第五十四話「牢屋生活」
皆さんこんにちは。
私の名前はロベルト・クリフ。
現在17歳の青年(一応成人です)
現在私はとあるホテルの………一室に泊まっています。
訂正します。
一室ではないです、『牢屋』でした。
そこで泊まりこんでから約1日が経過しました。
ホテルでの生活を完走した感想なのですが……。
正直言って最悪です。
少しだけこのホテルの全容をご紹介します。
まず大前提として、このホテル。
そして場所…………。
はい、森の中、草木茂げる鬱蒼とした森の中です。
この時点で、衛生面上心配になってきますよね?
なにせ、自然の中ですから。
そして、このホテルを経営する、社長的存在。
その正体は………。
『盗賊』です。
それだけではない、ホテルを支配する従業員全てが盗賊で構成されています。
終わりです、無法地帯です。
さて前置きはここまで。
次は、一番気になるであろう、牢………一室の内装を、ご紹介。
はいまず、ここが驚きポイント。
えーはい、家賃がゼロです。
驚きですよね?
ここまでしていいんかい。
こんなに安くていいの? そう思いますよね。
大丈夫いいんです。
無料、タダで泊まれます。
まぁ、それに見合った部屋しか用意して貰えないけど(小声)
ハイ内装行きます。
内装は、中世のときくらい使われた牢屋です。
シミだらけ、埃だらけ。
おまけに虫も湧きます。
寝れたものではありません。
この牢屋はすべて硬い石でできています。
どこもかしこも、石、石、石。
不快度が加速します。
ですが、値段がタダのぶん、安いもんですよ、ハハハ。
さて、次にベッド。
この部屋、ベッドのようなものはありません。
看守直々に、『そのへんで寝ろ』と言われました。
そのことから、この硬い石の上で寝なければいけない。
これだけで不快感を味わいます。
しかし寝れるだけましです、少しだけ虫が湧いてるのが難点ですが。
タダで寝れるだけましです。
トイレは樽式の貯めるやつ。
部屋隅にある樽に用をたす感じであります。
衛生面は最悪です、難です。
部屋が狭く、密室空間なので、至る所に悪臭が漂います。
この場合、風の魔法を使い、和らげることもできますが、しかし。
鼻にツンと刺す匂いは変わりません。
水道もないですが、こちらは水魔法で対処可能です。
それにトイレですが。
現在私は男一人、女一人の男女二人で宿泊中。
それにおいての、男女ごとのトイレは同じ。
はい、差恥がやばいです。
見てはないですが、音は聞こえます、ここだけは言いたかった。
この部屋には、テレビ、本、遊び道具など存在しません。
超暇です。
なので、私は頭をフル回転し、とある遊びを考えました。
それは……オセロ。
土魔法で微妙に違う色の土をオセロのように作り、遊ぶ。
これにより、暇を潰せます。
オセロは元々この世界には無かったので、彼女はもちろん知識なし。
教えるのに苦労しましたが、現在は慣れました。
今の所は、衛生を除いて楽しく暮らせています。
ま、少しやつれていますがね、ハハ。
はい、食事?
「そんなもんねぇよ」
「……どうしたの?」
「いや、なにもない」
ハイハイ、食事ですがぁ。
ここが一番の難点ですね、ハイ。
食事が全く出てきません、そのせいで常時空腹に植えています。
今までは我慢できました………少しぐらいならば。
(……………だが)
飯無しは、我慢できねぇ!!!
彼女と遊んでいたオセロ盤をちゃぶ台のように返す。
そのまま勢いをあげ、牢屋の鉄格子に土魔法を、ぶつける。
しかし、少し凹むだけ。
無理だ、やっぱり。
どうにも、この鉄格子を壊せるイメージが沸かない。
壊せる気がしない。
(全力でやっても、まだ無理とはな……)
ハイ、ここがポイント。
安心安全なセキュリティ。
外と内をが完全に隔離する設計、極限まで鍛えられた鉄格子。
これにより、脱出は不可能。
まぁ、鍵の解除魔法を使えれば、話は別ですが、私は使えないです。
ア◯カムなんか使えねぇよ。
この牢屋に入れるのは、犯罪者に看守(盗賊)だけです。
まぁ、どっちも同じですが。
‐‐‐
あのあと、セイランと共に牢屋に入れられてから、1日がたった。
誰かさんの紹介の通り、ここの環境は最悪。
本当に最悪。
盗賊だからか? 酷すぎるぜ。
(あぁ、腹減った)
「セイラン、食い物………持ってないか?」
「バッグ取られちゃったから、ないかな……アハハ」
「ハハハ、そうか」
腹が減った。
そのせいで空腹、やる気がない、体力もあまり、出ない。
それに、寝心地も悪かったので、少し寝不足。
やつれてしまっている。
水魔法で頭など洗ってるが、それでも衛生は少ししか防げない。
(さぁて、どうしたものか)
俺は鉄格子の方を見る。
鉄格子はとても硬く、頑丈、俺の土魔法でも壊せなかった。
爆発は狭いところでは使えないので、どうやっても抜けれない。
なにか、方法は……。
鉄格子の奥、廊下は明るい。
松明に火が灯っているので、明かりは十分だ。
ここは密室空間、それも地下。
なので、暗く明かりを見れなかったので、有り難い。
さて、どうしようか。
牢に囚われてから、はや1日。
一刻も早く、土の国に行きたいが、まさかこんな事になるとは。
くそ、今頃ついていたはずなのに。
畜生め、盗賊どもめ。
とりあえず、なんとか脱出しないといけない。
映画の脱出方法だと。
地面を掘って抜け出す方法があったな。
いや、でも………だるいな。
それにあれは映画だ、フィクションだ。
実際は崩落の危険がある。
俺ならまだしも、セイラン。
彼女は貴族のお嬢様、巻き込むわけには行かない。
これは却下。
次………。
えー次は、看守から鍵をこっそり盗む大作戦。
看守が来るかどうかわからんけど、もし来た時様に備える。
看守が来るのは、見張りと……食事だと思うから、それまで待つ。
まぁ、この1日。
一人も来てないけどな。
と言うか、本当に1日経っている。
いや……俺の体内時計はまだ、狂ってないはずだ……。
多分、経っている。
いや……? もしかしたら、暇過ぎて頭がショートしてるだけか?
オーバーヒート見たいなやつか。
「セイラン、時計持ってるか?」
「もう、取られたよ………」
「くそったれ!」
牢に入ったあと、気づいたら俺達の荷物がなくなっていた。
多分だが取られただろう。
本業が盗賊だけあって、盗みは上手いってか?
さて、大問題。
俺達は今のところ、なんの進展もなし。
あるとすれば、オセロでの試合。
ようやく、一勝したところだ。
セイラン何だが、適応が早すぎる。
先程教えたばっかなのに、なんでこうも上手くなるのか。
やはり、貴族だからか?
そういった、遊びばっかしてるからか?
裕福だから、そういうのに沢山触れているからか?
それとも………単なる実力。
それにしては…………。
一勝二十五敗って………やばくないか?
じゃなくて、進展だ進展。
依然、この牢屋に変化はなし。
看守の気配もしないし、上の音も聞こえない。
ここ防音になってんのか?
とにかく、変わりようのない。
同じ景色ばかりで疲れる………それにここは植物がない。
ちょっと息苦しい。
‐‐‐
変化があった。
それは約一日半振りの飯が配給されたからである。
「遅れてすまんな」
盗賊はそう言って、俺達に飯を上げる。
その後は、一階へと戻っていった。
今回用意された飯はこちら。
トマトの煮込みスープ。
パン(普通)
どっかから取ってきた野菜
もちろん2人分の食事だ。
うーん、豪華!
一日半振りの食事、それにこの量は朝食に匹敵する。
俺とセイランは、食事を楽しんだ。
いゃあ、うまい。
美味しかった、ここまで美味しい食事を用意できるとは。
あの、盗賊たち何者だ?
ロベルトは、盗賊たちに対して、疑問を持ち始める。
それにここまで贔屓にするか?
普通の盗賊たちなら、とっくに身柄はがいて売り飛ばしている。
それに俺達も奴隷として売られているはず。
それか………魔物のえさ……。
それに、盗賊たちはここまで豪華な食事をくれるか?
普通は残り物とか、廃棄物だろ。
酷い時は、くれやしない。
おかしい。
俺の知る盗賊たちとは矛盾している。
これは……何かあるのか?
いや、そもそもの話。
(本物の盗賊なのか?)
ロベルトは頭を悩ませる。
環境の悪い所にいるせいで、頭が変な方向に回ってるようだ。
ちなみに、セイランは睡眠中。
長らく食事を取っていなかったから、食べた衝撃でそのまま熟睡。
まぁ、日頃の疲れもあるだろう。
ぐっすり横になっている。
「俺も寝るか……」
「いや、まてよ、ここは解決策を考えるのが先か………うん、よし」
寝よう。
‐‐‐
2日目
もう、ここで2日も無駄にしてしまった。
なんてことだ、こんなことになるとは。
おっと……トイレしたい。
トイレで用を足したあと、地面に座り、少し集中。
いや、集中というより、瞑想だな。
あまりにも、暇すぎる。
そして静か、変わりようのない現実の景色に触れすぎたせいか。
瞑想を始めた。
少しだけ………神秘が開けた気が………。
魔力が………増えた気が………。
(気のせいだろう、うん)
引き続き、ロベルトは瞑想に集中する。
しかしその時、上の部屋で、いつもよりも濃い魔力を感じた。
それも、直感的に感じた………強い気配
魔物でもでたのか?
ほれとも、何かあったのだろうか。
ロベルトが疑念に浮かれていると、上から話し声が聞こえた。
いや、上ではない、階段の方向。
男、盗賊たちの話し声。
………話声から察するに、何か勢いのある感じ?
そう思っていると、階段から、二人の男が見えた。
姿はよく見えないが、盗賊で間違いないだろう。
「頭! なにするか、わからねぇでげす、近づくのは危険かと!」
盗賊のThe子分のような人が、頭と呼んだもう一人の男を警告する。
どうやら警戒されてるな……。
と言うか………頭だって?
「いや、いい、俺が見極める」
頭と呼ばれた人は、子分の忠告を受け流し、牢屋に近づいてくる。
そして、俺達の前までやって来た。
盗賊の子分は、心配とともにのさのさ帰っていった。
「おい」
ビックリした。
渋めの声、いやダンディな男の声。
そして整った顔立ちに渋いイケオジ。
あの茶色いヒゲ………。
惚れてしまう………そんな事はないか。
男は俺達に呼びかけた。
ここは敬語で対応しよう。
「な、何でしょう?」
「どこからやって来た」
どこからやってきた………。
あ、あぁ、なるほど。
「え、えっと……風の国です」
「そうか、そこの嬢ちゃんは」
「え!? あ、えっと……同じです」
望み通り答えた。
すると、男は手を顎に起き、考える仕草をする。
なにか……気に触ることでもあったのか?
「なるほど………恋人同士仲良く旅行って所か」
少しだけ吹き出しそうになった。
こ、恋人だってぇ〜?
なにか、誤解されてるようだ。
この言葉には、俺もセイランも顔を赤らめる。
「こ、恋人では……無いです………」
「なら、嫁さんか、新婚旅行ってところだな」
うわー。
余計ややこしくなった。
まだ結婚もしてないし、付き合ってもない。
それに、まだ歳的若いだろ。
あ、いや、成人だから普通か……?
「ち、違います! えっと……友達、です……」
「何だ、友達か」
男は納得したあと、奥にあった木の椅子を持ってきてそれに座る。
再度向き合うことになった。
「そんで……お前ら、名前は?」
男は椅子に腰掛けながら、俺達に語りかけた。
「ロベルト・クリフです」
「ほぉ、いい名前だ、何歳だ?」
「えっと、17です」
「結構若いな……」
確かに、人からして若いのかもしれない。
そうだ、俺は成人してからそんなに経っていない。
今更だった、前世の記憶のせいで、歳の感覚が麻痺していたようだ。
(俺は17歳、前世とは違う……よし)
「そこの、お嬢ちゃんは」
「えっと……セイラン・テラスティアです……歳は同じです」
それを聞いた瞬間、男の顔色が変わった。
何か確信したときのような感じ。
何か、あったのか。
「テラスティア………氷の国の貴族の家系か?」
「は、はい」
「……なるほど、こんな所で会うとは……驚いた、人生はわからないものだな。」
男は薄笑いを浮かべながら、立ち上がりに少し後ろを向く。
テラスティア。
氷の国の貴族は、ここまで有名なのか。
俺とは全く違う。
いや、一応。
風の国でも、多少の知名度はあるか。
ロベルトと風鬼の二人のな。
「おっと、忘れていた」
男は椅子に座り直す。
「俺はローバンだ、盗賊の頭と思えばいい」
自己紹介は済んだ。
それにて、わかったことがある。
やはり、この人が、盗賊たちの頭、ボス的存在で間違いない。
こんな所で会うとは。
でも……優しそうなかんじ。
「まず、すまんな、あの連中と間違えて、野郎どもが捕らえてしまったようだ」
なるほど、ちょっとした手違いが起こったわけか。
落とし穴にハマらせたワケではないのか………。
「ん………あの連中とは?」
「あぁ、炎の国の奴等のことだ」
炎の国の連中………兵士の事か。
確かに、戦争中の国………強硬な手段を用いる奴等。
基本的に武力で世を束ねる存在。
まさに炎の国ってわけだ。
以下、炎の国の悪行(一部)
・逆らった村を滅ぼす。
・全焼させる。
・戦争に巻き込まれた被害者の援助?あるわけ無いだろ。
一応、これでも闇の連中よりはマシなんだけどな。
「最近、ここらへんで、炎の国の連中がうろちょろしていてな気が立っていたというわけだ……すまんな」
「いえ、全然」
それよりも、ここまで炎国が来ていることに驚きだ。
結構離れていた気がするが………。
遠征のようなものか。
では、あれは……炎の国の遠征軍。
「そうだ、お前ら、戦闘経験あるか?」
ん?
いきなりそんなこと聞いてどうするんだ?
まぁ、言うが。
「人よりは多いかと」
「私も……多少ならば………」
「よし、決まりだ」
男は椅子を横に……戻し、立ち上がる。
そして、少し体を捻ったあと、俺達に向き直る。
「ここから出してやっても良い」
な、本当か?
出れるのか?
「出れるんですか?」
「本当ですか?」
「勢いあるな、あぁ、まぁ、明日には出してやろう」
よしゃ。
決まった。
これで……久しぶりの外に出れる切符をゲットしたぞ。
クリアだ。
「おっと、くれぐれも脱出しようと考えるなよ?」
「出る気力もありません」
「そうか……牢屋改善したほうがいいか?……」
最後に何か小声で、つぶやいていたが、気にしない。
そのままローバンは、一階へと戻っていった。
これは……ボスに気に入られたって所か?
これで……ようやく。
この衛生の悪い、クソみたいなところから開放される。
これぞ回忌。
セイランは熟睡したが。
ロベルトは明日へのウキウキのせいか、あまり寝れなかった。




