第三十九話「出航、紗々羅巍島へ」
2日後、朝。
紗々羅巍島行きの港にて。
朝早くから、彼女は。
フィオネとロベルトを待っていた。
少時間だが。
旅行? 仲間に、かの高名な風浬様がいるのだ。
なので、儀礼。
偉い人には、積極的に気を使っていく。
(あの男の人と、仲良さげだったけど)
そういえば。
彼女の事を紹介していなかった。
彼女の名前は。
セイラン・テラスティア
テラスティアといえば、氷の国で、有名な貴族の家。
つまり、彼女は貴族である。
彼女、身なりは、普通の一般の少女。
しかし、これでも貴族である。
普通の人には、分かるはずもない。
現在は、貴族としての習いのため、この国で滞在中。
本人はあまりよく思ってない。
午前9時すぎ。
二人はまだ来ない。
なので、今のところは暇である。
港で立って佇み、船と二人の迎いを待つことに。
(ほんとに来るのかなぁ?)
疑問が浮いてきた。
でも、風浬様の事だし、そんな嘘をつく人じゃないはず。
隣の男の人はよく分かってないけど。
風浬様と、あれだけ仲の良さそうにしている。
部下だろうけど……。
友達のようなものも感じたような。
そんな気がする。
(今のうちに、荷物の再確認……しようかな……)
ガザゴソと、荷物を一つ一つ。
丁寧に確かめる。
今の荷物。
財布(お金が入っている)
杖
彼女、セイランの護身用装備。
先端には青い綺麗な球体がはめ込まれている。
素材は大樹の木で出来てある。
そして、困らないように。
食料も入れている。
これで、安心。
(準備は万端!……って、終わっちゃった……する事ないなぁ………)
彼女は待つ。
その間、体を少し前に出したり、後ろに出したりして。
遊びだす。
本当にこのくらいしか、する事がない。
頭の中で想像。
それも、…いい、しかし……上手く思いつかない。
少しの間静粛が続く。
なんだろうか。
一人でいるのに、ちょっと気まずい空気……。
周りに人が入るからかな?
辺は、船を待つ人で溢れてきた。
ちなみに、現実の豪華船並に、大きくはない。
まぁ、大きいのは大きい。
しかし、現実世界と比べると、小さい。
周りには、様々な人が集まってきた。
獣人みたいな人も見える。
他にも、エルフの人もいる。
それに、あの金髪の長い髪の人、あの人身長高いな〜。
周りを見ながらも、船を待つセイラン。
風が、靡き渡っていく。
しかし、後ろから、何やら声が聞こえる。
それは、少しづつ人混みを分け、前へと進んでくる。
なんだろうか。
「抜けた!」
「ふぅ……」
人混みの混ざる中、出てきたのは、昨日であった人。
私の待ち続けていた人であった。
よくみたら、後ろにもう一人いる。
私と同じ同行者だろうか。
「! あ、こっちで〜す」
空いている、右手で、合図を送る。
これで、気づいてくれれば、いいけど……どうかなぁ?
手を上に向け、振る。
「あっ、あれ……じゃない?」
「おっ、いたいた! そうだね! お~い」
どうやら、気づいてくれた。
風浬様、そして側近? の人。
それにエルフの人が後ろから近づいてくる。
そして、私の所まで到着した。
「いや~間に合った、待っててくれて助かったよ」
「いえ、風浬様に対しての礼儀は大切なので」
そうかい!
そう言って、喜んでくれた。
こういう所は、母親から叩き込まれているので、慣れっ子。
何度も経験したことがある。
貴族として大切な習慣。
「最前列……いつから待っていた?」
男の人が聞いてくる。
だいぶ早かったはず……。
「8時くらい……ですね?」
「おぉ、いいね、2時間か〜」
「待ち過ぎじゃない?」
2時間か……。
確かに、すっごい長い時間。
でも、その分、1番に近い列に並ぶ事が出来た。
だから、結果は良かった。
「さて、…あとは船を待つだけだね、みんな準備はできてるかい?」
風浬こと、フィオネが、全員に問いかける。
まるで、点呼みたいに。
「問題ない」
「私も」
「私もです……」
「よし、…なら、安心だね! これで船に乗る準備が整った」
そういえば、私。
ここに来てから、船に乗るの二度目かもしれない。
ここに来たのが、12歳の頃だったから……。
(随分長い間、この国に住んでいたんだ)
「おっ、ふふっ、来たよみんな!」
風浬様がそう言う。
すると、同時に風が吹き出す。
それと、同時に左側に船が見え始めた。
やっぱり大きい。
それも、…頑丈そうな……砦のような船に思える。
前と変わった所は……装飾かな?
そして、何年ぶりか……。
船が到着した。
‐‐‐
最初に思った事。
それは、船って大きい。
そう言うことだ。
想像していたものと、全然違った。
凄い大きい。
何年か前、兄の旅立ちの時に見た、船とは違う。
それに、材質。
あの頑丈そうな木材。
他の木とは違うだろう。
「大きいな……」
「紗々羅巍島行きの船は、他と違って大きいからね〜」
そう思っていると。
船が完全に港に定着した。
船から、案内人に見える人が、こちらを誘導している。
おっと、そろそろ入るか。
「転ばないように」
「あぁ」
列を守り、前へと進んでいく。
ロベルト、フィオネ、ルティシエ、セイランは船へと乗り込む。
結構人いるが……大丈夫か?
なんとか乗り込めた。
中も、広かった。
それに、かくかく個室があるらしい。
これは便利だ。
まぁ、四人で一部屋だから、狭いのだが。
俺達は船の奥側の部屋を選ぶ事が出来た。
フィオネが、事前に予約してくれたらしい。
お陰で、とても涼しく、風通りの良い部屋で休める事に。
部屋に入り。
それぞれ、荷物を置いていく。
部屋は木材でできた個室。
高さも十分。
物を入れれる、ちょっと小さなタンスに。
ベッド。
そして、布団用の布が置いてある。
「なんとか乗れたね」
すでに、フィオネが、ベッドを陣取っている。
この部屋、ベッドが2つしかない。
それに対し、この部屋には4人。
なので、誰か二人は床で寝ることになるのである。
「えっと……床で寝るのでしょうか?」
「うーん、場所的にね、これは仕方ない」
床で寝る。
痛そうだなー。
木でゴツゴツして、まともに寝れなそう。
あ、その時のための布団か。
まぁ、仕方ないか。
少し、ぐらい我慢しよう、俺は男だ。
父親にも言われただろう? 男だからそのくらいの耐えろ。
女性を優先して、優しくしろ……と。
『レディファースト』か。
「さて、ベッド決めはあとにして、まずは自己紹介しよう、彼女は初耳何だからね」
「あぁ、そうか」
確かに、彼女の名前は知らない。
それに、状況からして、ルティシエも知らないだろう。
フィオネの事もだ。
流石に本命は知らんだろう。
てことで。
「まずは私! 風浬って呼ばれるてるけど、ここだけ特別。本名はフィリオリーネだよ、フィオネで呼んでよ。あと風神お墨付きだよ〜? 歳は言えないかな」
「そうだったんですか……」
「相変わらず、長いわ」
自分の自己紹介に、こっそり自画自賛を忘れない。
自分の良い所を紹介する。
それは、とっても良い事だ。
相手にも、自分のことについて、伝わりやすいだろう。
さて、次。
「私ね、簡単に済ませるわ……。
私はルティシエ、エルフよ。この中では年長者よ?」
「やっぱり……エルフ……」
「人間に換算すると、まだまだ若者だよ〜」
ルティシエは単純に簡単かつ、最適な自己紹介を行った。
とりあえずは。
名前、種族はわかっただろう。
本当に年齢は伝えなかったようだ。
途中フィオネの解釈が入り。
それに、怒ったルティシエ。
またもや、喧嘩が勃発、人がいる所で口喧嘩するな。
そして、次に彼女。
「えっと、私はセイラン。セイラン・テラスティア……今年で17です、よろしくお願いいたします」
「よろしくね!」
「あれ、聞いたことある……」
テラスティア……。
確か、どこかの国の貴族だったよな。
彼女のことは、貴族とフィオネに聞いていたが。
本当だったのか。
だから、あんな、暑苦しそうな使用人がいたわけだ。
というか、同い年なのか。
「あぁ……確か、貴族の家系でしょ?」
「あはは、そうですね……」
ルティシエも理解したようだ。
これで、彼女の、貴族の家が証明されただろう。
しかし肝心の彼女はどうだ?
どこか、浮かない顔をしている。
心の奥では、嫌そうな思いの顔。
苦手なんだろうか、貴族という家系が……。
まぁ、置いておこう。
「次は俺だな」
「その前に、フードくらい外して、顔見せなさいよ」
あ……確かに、見せてないな。
家に行ったとき、一度下ろしたが、そのときは後ろだった。
顔を知ったほうが、接しやすいだろうし。
フードを脱ぐ。
そこには、おなじみ。
クール系イケメンのロベルトの顔があった。
姿だけ見れば、カッコイイ。
「以外……」
彼女も驚いている。
まさか、風浬の隣の人がこのようなイケメンだったのか……と。
隣というか、部下か?
一方的に連れ回しているだけだが。
ここの所、自己中かもな……。
「俺はロベルト。ロベルト・クリフ
セイランと同じ17歳、ある目標のため旅をしている、一応職持ちだ」
「若ぁ!?」
「同い年……」
ルティシエ、知らなかったんだな。
そう、俺は結構若いんだ。
彼女と同い年ということは、何かと便利だ。
同じ年なら、仲よくなれる、それに関わりやすい。
変に、敬語使わなくていいからな。
その時は素が出せる。
「同い年だから、呼び捨てで、気軽に話してくれればいい」
「分かr……分かった」
うん。
そっちのほうが、素が出ていて、気軽そうだ。
とりあえず。
自己紹介は済ませたな。
これで、良いか。
さて、このあとは………。
ベッド決めか……。
‐‐
「う、嘘でしょ?」
「勝っちゃった……」
「やっぱり、神だね私。おつかれ様、ルティシエ」
床に寝ることになったのは。
俺とルティシエだ。
ちなみに、俺は最初から決まっていた、男だから。
ちなみに。
正直言うと、床で寝るのはクソ嫌だ。
ベッドで寝たい。
まぁ、仕方ないか。
決まったものは、しょうがない。
ここは大人しく、従うとしよう。
その間は……暇だな。
それにこの船が紗々羅巍島につくのはいつ頃になるだろうか。
今が10時過ぎだから……。
夕方にはつくか?
いや、途中どこかで止まる予定らしいから。
夜にはつけるか?
だとしたら、長い。
それまで……、船内の探索でもするとしよう。
この船について、気になっていたからな。
丁度いい頃合いだ。
外へ出ようとする。
「あれ? どこ行くの?」
フィオネに止められる。
まぁ、不審だもんな。
「船内を探索してくる」
「あの……それ、私もいいかな?」
すると、セイランが俺にそんなことを聞いてくる。
なんだ。
彼女も行きたいのか。
「ん? あぁ、大丈夫だ」
「良かった、じゃぁ行こ?」
「あぁ」
なんだか、距離が縮まったな。
やはり、同い年は強い要素だ……。
間違いない。
二人は、船室から出て、船内を探索するのだった。
「仲いいじゃん?」
「そうね」




