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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第三章 風の国編
37/93

第三十五話「真夜中の逃亡劇」


 「貴様! 何者だ!!」


 ロベルトは風神との話が終わった後

 立ち尽くしている所を、兵士に発見された。


 まずい、非常にまずい。

 遂に兵士にバレてしまった。

 それも、現にロベルトは逃亡犯。

 余計にまずいのである。


 兵士が武器を構える。

 増援を呼ぶため、鳴り響く警報音。

 近づく足音。


 どれも、ロベルトの危機を表すものばかり。

 逃げなければ。

 ここで、捕まり、牢屋行き。

 それは、御免である。


 風神にやっと会え、お告げまでもらったのに、牢屋行き。

 それは風神にも悪い。

 折角、俺に願いをくれたんだ。


 (それを遂行しなきゃ! 罪悪感が留まらないんだよ!)


 

 後から兵士がゾロゾロやってくる。

 風の間に集まった、兵士達。


 数えるに十人近くは、そこにいる。

 運良く四方は挟まれていないが、入口を封じられた。

 これは、出にくい。


 しかし、グスグス、していると、兵士よりも上の存在が来る可能性がある。

 それはなんとしても避けたいッ!

 関わりたくないッ!


 そのために今は逃げる!

 逃げるは恥だが役に立つ、それが今の状況だ!


 (だからこそッ!)


 ロベルトは兵士に向かい走り出す。


 「む、向かって来た!」

 「構えろ! ここは通すな!」

 「侵入者め、覚悟しろ!」


 ロベルトの突然の行動にビックリするが、ここは兵士。

 即座に対応に応じ、武器を構える。

 兵士の武器は槍。


 「通れると思うな! この槍で止める!」

 

 バランスが取れ、かつ遠距離も行ける武器。

 それに使いやすさが良い。


 しかし、それは一般人ならの話。

 今相手にしているのは、ロベルト。

 転生者であり、旅人。

 しかし……スタイルは魔法剣士!

 剣術、魔法ともに上級レベル!


 それを普通の兵士が止められるわけがないッ!

 ロベルトは止まることもないッ!


 ロベルトは兵士の間を高速で通り抜ける。

 流石上級剣士。 

 華麗なる動きで、兵士の間次々に通り抜けていく。


 ちなみに、この時。

 氷魔法を使い、靴を凍らせている。

 それは、まるでスキー。


 滑るように、かつ軽やかに。

 兵士の間を通り抜ける。


 この2つこそ、ロベルトの仕業。

 剣樹と魔法を用いた、賢いやり方である。


 「お先」

 「な、なに!?」


 ロベルトは風の間を即座に出る。

 そして、氷魔法を解除。

 一階が見える中央に到着。


 ここから、早く、かつ派手に逃げる方法。

 それは……。


 

 「飛び上がること!!」


 ロベルトは今度、脚に爆発魔法を溜めていく。

 それは徐々に炎を宿す。

 煙の匂いが充満。


 「き、気をつけろ、何かするつもりだ!」


 この間。

 ロベルトは兵士に背を向けているが、

何か察した兵士は警戒。

 ロベルトを様子見するのであった。


 しかし、それは失敗策!

 ロベルトは一般人とは、違う感性を持ち合わせる。

 それも、転生者というかを特別な存在のおかげか。


 ロベルトが逃亡犯となった、きっかけを作った出来事。

 ロベルトはもう一度。

 それを再現する。


 風の神殿の一部が壊れてしまうだろう。

 しかし、逃げたいから、する。

 それだけである!


 「バッシュインパクト!」


 ロベルトが唱える。

 それは魔法を改造した、独自技である。

 唱えた直後、ロベルトの脚に溜まっていた爆発魔法が解放!

 凄まじい音と爆風を立て、ロベルトは宙へと飛び上がった!


 そのまま勢いよく、一階に滑りながら着地。

 そのまま出口へと向う。


 「な、なんて奴だ……」


 あまりの行動に、兵士は絶句。

 しかし、みている場合ではない。

 負けずと、兵士もロベルトを追いかける。


 しかし、彼は既に風の神殿の外へと出ていたのだ。



 「上手く行ったか」


 ロベルトは真夜中の街中を全速力で走っていた。

 風の神殿入口の兵士も、ついでに蹴散らしておいた。

 それに、追兵士も見えない。


 (やはり、爆発は役に立つ)


 どんなときも、爆発があれば、なんとかなる。

 普段は最終手段。

 しかし……こういうときに、使うのも良いかも知れない。

 人がいない所で……な。


 (それよりも、兵士は見え無い……)


 これは、勝った。

 上手く逃げれるだろう。

 それに、あとは仮拠点に戻るのみ。


 結局風の神殿に行っての結果は得られなかった。

 挙げ句の果てには、兵士には侵入がバレる。

 全く……駄目だな。

 しかし、風神からの依頼を承った。

 これをクリアすれば……必ず、協力が得られる……そのはず。


 (とにかく、まずは帰還を優先しよう)


 今も走り続ける。

 

 真夜中、今日は、月が出ている。

 なかなかに、周囲が見やすい。

 それに、どこか心地よい。


 こんな綺麗な月の日に、侵入作戦を行ったのは……当たらんな。

 まぁ、いいか。

 どうせだ。


 それに、今日は俺の影がくっきりと写っている。

 それも……地面に大きく。

 月も綺麗だ。

 明るい、白い月。


 (こういう、幻想的な所で、身を尋ねるのも良いかもな)


 ロベルトは走る、すると地面に影が写った!

 それに気づき、走りながらも、周囲を警戒する。


 すると、突然眼の前に、剣が降ってきた。

 それも……いきなり。


 「!?」


 ロベルトも、それに驚き止まる。

 剣の方向、なにもない。

 一体何だ? それに……先程から薄々感じる、この力………。


 「一体……」


 そして、その時、先程の影が現れ、剣の方向に向かっていく。


 そして、影が無くなると同時に、

ロベルトは見た。

 影が、いや、人影を。


 剣の方向には人が立っていた。

 それも……いきなり。

 どこから、現れたかも分からない。

 

 それに、あのひとは……女?

 剣を、持ち上げる。


 (何か、感じる……全く、只者じゃないやつ、多いな……この国は……)

 

 その女性。

 碧色の長く伸ばした、綺麗な髪。

 髪に付く、黒いヘアバンド。

 腰、胸、右肩についている、立派でかつ軽そうな鎧。

 そして、溢れ出る、魔力と力。


 見た目的にも、兵士……いや、騎士の輩で間違いないだろう。

 しかし、…違うかも知れない。

 ………一応聞いておこう。


 「何者だ……お前は」


 静かに、かつ重く問いかける。

 あの女……風の国の騎士だろうが、少し怖いな。

 どことなく、何か感じる。


 「お前が逃亡……侵入犯……で、合ってるな?」


 返しが帰ってきた。

 やはり、声から察するに……何か、怒りを感じる。

 何か、怒らせたか?


 とりあえず、様子見といくか……。


 「そうだ」

 「やはり……罪人は処分する、これが私の役目」

 「!?」


 女から溢れ出る、力が高まる。

 そして、床に刺さった剣を、抜き、俺に構える。


 その姿は騎士。

 それも、熟練!

 いきなり出て来たと思えば、かなりの熟練騎士。

 兵士共の増援だろう。


 まずいッ! 来る!


 「はぁっ!」


 女が飛び出し、こちらに剣を定め、向かって来る。

 直線! 横に良ければ。


 ロベルトは女と剣を交える前に、横へと飛ぶ、攻撃を避ける。

 上手く避けれた。

 しかし、女の攻撃は止まらない。


 「見え透いた行動……甘い!」


 剣を横に振る。

 すると、空気を切ったような感覚。

 その後に、風が吹き渡り、衝撃が発生する。

 それと同時に、俺は吹き飛ぶ。


 いや、正確には吹き飛ばされた。

 あの女が使ったであろう技。


 受け身を取り、体制を持ち直す。

 今、現在街の広場。

 一刻も早く、路地に逃げたい!


 まさに、『空気を切る斬撃』

 空気を風で切り、衝撃を巻き起こす、剣の技。

 それは、かーなーり、むずい。


 攻撃の手が止むことはない。

 女は攻撃を繰り広げる。


 斬撃を、放っては、突進。

 その攻撃のコンボはまさに騎士。


 しかし、それと同時に防御も同時にしている。  

 攻めだけの脳筋ではない。

 

 しかし、ロベルトは逃げるばかりで攻撃に移らない。

 攻撃を避けるのみ。


 それに、苛立ちを起こす。


 「何故、攻撃しない! 私を舐めているのか!」

 「舐めてない」

 

 ロベルトは確かに逃げている。

 それは、戦いたくないだけ。

 しかし、ロベルトは、ただ単に逃げるだけの男ではない。

 彼もまた、剣士であり、策士である。


 ロベルトは女を引き連れながら、路地を走る。

 時折、下、後ろを確認しながら。

 それはなんのためか?


 「ここは一旦……ファイアボール!」


 ロベルトは後ろを確認。

 引き連れている、女騎士にファイアボールを何発か飛ばす。

 この時、どれもサイズが違う。

 この所がポイント。

 これをする事により、切りにくくなる。


 「止められないぞ、そんなものでは」


 女騎士は剣を前に構え、向かってくる火球に立ち向かう。

 そして、一球目を切り裂く。

 

 その次に二球目。

 今度は、横に飛び、回転で速度を上げながら切り裂く。


 最後の三球目。

 これは先程の空気を切る斬撃を使う。 

 瞬く間に、火球が2つに裂かれ、空気となって消え去る。


 この、出来事をよく観察した。


 (やはり、一筋縄ではいかないか……)


 火球を切り裂く、それも剣術。

 ここは騎士として、立派なものだ。

 臨機応変にも対応、ふむ……。

 かなりのやり手、当たるかどうか……問題だな……。


 ロベルトはこの先にあるものが、この女に効果があるか問う。

 引っかからないか……。

 上手く避けられたら……。

 いや、避けさせない、必ずハメる。


 (もうすぐだ)


 ここは挑発して、スピードを、上げさせよう。


 「おいお前、騎士だよな? それも……結構上の位の」

 「そうだ、それがどうした? 戦いの最中に……気にすることか?」


 ふむ、やはり騎士で合ってるな。

 それも……上の位……フッ。

 

 「処分するんじゃなかったのか? 騎士ともあろう者が、一般男性さえも軽く捕まえられないとは、さぞかし。この国の騎士は、軟弱共の集まりのようだなァーー!」


 盛大に煽おってやった。

 有能なやつに、これを言うと聞く。

 結構、心に聞くはずだ。

 まぁ、無視される場合もある。

 

 しかし、あの女には聞くはず。

 口調からして、自信を持ち、自分なりのプライドがある。

 それを貶すと……ブチギレる。


 女騎士はそれをしかと聞いた。

 そして、体がプルプル震え始め、剣を握る力が、より一層強くなる。


 「お前……侮辱だと……! 許さない! 必ず無期懲役で牢にぶち込んでやる!」


 このように、挑発に乗り、激昂。

 予想どうり。

 カンカンに怒ってくれた。

 それに無期懲役とは………。

 捕まったら、本当にヤバそうだ。

 依然逃亡はまだ続く。


 お、やっと作戦地についた。

 ここであの激昂騎士に仕掛ける。


 「来いよ」

 「言われなくとも」


 女騎士はこちらへ向かってくる。

 ふっ、罠があるとも知らず、突っ込んでくるとは……。

 やはり、怒りは自我を忘れさせる。

 これは、当たっていたな。

 

 そして罠に脚を踏み入れる。


 「今だッ!」


 ロベルトが魔法を解除。

 すると女騎士の脚部分のふむ、地面が崩れ落ちる。

 瓦礫となって。


 「なにっ!」

 「かかったな! これぞ伝統的軍術

 『落とし穴』……だ」


 罠とは落とし穴のことである。

 逃げる最中、爆発で穴を作り、土魔法で偽装の地面を作る。

 それも……軽い地面を。


 落とし穴、簡単だが、食らったら結構厄介。

 それも……不意打ちは堪える。

 女騎士は、空中でジャンプや爆発で飛び上がることもできない。

 そのまま、穴へと落ちていく。


 (見られたら、困る……だから)


 ロベルトは穴の中を一度見る。

 中は、無様にも女騎士が佇んでいる。


 「じゃあな、そこで土と騎士ごっこでもしておけ」

 「な、なにをいうk」


 女騎士が言い終わる前に、地面を土魔法で、埋める。

 この時、完璧に埋める事。

 それにより、音をシャットダウン。

 完全防音の地中の完成である。


 女騎士は、これにより暗闇の中に音も聞こえなくなる。

 つまり周囲が確認できない。

 これで安心。


 しかし、…仮にもあの女は騎士。

 土を硬くしたとしても、いつかは突破してくるであろう。

 なので、この隙に逃げる。 

 拠点まで。

 突破される前に。



 ロベルトは走り出す。

 暗闇の中、1つの光へと向かって。

 

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