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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第五章 土の国編
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第六十四話「宿へ向かおう」

遅くなりました

 土の国に到着したロベルト達。


 状況、これから事を整理するため、宿へ向かうことに。

 宿はこな経国に連なる土地を越えた先にあり。

 栄えている。


 俺達が出た場所と宿は反対方向にありました渓谷の先。

 現在地と宿を挟むのは、大きく分かれた深い海。

 多分百メートル以上、間が空いている。


 これを越えるには空でも飛びない限り無理だろう。

 しかし、ロベルト達は空を飛べない。

 それは土の国の民も同じこと。


しかし、土の国の民は、渓谷の向こう側で集落を作っている


 なら、どうやってこの渓谷を越えたのか。

 それは……土の国の技術。

 それを作った技師のお陰である。


 この渓谷を越えるため作られた最新の技術。

 それは……『人を運ぶ乗り物』


 俺の世界だと……リフト、昇降機とも呼ぶだろう。

 名の通り、土魔法で作ったレールにある程度人を乗せられる箱型を作り、

硬く頑丈に形成する。

 質量を最低、人が4人乗れるほどに調整し整える。


 こうして出来上がった成果がこれだと言うこと。


 これを作るまでは、力づくでこの渓谷を渡ったとか。

 凄い、大変。

 渓谷に空いた海を、船で渡るとのこと。

 

 普通はこうすればよいのだが、あいにくそれは危険な行為。

 なぜなら、この渓谷の海。

 そこには、人や船を襲う怪物がうじゃうじゃ棲息している。


 泳ぐ速度も速く凶暴。

 トビウオみたいに、飛びあがり、人を食いちぎる。

 獰猛(どうもう)な生物だ。


 そんな奴がいるような海など渡りたくもない。

 危険だし、死のリスクがある。

 リフトを作ったのは、安全面でも便利面でも正解だろう。


 箱型と言っても、基盤を床に柵で頑丈に囲んでいるだけであり、絶対安全とは言えない。 


‐‐‐

 


「乗るぞ、落ちるなよ」


 ローバンさんに連れられ、俺とセイランはリフトへと乗る。

 少し間が空いてるので、足元を見て、乗り込む。


 乗った瞬間、重さで少しだけ揺れたが、これしき問題ない。

 壊れたり、落下する事もない。

 ここから動いていく。


(やっぱり高いな)


 一番上ではないが、高さは結構ある。

 もともとこの渓谷が高い、世界にこんなところがあったとは。

 

 おっと……動き出したか。


 俺達が乗っている箱型リフトが動き出した、斜め下へと降りていく。


「凄い眺め……!」

「観光客で賑わっているんだ、眺めはバッチリだろうよ」


(確かに、素晴らしい景色だ、地形と集落の様子が伺える)


 俺はリフトの柵にもたれ掛かる。


 ここからの眺めは絶景。

 下を見れば少し濃い海

 崖は高い。

 テトラがいれば、騒物だっただろう。


 なにせ、あいつは高所恐怖症だ、こういう所は無理無理。

 グラスさんも、高い所に来たら、毎回思うだろうな。


『嫌ぁ! 怖ー!』

『騒ぐな、大きい声を出すな!』


 うむ、安易に想像できる。


 鈍い音を立てて、少しづつ、下へ下へと降りていく。

 鎖の音だろう、恐怖を煽ってくる。

 この箱型リフトは、鎖で繋がっている。

 鎖と箱の擦れる音が鳴っている、嫌な音だ。


「おぉ、鳥だ」

「あ、下……魚? がいるよ」


 鳥に魚。

 基本的な生物もいる。

 モンスターだけではない。


 風の国並にはいないが、数えれるだけはいる。


「そろそろ到着だ」


 ローバンさんの言葉通り、もうそろそろで反対側に着きそうだ。

 時間にして2分弱。

 リフトは移動が早くて助かる。


 鎖を移動し、箱型のリフトは反対側の渓谷に到着。

 壊れることもなく、無事に着けた。


 足を進める、リフトから降りる。


 うん、新たな一歩。

 反対側の渓谷に到着だ。


「ここから、宿に?」

「そうだ、ここの階段を何度か下った先に宿はある。

 そこまで行けば休憩出来る」


 なるほど。

 階段というと、右に見えているアレか。

 うーん、下はまだ高さがある、これは長そうだ。


「あぁ、あとそれと」


 すると、ローバンさんが口をはんだ。

 何やら周りを気にしている様子。


 幾度か周りを気にしたあと、俺とセイランめがけ、話た。 


「俺は指名手配中の身、姿はともかく、名は世界に広まっている」

「有名ですね」

「あまり、知らない人は居ないだろうな」


 事件自体俺は少し知っていた。

 氷の国から広まり、こうして世界の人に知れ渡っている。

 ローバンさん、悪い意味で有名だ。


「だから、『ローバン』という名は世界で知れ渡っている。

 お前たちみたいに、ローバンローバン言ってたら、兵士に捕まるやもしれん」


 それは確かに。

 今のままではだめだ、ローバンさんの正体がバレるかもしれない。

 バレなかったとしても、口にするだけで取り調べられる可能性もある。


 ここの所はどうにかしないと。


「……偽名を使うんですか?」

「その通りだ、俺たちだけで共有する、偽名を使う。お前たちにも、是非考えて貰いたい」


 偽名ならバレない。

 どんな名前にするか………。


「どうします?」

「なるべく分かりやすいほうがいいだろう、似過ぎは駄目だ」

「悩みますね……」


 元の名前が『ローバン』

 そこから新たな名前を考えると……。

 ロバート、いや、似ている。

 

「ロートでどうでしょう?」

「うーむ、もう少しだ」

「なら、ロック」 

「土魔法か、却下だ」


 なら……ロ、以外で答えてみるか。


「ルバーブ」

「何かの植物か? だめだ」

「………アードなら」

「随分変わったな、だが違う」


「……バーン」

「ほぉ、バーンか」

  

 伸ばし棒自体、位置は変わっていない。

 それに分かりやすいし、呼びやすい。

 意味は……特にない。


「いいな、それで頼む」

「バーン……バーン、はい、覚えました」

「行きましょう、バーンさん」


 こんな感じだな。

 うむ、言いやすい。

 これは3人の間での共有としよう。


「元の名前も、覚えてくれよ?」

「忘れませんよ」


 といったが………名前自体はあとから知ったから……。

 どうだろうな。

 俺の記憶力に頼ろう。


 ローバンさんの新しい名前が決まり、宿へと向かい始めた。   


 まずは長い階段。

 これを一つづつ下り、下へと降りていく。

 この渓谷が高いので、大変。

 まぁ、歩いているから疲れはしない。


 階段を下った後は、道を前へと進んでいく。

 進んだあと、少し目立った目印がある。

 そこに右に曲がり、集落の家々の間を進んでいく。

 すると目の前にドーン!


 宿屋の発見だ。

 宿の名前は『マタードの宿』である。



‐‐‐



 俺達は宿の中へと入った。

 中は木でできており、天井には綺麗なシャンデリラ。

 壁には掲示板や何かの紙。

 床には丁寧に机やイス、そして入店の礼などが立ててあった。


 『お客様ご案内』


 ご親切に、この宿を説明、色々書いてある。

 これを見れば、大体分かるな。


「案内通りなら、あそこが宿の受付所か」


 ローバンさんがそう言って、前を指で指す。

 その方向には確かにカウンターがあった。

 なるほど、中央か。


 早速3人はカウンターに向かう。


 カウンターに到着。

 しかし、誰も見当たらない。

 少し離れているが、見えない、見当たらない。

 店員はどこだ? 


「ふむ……おかしいな」

「店員さん、留守なのかな」

「いや、それはないはず」   


 店員が留守なら、どうやって営業している。

 この宿的に、受付は一人。

 その人が居なくなったら、店が回らない。


 だとすると、空けている。

 それかトイレ。


「周りには居ない、一体どこへ行った」

「うーん、トイレかなぁ」


 多分トイレだろうが……暇だな。

 早く受付を済ませたい。

 とにかく早く動きたい、行動に移したい。


 俺はカウンター両腕を乗せ、もたれ掛かる。

 少し休憩だ、店員も居ないし。


 俺はカウンターにもたれ掛かりながら、休憩する。

 その間、3人とも待つ。


 その時、俺はカウンターに目が入る。

 もしかしたら。

 もしかしたらだけど。


(このカウンターの下にいたりして……ナンテ)


 「えっ」


 俺はカウンターの下を見る。

 そこには黒髪のモジャモジャ。

 

 一瞬何をみたか分からなかった。

 このモジャモジャ………いや違う。

 これは髪の毛で黒髪。

 つまり………人、子供。


「うおおっ!?」


 驚きのあまり、俺は後ろへと仰け反った。

 あともう少しで転ぶとこだった。


「どうした」

「何かあった!?」


 俺の声に反応した二人。


「やっと気づいた」


 それと同時に聞こえてきた、少女の声。

 聞き覚えのない声がした。


「「!?」」


 ローバンさんにセイランも、その声に反応し、カウンターを見る。

 しかし誰もいない。


「ここ、近づいて」


 しかし少女の声は聞こえる。

 それに………近づいてと。

 ここで不審に思ったローバン、カウンターへと近づく。


 そして、ゆっくりとカウンターの下を見る。

 するとそこには黒いモジャモジャ。


 違う、黒髪の少女がそこにいた。


「なにぃ!?」


 ローバンさんも後ろに下がった。

 こちらも驚きに包まれている。


「ろー、あ、バーンさんも……一体なんなの……」


 セイランは困惑に包まれ、少し疲れ気味である。

 するとカウンターから音がして、カウンターから少し、少しだけ。

 黒いモジャモジャが見えた。


 間違いない、さっきの少女の髪の毛だ。

 ようやく見えた。 


 黒いモジャモジャ……少女の黒髪が、左側へと移動。

 何をしているのだろうか。


 左側に行き少し留まったあと、カウンターへと戻ってきた。

 するとまた居なくなった。

 一体何なんだ。


 と思った瞬間、何かを置く音が聞えた。

 それと同時に黒髪がまた現れた。

 それだけではない。

 可愛い顔をした少女が見えた。


 多分この子が店員だろう。

 黒髪に可愛い童顔。

 どこかボーっとした表情に紫色の目。

 見た目的に……6歳くらいか。

 不思議な子だ。


 おっと……とりあえず、話してみよう。 


「……君は?」


 一応、念の為、俺はこの黒髪の子に聞いてみる。


「ここの受付だよ」


 可愛らしい声、おっとりしている。

 それより、この子がここの店員!?

 それも、受付!

 本当なのか………この子が、この店の受付をしているのか。


 普通は大人のはず。

 アトリス王国もそうだった。


 いや、もしかしたら………国ごとに受付の年齢が違う?

 

「店員だったのか……店のこと、わかるのか?」


 ローバンさんが不審そうに聞く。

 この子は子供。

 本当かどうか不審に思うだろう。


「わかるよ」


 しかしこの子も図々しく答える。

 言い方も慣れている。


「なら話早い、受付を頼みたい」


 ローバンさんも適応が早いようだ。

 そうして、ローバンさんはカウンターに行き少女と受付を済ましている。


「あの子、あんな小さいのに……すごいなぁ」

「そうだな」


 あの子は凄い。

 この年でここで店員として働いている。

 こういう子もいるのか。


(頑張らないとな)


 この子がこうやって働いているのだ。

 こちらも頑張らなければいけない。

 俺は大人だからな。


「終わった」

「ありがとう」


 そうこうしているうちに、受付が完了したようだ。

 

「部屋は二階だよ……三人だから、五番、六番、七番の部屋であってる?」

「あぁ、すまないな」

「いいよ」


 聞き耳で聞いたが、今回も個室。

 プライバシーは守られている。

 さて、宿屋の部屋も確保した、これで休憩できる。

 長旅だ……疲れた。


 早く部屋に入って、ベットで横になろう。

 

「部屋は聞いたな? 早く行くぞ」


 ローバンさんが俺たちに向かってくる。

 手には三人分の鍵を持っている。

 部屋は確保できたようだ。


「ふぅ、早く行きましょう」

「あぁ」


 ローバンさんと、セイランは宿の個室に向かって歩き出した。

 

 ついていこうとしたが、俺は立ち止まり、少女の方方を見る。

 少女はカウンターで受付をしている。

 夜まであのままだろう。


「なに」


 少女が俺に気づいたようだ。

 そりゃ、目を向けてるからな。


「君はまだ子供だよな」

「……うん」


 少し間がある


「君はそうやって、長い間受付をしているのか?」

「そうだよ、これが、仕事だからね」


(おかしい)


 あんな小さい子供が、夜まであのまま受付を継続できると思うか?

 できるわけがない。


 何かあることは確か。

 まぁ、詮索はしないが、気には留めておこう。


「……まぁ、いいか、受付ありがとう、体に体に気をつけて」


 一応心配はしておく。

 反応は無言、何もない。

 まぁ、仕方ないか、さて、部屋に行くとしよう。


 俺は階段に行き、登り始めた。


「……‥心配はいらない」


 ん?

 何か聞こえたような……。


(……気のせいか)


 幻覚だろう、それより部屋さっさといこう。

 二人は既に先、俺も急ごう。


 ロベルトは自分の部屋に向かって、歩き出した。

 それを、いつもと変わらない少女が強く見つめていた。



 


 


 

 



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