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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国編
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第六十八話「地脈から出よう」


「ハッ!? 今何時!?」

  

 目が覚めた。  

 どうやら俺は寝ていた………いや、気絶していたようだ。


 時間は………。

 いや、無いな、それにここは……。


 俺は起き上がり、周りを見る。


 すると目の前には巨漢なスキンヘッドの男。

 地面を移動する鈍い音が聞こえる。


(なんだ……?)


 俺はこの時、初めて自分のいる所を目にした。

 

 自分がいる場所。

 それは木、木でできた荷台。

 なるほど、荷台に俺を乗せ、運んでいる途中ということか。


「ハッハッ、起きたようだな」


 俺を運搬中の巨漢の男が話しかけてくる。

 

 あ、思い出したぞ。

 この人、俺が助けた? 人だ。

 筋肉質な体に、目立つスキンヘッド、間違いない。


「今は午後2時だ、あれから結構気絶していたんだぞ?」

「そうですか………あの、どこへ向かって?」

「上、地脈の外だ」


 あぁ、なるほど。

 地脈の外へ運んでくれているのか。

 それはありがたい、助かった。


 俺は、床、木の荷台を手で触る。

 いい作りだ………あれ?


「この荷台、どこから?」 

「作った」

「え?」

「魔法で作った」


 魔法で作った。

 木の魔法……生命の魔法か。

 凄いな、木も作れるのか、それもこんな上手く。


 俺も見習いたいものだ。



 それよりもさ。


(暑ッ………!)


 流石地脈、暑いと思っていたが……ここまでだとは。

 すげぇ、暑い。


 動いてもないのに、暑い。

 暑くてまた気が飛んでいきそうだ。


(厳しいなぁ、はぁ………)


「おっと、登り坂だ、気を付けてくれ」


 相変わらず渋い声。

 

 そんな事思っていると、急に地面、いや、荷台が浮いた。

 登り坂に入ったか。

 結構急だ。


 上へ上へと向かうための坂だ、ここを登らないといけない。

 

 現在、俺は荷台の端っこ。

 落ちないように、忍んでいる。

 でも、この体勢、ちときついな。


 動いていないのに、少しだるい。

 歩いたら、倍以上。



 あ、そうだ。


「あの、まだ名前聞いてないですけど………」

「む、そうだったな」


 名前は大事、情報の彼方。

 さぁ、貴方は、一体……。


「うーむ……タータスだ」

「ウーム、タータス、ですか?」

「違う、タータスだ」

「すみません」


 タータス。

 どこか……なんだかどこかで聞いた名前と似ている。

 多分、気のせいだろう。


 それより、タータス、タータス。

 うむ、苗字。俺でいう名前の後につく『クリフ』という家名がない。


 一般的に隠している場合。

 または、それだけの2つに分かれる。


 違いとか、分からないので。

 結構、面倒だ。


(どっちでもいいけど)



「そうだ、お前さん、炭鉱夫じゃあないんだよな?」

「はい」


 そんな事聞いていた。

 なぁに、俺は普通の旅人Aです。


「なぜここに?」

「実は、かくかくしかじかで………」


 俺は、この国に来た事と、その理由。

 分け合って、地脈採掘体験に来た事を説明した。


 結構長くなったが、まぁ、いいだろう。

 移動中だし。


「おぉ、なるほど……地脈採掘体験、そんな物をやっていたのか……」

「あれ、知らないのですか?」


 喋り方的に、知らない、今知ったという感じだ。

 意外と、情報が伝わってないのか。


「知らん」

「えぇ……有名らしいですけど」


 土の国でも、これは有名だ。 

 まぁ、いうてもここ最近できたイベントらしいけど。


 最近って言っても、年だ。

 

「少なくとも、ここに潜る前はなかったはずだ」


 あれ、そうなのか。

 ………ん? 潜る前には無い。

 なら、一体この人は。


 『いつからこの地脈に潜っていたんだ?』



「一つ聞いていいですか」

「なんだ」


 聞きたいことがある。

 大事なこと、確認のため。


「その、タータスさんが、この地脈に潜ったの、いつ頃で?」

「そうだな、ちょっと前だな」


 ちょっと前じゃ、分からない。


「できれば、年月を………」

「ふむ……」


 年月。

 多分、何年かはっているはず。

 イベントが無いなんて、何年か前のはず。

 たがら、確認したい。


 タータスさんの言葉を持つ。

 そして言葉を話す。



「創世記761年、くらいだ」

「ななっ!?」


 創世記761年だって!!?


 え、今が768何だから………。

 

(約七年前………!!)


 そんな前から、この地脈に潜り続けている。

 と言うか、ちょっとじゃねぇ!


「なんだぁ、そんな驚いたのか」

「驚くもなにも、七年前ですよ! 7年!」


 すごい長い時間。

 それだけ潜っていた。

 食料とか、どうしていたの……。


「むっ、そうか……たしかに、長いな」


 めちゃくちゃ、気にしていない。

 凄い平然としている。


「そんな平然と……」

「はははっ! まぁ、いいじゃないか、時が流れるのは早い、それに。………土の神は何倍以上の時を生きている。それに比べれば……だろう?」


 比べる相手が異次元ですよ。

 神、と人間は、天と地の差がある、分かりきっている。


 まぁ、基本的には強さと、知恵の位、勝てはしない。

 生き物としての格が違う。

 

 そのため、信仰する人も多いらしい。

 または、神に挑む、猛者もいるとか。

 それでも、簡単には勝てない。

 現に、人間が神に勝てた事なんて、普通は無い。


 一応神に近い力を持った者を、打ち倒した人間はいる。

 それが、(おおよそ一万年前の勇者一行)である。


 話が長くなった、終わろう。

 


‐‐‐



 起きたのが午後2時時。

 ならば、今は3時だろう。


 初めての地脈で、もう3時間以上潜っている。

 こんな事が、本当に起きるとは。

 事故ってのも、怖いものだ。


「おっと」


 地面、荷台が少しガタついた。

 尖った石にでも当ったか?


 危険な感じだし、今のところは少しだけ平坦な道。

 先程のような急斜面ではない。

 まぁ、危険なのは変わりないけど。


 そういえば。

 今、どこらへんなんだろう。


 辺は、溶岩、地脈。

 あ、あそこに鉱石がある。

 

 白い………何だ。

 プラチナでは、ないな。


 他にもある、やっぱり、地脈は鉱石が多い。

 それも、みた所高価な物。

 

 土の国が、豊か、技術力が高いのは頷ける。

 それに加えての知恵。

 凄い。


「もうそろそろ、出られるぞ」

「え」


 え、本当に?

 もう、いや……もうちょっとかかるかと思った。


 そしたら、もう少しで地脈を出られるとの事。

 

「早いですね」

「近道を通っているからな」


 ほぉ、近道。

 そんな物があったのか。


 やはり、地脈に七年潜っている人は違う。

 経歴が長いから、知識も深い。

 ………あれ、この人何歳なんだ?


 俺を乗せた荷台は、先へと先へと進んでいく。

 すると、先ほどとは違う、暗く薄い坑道に入った。


(暗くて見えない、松明をつけよう)


 俺は松明をつけようとした、しかし。


「待て、松明はつけるな」


 と、タータスさんに止められた。

 この暗い中、何故松明も付けずに坑道を進むつもりか。


 それは危険だ。

 鋭い岩だって、あるのにだ。


「なぜ」

「それは、この先に理由がある」

「理由」

「そうだ、この先の坑道で、耳を澄ませておけ、理由はそこにある」

「耳を澄ませば……何が分かるんですか?」

「………」


 それ以上は何も言わなかった。

 

 仕方がないので、坑道内では耳を澄ませておくことに。

 暗いだろうな。


(それにしても、坑道の中に一体何があるというのだ?)


 坑道の中へと入っていく。



 やっぱり、暗いな………。

 松明がないと、本当に何も見えない、一応進んでいるのはわかるが。 

 少し不安だ。


(さて、それじゃあ、言われた通り……耳を澄ませてみるか)


 耳に集中を集める。

 移動する音など、気にならないほどに集中。

 そして、あたりを確認する。


(何もないが……)


 一変なにもないように感じる。

 しかし……なんだかな、なぜだか。


 少し、おかしい。


 このあたりは、魔力が……魔力の流れがおかしい。

 激しくもなく、穏やかでもない。

 変だ。


 普通ではない。

 例えると………狂ってるような。


「分かったか」

「上手くは掴めないけど……」


 ちょっとは、理解? 出来る。


 しかし、何なんだ。

 この現象は、一体何が引き起こしているんだ。


「ここで火をつけると……まぁ、なんだ」


 タータスさんの口が止まった。

 言いにくいことでもあるのか。


「?」

「簡単に言うと………怖い事が起こる」


 凄いいきなりだ。


 それに、怖いだって?

 あれか、この世界の怪奇現象というやつか。

 それか地脈の七不思議。


 怖い、で思い浮かべるものは幽霊。

 ホラーは怖い。


 ここは、前世の世界とは違う。

 ファンタジーな世界。


 だから。幽霊をファンタジーで置き換えると。

 出てくるのは………アンデット。


 RPGゲームでよくでてくる『スケルトン』『ゾンビ』『ゴースト』

 そこらへんか、怖いというと。

 この世界に存在しているかは別だが。


「まぁ、何もしてなれけば、何も起こらない、これが最善よ」


 何もしない、より。

 何もできない、ゴーストの場合はな。 

 

 その後、タータスさんからこのことについて聞いた。


 まずこの現象。

 やはり闇が関係しているとの事。

 あと、ゴーストとか、アンデットなどはいるらしい。

 しかし、この現象は全く別らしい。


 いや、よくわからない、この世界。

 17年経ったが全てを掴んだわけではない。

 

 世界は広い。広すぎる。


 

 坑道を抜け、地脈の上層に到着。

 結構上まで来たかな?


 暑さも、下に居た時よりは収まってきた。

 もうすぐだな。


 俺は、地上を思い浮かべる。

 3時間以上の探索。

 それに、事故。


 多分、上では俺を探しているだろうな、二人。

 いや……ローバンさんは、酒場でくたびれてるかもしれない。


 となると、セイランだけ。

 まぁ、流石に心配してくれてるだろう。


「そろそろ外だぞ」


 お、外か。

 ふぅ……ようやく外に出れる。

 これほど、良いことはない。


「やっとか」

「長い事潜っていた、久しぶりの地上………どうなっているか」


 俺は3時間だけど。

 タータスさんは七年ぶり。

 

 七年と言ったら、超長い。

 俺の訓練している間よりも長い。

 その長い間、ずっと地脈の中。


 俺だったら、嫌だ。

 と思うよりも、生きるので精一杯だと思う。

 地脈だからな。

 

 前方光が見えてきた。

 よく差し込んでいる、この先は地上。

 

 ついに出れる。

 疲れた……宿に戻りたい。

 フカフカのベッドにダイブ、いいね。


「さぁ、眩しいぞ」

「うっ……」


 外に出るときは、意外と光が眩しかった。

 咄嗟に手で光を隠す。

 隠してもまだ眩しいぞ、どうなってんだ。


 光が照らしている間は、手で隠す。

 

 ん、熱さがなくなった。

 外に出たのか。


「もう、大丈夫だ」

「………おぉ」

  

 光がやみ、手を戻す。


 するとそこには。

 初めてきた時と、同じ光景が広がっていた。

 まさに、絶景。


「………懐かしい」


 タータスさんは、この景色を見て、懐かしんでいる。

 どうやら、変わってないようだ。

 この、国の景色は。



 まだ、空は暗くない。

 多分、4時くらいだろう。

 ちょうどよい、少し、買い物でもするか。

  

(今は気分がいい、気分がいいいい時こそ、買い物してこそよね)


 何を買おうか。

 一応節約もしないといけないが……この国のものも買いたい。

 そんな欲がある。


 金は……まぁ、あるか。

 よし、なんか買おう。

 食料でも、道具でも。


 と、その前に。

 タータスさんにお礼しないとな。


 俺をここまで運んできてくれた。

 命の恩人だ、礼を言わないと、(元)日本人だから、気がすまない。 

 

 お礼。

 この世界だと、言葉だけでいいのか。

 いや、目上、位が上の人には………何か上げたほうがいいか。

 ほら、映画とかでよくあるやつ。

 

 あれを、したい、と言うか、しないと駄目だろう。

 金を使うかもしれないが、気にしない。


 命に比べれば、安いもんよ。


 さて、やってみるか。



 俺はタータスさんのため、お礼を考えることにした。

 どんなお礼になるかは分からない。

 でも、常識的なお礼だろう。


 多分

 



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