(ならば、なぜ?)


 そうだ、ミラなら知ってるかもしれない。


 丁度横にミラがいる。

 彼女は、彼女たちと仲が良いだろうから、なにか知ってるかも。

 聞いてみよう。


「ミラ」

「んんー?」

「彼女たちなんだけど」


 指をさして説明。

 このほうが分かりやすいだろう。


「――みたいなんだけど」

「知らなーい。にゃのです」

「あれ......そうか」


 ミラでもわからんか。

 それなら、知る予知はないな。

 仕方ない。


 おっと、そんなことよりも。

 はやく、皆のところへ戻ろう。

 立ち止まってる場合ではない。

 行かなきゃ。


 皆の元はミラを連れ歩き出す。

 待ちくたびれてるな。


「待たせたな」


 開口一番。

 あの名言を披露。

 これで遮られるか。


「遅い! 時間かかりすぎ!」


 無理だった。


「すまない」

「市場行くだけなのに、なんでこんな時間無駄にするの......」

「ごめん」

「んー!」


 頬を膨らませて、拗ねてしまった。

 やっぱり、子供だな。


 おっと、リオネすまん、だけどここは我慢してくれ。

 市場で、なにか買ってやると約束しよう。

 そうだ、玩具でも……ないか。


(まぁ、約束しなくても、使われるのは明白だが)


「そ・れ・よ・り・も!」

「なんだ?」

「違う! ミラ〜?」

「......にゃに」

 

 退屈そうに答えるミラとは裏腹に。

 リオネはテンションが異様に高い。

 それに、この言い方。

 俺は知っている、これは、面白がっているときのテンションだ。


「いつまで手、繋いでるの?」


 あぁ、そういえば。

 ずっと手を握っていたな。


「………」

「それも静か……いつもは暴れたりするくせに」


 タータスさんから聞いた事だ。

 ミラは他の子達とは違って、凶暴だと。

 これは。

 ミラ特有の性格だと思ったが、実際は獣人特有の性質らしい。

 

 獣人、幼い頃は大体がちょっと凶暴らしい。

 それに、自分以外の人に対し、凶暴的。

 そりゃそうだ。

 獣人は自分の強さで、縄張りを表すからな。

 

 弱ければ、縄張りも作れない。

 獣人にとって、強いものが一番=群れの『ボス』となる。

 それは、獣人にとって当たり前で、常識である。


 と、ここまで説明したとおりならば。

 ミラが抵抗するはず。

 なにせ、最初にあったときの威嚇っぷりを考えれば、分かること。


 なら、なぜ暴れないのか。


「うるさい、にゃのです」

「......!」


 ミラは静かに答えた。


 驚いた。

 俺ゃてっきり、前みたいに大声で叫ぶのかと。

 「は!? 黙れ! にゃのです」と。

 どうなってるんだ、この状況。


 周囲は沈黙する。

 誰もが無言、嫌な空気だ。


 なんとか打開しないと。


「ま、まぁまぁ、いいじゃないか。それよりも、土の市場に行くんだろう?」


 この空気を打破するため、一声かける。

 早く土の市場に行かないと。

 時間が立ちすぎている、一時間だぞ?


「ミラ、リオネ、いいか?」

「......分かった(にゃのです)」

「よし......ネミはどうだ?」

「……はい」

「よし」


 ミラ、リオネ、ネミ。

 三人からは了承を得た。

 正直、またなにか言われるかと思ったが、そんな事はなかった。

 

「ルーシェとルルは、大丈夫?」

「あ、うん大丈夫です......ルル、いい?」

「......うん」


 よし。

 全員から許可はもらえた。

 

 これで、行ける、ようやく。

 少々時間を挟んでしまった。

 だけど、準備は整った。


「みんな、出発するよ」


 みんなが頷いた。


 よし、さっそく行こう。




‐‐‐




「わ〜!」


 土の市場についてそうそう、ミラが感激の声を上げた。

 リオネやネミも嬉しそうだ。

 

「ついについた! にゃのです!」

「でも人いっぱい」

「うー……」


 土の市場


 人がぞろぞろと入り組んでおり、見ての通り混んでいる。

 これは、移動するのが大変そうだ。

 上手く進んでいかないと、先には行けそうにない。

 でも、これ動けるか?


「さて、どうするか」

「なんでこんなにいっぱいになるかなぁ……」

「夜に近づくほど、ここは栄える」


 そうだったはず。

 だが、これのおかげで問題になった。


「むー……なら!」


 なにか、考えがあるようだ。


 ミラは、足で地面を蹴り始めた。

 そして、体制を下げ、四足歩行の形へと切り替わる。

 これは……獣人の。


 今からする事に、必要なのか。

 

「……ミラ、なにするの?」


 ルーシェが恐る恐るミラに尋ねる。

 

「行く!」 

「あっ……」


 ミラは自身満々に言った。

 それを聞いて、ルーシェは何かを察し、後ろへと下がった。


 行く! って。

 何をするつもりだ?


 ルーシェ以外の子達も、なんだか思うことかあるようだ。

 俺は、分からない。

 なにせ、今日あったばかりだから。


「あらら……全くミラは」

「またやるのかな」

「ルー姉、何がはじまるの?」

「……いつものこと」


 いつものこととは。

 はたして、これから一体何が……。


 ミラが完全には体制をおろし。

 四足で地面に這いつくばった。


 一見邪魔に見えるが。

 ここら入り口付近、人はそれほどまでいないので大丈夫。

 まぁ、ちょっと不審な目で見られるけど。

 

「ミラ、先に行く、にゃのです!」

「へぇ、どこへいくの?」

「真ん中! お菓子!」


 お菓子?

 そんな物があるとは、初耳。

 この国でもあるのか。


「そっ……わかった。あとから追いつくよ」

「にゃん!」


 リオネはなんだか、全てわかったかのように言う。

 もしかして、すでに理解したのか。


「なんだ、何が始まるんだ」

「離れてて」

「ん?」

「今から『走る』から」

「あぁ……分かった」


 一旦距離をとる。

 さて、リオネが言う通り、走るらしい。

 もしかして……。

 この人溜まりの中をか!?


(やめたほうが、いいんじゃないか?)


 皆で一度離れ。

 遠くから見つめる。


 おっと……見る限り、もう少しで……走り出す? らしい。


(いける、はずにゃのです)


 ミラは助走をつけ。

 そして、ついに走り出した。


(早いな……)


 さすがは獣人。

 加速、走り出しが上手い。

 四足だから……30キロは超えるんじゃないか?


 だか、ここで問題。


 このまま走れば、ぶつかる。

 大事故になる。


「まずいな」

「いやいや、大丈夫」

「ミラなら、問題ないですよ」


 そうなのか……?


 眼の前に人。  

 このままだと、ぶつかる。

 まずい、もう目の前!


「よいしょ!」


(なに!?)


 あのまま、ぶつかるかと思った。

 しかし、ぶつからなかった。

 なぜなら……。


「とんだ!?」


 走る途中で、全身の力をつかい、飛び上がったのだ。

 なるほど、分かった。


 彼女は獣人。

 運動神経が高い。

 走る速度が速ければ、ジャンプの高さも高い。

 うむ、納得。


 じゃなかった。


 ジャンプの高さ的に、人ひとり分。

 それだけじゃ、ためだ、ぶつかる、このままでは………って。


 俺は見た。

 何回驚くのだろう。

 いや、今回は違う。


 ミラは軽い足取り、いや手足で人々をジャンプしたりして。

 先へと進んでいったのだ。

 

(運動神経高いな……)


「やっぱり凄い」

「うんうん」

「あれだけ高いと……便利だな」


 そのまま軽い足取りで屋根の方へ向かっていく。

 人々を超えるときに。

 目茶苦茶肩や頭にぶつかっている。

 そのせいで、何事か、と、驚かれている。

 

 驚いて入るが。

 ミラがやった事は、何故か気づかれていない様子。

 完全犯罪だな。

 

 正直、もっと他に方法あっただろう。

 人に迷惑をかけない方法。


「よっと」


 ミラはそのまま、右手だけで、屋根へと着地。

 逆立ちも得意のなか、か。


 屋根に着地。

 それと同時に、人々が、ミラの方向に向く。

 疑問そうな顔をして。


(やば……やっちゃった、にゃのです)


 ミラはちょっとまずいことをした事を自覚。

 だが、そんなことでは止まらない。

 彼女は、軽いのだ。


 だから、すぐに言い訳を思いつく。


 そしてミラは、指で、ある一人の男を指さした。

 指さされた男は、The・魔法使いのような格好をした人。


「あそこの、えっと、魔法使いが! まほう、つかつた! にゃのです!」


 なんとミラは。

 人のせいにしたのだ。

 なんて事を。 


 人々は信じない……ことはなかった。

 子供が言ったのだ、それも大声で。

 人々の目は、魔法使いの下へと向く未来であった。


「てめぇ!」

「やったな、やったなおまえ!」

「魔法とは……!」

「ツボに沈めてやる!」

「ひっ、ひぇぇぇぇ!!! なんでえぇぇぇぇえ!!!」 


 冤罪をふっかけられ、慌てふためく。

 かわいそうな人だ。


(ミラ、罪深い女の子よ……)


「あらら……全く」

「もう……あ、ちょっとミラ!」


 ネミの声とともに、ミラは走り出していた。

 

「先に行ってる! ついてきて、にゃのです!」


 そのままミラは先に行ってしまった。

 行動が早い。

 いいことだけど、悪い。


 それよりも、早く向かおう。

 じゃないと、間に合わない。


 早くいかなければ!


「って言ったが。お菓子の場所、知らないんだよな……」


 なにせ、ここに来たのは初めて。

 土の市場も、ちょっと前に存在を知ったばかり。

 なので、生き方も分からない。

 場所も分からない。


 絶望的である。


 どうしようか、と思っていたとき、ルーシェが問いかけてきた。


「あの」

「ん」


 ルーシェが、少しもじもじしながら、答える。

 背中にはルルもいるよ。


「どうした」

「えっと……その、場所、知らないんですよね?」

「あぁ、全くそのとおりだ」

「あの、よければ……お教えしましょうか?」

「……本当か?」


 ルーシェが提案を出す。  

 なんと、場所を教えてくれるらしい。

 助かる!


「あ、はい「助かる、頼むよ!」……はい」


 手を両手で握り、頼む。

 そうすると、少し間が空いたあと、場所を教えてくれた。

 真ん中だけでは、分からないからな。

 だってここ、広いし。


「ありがとう、助かった」

「あ……いえ、こちらこそ」


 さて、行くか。


「じゃあ、急ぐよ。人にぶつかってかけないよう気をつけて」

「「はーい」」


 転ばないように行かないとな。

 5人は、ミラを追いかけ始めた。



‐‐‐

 


「お、居た」

「あ! 発見にゃのです!」


 ミラを見つけた。

 それと同時に、向こうも気づいてくれたようだ。


 さっそく、ミラの方へ向かい、話しかける。


「やっとついた、遅いにゃのです」


 若干不満そうだな。

 これは……仕方ないのだ。


「すまん。それより、ここがお菓子がある所か?」

「うん、にゃのです!」

「変わってないなー」


 ここがお菓子がある所。

 見た所…店か。

 それにしても、外見がほかと違う。

 なにせ、材質が違う。

 木ではないのだ……この材質は一体……。

 

(土の国にこんな所があったとは、世界は広いな)


 大きさ的には、他の家と変わらない。

 でも、売ってるものは違う。

 

(あ)


 みている内に、見覚えのあるものを発見した。

 あの、丸い形状のパン。

 あれは、ドーナツではないか?


 うん、そうだ。

 美味しそうだ。


「行ってみよう」

「私がさき!」

「あ、待って!」


 二人が先に行ってしまった。

 元気だな。

 あ、もうミラと、話している。

 

「ルーシェ、俺達も行こう。あそこは店だから、誰かが金を払わないと」

「そう……ですね。ルルもいい?」

「うん」

「よし、早い所行こう」


 どのくらいお金を使うのか。

 そう思いながら、ミラたちの下へと急いだ。

 

 到着後。


 もうすでに、選び始めていた。


 この店では、現実のような売り方はしていない。

 店の人に話しかけて、商品を選ばさせてくれるらしい。

 

 売り方は、国どうし、それぞれ違く、様々である。


 見た所、いっぱいある。

 ドーナツやら、飴やら。

 チョコ? に、似たものもある。


「えと、えーっとえーっと」

「ミラ、リオネ、ネミ」

「あ、来た」

「選んだか、欲しいものは」

「あ、待ってて、もう少しで」


 楽しそうに選んでいる。

 ここは8、9歳と同じだな。

 どの世界でも。


 さて、そろそろかな。


「よし、選んだ」

「これにする、にゃのです」

「あ、私はこれと、これ!」

「はいよ」

 

 結構選んでるな。

 あと、ネミは2つ選んでるし。

 さて。


「店員さん、お会計よろしくお願いします」

「はい、全部で4つね」


 4つ。

 4つで、どのくらいか。


「会計したわよ、計……40銀貨よ」


(40!? いや、銀貨……いや。でも高いな……。

 だけど、みな欲しがってる……ここは腹くくるしかない)


 サイフから、素早く銀貨を取出し、机に乗せる。


「これで……お願いします………」

「はい、分かりました」


 大切なお金が……減った!


「わーい、にゃのです!」

「やっと、食べれる!」

「やった……あ、ルル、はい」

「ルル、ほら」

「あ、うん、ありがとう」


 みな、それぞれ美味しそうに食べている。

 俺も欲しい。

 いや、だめだ、お金が減る。

 ここは我慢だ。


 皆の買うものだけ見てるだけで良い。


 ロベルトは我慢をする。

 その間、ミラたちは次の場所へと行こうとしていた。

 食べ歩きだ。


「次、あっち行く、にゃのです!」

「えっ」

「そうだね。こっちがいいかなー」

「あっち側もー」


 食べ歩きか。

 うん、いいな、俺もやりたかった。

 じゃなかった、ちゃんと見てないと。


 でも。

 

「大変だな……」

「あ、ろ、ロベルトさん、もう行ってますよ……?」

「え、なんだって」


 向こう側、前方を見る。

 そこにはミラはいない。

 ミラ達はもうすでに、奥へと行ってしまっていた。


 早すぎる。


 それより、早くいかないと!



 あれからは……大変だった。


 大変。

 結構移動した。

 ルーシェもルルも、俺もつかれた。

 あの子達は元気すぎる。

 いや、普通だけど。


 やっぱり、小学生くらいの子は、元気だな。

 俺は、疲れた。

 心も体も。


 心の部分がつかれてる?

 それはなんで?


 決まってる。

 お金だ、お会計役だ、くそ。


 土の市場って、凄い。

 歩いて、見せまわるだけで。

 みるみる内に、お金が無くなっていく。


 金貨10枚あった財布は。

 いつの間にか……たった2枚。

 現実世界で換算すると…2万円。


 つまり、1時間ちょっとで、八万も使ったというわけだ。


 そりゃそうだ。

 あの子達は、いっぱい買い物をした。


 お菓子はもちろん。

 土の国の特産品、料理。

 玩具に似た何か。

 本に、なんか……物?

 あとは、個人個人に好きなものを買っていった。


 最初は良かったよ。

 物を買って喜んでるのを見て、金の使用は薄れていった。

 それは……途中まで。


 次々に減っていくお金を見て。

 財布の中から、お金が消えていくのを見て。

 次第に元気は失せた。


 会計とともに、俺の顔はどんどん顔の角度が下がっていく。

 ついには、75度くらいまで下がった。


 どこかの漫画みたいに、目元が暗くなった。


 そのせいで、ルルに怖がられて、あやすのが大変だった。


(疲れた)


 現在、みんなで休憩中。

 そこら辺の広場に座っているのである。

 やっと……ひと息つける。


 思い返してみよう。


 俺、なにしたっけ。

 ただ、歩いただけじゃないか。

 いや、流石に……。

 見守りをしていて、その後は……。


 うん、見守りだけだ。

 歩いて見守る、保護者だ。


 一応、役目は果たせた。

 正直、こんな大変だとは思わなかったけど。

 まぁ、結果オーライだ。


(さて、休憩だ……少し寝転ぼう)


 ロベルトは、広場の芝生に寝転ぶ。

 この国では珍しい野原だ。

 気持ちい、風の国、故郷の村を思い出す。


 黄昏れてる………。



『おーい』


 ん、声が聞こえた。


 起き上がり、あたりを見る。


 そして、発見した。


 奥の方で、人影。

 ちょっと薄い黒い服に,茶色のローブ。

 そして、変な仮面。


 忘れないさ、その姿。


 ひさしぶりにあった、なん話ぶりだ?


 その姿を見た今、俺は思考が回転する。

 バーストモードだ。


「ろ、ちが、バーンさん!」


 俺は立ち上がり、その男。

 バーン、本名、ローバンへと声を掛ける。

 お、手を振ってくれた。

 

(だれ......?)


 当然、みんなは知らない。

 この人のことも。

 ロベルトが話しかけている人が、大盗賊だということも。


 ついに再会。


 やく、十時間ぶりの再会。

 ロベルトとローバンは、ここで相和した。

 

 

 

 

 

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