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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国編
76/93

第七十一話「子ども達と仲良く」

簡単:前回のあらすじ

  

 タータスと子供達がついに、七年の時を得て再会。

 まさに感動の再会。

 それを間近で見たロベルトは、心に温かさを覚えるのであった。



‐‐‐



(これは……)

 

 タータスさんと、その子どもたちの再会を間近で見た時。

 俺の心のなかで、温かさを覚えた。

 

 心の中、心臓部分……というより、ハート。

 なんだか、春の温かさを感じさせるような感じ。

 心地よい気持ちだ。


 俺に芽生えた温かさは………。


(そうだ)


 家族……。

 リシアやリベサスの兄貴、そして父と母と暮らしていたときの。

 幸せに楽しく暮らしていた、あの時に。

 一度……どこか遠くで感じだ気持ちだ。


 今になって思い出すということは……きっと多分。

 タータスさんと子供達の家族関係を見て、反応したのだろう。

 

 俺の中の心が、反応した。

 感じ取るように。


 昔の俺は分からなかっただろうけど、今なら分かる。

 あの幸せわを経験したのだ。

 この、今の光景と自分を重ね合わす、うん。

 

(同じだ)


 あのときの記憶が蘇ってくる。


 子供達……は、幸せそうだ。

 七年ぶりの再会、ずっと待っていたのだろう。

 出なければ、あんな締めるように抱きつきはしない。

 紙がぐしゃぐしゃになるまで泣きはしない。


(俺も……俺達の家族も。いつかまた……)


 家族5人で楽しく暮らせる日々ご戻って来るかな。


『来るさ、きっと』


 あぁ、そうだ。

 きっと来る、いつかは。

 

 リベサスの兄貴と、俺の妹。

 そして、親愛なる父と母。

 この5人で、子供の時のように、馬鹿話で盛り上がる日々が来る。


 そのはずだ。


 そのためには、早い所、リシアを探し出さなければ。

 7歳……いや、今は12.13歳くらいか……子供じゃないか。

 ……迎えに行こう。



‐‐‐

 


 あのあと。

 子ども達は、散々タータスさんに抱きついていた。

 七年ぶりの再会だ、そうなるのは必然。


 でも、あまりの引っ付きっぷりに、タータスさんも困っていた。

 5人から、四方をはさまれ、抱きつかれ、泣いている。

 大変だろう。


 もしかしたら、赤子の時よりも大変だろうな。


 その大変ぶりに、タータスさんは、俺に助けを求めてきた。


 もちろん、恩があるので手伝いに行った。

 しかし、ここが大変。

 

 相手は、背の高い子を抜けば、8、9歳くらいの幼児。

 そして、俺の事など一ミリも知らない。

 なので、少々、タータスさんを助け出すのに苦労した。


 反抗してくる。

 さっきも食らったが、あの獣人の子、歳の割には力が強い。

 獣人特有の力なのか。


 まぁ、まだ俺には敵わないが………ちょっと偉かったか。

 

 それに加えて、エルフと人間の子も、反抗してくる。

 喚いたり、手足を出してきたり。


 ちょっと、頭がどうにかなりそうだった。


 最終的には、途中でこちらに気がづいたエイミーさんと協力して、タータスさんを一度助け出した。

 その後も、泣いていた子がいた。

 俺は避難したけど、二人は……ご愁傷様でした。


 そこから、一度整理して、今はエイミーさんが、子供達と一緒に食事をしている最中。


 その隙を見て、俺とタータスさんは、隣の部屋で休憩を挟んだ。


 そこで、タータスさんと少しの間、お喋りをした。

 この国のこと、文化、地脈での生活のこと。

 そして、エイミーさんの事も。

 何よりも。

 衝撃だった、子供達について。



‐‐‐



「えっ、ほんとうですか?」

「あぁ、本当だ」


 タータスさんから、とても重大な話があると聞いた。

 何かと思って聞いてみたら……本当に重大な事だった。



 なんと、エイミーさん。

 エイミーさんは、タータスさんの妻ではなくサポーター。

 つまり………家政婦とのこと。

 

 さらに加えて、この家にいる子供達。

 元は全員、捨て子だったらしい。


 衝撃の事実を聞かされた。

 エイミーさんは、薄々気づきかけていたが………。

 まさか、あの子どもたちが、捨て子だったとは......。


 いや、確かに、気になる点もあった。


 タータスさんに、エイミーさんは人間。

 だとしたら、なぜ子どもたちが、エルフ、獣人と種族が分かれるのか。

 普通は分かれたりしない。

 人間同士から生まれるのは人間。


 捨て子というのは事実なのだろう、現にそう言ってるし。


 信じがたいことだが、タータスさんの反応を見る限り、事実なのだろう。


 それにしても5人か。

 5人は相当多い、世話をするのも一苦労。


 現にそれは、すでに俺の妹で経験している。

 あの時の事は忘れない。

 毎晩、妹の鳴き声が響き眠れず、睡眠不足。

 妹の世話をしていくうちに、徐々にノイローゼになっていく親。

 あれは......やばかった。

 

 赤ちゃんは、一人だけでも世話に苦労する。


 それが、5人。

 しかも、タータスさんが居ない七年間子供たちを世話し続けたエイミーさん。

 本当に凄い、尊敬。

 

 普通は投げ出したくなる。

 しかし相手は子供。

 エイミーさんは今この時まで世話し続けた。

 一人でだろう、俺には真似できない。


「エイミーさんには感謝しないと、ですね」

「そうだな、全くだ……」


 タータスは言葉を噛みしめる。

 薄っすらと、少しだけ悔しさが滲み出ていた。


 そんなタータスの様子を間近でロベルトは見た。

 その様子は前に経験したことがある。


 そう、妹のときだ。

 

(同じ……なのかな)


 同じではないが……似たような感覚を感じた。

 まさか、旅の最中……それも、土の国で経験するなんて。

 

 うん、驚きだ。


 今思えば、風の国でも、土の国でも……なんだがな。 

 重大な事を知ったり、巻き込まれたりと。

 運が悪い? いや、なんだろうか。


 とにかく、旅をする事に何か、大事な事を聞く。

 それも無意識に、本能的に? とも言えるか。

 これが、転生の代償?


 風の国では、風神の頼みと言え、大怪鳥に巻き込まれる。

 闇神、という邪悪そうな神の部下に襲われたりする始末。

 あとは、……あの石のこと。


 俺の周りで、何か悪い事が起きている。

 そんな事があるのか?


(もしかしたら……転生の影響で、俺の周りで何か不吉な事が起きる。そんな事になってるんじゃ)


 嫌や、違うだろう。

 多分ちがうはず……そのはず。


(もういい、この考えは辞めよう)


 ロベルトは、ソファにもたれ掛かり、天井を見上げる。

 静かだ、少し休むのもいいかもしれない。

 いや……人の家はだめか。

 

「ロベルト、この後の話しだが」

「お礼、の件ですよね。えっと、何か手伝う事でも」

「そうだな……いや、やっぱりやる事はな――「ボス〜!」……ミラか」


 タータスさんの話を遮り、ドアから入ってきたのは、ほかでもない。

 獣人の子供ミラであった。


「どうしたミラ、食事中じゃあないのか」

「もう食べたニャのです!」

「片付けは……」

「した!」

「おぉそうか、偉い偉い」


 そう言って、タータスさんは、ミラの頭を撫でる。

 嬉しそうだ。

 ここから見ると、本当の親子にしか見えないな。


「食べてからそんな時間経ってないが……よく噛んで食べたか?」

「口のニャかですり潰した! 美味しかった」

「うむ、それならよし」


 ちょっと怖い単語聞いたが……まぁいいか。


 あ、俺のほう向いてきた。

 なんかな、俺の方に向くだけで、ガラッと表情が変わったぞ。


 漠然としていると、獣人の子供ミラが話しかけてきた。


「いつまでそこにいるニャ、さっさと出ていくニャのです」


 おっと、怒ってるようだ……これは手厳しいな。


「ミラ、その人は大切な客人だ、威嚇するのは辞めなさい」

「にゃ……でも」

「ミラ、この人は怪しい人じゃないぞ。心配するな。それともなにか……気に入らない理由でもあるのか?」

「えっと………コイツ……人間だから………ミラと違う」

「ハハハ、大丈夫だ。種族違えど、人は同じ、いずれ仲良くなる、そうだろうロベルト」

「あ、あぁはい、仲良くなれますよ」


 説得を聞いてる途中、声が入ったので一応答えた。

 これで……よいのだろうか。


「う……うーん」


 ミラ自信、ロベルトにはまだ警戒している。

 タータスが言うから、怪しい奴ではないのだろうが。

 いかんせん、信じれない。


 この、この人間の顔や、姿。

 それがなんだか……嫌なかんじ。


「まぁ、話していく内に仲良なる、心にある霧もいつかは晴れるだろう、だから、な? このお兄ちゃんの滞在を許してやってくれ」


 タータスが、ミラを妖しながら……そう問いかける。

 その問いにミラは……。


「………わかった」

「うむ」


 なんとか了承してくれた。


 これで、子供達のかなでもとくに俺を警戒していた獣人の子供ミラ。

 この子に、的を外してもらった。

 これで、ひと息つける。


 吐息が漏れる。

 ふぅ……ちょっと安心。


「あ、そうだ、思いついたぞ」


 と、ここでタータスさんが、何かを思いついた模様。

 一体何なのか。


「ロベルト、礼、思いついたぞ」

「本当ですか、じゃあ、それは……?」

「うむ、発表しようか」


 タータスさんは、ロベルトに向き合い眼を閉じる。

 俺もそれに合わせて、顔を見つめる。

 ミラはことの状況を理解できていないようだ。


 いま、お礼が受け渡されるとき。


「ロベルト、お前へのお礼は……」

「?」

「礼はなんです………」

「それは……」



「子供達の見守りをしてほしい」



「え?」

「にゃ?」


 一瞬だけど、思考が停止した。

 言っていることが、上手く理解できなかった。

 いや、数秒遅れて、今理解した。


「子供達の見守り?」

「あぁ、子供達を土の市場まで連れて行ってほしい、そこで子供達に何か買ってきてくれ」

「土の市場……」

「ニャ!? ボス、本当?」


 土の市場ってどこだ。

 ミラは、土の市場に行けると耳に入り、興奮している。

 

「ボスではないが………本当だぞ」

「やったニャ! あれ、でも、なんで?」

「あぁ……俺はエイミーと用があるから、暇だろう? だから、ミラ達は市場で好きなものを買う、これがいいと思った……どうだ?」

「ふーん………分かった! ミラ買う!」


 ミラは興奮を体で大きく表し、飛び跳ねている。

 嬉しそうだ。

 それにしても……市場で買い物。

 それも……5人とか。


 一応、ミラには、(仮)ということで許された……? けど。

 他の子はどうだろうか。

 やっぱり、知らない人だから、ミラ同様警戒されるだろうな。

 こればっかりは仕方ない。


「ロベルト、これが頼みだが……いいか?」

「あぁ、全然、勿論です」

「うむ、では……子供達の所へ行こうか」


 タータスは立ち上がり、皆の下へ向う。

 その背中にミラが抱きついているが、ビクリともしない。

 体幹が凄いな、やっぱり。


 さて……俺も向かうとするか。



‐‐‐



「皆……食べたか……」

「あっ、タータスさん、皆さん、食べ終わりましたよ」

「そうか、良かった……。で、子供達はどこに行った?」


 子ども達の姿が見えない。

 どこかに行ったのだろうか。


「子供たちは皆それぞれ別々に動いたり、集まったりしてます。あ、長女のルーシェなら、あっちの部屋で本を読んでますよ」


 ルーシェ。

 それに……長女ということは……あぁ、あの一番年の高い女の子。

 一番年の高い、と言っても……雰囲気的に12歳くらいかな?


 流石に12歳くらいになれば、獣人の子のように反抗することはないか。


「む」


 その時、ミラがなぜか、こちらに向いた。

 まさか、心中がバレて……!?

 いや、気のせいだ……ろう。


「なるほど……分かった、じゃあ、3人で別れよう」


 タータスさんは別れようと、言葉を放った。

 一体どういうことで?


「えっと、それは……」

「あぁ、分かれて、子ども達を連れて来るということだ。ミラはあの二人、俺はルルを……ロベルトは、あっちの部屋にいるルーシェを誘ってくれ」

「さ、誘う……」


 言い方的に……ナンパ。

 いやいや違う。

 さて、ルーシェという長女の誘いを任された。 

 うーん、一人で大丈夫かな。

 信じてくれるだろうか。


 まぁ、任された以上仕方ない。

 行くとしよう。


「それじゃ分かれるとしよう、ほら開始!」 

「行くニャー!」

「怪我しないようにね〜」


 最初に飛び出したのは、獣人の子ミラ。

 やっぱり、動くの速いな。

 獣人は凄い。


「じゃあ、俺はルーシェの下へ」

「分かった、行ってくる。できるだけ刺激しないように」

「重々承知です」

「うむ」


 タータスさんも、部屋から出ていった。

 さて俺の番。


「では、俺も」

「あ、ちょっといく前に、一つだけ」

「あ、はい。何でしょう?」

「さっきタータスさんが言った『刺激』という言葉……ルーシェ、今はその、そういう時期だから、あまり刺激しないように」

「あーなるほど……分かりました、それでは」


 そういう時期だからか。

 まぁ、そうだろうな、うん。

 これは仕方ない、誰だってある。


 俺の時は記憶があるからか、そういう物は薄かったけど。


 俺はルーシェの居るだろう部屋の前に行き、扉の前に立つ。

 さて……部屋に入るぞ。

 なるべく慎重にそーっと。


 扉をゆっくり開ける。


 中は、灯りがついており、全体は見渡せる。

 そのおかげで、すぐに見つけた。


 椅子にすわり、こちらに背を向けながら本を読んでいる本を読んでいる女の子の姿。

 年相応の趣味だ。


(さて、声をかけるか……多分、警戒されるだろうな)


 さて、と……。


「し、失礼しますー……」


 学校で、職員室に入るときの定番の挨拶。

 人の部屋に入るのはこれが最適。

 

「ん……?」


 女の子。

 ルーシェは本から眼を離し、こちらへと向き直る。

 

 眼そして、顔が合う。


 可愛らしい顔だ。

 あと、他の子達とは違って、成長の味が出ている。

 リシア……いや、前世の妹を思い出す……あの子も、同い年だった。


 女の子と目があって、ほんの数秒がたった。


「ッ……!?」


 ルーシェは目があった瞬間。

 いきなり、こちらから眼を離し、読書を開始してしまった。


 やはり……か。

 たぶん、警戒……いや、怒っているのだろう。

 顔も赤くなっていたし……人の部屋に入る時点でアウトだ。

 これは……失敗。


 ……ノックを完全に忘れていた、これは失敗。


「な、なんですか……? ひ、人の、部屋に入って……」

「あー、用があってここに来た」


 声的にも怒ってる。

 これは、行けるか?


「よ、用……用って?」

「簡単に言うと、君を誘いに来た」

「さ!? 誘いに!!?」


 うぉっ……。

 いきなり大声出すからビックリした。

 やっぱり直球はだめだったか。

 

 ルーシェは、未だこちらに背を向け本を読んでいる。

 うーん。


「えっとな……子供達と土の市場に行くことになったんだ」

「つ、土の市場……! それに、私を……誘いに来たの……?」

「あぁ、だから一緒に来てくれないか」


 一応分かってくれたか。

 これで……よいのだろうか。

 警戒はされているだろうけど………。


「……っと、えっと……その、今から、ですか?」

「あぁ、一応今からの予定だ。もしかして……他に何か事情があるのか?」


 もし、事情があるとすれば、それは仕方ない。

 ミラとその子供たち、そして俺の系5人で行くだけだ。

 

 できれば、一番年上のルーシェに見守りを手伝ってもらいたい所。


「い、いや、全然なにも、ないです。大丈夫……です」

「? そうか、良かった、じゃぁ、準備が出来たら……台所に来てくれ」

「あ、わ、分かりました……」


 なんだか、言葉がとぎれとぎれになってるが………大丈夫か?

 まぁ……いきなりの事だ。

 それに驚いたのだろう、まぁなにはともあれ。

 

 説得には成功した。

 大成功とは言い難いが、まぁなんとかオッケーを貰えた。

 俺でも出来る。

 この事が証明されたな。


「それじゃあ」


 ロベルトは用が終えたので、扉に手をかけ開く。

 そのまま、部屋を去っていた。


 部屋の中のルーシェは、なにやら……悶えていた。

 それは……ソファを掴む力が強くなるほどの事であった。



‐‐‐

 


 その後、俺はエイミーさんと話をしていた。

 話をしていると、タータスさんが、ルルと言う女の子連れてきた。

 彼女は8歳。


 最初に出会ったとき、ルーシェの横に張り付いていた子だ。


「よし着いた。ルル、こちらはロベルト。ロベルト、この子はルルだ、ほら挨拶」

「ルルです……こんにちは」

「ロベルトです、よろしく」

「よろしく……」


 気の抜ける喋り方……臆病か、おしとやか。

 こちらは警戒というより、疑心な感じだろう。


「一番!」

「負けた〜」

「勝てない」


 そこへ、あのときの三人組が到着。

 ミラが連れてきたようだ。


「やっと来たか」

「遅れちゃった?」

「大丈夫だ。さて、じゃぁ、自己紹介しよう。このお兄さんは、君達のことを知らないからな、いいか?」

「「はーい」」


 さて、ミラは済んだから……この二人。

 この2人は俺の足にへばりついてきたエルフと人間の2人。

 この2人は、ミラと深い関わりを感じる。

 

 一応血は繋がってないけど、姉妹だ。

 流石に子分とか、そんなんではないはず。


 っと、そんな事を考えている内に、自己紹介が始まった。


「えっと……私はネミ。人間です……えっと……このくらい?」

「そんな感じでいいぞ。さて、ロベルトこの子がネミだ、ネミ、ロベルトだ」

「ロベルトです、よろしく」

「はい、こちらこそ」


 この子は丁寧な子だ。

 俺の足にへばりついてきた子とは到底思えない。

 あと、綺麗な緑髪、エメラルドみたいだな……。

 さて、次は……。


「リオネ、普通のエルフだよ」

「普通の……エルフ」

「まぁ、良しとしよう。リオネ、ロベルトだ」

「よろしく」

「うん」


 この子はエルフ、耳でわかる。

 それにしてもこの子も、足にへばりついてきた事は思えない。

 この現象は一体。


 ともかく、自己紹介は済んだ。


 そして、ここへ来たということは、荷物の用意が出来たこと。

 まぁ、荷物と言っても、そんな持ち物はないが。


 あと……お金使うの俺だし………。


 子ども達を見てると、後ろの方で音がした。

 何かと思い見てみると、そこにはルーシェが部屋から出てきていた。


 皆と違い、バックを背負っている。

 準備万端のようだ。


「準備は万端?」

「え……あ、はい……」

「うむ、これでみんな準備は完了。ようやく出発できるな」

「これで安心ですね」

「……みんな?」


 ルーシェは疑問そうに呟き、あたりを見回す。

 周りにはいつも一緒の家族。

 それに、喜んでいる。


「あ」


 なにかに気づいた。

 そして、ほっと息を吐き出す、緊張が解けたような感じだ。


「……よし、じゃあこのくらいでよいだろう。さて、ロベルト、それからルーシェ、下の子達を頼むぞ」

「え……父さん、行かないの?」

「あぁ、少し……エイミーと用事があるからな、すまん」

「……いえ」


 タータスさんが行かないことをしり、少し驚くルーシェ。

 納得はしてるようだが……少し手元が震えている。

 安心するんだろうな。


 俺が代わりにならないと。


「じゃあ、ロベルト、頼むぞ」

「はい、任せてください」

「仲良くして、喧嘩しないように、ね?」

「「はーい」」

「ミラがいれば安心ニャのです!」

「はい」


 全員が挨拶をしおえ、ついに出発の時が来た。

 さぁ、土の市場。

 どのようなところなのか。

 どんな物が売られ、どのように栄えているのか。

 

 いぞ、出陣。


「行ってきまーす」

「行ってくるニャ」


 先陣を切ろうとしたが、さきにリオネとミラに先立たれた。

 それをおって、ネミが追いかける。

 

 早く俺も行こう、もし迷ったらやばい。


「では、急ぎます、それでは」

「あぁ、頼むぞ」


 タータスさんと、エイミーさんに挨拶を済まし。

 すぐに皆を追いかけた。


 皆は出たが、一人、ルーシェだけ少し残っていた。


「えっと……」

「なんだ、心配か?」

「うん」


 過去のことが気になる。

 タータスがいなくて寂しい、不安が勝ち、先に進めない。

 タータスはすでに気づいていた。


「大丈夫だ、俺がいなくとも、ロベルトもいる。心配することはない」

「……本当に?」

「本当だ。さ、早く行け、置いて行かれるぞ」

「っ……うん!」


 ルーシェも、皆をおい飛び出した。


「ふむ、行ったな」

「そうですね、あの、あぁは言ったものの……」

「うむ、やはり心配だな、だが……気にすることはない。ロベルトなら心配はいらないからな、ハハハ!」


 タータスは豪快に笑う。

 自身が溢れ出している。


 この姿を見れば、安心なはず。

 きっと大丈夫だろう。

 


 

 

 


 



 


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