第五十八話「拠点奪還作戦」
午後8時半頃
辺は真っ暗、唯一の光は月のみ。
闇が夜を支配し、夜を染める、これぞ夜の世界。
そんな夜の世界に集団で動く人々がいた。
それは、盗賊団
『カサドラ盗賊団』である。
盗賊達は、奪われし拠点の奪還を求め、進行中。
決められた敵は、炎の国の遠征軍。
奴らを倒し、拠点を取り戻すのが、今回の目標である。
炎の国は強い、なので奇襲、潜入の2つの作戦をかける。
これを巧みに操り、攻めるのだ。
ロベルト・クリフ、セイラン・テラスティアもまた。
盗賊団に同行していた。
‐‐‐
草木が多い茂道を抜け出し、奥へ奥へと進む。
この先越えれば盗賊団の本拠点。
作戦決行の目的地はもうすぐだ。
現在は仲間である8班と一緒に行動中。
作戦で重要な役を任されてるのである。
他の班も、突撃の際の待機、武器防具の補充係。
回復役など、分けられている。
そしてそれらを従えるは、我らが盗賊団の頭『ローバン』
彼はこの作戦の指揮を行う。
全体の要である。
ちなみに俺の仲間にセイランという女の子がいるが。
今日になってから会っていない。
最後にあったのは昨日、彼女は違う班で行動してるはず。
(無事だろうか……上手くやれるだろうか)
いや……信じてあげないと駄目だろ。
彼女ならやれるはずだ、きっと。
「着いたぞ」
ルクブットが話しかける。
それと同時にあたりを見回すと草木がいっぱい。
しかし、一つ景色が違った。
それは……奥に見える建物と、炎の灯火が見えたからである。
あれこそが奪還の目的である拠点である。
目的の場所に待機。
作戦決行は夜9時。
あともう少しで、奪還作戦が本格的に始まる。
奪還作戦の初めとなるものは、俺達8班と7班の潜入である。
わざわざ敵の中へと忍び込み。
敵のリーダーを中から潰す、これが大事な役割である。
そのため、現在準備中である。
「おーい、俺の小型ボウガンどこいったんだ?」
「そこら辺にあるだろ、探せ」
「ねぇと、困んだよなぁ……」
ここで一旦皆が持ち運ぶ物をなどを説明しよう。
まずは自分自身『ロベルト・クリフ』
荷物、ポーションや戦闘で役立っであろう物は何個か持って行く。
土の聖水などの大事な物は、8班の寮に置いてきたのである。
使う武器は『鋼の剣』
旅立ちからずっと使ってる代物、そろそろ刃こぼれしてきている。
早い所直してもらいたい。
魔法を上手く活用する。
『ルクブット』
ロベルトなどの回復物はないが、地図などを持ち運ぶ。
または、便利な道具など。
相手用の毒物もある、殺傷性はない。
武器は『鋭い殺意のある武器』
後腰に背負っている、武器。
普通の剣ではなくて、所々曲がったりした所があり、殺意が高い。
刺されたら痛そうだ。
『ヴァス』
戦闘のサポート用具などを持ち運んでいる。
先程の小型ボウガンもその一つ。
一応腰に短剣を所持。
武器は『小型ボウガン』
近距離も行けるが、ヴァスは遠距離による攻撃が大得意。
何発も装填して打ち込むボウガンを気に入っている。
『スピンス』
その辺の植物などを現地で採取してきた。
知識があるので、植物の有効な使い方を知っている。
武器は『シンプルに鉄の剣』
彼自身扱いがうまいし、慣れてるからである。
とてもシンプルである。
『ロッカ』
彼自身体が大きく巨大なので、重い物を持ち運べる。
鎧を着てる訳ではない。
武器は『大剣』
すごく大きく重い、こんな物を的に振るのだ。
気絶&捕縛を最低限としてるが……これは殺す気満々だろう。
ガードも出来る。
ざっとこんな感じ。
みなそれぞれ、重要な役割を持っている。
それと同時に道具もだ。
彼らは的確な判断と知識を持ち行動力がある。
これは頭のもとで鍛えられたかいがあった。
ローバンさんも『そこの所は褒めてやる』と言っていた。
「あともう少しで夜9時だ、作戦開始の揺きを確認する」
作戦が開始する合図はない。
理由はこれをやると、敵に気づかれるからである。
夜9時を回るとともに、静かに作戦を開始するのである。
最初に動くのは、潜入の8班と7班。
この班は2つの道に分かれて、移動する。
「作戦開始とともに、敵にバレずに拠点に近づく。
そこから手っ取り早い作業で上に登る、方法は繩を使う」
一人を屋根に登らせたあと、上から繩を垂らして、登らせる。
ロープの魔法を使える俺にとって、有利な立ち位置。
「俺、ロープの魔法、使えますよ」
「おおっ! まじで!」
「それならば、縄などは節約できる」
それにロープの魔法は特別だ。
自身の魔力に応じて、ロープが硬くなる。
だから………俺の魔力を考えると………。
『絶対千切れないロープの完成』ということになる。
まぁ、魔力解除やそれ以上の攻撃をされたら千切れるけど。
(そんな事、そう簡単に起きるはずもない)
「おっと……そろそろ時間のようだ」
ついにか。
待ちに待ったこの時。
「長らく待ったぜ」
「いつでも行けるさ」
「任務は………果たす」
「成功させる、絶対」
夜9時になるまで残り数十秒。
時計の針は一刻と9時に近づいていく。
今か、今かと待ちわびる。
「……4…3…2…1」
そして時計の針はゼロを指す。
よる9時が訪れた、それと同時に、作戦が始動する。
「作戦開始!」
遂に、拠点の奪還作戦が始まった。
‐‐‐
ルクブット率いる、8班の行動が始まる。
ここで2つに分かれる。
どちらも付く場所は同じだ。
各自バレないよう、あたりを見回し、拠点に接近する。
拠点の周りには兵士が二人。
拠点自体大きいので、頻繁に会うことはないが、それでも危険。
慎重に行動する。
「兵士が前にいるか……」
ロベルト、スピンスの前に兵士が一人見張りをしている。
ここを抜ければ拠点。
早い所抜けたい所。
「どうします」
「兵士は一人、ここは戦闘……いや、捕縛に移る。
この拠点はデカい、兵士が一人いなくなっても気づかないだろう、やるなら今しかねぇ」
「やるんですか、今」
「あぁ」
なんと、戦闘に移るそうだ。
攻撃は兵士が後ろを振り向いた時、後ろから敵を拘束。
拘束中に睡眠魔法をかけ、草木に隠し寝かせる。
この時縄で捕縛するのを忘れず。
(さぁ、向け!)
そして兵士が後ろを振り向く、こちら側に背中を晒して。
二人はそれを逃さない。
ロベルトは素早く土魔法で、兵士の周り、足元を固める。
そして身を乗り出し、兵士の首元にしがみつき、締め付ける。
突然のことだ、対応できるはずもない。
「なっ゙、な゙に゙も゙の゙っ………ぐっ゙」
締め付け、声を出させないよう拘束。
その隙にスピンスが横に移動し、兵士に魔法をかける。
その魔法は『睡眠魔法スリープ』
魔法は2級
英語だが、睡眠魔法だ分かりやすい。
睡眠魔法は相手が近いほど、掛かりやすい。
睡眠時間は最低で30分ほど。
みるみる内に眠気に襲われ、兵士は倒れ込む。
二人で足と腕を持ち、そこら辺の草木に投げ捨てる。
(当分起きないはずだが……心配だ、もしもの時に出られないよう、
土魔法で固めて置くか)
再度土魔法をしよう、兵士を土の球体で囲むように作成。
うん、墓みたいだ。
「走れ!」
「! あぁ」
ロベルトとスピンスは音を立てずかつ早く走り抜ける。
拠点へと目指す。
「着いた」
拠点の外壁へと到着、ここから上に登り屋根に上がる。
そこから入口の兵士を片付け、隠し扉のある壁へと向う。
「土魔法を使って、上へ登ります」
「失敗、するなよ」
分かってるって。
ロベルトは地面に土魔法を作成、そのままお仕上げ上へと上昇。
軽々と屋根に登れた。
(結構簡単だな……おっと、気を抜くなよ……)
ロベルトは再度土魔法で、屋根にロープを引っ掛け釘を形成。
そこにロープ魔法を括り付ける。
それを下へと垂らす。
これで……登れるはずだ。
(アイツ……やるな)
ロープ魔法か、便利なものを持ってやがる。
それで本職は旅人……盗賊やったほうがいいんじゃねぇのか?
すると、右側から気配を感じた。
誰だ! と思い振り向くと、8班の残りの3人が向かってきた。
(なんだ、アイツラか………)
3人は無事に合流した。
「間に合ったか」
「あぁ、今ついたところだ」
「さて、この壁を登るのか………お、ロープってこれか」
壁にはロープが上から垂れている。
壁は少し高いが、この3人なら登れるだろう。
「上です、早く来てください」
ロベルトが催促させる。
「わかってるよ、うおっ、これのぼんのか」
材質はどうだ………。
ロープを触る………至って普通の縄と同じ。
変化のない物だ。
「まっ、登るわ」
そう言ってヴァスがロープにしがみつき、上へと登っていく。
得意なのか、するする上へと上がっていく。
そして上へと登りきった。
「よし、ヴァス一着!」
「早く、時間は掛けらないですよ」
あいつの言うとおりだ。
ここで長らく時間は潰していられない。
兵士が巡回に来る前に、登りきらなければ。
「俺が行こう」
次はロッカの番だ。
この人、ガタイがでかい割に、移動が早い。
ある意味すごい人だ、それに班では唯一の三十代だからな。
それにしてもあと二人か……。
間に合うのか? 兵士が来る前に。
「あと二人か……間に合うかこれ?」
「まずいです」
ここは、何か方法を考えないと……。
あと二人を兵士が来る前に、登りきらせる。
兵士はまだこない、しかし絶対ではない。
ここは……ロープを増やすか。
俺は横にもう一つ、土魔法で釘を作成。
そこにロープ魔法を括り付け、下に垂らす。
「ん、これは……」
「もう一つロープを作りました、それで登ってきてください」
俺はルクブットさんに、そう言う。
一つを待つより、もう一つ作ったほうが効率が良い。
「すまん」
ルクブットさんはロープを登り始めた。
あとはスピンスだけ。
間に合うだろうか。
そう思っていると、ロッカさんが登りきったようだ。
「遅くねぇか、ロッカさん!」
「問題ない」
ロッカさんが登りきった。
あと二人、大丈夫だろうか。
ルクブットさんを見下ろす、徐々に登ってきている。
もうすぐだ。
ここは手をかそう。
「ルクブットさん」
「ん、あぁ」
手をがっしりと掴む、そのまま引き上げる。
これで……なんとか登れた。
あとはスピンスのみ。
「おい、スピンス早く上がってこい」
「なるべく、急げ」
「分かってるさ」
スピンスは残り一人。
ロープを伝い、上へ上へと登っていく。
ゆっくりだが、着実に登っていっている。
このまま行けば………。
しかし、そう簡単に事は運ばない。
今現在、右側から巡回中の兵士が接近していた。
それにいち早く気づいたのはロッカ。
「ルクブット」
「! なんだ?」
ロッカ自身、自分から話しかける事はないので、ビックリした。
それに加え、声が追白そのもの。
何かある。
「右側だ、敵兵が迫っている」
「本当か?」
ルクブットはその声に右側を見回す。
すると、遠くの兵士を発見。
こちらへと近づいていた。
あの兜、歩き方的に、まだこちらに気づいていない様子。
しかしそれは時間の問題。
いずれこちらに気づく………その前に、スピンスには登ってもらわなければ。
ルクブットはこれをヴァス、ロベルトに伝える。
「おいお前ら、敵が接近している、位置につけ。
ロベルト、スピンスに知らせろ!」
「おおっ、嘘だろ!」
「分かりました」
ロベルトは迅速に行動する、ここが彼の良いところだ。
状況に縛られず冷静に動ける。
戦闘にとってこれほど重要なことは他にない。
「スピンス、敵が来ている、急いでくれ!」
「なに………くそっ、分かった!」
スピンスの登る速度が増す。
それと同時に。兵士もこちらに近づいてくる。
急がなければ、見つかる。
この状況、絶体絶命。
ここで見つかれば、すべてパー。
なにせ、相手には周囲に知らせる、大きな笛を持っている。
そんなもん吹かれれば、一瞬でバレる。
「登れるか、スピンス」
「ハッ、当然!」
意気込みはあるようだ、早く登ってきてくくれば……。
まずいな。
兵士との距離は約20メートル。
スピンスと屋根の距離は約3メートルほど。
と言うか、なんであの兵士気が付かないんだ。
いや、気が付かれたらまずい。
とにかく、あと少しだ………手を伸ばしてここは補助に徹するッ。
あともう少し。
そう……そうだ、よし。
「捕まれ!」
「!」
ロベルトとスピンスは手をがっしりと捕まえた。
そのまま引き上げる。
引き上げる際、風魔法で風圧を起こす。
「うおっ!?」
その衝撃で、思ったよりも吹っ飛んでしまったスピンス。
背中から、屋根に着地した。
とても痛そうだ。
「おいおい、大丈夫か?」
少し笑いながらも、手をかすヴァス。
「はぁ……いらん心配だ」
それを右手で叩く、そして立ち上がり、服のホコリを落とす。
ついでに髪もはらう。
「ヴァス、お前は臭いから、触らないでもらいたいんだが」
なかなかに酷い言葉である。
そこまで言わなくてもよいのではないか………。
しかし、スピンスはそういう男。
これは必然である。
「え? 臭いか」
ヴァスは、それを真に受け、脇、腕を臭う。
しかし、あまり匂いはしない。
「臭いかのかぁ?」
疑問に頭を悩ませる。
それを見ていた、ルクブット、ロベルトも一応だが。
服などの匂いを、嗅いでおく。
「「臭くない」」
二人とも、それほど臭くはなかったようだ。
「行くぞ」
「あ、あぁ」
ロッカが率先して、入口の方向へ向かう。
後ろから追いかけるルクブット。
それに続く3人。
この際にも物音を立てない、ここはプロである。
「見えるか?」
「あぁ、バッチリだぜ」
現在屋根から下……入口を見下ろしている形である。
入り口付近には二人の兵士。
前を向いて見張りを遂行している。
『こちらには気づいていないようだ』
「上から奇襲をかける、各自準備はいいな?」
「俺とロベルトが拘束するぜ」
「で、俺が睡眠魔法か……」
「協力しよう」
なるほど。
よし、上からならば、気づかれない。
それに、対応も難しいだろう。
「準備はいいな、数を数える」
「あぁ」
上手く合わせれば、きっと上手くいく。
よし。
全員は奇襲にむけて、集中する。
集中はこのときの為に………いま、兵士を倒すため。
刮目せよ。
「3……2……い「1、0!」はぁ……」
ルクブットの数えを無視し、先に飛び出したヴァス。
ため息が出てしまう。
おっと……俺も行こう。
1秒遅れて、ロベルトも瞬時に飛び出す。
それにスピンスも続く。
最初に飛び出したヴァスは両腕で、兵士の首にむけ、しがみつく。
そして、安定の首締め。
それには兵士も驚き、抵抗の意志を見せる。
しかしそれも虚しく。
あとからやってきた、ロベルトの魔法により後ろから押され倒れる。
息ができず身動き取れない。
そこへ、スピンスが降りてくる。
そして素早く、両方の兵士の頭に触れ睡眠魔法を唱える。
それは……見事成功。
二人の兵士は夢の中へと落ちていった。
「上手く行ったぜ」
「なんとか……まぁ、いいだろう」
「睡眠魔法はこっちも眠くなる……あまり使いたくないな」
入口の兵士を無事に倒すことが出来た。
さて、眠らせたはいいものの。
これだと不自然だな。
さーて、どうするか。
「よし、これでいいだろう」
俺は土魔法で兵士の足元を固定し、体幹を安定させた。
もちろんたった状態でだ。
これで他から見れば、見張りしてるようにしか見えない。
万が一、寝てるとバレたとしても。
居眠りで済むだろう。
「いいじゃねぇの」
「そうだな、さて、壁へと向かうぞ」
壁、隠し扉のある壁のことか。
隠し扉どんなものなのだろうか……映画みたいにボタン式か?
それとも特定の壁を押さないと入れません的な?
それか、見えないドアとか。
ルクブットに続き、前へと進んでいく。
着いた、ここか。
壁の前についた。
見ての通り、何の変哲もない場所である。
ここに……隠し扉があるのか。
「今から開く、下がっていろ」
ルクブットが全員を一度下がらせる。
ちなみにだが、隠し扉を知ってるのはルクブット、ロッカの二人だけである。
特定の人にしか教えられない。
すると、ルクブットさんがなにか……唱え始めた。
それは世界で使われる言葉ではない。
もちろん日本語でもない、モンスターの言語でもない。
なにか……呪詛のようななにか……。
呪文に近い。
そして何秒かそれが続き、ついに言い終わった。
しかし、変化はない。
「開かねぇぞ?」
「今に見ておくんだ」
そうして何秒か待ってみる。
すると………どこからか音が鳴り響く。
それは全体的に重く、石が動くような音であった。
それと同時に、前方の壁に異変が現れる。
「なっ、開いた?」
「おっほぉ! すげぇ!」
「幾年ぶりか………」
なるほど………よく分からん言葉で開く式の隠し扉か。
そういうのもある。
開かれた壁、奥は下へと続く階段へとなっている。
ここから先が拠点へと繋がっている場所である。
奥は暗く、空気が流れ込んでいっている。
なにか……不気味だ。
「入るぞ」
「おぉ」
ルクブット、ヴァスが中へと入っていく。
それに続き、ロッカ、スピンスも続いて入っていく。
残りは俺だけ。
さて……ちょっと怖いな。
しかし、置けれるわけには行かない、俺も入るとしよう。
「ん、いま……」
一瞬誰かに見つめられていたような………。
他の班の人だろうか。
いやでも……なんか熱いような………。
(気のせいか)
ロベルトは暗い階段の奥へと入っていった。
この先にはカサドラ盗賊団が誇る大きな拠点となっている。
そこは……難解な拠点であった。




