第五十話「新たなる旅路」
仕度を整えた、ロベルト達。
ロベルト達は、厳重に保護された大怪鳥の元へ向かう。
大怪鳥は、風の神殿のとある研究室にて、保護されている。
普通、国を危険にさらした生物を生かしておくわけには行かない。
しかし、今回は普通の生物ではない。
それははかの大怪鳥『ファトラーム』
別名……風神鳥。
そんな神聖な生き物を。
人の独断で勝手に処分できるはずもない。
この事から、風神、風浬のもと保護されている。
俺達は大怪鳥に取り付く呪いを除去するため。
大怪鳥の下へ、向かう。
風の神殿前。
「ついた〜!」
風の神殿前。
風が拭き通る、涼しい場所。
そこにそびえる、大きな建造物。
すべて白い壁で出来た建物。
周りには綺麗な花が咲いている。
自然もバッチリ、見所も沢山。
写真でもあったなら、取ってみたい。
「さぁ、行くよ、皆準備できてるかなぁ〜?」
「いつでも、どうぞ」
「問題ないです」
「大丈夫だ」
フィオネの言葉にそれぞれが反応を示す。
それと同時に、風の神殿へと歩きだした。
風のの神殿前、そこには兵士が2人見張りをしている。
「これは風浬様、よくぞお越し下さいました」
「風の神殿へようこそ……」
フィオネ一行を門番の兵士たちによりお出迎え。
………見覚えがある。
そうだ、あの時の兵士だ。
神殿内部に侵入する前の出来事。
下水の中から見た時に神殿の扉付近で見張りをしていた兵士。
奇妙な再会だ。
(実際に、会ってないけど)
「ご苦労さん!」
「はい、おっと……そちらの方は、風浬様が話していたお方で……?」
フィオネの後ろ。
俺達を兵士が指してくる。
「うん、そうだね」
フィオネもわかってる通り、それを肯定する。
「えっと……たしか、そちらの女性は……セイラン・テラスティアとか……」
「わ、私の名前を………!」
(風浬様、本当に話したんだ……ちょっと、恥ずかしいな………)
兵士がセイランの名前を、知っていた。
先程の話の通り、フィオネ野郎。
俺達のことを、話しやがったな。
個人情報だぞ?
訴えてやろうか?
しかし、位的にも無理に等しい。
「そちらのエルフのお嬢さんは、ルティシエさんですか?」
「そうよ」
ルティシエははっきり答える。
なんの躊躇もないのか。
何故か自信満々に答えている。
「風浬様の話によると……難しい性格だとか……」
「げっ………」
ここで、兵士が1言余計な言葉をいれる。
それに、フィオネが反応、ちょっと焦っている。
そういえば……。
なんだか、後ろから気配が……それも、殺気か?
「難しい性格って、どういうことよ?」
ルティシエが飛んできて笑顔でフィオネに問いかける。
「え? え、いやぁ~耐え難いーうーんっと……」
「んー?」
「厄介な……感じ?」
「へぇ~」
顔はニコニコしている。
しかし、それは皮を皮を被っているだけであろう。
内心『こいつぶっ殺してやらァ!』そんな感じだろう。
このエルフのことだ。
ツンデレのツンが異様に大きい。
そして、強いッ。
(凄いなぁ、このエルフの人、こんなふうに風浬様を詰めている……その強さ、見習いたい)
兵士は心のなかでで、ルティシエに尊敬の念を浮かべる。
「後は……そちらの男の人ですが」
そう言うと、兵士は懐から、紙を取り出し、中を拝見。
そして、丁寧に中を確認する。
俺に向かい、読み上げた。
「副団長から聞いてます、直接言うのもなんですが......逃亡犯、犯罪者、爆破魔、異端者の青年ロベルト・クリフと聞いてます、合ってるでしょうか?」
「あ、あぁ……アッテルヨ」
そこまで、直球に言わなくても。
もっと、オブラートに包んでほしかった。
気分が下がる。
(あの女騎士め……)
胸のペンダントを握りしめ、女騎士を思い浮かべる。
くそったれめ……。
ペンダントを握っていると。
脳裏に最愛の妹、リシアがちらつく。
「副騎士団室にて、用がある様なので、向かってくださいませ」
あの、女騎士から用事……?
「分かりました」
一応了承しておこう。
後で、副騎士団と……よし。
脳内メモリに保存したぞ。
「はい、確認終わりました、例の所まで、ご案内します」
そう言うと、兵士は神殿の、扉を開けてくれた。
俺にとって、ここから入るのは初めて。
一度入ったことは、あるが。
招かれたことはない。
(少し、緊張するな)
中へと、入った。
「こんなかんじなんだ……」
「ここに入るの……何年ぶりかしら」
俺にとっては数日ぶりの来場。
他とは違う優越感が得られる。
なにせ、ここに侵入したからな。
ここから見る景色は素晴らしい。
まさに、ファンタジーな場所だ。
図書館……いや、博物館のほうが内装的に近いか?
「こちらです」
「はいはい〜い」
兵士に連れられ、ロベルト一行は神殿内を歩く。
数日前に侵入したばかりなので、ちょこっとだけ覚えている。
‐‐‐
大怪鳥が保護されているのは、一階奥の扉。
ちょうど上に風の間がある設計。
神聖なる空気、風が入ってくるのである。
「どうぞ」
兵士に催促され、部屋の中へと入る。
そこで最初見た光景。
それは、厳重に保管され、横たわっていた大怪鳥であった。
見た所、睡眠中のようだ。
周りには研究者? そんな感じの人が何人かいる。
すぐさま、フィオネが駆け寄り、大怪鳥を見つめる。
そして、しゃがみ込み、見つめる。
「……大怪鳥の様子は?」
近くの兵士に聞いてみる。
「大怪鳥? あぁ、今は安静にしている、少し前はちょっと暴れていたが、今は問題ない」
「そうなのか......」
暴れる……か、やはりこれも、闇神の影響……呪いなのか。
全く、なんと厄介なものだ……。
てか、呪いって、どんな感覚なのだろうか。
何はともあれ、大怪鳥は無事か。
これで安心だろう。
「皆、ちょっと、こっちに来て」
すると、向こう側からフィオネに呼ばれた。
フィオネ、大怪鳥の元へと向かう。
何か、あったのだろうか。
「来たぞ」
「良かった、ほら、これを見て」
フィオネが大怪鳥のこめかみを指す。
大怪鳥のこめかみ。
そこには謎の紫色の奇妙な物体が張り付いている。
少し気持ち悪い。
「こ、これは何ですか?」
セイランは、問いかける。
少し、抵抗が感じられる。
「これは、多分、闇神が出した呪いだね……それも、拡散型」
闇神の呪い(拡散型)
闇神が使うの広範囲な呪い。試作品にもかかわらず結構便利。
闇の幹部内で使われている。
これの対処法は2つ。
・神、神聖なる力を使い呪いを解く。
・呪いを相手に跳ね返すこと。
「なかなかに厄介だな……大怪鳥につく呪いは解けるのか?」
強力な呪い。
この世界ではこれだけで、街一つ滅ぼせる程の恐ろしさ。
それが、大怪鳥に集中している。
それだけでも、危ない。
「今日………風神様が解いてくれるはずだよ」
それならば………一応安心か。
風神は風の神、自由の神。
自由に力では大怪鳥を呪縛から解き放ってくれるだろう。
フィオネは大怪鳥を優しく撫でている。
そのたびに、羽毛が揺れる。
大怪鳥はどこか心地よさそうだ。
「………俺も、触っていいか?」
「あぁ……まぁ、いいよ、みんなもね」
許可は得られた。
早速、優しくゆっくりと撫でてみるとしよう。
さわさわ。
ふむ……毛がなびいている。
触り心地も、鶏を思い出す感じ。
体格的にも鶏に似てるからか、妙に親近感が湧く。
こうしていると、家で育てていた。
鶏の『ひーちゃん』を思い出す。
可愛かったなぁ……本当に。
この大怪鳥と俺の家の鶏は似ている点が多い。
丸く深い羽毛に、爪。
立派な鶏冠に、鋭い爪眼光。
あとは、ちょっと愛らしい所。
まぁ、取り自体は別物だ、それに大怪鳥はモンスターである。
(でも……可愛い……!)
そうしていると、セイランも横側に座る。
どうやら、セイランも撫でるようだ。
「眠っている、でも………フカフカ、体温を感じる」
「それは、生きてい証だ」
生き物には全て体温がある。
それは生きている間のみ活動する。
これも、生命の証拠。
「………どんな感じなの」
「ルティシエさんも、どうぞ?」
「あ、いえ、あたしは触らないから………」
頑固者め。
いや、自身のプライド故か?
とにかく、この人は素直になれば良いものを。
………まぁ、人それぞれか。
「ふふっ………仲良しだね」
「そう? そうかしら?」
「仲良しでいいと思うよ」
ほんの数日の関わりだった。
しかし、ここまで仲良くなれて。
これは、神が示した運命か、決定した真実か………。
「こういうのも悪くない」
「楽しいよ〜」
「余も。思うぞ」
あぁ、そうだな。
やっぱり旅は面白くなきゃ、楽しめない!
二人の言うとおりだ!
(……………)
「「「「へっ?」」」」
全員が疑問を感じ、そして気づく。
4人の中に、もう一人、誰かが混じっていることを。
その人は、知らない人。
否! それは違う。
赤いローブ、胸まで伸びた、豪毛なヒゲ、しわがれた顔。
そして、どこか神々しさを感じる姿。
宙に浮く、金ピカな杖。
それは………老人!
違う、それはかの『風神』であった。
風神と気づいたのは、4人中二人。
ロベルト・クリフ。
フィリオリーネ。
この二人だけであった。
ルティシエ、セイランは疑問を抱く。
この老人は、一体何者なのか。
一体、いつからそこにいたのか。
「余はあえて嬉しいぞ、フィリオリーネ」
風神はいかにも嬉しそうに言う。
神殿の時と、後味変わった印象だ。
「あ、あぁ……私もだよ……風神様」
一方フィオネは顔を少し赤らめ、恥ずかしそうにしている。
ちなみに今の風神発言で。
ルティシエとセイランは度肝を抜かられる。
「む? いつもみたいに"おじいちゃん"と、呼ばぬか?」
(((お、おじいちゃん……?)))
おじいちゃん、だと?
まさか……血縁者なのか?
それとも、ただ、フィオネがそう言ってるだけ?
「あ、ちょ、その呼び方恥ずかしいから! や、やめてよ……!」
「あ、あの……どういうことなんですか? ふ、風神様と風浬様……どのような、関係が……?」
セイランは恐る恐る、尋ねる。
それを聞いた、風神は静かに答える。
「余の………孫じゃ」
「はぁっ孫ぉッ!?」
衝撃の事実
フィオネ、孫だったのぉっ!?
嘘ぉぉぉっ……?
まじか……つまり、家族なのか………。
「わわ! ちょっと、恥ずかしいから! ここで言うのは……!」
「皆の衆よ、フィリオリーネと仲良くしてもらって有難いこと」
なんと、風神直でお礼をもらった。
とてつもない体験!
それを見て、更に顔を赤らめるフィオネ。
体をもじもじさせている。
「そ、そんな! それほどでは!」
「そ、そうよ、じゃなくて、そうです! 風神様が謝らなくても!」
二人は必死に否定する。
しかし、風神、そこは譲らなかった。
その後は少しだけ、話した。
俺の事は覚えていたらしい、流石にな
‐‐‐
「ふぅ……」
風神は一息吸ったあと、大怪鳥の前に立つ。
そして、宙に浮く杖を手に取る。
「そろそろ、余のでばんじゃの」
風神の杖からエネルギーがたまり始める。
これこそ、呪いを解く瞬間。
貴重な体験である。
(凄いエネルギー……おぉ)
4人は風神が呪いを解く瞬間をしかと目に収める。
風神は風の力をため、大怪鳥のこめかみに照らす。
そのたびに、風が取りのように舞い、心地よい気持ちを感じさせる。
それに、妙に爽やかな気分。
まさに、束縛のない。
鳥のように自由な感覚であった。
(凄い魔力………)
セイランは、風神の魔力に見惚れていた。
この魔力があれば……。
私は、何でも出来る、そう思うくらいに………。
これがあれば、私は自由に………。
あ、あの……、解放される………はず、と。
心の中で秘かに思う。
風神が杖を降ろす。
それと同時にあたりに舞う風のエネルギーが消える。
「全ては終わった」
どうやら、終わったようだ。
これで、呪いが解けたのか?
「と、解けたんですか?」
「うむ、余の力が、通用したようじゃ、これでよし………」
闇神の強い呪いを、いとも簡単に解いた風神。
流石、というべきだろう。
「あの、ありがとう………風神様」
フィオネが風神にお辞儀しお礼を言う。
「うむ、フィリオリーネ、
お・じ・い・ち・ゃ・ん、
そう呼ばぬか?」
「っ……」
しかしこの風神。
どうにも、フィオネに『おじいちゃん』と言ってほしいようだ。
なんとも、家族愛が深い。
孫が大好きなようだ。
「お、おじいちゃん………っ」
もう顔が真っ赤、目が泳いでいる。
死ぬほど恥ずかしいだろう。
風神様は嬉しそうだ。
「こ、こんな一面が見られるなんて………! 百年生きるとと、こんな事に相まみえる......のね」
「なお、本人は成長してない模様」
「はぁ!?」
やべっ、つい口走っちまった。
あぁ、めんどくさい。
ズカズカ近寄ってきて、俺に平手打ちを食そうとする。
しかし、身長差的に不可能。
なにせ俺は175センチ、高身長!
ルティシエは150台だ、無理無理。
俺は、顔を華麗に動かし躱す。
それが、余計にルティシエを怒らせる。
瞬間移動とか使えたら、逃げれるのに。
もしくは、時止めとか、それか時間を巻き戻すとか。
それを使えば……いいんだけど。
そんな魔法、ないか。
「ロベルトよ………」
そこへ風神が俺の下へやってくる。
それも、神殿のときに見たような雰囲気を纏って。
「余が受け渡した、依頼、そして協力の件じゃったな」
「! はい」
一応、騎士風にしゃがむ。
依頼を成功した。
もしかしたら………本当に………!
「許可しよう、余が協力してやろうぞ」
キタ。
「その前に……ロベルトよ、頭をこちらに向けてくれるかの、下に頼む」
風神からそう言われた。
指示に従い、俺は風神の御前で頭を下げる。
なんだろうか。
すると、突如頭の上で風の魔力を感じた。
見ようと、思ったが風神の言った通り下げたまま、じっとする。
一体、何が……起こっているのか。
それに、なんだか……。
力……力が、湧く、漲ってくる。
俺の中に何かが入ってきて、優しく包み込む。
「終わったぞ」
俺は頭をあげる。
風神は今のまま。
何が起こったんだ?
「あの、いまのは……一体………?」
「ふむ……知らぬようじゃの……これは祝福というものじゃ」
「祝福……?」
祝福って……あれか?
キリスト教の。
神から、恵みを貰うことのあれ?
「うむ、余はお主の力を認め、祝福を授けることにした」
そうか……。
たしか、この感覚、体験したことがない。
しかし、分かる、これだけは。
他とはまったく違う、神の感覚。
風、風が感じられる、俺の中………強く。
「祝福を受けると、己に眠る力をその元素の魔法で包み、開花させる。いわゆる……覚醒に近いのである」
「パ、パワーアップ……」
俺は強くなったということか。
つまり、神バフをもらったと言う事。
つまり、俺は、めちゃくちゃ強くなったということか?
それは………。
「詳しいことはフィリオリーネに聞きなさい。優しく教えてくれよう」
そう言って、風神は、そこを立ち去る。
「あ、あの………!」
「余は、やらねばならぬことがある。ここより………さらばだ」
そういった瞬間、あたりを風が舞い、竜巻のように変化。
それが風神を包む。
気づいたときには、風神は消えていた。
フィオネ以外はポカンとしていた。
いきなりだったから……つい。
「風のように去る…………それも、自由気ままに……」
セイランがなにか言っている、
まぁ、気ままであるな。
しかし、しっかりしてる所もある。
「とりあえず、私は大怪鳥を見ておくよ、皆は先に……マスターの所にでも行っておいてくれ」
「フィオネは行かないのか?」
「私はあとから行くから」
そう言うと、大怪鳥の下へと歩いていった。
やっぱり心配性なんだな。
「……とりあえず、向かうか」
「はぁ~疲れるー……ん、ふぅ……」
「ふぅ……」
各各それぞれ、疲れが溜まってるようだ。
やっと、これで帰れる。
風神にも協力を貰った。
これで、この国で残した事はない。
「あ、騎士との話、あったんだった………」
‐‐‐
「来たか」
ルティシエたちには先に行ってもらった。
俺は一人で、騎士フランセの下を尋ねる。
「あぁ。それで、なにかようか?」
「少しな」
そう言って、引き出しを開ける。
中から、とある一枚の紙を取り出し、それを確認する。
その後、それを机に置く。
「きてもらった理由、それは………お前の罪の件だ」
「!」
罪………罪か………。
はっ、やっぱりな。
なんの音沙汰もなかったから、許してもらえた?
そう思っていた所だ。
(流石に、甘くないか)
「お前の罪は沢山ある、主に爆破だな」
あれは、仕方なかったというか、やるべきだった感じだな。
いや、普通に駄目だな。
「普通ならば、牢に入ってもらう所である」
「………普通なら?」
なにか、あるのか?
「しかし、今回、お前は牢には入らずに住むことになった」
「! 本当か!」
牢に入らずに済むとは。
おぉ………よかった。
まだ、旅を続けれる、なんとか回避。
(本当は入れたかったが………これは上の者と風浬様、そして……かの風神様の決定。思うところがあるが、仕方ない………だが)
「………そのかわり、ロベルト、お前には罰金がつく」
あぁ……罰金………。
まぁ、被害多かったからな。
スゥ~どのくらい、付くのだろうか。
「……いくらだ?」
「一万金貨だ」
は?
「あの、もう一度」
「罰金は、一万金貨だ」
「え?」
「素直に受けいれよ」
「額は?」
「一万・金貨・だ」
は、はぁ~?
「はぁァァァァァァァァ!?」
多っ!
多っ!!
多すぎだろ!!!
桁二つ間違えてるだろ!!!!
一万って!
(聖閤堂でも、三百枚だぞ!!!)
「あぁ、あと、お前に直接ではない。お前を雇う『聖閤堂」の店主の下に請求書を送る」
「ははは......」
グラスさんに、殺される………。
まずい……ヤバいぜ。
命の危険を感じるぜ。
確実にクビを飛ばされるぜ。
ロベルト、命の危険を知る。
‐‐‐
「ということがあったんだ......」
「お疲れ様、出口はあちらよ」
「帰らすな、くそエルフ」
現在俺はマスターのバー。
そのカウンター席に座り、いまの状況を話していた。
「大惨事だね、手の施しようがないね」
「グラスさん? でしたね、少し可哀想ですね」
ご尤も。
まったく、申し訳ない。
聖水の仕事は終わらせた。
風の聖水は、フィオネの手により、捧げられた。
本当は見たかった。
しかし、仕方ない、寝てたからな。
しかし、仕事を完了した矢先。
とんでもない多額の罰金………いや、借金。
それが……グラスさんのもとに……。
(考えるだけで、恐ろしい事実)
夢ならば、どれほどよかっただろうか……。
頬をつねる。
うん、無意味だ。
「あ、ルティシエはこのあとの予定どうするの?」
フィオネが聞く。
「……あたしはいつもどうり」
いつも道理を貫く、精神。
「じゃ、ロベルトは?」
俺は、そうだなぁ……。
「荷物の準備をする。明日には国を出ようと思っているからな」
その言葉を聞いて、皆驚く。
「え? もう、出るのかい?」
「あぁ、そうだ」
「ゆっくりすればよいのに」
「俺にはやる事がある」
妹を救うという。
最大にして最後の目標。
これこそが、俺の旅の目的。
国を旅する理由。
ただ……妹のためだけに、旅を続ける。
「まぁ……明日までだから……今日は休むといいよ」
「そうする事にしよう」
「うん、セイラン、君はどうするんだい?」
フィオネはセイランに聞く。
彼女はもともと、フィオネに回復役として誘われた女の子。
それに、貴族の娘。
こんなところにいてよいのだろうか。
使用人の方には昨日あったらしいが、今日は……大丈夫なのか?
「私は………」
なにか、思い詰めてるみたいだ。
「どうするんだい?」
フィオネは分かったのだろう。
セイランに優しく尋ねる。
「私は…………」
全員が聞く。
「私………家出する! 自由になる、旅をしてみたい!」
セイランはそんなことを言った。
「! そうかい、決めれたね」
「ふぅん……」
「フフフ、面白い」
えっ、えぇーー
家出するって………。
俺が言った言葉。
まさか、真に受けたのか?
あの冗談半分で言った、『家出』を。
ま、マジかぁ……。
まぁ、彼女が決めた事だ。
俺がどうこう言う必要はない。
「家出するって、言ったけど、どこにいくつもりだい?」
「………決めてない」
ガクッ……。
まだ、決めてないのか。
その調子だと、準備もしてないだろう。
「行くなら、アトリス王国。ここがオススメね」
おっ、そうだな。
犯罪もないし、国は大きい。
仕事も沢山充実している。
それに優しい人ばかりだ。
グラスさんもいる。
ここなら、いいな。
「いいかも、でも、そこじゃない」
「あ、あれ?」
違うのか。
ならば、どこだ?
他の国とかか?
水に………土、雷………。
「私は」
そう言って、セイランは、指をある方向に指す。
その方向は………。
「え、俺?」
その方向は俺であった。
どういうこと?
「え? ロベルト?」
「うん、ロベルト」
何で、俺なんだ?
俺に向かうのか? うん?
(あ、もしや………)
「私、ロベルトの旅についていく、私も一緒に、同行する」
「なんだと......セイラン!」
いきなりそんな事を言い出す。
つまり、俺のたびについてくるということなのか……?
(一人旅終了のお知らせ)
「えっと、いいのか?」
「うん」
「結構……キツいぞ? すべての国周る予定だし」
「それでも」
彼女………セイランは。
覚悟している。
ヒリヒリと感じてくる。
答えないわけには行かない。
「ぐ………分かった、いいぞ」
「やった!」
セイランの同行を許可した。
「面白いことになったね〜」
「予想外ね」
「これも、繋がれた運命……フフフ」
なんか。
バッサリと決まっちまった。
「じゃあ、準備してくるね!」
元気の良さそうに、奥の部屋へと、向かっていった。
「波乱の展開だね」
「その通り」
カウンターに頭を乗せ、くたびれる。
まさか、こんな所で一人。
たびに加わるとは。
これも、何かの縁か………。
一人旅が良かった………とは、決してそうではない。
二人旅なら、協力できる。
なにせ、仲間がいるのだ。
互いに悩みなどを打ち明けられる、頼れる仲間が。
それに仲間がいれば、意外と楽しい。
フィオネたちとの旅で知った。
話し相手がいるの、楽しい。
(結構強引だったけどな)
俺は、ドリンクを一飲みする。
ふぅ……聞いた、美味しかった、これでいいだろう。
一人加わる事にやり。
旅は変化する。
うーん、まぁ、良しとしよう。
彼女は最初から、束縛されていた。
それも、強制的にだ。
だから……俺と旅をする。
それはいいことだろう、自由だし。
『女の子には旅をさせよ』そういうし。
父さんは。
『人生で一回は女の子と旅をしろ! そしたら幸せな未来はすぐそこだッ………ぬぁ! リシア、頭に乗るな!』
そう言っていた。
(だから……いいかもな)
飲んだドリンクが俺の中で溶ける。
こんな展開になるとは。
人生というものは、何が起こるか分からない。
悲しいこと、怒りに包まれる事をもある。
しかし、最後には楽しい!
これが待っている。
これぞ………人生の醍醐味だ。
(さて、次は土の国だ、目指すぞ土の国! 待ってろリシアァ! 俺はお前を助けに行くからな!)
心のなかで魂の叫びを上げたロベルトであった。
これにて、第三章は終了します。
次回は土の国に入ってきます、まぁその前に章が、あるんですけど……。
この時点で、話数は五十話。
結構多くなってきましたね、百話まで半分を切りました。
この調子で頑張っていきます。
読み方や、文章力を調整したりします。
良ければ、ブクマ、ポイント、イイねなどの、応援よろしくお願いいたします。
ポイントは下にある、
☆☆☆☆☆の部分から入れることができます。
ぜひぜひ、ポイント、ブクマ、よろしくお願いします。




