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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第三章 風の国編
36/93

第三十四話「風神」

 『風神』


 今から役二万年前、風を操る襟優れた人間の中から選ばれた神。

 

 風を操り、風を司る、自由の神。

 風神の出す風は疫病や呪いを返し、自由を受け渡す。

 そして人々を愛す神でもある。


 

 その存在は凄まじいものだった。

 俺でも分かる、あの老人はまさしく………神。

 この世界の風神。

 片隅にもおけない、偉大なる神。


 それを目覚めさせた。

 話し合い、召喚なら分かる。

 しかし、今回はとても悪い。

 戦いの衝撃で風神を呼び起こしてしまったのだ。


 (見るからに、怒ってる……)


 ここをどうするか。

 話し合いで、収めたい所だが……。

 無理に話せば、風神の逆鱗に触れるかも知れない……。

 それはなんとしても避けたい……。


 「あ、貴方が風神だよ……ね?」


 あの男が恐る恐る問いかける。

 そ、そんなに態度デカくて大丈夫なのか?

 

 「……そなたは闇神の選ばし精鋭幹部の一人であろう……」


 風神はそう答える。

 やはり……神だ、長く生きているだけあって、物知りだ。

 それに、ここであの男が敵幹部だと再確認できた。


 「し、知ってるんだ……それはありがたいね……」


 まさに、冥利に尽きる。

 そういうことだな。

 ヴィクセル、ヤツはやはり敵幹部だった。

 それに新しい話も出て来た。


 闇神


 闇を操り、闇を司る、闇の神

 悪、闇に手を染め、その悪事はまさに非道。

 巷では邪神とまで言われている。


 (そんなやつが、関係しているというのか)


 そんな事になれば、こちらとしても大変だ。

 それに目的は、あの石……。

 必ず空中要塞に関係のある代物。

 それに、神さえも関わる、大きな出来事………。


 「そなたは拝見したことが無い……名をなんと言う」


 初対面だからな。

 俺はこの世界に転生してから、もう約17年。

 この関、何を成し遂げただろうか。

 


 「ロベルト……ロベルト・クリフ」

 「ふむ、まぁよい、お主ここに用があるのだろう」


 (用……)


 ! そうだ、そうだった。

 俺はここに用があり、わざわざ神殿に侵入したんだった。

 用もないのに、侵入する訳が無い。

 忘れている、所だった………。


 「風の聖水……そして、神……風神に協力を求めたい」


 風の聖水。

 元は、この風の国の何処かに雫として捧げるつもりだ。

 聖閤堂から受けた、重要な役割。

 これを遂行しなければ。


 「ふむ、風の聖水……お主はそれが欲しいのだな?」

 「はい」

 「しかし問題があるぞ……」


 なに? 問題だと?

 聖水になんの問題がある。

 もしや、……神に関係する、事なのか?

 だとしたら………。

 それは、とても寛大。


 「お主が求める風の聖水……それは、先程の男が持っている……」

 「!?」


 男。

 男が聖水を持っている?


 先程の男。


 ロベルト、風神……あ。


 やつだ、今分かった。

 俺と風神以外の……男。

 あいつだ、敵幹部! 闇神の部下!

 ヴィクセル!!

 やつが持っていたのか!


 ならば、俺が作戦会議をしている中。

 ずっと、聖水を持っていたという事。

 裏から俺達を馬鹿にしていた、嘲笑っていた!

 なんとも趣味の悪い、素朴な野郎だ!


 「ヴィクセル!……!?」


 ロベルトはヴィクセルの方向へと向いた。

 しかしそこに彼の姿はなかった。



 先程まで、そこで風神を眺めていたはずだ。

 何故? どこへ消えた?

 あの男は一体、どこへ行ってしまったのだろうか?


 風神に倒されたか? 闇だから。

 いや、そんな描写はなかった……。

 それに、倒していたら、俺も気づくはずだ。

 倒すのには行動が必要だからな。


 

 あと一つ、考えられる、たった1つの答え。

 それは……簡単。

 強敵を前にした時、とる答え。

 多分、俺もそうする。



 「逃げたようじゃの」


 それは、『逃げる』

 敵を前にして、逃げる行為!

 敵前逃亡! 全速ダッシュ。


 その行為はまさに恥そのもの。

 敵に怖気づいて、勝てないから逃げるという事だ。

 プライドが傷つく。


 逃げられた……。

 聖水も……無い、持ってかれた。

 今から追いかけても、無理だろう。

 どこに行ったかも分からんのに、探しても、時間の無駄である。

 それに風神に失礼。


 ロベルトは無言で立ち尽くす。

 これからどうするか……。


 「もう一つ、余に、お主の用があるのじゃろう?」


 風神は地面に着地。

 凄まじい魔力を誇る大樹のような杖を地面につけ。

 威厳を奮い立たせ立つ。


 ロベルトも気付き、返事をする。


 「はい」

 「ふむ、言ってみせよ」

 「簡単に言うと協力が欲しいのです」

 「ふむ」


 風神の協力があれば、一歩……また一歩。

 空中要塞へと近づく。

 そのためには風神の力が必要。

 なんの準備の無しには行けない。


 そのためには、設備……技術。

 情報が必要不可欠。


 「俺は、風神様の手助けが欲しいんです。図々しいと思いますが、貴方の力を貸して頂きたい」


 礼儀のためにも一度、ロベルトは床に膝をつける。

 ここで協力を貰えば、

役に立つ、安心できる。

 だからー


 「無理じゃ」

 「!?」


 無理?

 駄目です、と言うのか!?

 やはり、何か風神に触るような事、行ってしまったか、無意識に。

 いや、…しかし。

 ここで協力がなければ、後々困る。

 それに、俺は各国を旅し、各神に協力を求める予定。

 それを予想しての旅路。

 最初からこんなことじゃ、この先進んで行けない……。


 「なに……無理と言うのは、理由があっての事……」


 理由……。

 何か、風神の理由、それは……。


 「それは、どうしてです?」

 

 風神は威厳のある顔で一言言う。

 それは、俺に聞いた。



 「お主がまだ未熟だからじゃ」


 未熟?

 俺が未熟だというのか?

 それだけの理由?


 俺が未熟だからか?


 それは強さか……それとも実力?

 ………いや、………経験だな。

 俺には時間が足りない、というかまだ旅を続けてから、

一ヶ月すら立っていない。

 それだけの時間、外の世界の経験が足りていない。

 まだ、外の世界の常識を知れていない

 俺は田舎者というわけか


 納得できる。

 心の底から、納得できる。


 俺は村出身。

 まともに村から出たことが無いのに、いきなり城に来ると……。

 結構困惑する。


 しかし、それでも。

 協力を欲しい! 経験が無くともッ

 妹を、空中要塞から助けるため!


 だから……。



 「俺は空中要塞へ行きたい! だから、協力が欲しい!」

 「……何故に空中要塞に行くと申す…」


 それは……簡単な理由。

 すぐに答えられる。


 「妹を、一人の妹を助けるため……」


 俺の大事な家族。

 俺を庇い、攫われた、人生最愛の俺の妹を……。

 俺は救いたい、この手で。

 空中要塞に行き、妹を……救いたい。


 「しかし、それと同時に、お主には経験、実力が足りぬ」

 「なら!」


 

 「しかし、世は経験……それは、今から積めば良い」



 「経験を積む?」



 経験積む。

 長きに渡る、旅をしている間に出会う、巡り合う。

 数々の出来事、景色。

 そして鉢合わせる、人々。

 それはまさしく経験と言えるだろう。


 「お主はまだ、歳が若い。しかし、経験に歳は関係ない」

 「……」

 「今から積めば良い、それはすべての人に繋がる」


 繋がる話。

 経験は歳だ。

 しかし、全てではない。

 長い時を得て、経験を積むもの。

 短いときの中、人よりも壮絶な経験を積むものがいる。

 その所を考えると。

 経験と年齢は一概に比例しない。


 「お主が経験を積み、その力を余に示せば、協力を承ろう」

 「本当ですか!?」


 いや、……力を示せ。

 それは風神と戦えと言う事?

 それか、何か別のなにか、力以外で己の実力を示す。

 全ては力ではない……。


 「そのため、余から、実力を示すための土台を作る」


 「これはある意味、挑戦、余からお主への依頼じゃ……」

 

 土台……挑戦。

 それに、かの風神からの依頼。

 これに答えなければ、協力の道は途絶える。  

 深い海の中ひっそりと……。

 

 「お告げをしよう、これが、余から、お主への……自由のための願いじゃ」


 先程まで、そこにいた風神が風とともに消え去る。

 空気が風によって、彼方へと飛んでいくように。

 薄っすらと消えていく。


 一瞬戸惑った。


 何が起きた?

 風神はどこえいったんだ?

 お告げはどうなったんだ? と……。


 しかし、その時、頭の中に声が響いた。

 それは紛れもなく風神。 


 「心を闇に飲まれた大怪鳥、

 我々はその中に秘める、闇をも退く光の力を望む。

 さすれば、彼らと世界に自由の風が 吹き渡るであろう」


 それはどこか、彼方へのつぶやき。

 いや、…嘆き。

 風神は自由の神。

 風を操り、風を司る。

 風のように自由の神。


 しかし、何故か。

 俺にはそう見えなかった。

 何を言ってるんだと思うのだが……。

 この願いからは、どこか自由をあまり感じない。


 大怪鳥。

 暗示によれば、闇に飲まれた大怪鳥

 これは、闇神の仕業。

 風神と大怪鳥は何か関係があるのだろうか。

 

 そして、その風神からの願い。

 俺は、それを風神から承った。

 だからこそ、秘めたる、闇の力を退ける程の光。

 俺はそれを見つけたい。

 


 ロベルトは、頭の中のお告げを聞き、少し立ち尽くした。

 やるべき事は分かった。

 しかし、その方法。

 それに至るまでの過程が分からない。


 過程。

 それに至るまでの過程がなければ、

それらを繋ぐ結果へとたどり着かない。

 それを見つけるにはどうしたら?

 何を、どうすれば?


 ロベルトは考える。



 「そこにいるもの! 何者だ!」


 しかしその時、扉が開かれ、兵士が飛び出してきた。

 見るからに、指すのはこの俺。

 俺を侵入者と見なした。


 そして、同時に侵入がバレた。

 バレては行けなかったのに。


 「まずッ!」


 警報音が全体に鳴り響く。

 兵士を呼ばれた、囲むようだ。

 とにかく、俺はここから逃げなければ。

 お告げを貰った意味が無い。



 まずは神殿から逃げ出そう。

 それからだ。


 

  

 

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