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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第4章「盗賊団編」
59/93

第五十五話「ローバンとの対談」

 朝


 ロベルト、セイランは牢屋にて睡眠中、現在三日目である。 


 それにしても、よくこのような衛生の悪い場所で寝れるものだ。

 無防備な体制。

 なかなか肝が座っている。


 未だ起きる気配なし。

 しかしそこに、足音が近づいていく。


 その正体は人であり盗賊。

 牢屋の看守的ポジションに位置する盗賊団の一員である。


 牢屋の前に立ち、鉄格子を叩く。


 しかし無反応。

 癪に障ったか、盗賊は大声を出す。


 「おい、起きろ、起きるんだ!」


 盗賊は強めに言葉を発する。


 「……あ」


 その言葉は少しだけロベルトの脳内に届いた。

 ゆっくりだが、体を起こして、辺を見回す。

 その目はぼやけている。

 まだまだ夢に捕らわれているようだ。


 「なんだぁ……?」

 「起きろ、起床時間だ。ここからお前たちを出してやる」


 現在7時


 いつもはこの様に呼びに来る事はない。

 しかし、今回は丁寧に呼びに来た。

 そして、なんと。

 ここから出してくれるとのこと。

 

 「……本当か?」

 「あぁ、さっさとしろ」


 疑問気になりながらも問う、盗賊の言葉は変わらない。

 ここから出してくれるそうだ。


 思考が何秒か止まる。

 頭の中で最適な情報を整理し、頭で理解する。

 そして、それが神経をわたり、全身へと伝わっていく。


 「! す、すぐに!」


 ロベルトはすぐに行動に出た。

 と、その前に少し水で顔を洗う、よし綺麗、清潔になった。



 「おい、セイラン、起きてセイラン、起きなさいセイラン」

 「ん……」


 俺はセイランを揺さぶり起こす。

 ずいぶんよく眠れたものだ、いやそんなに多くはないか。

 ちょっと痛む、これは少し、疲れが残っている程度。

 なんてことはない。


 「あ、おはよう」

 「おはよう、早く準備して、牢屋から出るぞ」

 

 速やかに的確な言葉を伝える。

 その言葉にセイランは一瞬停止する。


 「………え? 牢屋こは出る? もしかして………脱走?」

 「違う、多分釈放だろう」


 セイランが勘違いしないよう、真実を伝える。

 伝え終わったあと、セイランはすぐさま準備に取り掛かった。

 なんとか、信じてくれたのか?


 「まだか?」

 「あと、もう少しです」


 盗賊の人を長らく待たせる訳にはいかない。

 急ごう。

 

 「よし、終わりました」

 「やっとか、ほら、上へ急ぐぞ」


 盗賊の人に催促される。

 最後に俺とセイランで準備の最終チェック。

 うん、うん、あるものはある。

 よし、これで………整った。

 

 (いざ、久しぶりの牢屋の外へ)


 この3日間で、少しやつれてしまった。

 こんな事予想してなかったから。

 全く対処できなかった。

 突然な出来事に、状況に対応できず。


 やっぱり、人生何が起こるか分からない。



‐‐‐



 3日ぶりに一階へと戻った。


 ここからは日の光が差し込んでくる。

 実に3日ぶり。

 太陽光が窓から俺とセイランを照らしていく。

 同時に牢屋の糞虫を殺虫していく。

 てか、まだ居たのか。


 「セイラン、久しぶりの陽の光はどうだ?」

 「体が漲ってくる」

 「だよな、俺も」

 

 体のそこから力がみなぎってくる。

 やはり、何日も太陽に当たってないと、体力が落ちる。

 本来の力が引き出せない。

 この数日で存分に味わった。

 毎日が不快のオンパレード。


 「話してないで、ついて来い」


 おっと、怒られた。

 ここは黙って従おう。



 外へ出た。


 親密で開放的。

 各場所に生える木や林がなかなかに見どころのある。


 そういえばこうやって周りを見渡すの、これが初めてかもな。

 なにせ、あの狭い土の球体の中に入っていたんだ。

 あれは……窮屈で仕方なかった。


 やっぱり新鮮な空気はいいものだ。


 

 道中、周りにいる盗賊たちの話し声が聞こえた。

 話の的は俺達であろう。


 「あれが、お頭の言っていた」

 「二人いるぞ」

 「そうだが……あれは果たして強いのか?」

 「さぁ、見たところ普通の人とは変わらないが………」

 「お頭の言葉だ、信じろ」

 「結局はそれに行き着くか」


 何人が、俺達のことについて話し合っている。

 正直こういうの恥ずかしい。

 あまり、注目はされたくない。

 これは自分的な意見だが。


 一方セイランは下を向いている。

 俺と同じで恥ずかしいのか。

 それとも別の理由か………。


 (まぁ、いいか)



 目標の家に着いた。


 家の見た目は普通の木の建築物。

 先程の盗賊たちの家と、同じような建築。

 至って普通である。


 「ここは?」

 「お頭の家だ」

 

 ここがお頭の家か。

 先程も思ったが、至って普通。

 盗賊たちとは変わらない。


 「あの……普通の家と同じように見えるんですけど……」

 「そこはお頭の考えあっての事らしい、気にするな」

 「はぁ……」


 お頭の考えか。

 何かありそうだな、まぁいい。



 家の中へと入った。


 いつもと同じ……と思ったが違った。

 そこは普通とは違う内装に装飾が施され。

 赤いカーペット、いかにも高そうな品物の宝庫。

 そして、綺羅びやかな装飾品が、二人を出迎えた。


 驚いた。

 いきなり、ドンッ、だから、身構えていなかった。

 

 「凄い……あ、ロベルト、天井見て」

 

 セイランに言われた通り、家の天井を見てみる。

 そこには、様々な絵が描かれていた。


 豚のような生き物が人間のように立ち歌っている様子。

 それぞれ服を来て、酒? などを飲みまるで宴のよう。

 

 

 「本当だ、なんだコレ……」

 「お頭自ら、書き写したものである、どれも一級品だ」


 お頭、絵もかけるのか……。

 あの絵を見る限り相当な技術が必要、相当する時間。

 それを床ではなく、天井に書くのだ。

 ただでさえ難しいのに……。

 あんなの貴族、王族の人しかやらないだろう。


 それを階級の下の下、盗賊がやるのだ。

 一種の魅力を感じる。 


 ロベルト達は盗賊に連れられ、とある部屋の前へと向う。


 「ここが、お頭のある部屋だ」


 盗賊はそう言うと、扉をノックする。

 すると、中から声が聞こえた。


 「入って良いそうだ、さて……俺はここまで、あとは二人でお頭と話してくれ

 くれぐれも………バカな真似はするなよ?」

 「無茶な事はしません」


 それを聞いた盗賊は眉を潜めながらも、元いた場所へ帰っていった。

 さて………入るのするか。


 これ、入って良いんだよな?

 さっき声がしたし、もう入ってもオッケーだよな?

 不安だが……行くか。


 ロベルトは扉のドアノブに手を掛ける。

 鍵は開いていたので、簡単に中へといることに成功した。


 部屋の中には様々な装飾が施されている。

 そして、一番の注目点。

 部屋の奥ある、玉座に座っている、一人の男の姿。

 それは……あの時の男。


 牢屋で会った男こと、ローバンであった。



‐‐‐



 「よう、お二人さん」

 「どうも」

 「こんにちは」


 俺とセイランはとりあえず、お辞儀をする。

 礼儀はどんな時でも必要不可欠。

 それに今回、相手は目上。

 そして、牢から出してくれた恩人のような人でもある。  

 感謝を込めないと。


 「おっと……かた苦しいのは苦手だ、まぁ……そこに座れ」


 そう言ってローバンは目の前のソファを指さした。

 かた苦しいのは嫌いらしい。

 ここは、座らせてもらおう。


 俺とセイランはソファに座る。

 これで向き合う形になった。


 「さて、また会ったな、二人とも」

 「はい」

 「お前たち二人を呼び出したのは、少し用があってな」


 用………?

 なんだろう、何かあるのか?

 一体何をさせようというのだ?


 「しかし、その前に確認したい事がある」

 「確認したい事……?」


 牢屋でも少しだけ話したが、やっぱり不思議な人だ。

 魅力的と言っていいか、ミステリアスというべきか。

 どちらにしろ、ダンディ。

 

 「昨日、牢屋で『戦闘経験』について聞いたな」


 戦闘経験?

 あ、あぁ、たしかにそんな事聞かれた気がする。

 しかし、それが何と関係するんだ。


 「戦闘経験が……どうしたと言うんですか?」

 「簡単に言うと戦闘経験、戦闘、強さ、そこから出てくる答え、それは、

 お前たち二人の強さ」

 

 俺達二人の強さ?

 なんだ? 剣術とか魔術とかの強さのことか。

  

 「俺は単純に、お前たちの強さが知りたい、それが、ここに呼んだ理由だ」


 なるほど。

 純粋に俺達の強さが知りたかっただけか。

 確かに、相手の強さは大事だ。

 知らなかったら、いざ戦闘になった時苦戦することになる。

 それを聞くためか。


 いや、だとしたら。

 なぜ手錠の一つもつけない、それも護衛もいない。

 危険な事だ。


 ここは様子見と行こう、何をするか分からない。

 予測できない。

 とにかく質問に応えよう。


 「……強さといいますが……どのような事を?」

 「ん? あー、強さと言われても難しいか、そうだな………称号、ほら剣士とかにあるだろ? 中級とかな」

 

 あぁ、なるほど。

 称号ならば、その人の強さを一番表せれる。

 履歴書みたいなものだから、経験が分かる。


 俺の場合だと……中級剣士に分類されるのか。

 父親から聞いた話だと、俺は上級レベルの強さを持ち合わせているが………。

 上級は冒険者か、兵士、騎士の役につかないと手に入れれない。

 この場合俺は上級だが中級剣士というわけである。


 やっぱり、自分の力を示すために、冒険者にでもなるか?


 「ロベルトからどうぞ」

 「はい、俺は………中級剣士の称号を持ち合わせています」

 「ほぉ、中級剣士か……なかなかだ」


 中級剣士

 この世界では有り触れた剣士の称号。

 中級といったら中くらいのイメージがあるが、普通に強い。

 大体中級から人間を辞めてくる頃。

 それでも世界中にぞろぞろ存在、人って怖いな………。


 冒険者でいう中級剣士はB、C程度。

 下級がF〜D、上級がA。

 それ以上がSという位付だ。


 「しかし、この俺は上級の力を持ち合わせています」

 「ほんとか」

 「はい、旅人なので中級までですが」

 

 早い所、上級に上がってみたい。

 そして、もっと強くなれば……。

 剣聖………剣王………そして、剣神。


 ロマンあふれる。

 できれば父と同じ剣聖くらいには………おっと話の途中だった。

 

 「しかし、まだあります」

 「まだあるのか」

 「YES、俺は剣以外に、魔法にも点があります」

 「剣と同時に魔法もか………よくにいう魔法剣士って所か」

 「そうです」


 魔法剣士。

 いいな、魔法と剣を同時に扱い戦う剣士。

 それが今の自分。

 やっぱり、こういうの良い。


 魔法使いの称号はないけど。


 「お嬢さんの方はとうだ?」


 いきなりの振りに少し驚くセイラン、心を立て直し、答える。


 「えっと……私は、中級魔法使いの称号を持っています」

 

 中級魔法使い。

 こちらも剣士と同じで、ゴロゴロいる。

 剣士よりは少ないが……それでも数は多いほうだ。

 なにせ、魔法使いは皆、憧れる存在。


 今の魔法の技術もあるが、

一番大きいのは過去の魔法使い達が残した功績だろう。


 「こっも剣士とかできるか?」

 「……出来ないです」

 「そうか、この男が珍しいだけということか」

 「そう言うことです」


 最初っから、俺は剣も魔法も才能があった。

 だから、あまり苦戦することはなかった。

 これも転生の特典なのか、果たして。


  

 「なるほど、まぁ大体分かった、お前たちの強さはよく理解した」

 

 「まぁ、ちょっと信じがたいところもあったが、良しとしよう」


 あ、信じがたいんだ。


 「さて、用は済んだ、戻っていいぞ」


 ローバンは手をシッシと俺達の方向に振る。

 これは追い出すサイン?

 てか、用は済んだ? 戻って良い?


 (あ、これってまさか……)


 「あの失礼ですが、戻れって………もしかして、『牢』にですか?」

 「そのとおりだが……不満か?」


 ロベルトは息を吸う。


 やっぱり、予感は的中した。

 また牢に戻るという、地獄………嘘だろ?

 俺達まだ監禁されるのか?

 いや、そうだろうけど………悲しい。


 と言うか、俺達いつ次の国に行けるんだ?

 もしかして……このまま一生牢の中とか言わないよな?

 だとしたら…………


 (いや、考えたくもない……)


 途端に無気力になった。

 セイランも同じように見える。


 「……そうですか、では……セイラン、行こう」

 「うん……帰ろう」

 「おい、まて、本当に帰るな」


 は? 何だいきなり止めて。


 「なんです?」

 「ジョーク、ただの嘘だ、本当に帰るな、嘘だ嘘、分かるか?」


 嘘? ジョーク?

 ほ、ほんとうなのか?


 「………それは、事実ですか?」

 「事実だ」

 「……本当?」

 「事実だぞ」


 ふぅ……そうか。

 それなら、良かった。

 救われた、まじであの牢屋に戻るのかと思った。

 危機一髪……回避した。

 

 もう一度、ソファに座り直す。


 「あの」


 セイランがローバンに聞く。


 「えっと、もう、用事は済んだはずですが……」


 確かに。

 ここに俺達を呼んだのは、強さを知りたいと言う用があったからだ。

 それも、今終わったところだ。

 

 「あぁ、それは仮だ、用は他にある」


 これも嘘だったのか。

 気が抜けるなぁ。


 「本当の用事それは……勧誘だ」

 「か、勧誘?」


 俺達を勧誘したいというのか? このひと……。

 もしかして、勧誘って……。

 俺達を盗賊に誘ってる?


 「勧誘と言っても、俺達の団に入れと言ってるわけでは無い」

 「では、勧誘とは?」

 「盗賊団の一員ではなく……戦闘員としての勧誘だ」


 戦闘員としての勧誘。

 え、つまり………戦い役。


 「元は俺の部下が勝手に連れてきた奴ら、時が経てばそこらに捨てる予定だった」


 ローバンは淡々と語り始める。

 と言うか、怖いな、捨てる予定だったのか。


 「しかし、お前たち二人、特にお前を見て、『これは……』そう思い、一旦時間を置いた。

 それから、牢屋での事と、先程の話を見て、確信した。

 こいつは………使えるとな」


 俺達を見て、そう思った。

 それも、特に俺の事を見てだ。

 やはり、この人も転生者である俺に何か感じたのだろうか。

 それか、俺から力の源………これが感じないからだろうか。

 

 しかし、それだと俺は弱い判定に入るはずだ。

 なにせ、力の源が感じない=無いだ。

 俺をみて『使える』と確信しない。


 だとすると、もう一つは……興味。

 純粋に他と違う俺に興味を持ったかそれくらいか。


 「だからお前達を勧誘する、強いやつは必要なんだ」


 最もの意見だ。


 「……あの」


 ここでセイランが話す。

 そういえばセイランはあまり喋ってないな。


 「なんだ?」

 「えっと……私達、いきなり連れて来られて、貴方達の話もまともに知らないのに、そんな……急な事情に付き合わされるのは………ちょっとおかしいかと。

 勧誘するなら……まず、貴方たちの事を教えてくれないと、って……思って」


 辺はシーンと静まり返る。

 

 確かに………セイランの言うとおりだ。

 俺達はこの人のことをまだ、"お頭"という点でしか知らない。

 この人の事、そして盗賊団のこともまだ未明。

 セイランの言う事は間違ってない。


 「………確かにな、こちらの事情ばかりで、俺達の事を後回しにしていた」


 ローバンは座っている玉座から立ち上がり、横のタンスを開ける。

 そこからある一つの古い紙を取り出す。


 「お前たち二人に、俺達のことについて教えよう、いいな?」


 ローバンはそう聞いてきた。

 真剣だ、さっきとは思えない。


 「もちろんです」

 「………お願いします」


 さて。

 情報が聞けれる。

 俺達はなんのため勧誘されたか。

 そもそも、ここはどこなのか、アンタ達はだれなのか。

 ようやく聞けるぜ。

  

 「まず、俺の名前はローバン、そして盗賊団のボス、これは聞いたな?」

 「聞きました」


 これは牢屋でも聞いた。

 上の名前はないが……これは、

 ルティシエやフィオネと同じ部類か。


 「そして同時に指名手配犯でもある」

 「指名手配犯?」


 指名手配犯だって?

 そう言うと、ローバンは先程取った紙を俺達に見せつける。

 その紙には、ローバンさんに似たダンディな男が写っていた。

 そして下に載っている、多額の懸賞金に目が入る。

 

 凄い多額だ……でも、この人は知らない。


 「これがローバ「これって!」……?」


 俺の言葉をセイランが突如遮り懸賞金の紙をまじまじと見る。  

 何か心当たりでもあったのか?


 「やっぱり! 私、この人知ってます!」

 「ほぉ」

 「本当かセイラン」


 どうやら知ってる様子。

 それほど有名なのか、俺全然知らないんだけど。


 「うん、私の地元『氷の国』では大有名、大事件! 知らない人はほとんどいない」


 うっそだろ。

 そこまでのことなのか。

 それにさっき大事件って言ったよな、こんな多額の懸賞金がつくほどの事件。

 一体どんな事したんだ?


 「帝宮兵士串刺し事件」

 「物騒な名前だなぁ……」

 「名前の通り、事件も物騒………王国の兵士約46人を剣で串刺しにして、夜の闇へと逃げた大事件のこと……」

 「正確には45人だ」

 

 思ったより、とんでもない事件だった。

 大惨事だ、怖すぎる。

 そしてなによりも……目の前にいる人がこの事件の犯人。

 その人が俺達を勧誘。


 聞くだけで、震える。

 怖すぎだろ。


 「その事件から逃げ出して、この盗賊団を作り上げた」

 「逃亡犯………」

 「その盗賊団の名前………それは! 名乗ろう!『カサドラ盗賊団』だ」


 カサドラ盗賊団。

 エジプトにいそうな名前だ………全く知らない。

 初耳だ。


 「カサドラ盗賊団って、あの!?」

 「ほぉ、これも知ってるのか」


 再びセイランが、立ち上がり声を上げる。

 物知りだな、セイラン。


 「盗賊団員約50人、世界各国を移動し旅するかの盗賊団。

 最近は負傷のため、風から土の国にかけて居座っていたと言われる……あの」

 「そこまで、知ってるのか」


 セイランやけに物知りだな。

 いや、知り過ぎだな、なにか本でも調べたのか?

 

 「物知りだな、セイラン」

 「え? ま、まぁ……貴族の令嬢だし……」

  

 それ理由になってないだろ。


 「そしてその盗賊団が、今目指す目標、それは……拠点の奪還」

 「拠点の奪還」


 いきなり言われた。

 拠点の奪還だと……。

 ここが拠点じゃないのか。


 「あの、ここが拠点では」

 「ここは仮拠点、俺達の本当の拠点はここから北にある、現在炎の国連中に、陣取られている」


 また仮拠点、拠点多いな。

 そしてまた、炎の国か。

 戦争だけではない、まさか、盗賊までにも被害を加えてるとは。

 何でもありだな。


 あ、もしや。


 「だから、俺達を勧誘したと」

 「そうだ」

 

 だから俺達を勧誘したのか。

 拠点の奪還つまり……炎の国と戦うということ。

 そのために強い奴は必須。


 「だから、お前たちの力が必要というわけだ、協力してくれ」

 「もし、断ったらどうなりますか?」


 これはほんのできごころだ。


 「身ぐるみ剥いで、牢屋の中にぶち込む、どうだ?」

 「わかりました、協力させていただきます」


 協力しよう。

 ここは協力すれば、次へと進める。

 次の国に行くためにも、炎の国は邪魔である。

 ここは素直に従おう。


 「よくいった」


 ローバンさんと硬い握手を交わす。

 渋々だが仕方ない。

 『情熱』の握手である。


 「ちなみに………報酬とか、ありますでしょうか?」


 これは失礼だったかな。

 図が高すぎるか。

 しかし帰ってきた反応は予想とは違った。


 「金貨を何枚かくれてやろう」

 「ありがたいです」


 もう一度硬い握手を交わす。

 二人とも目の辺りは真っ黒に染まっている。

 何か裏のある握手である。


 「これで………協力関係?」


 近くから眺めていたセイラン。

 先程の握手とは何が違う事に気づき、不気味さを覚えた。


 ロベルト&セイランはローバン率いる盗賊団と協力関係を結んだ。

 一つは、共通の敵を倒すため。

 2つは、金のため。

 3つは、ここから早く、出ていくために。


 奇妙な鎖が、バラバラの意志をがっしりと一つに繋いだのであった。


 

 

 


 

 

 


 


 

 

 

 

 


 


 



 遅くなって、すみません……。

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