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空中要塞グレイシアス   作者: ホワイトボックス
第三章 風の国編
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第三十二話「風の神殿侵入」


 暗く、汚い水が流れる下水。

 どこまでも、入り組んでおり、かく建物へと繋がる。

 そこらのゴミ溜めに巣食う、小動物に虫。

 不潔で汚いものにしか、よがることの出来ないものが集まる愚群。


 しかし、そこに一つの灯火を宿し、歩いてくる一人の男がいた。

 茶色のローブ纏い、剣を抜きやすい腰につけている。

 その男とは……。



 「その名はロベルト………」


 人間であり、逃亡犯である。この俺が何故ここにいるって?

 決まってる………風の神殿に侵入するためだ。



 昨日、作戦会議を終えたあと、一通りの準備を行い、

今日、現在夜に実行へと移したのだ。

 一日で溜め込んだ、作戦を駆使し、神殿内部に侵入。

 

 神殿内にある、俺の仕事道具であり、大切な物。

 『風の聖水』を取り戻しに行くため、危険をおかし、侵入するのだ。


 (その勇気と、根性を褒め称えてくれ)


 ロベルトは薄暗い下水道を進み、徐々に神殿へと近づいていく。


 この道を進んでいけば、上へ上がるハシゴがあるはずだ。

 そこへ行けば、侵入出来る。


 ハシゴは石製であり、ここから登るとどこかの床から出るらしい。

 こうしていると、極秘任務をやってるみたいで、気分が高ぶる。

 ミッションを遂行しているみたいで。

 

 「おっ、門の前か」


 歩いている道中、排水口の狭い入口に到着。

 ここから上を見ると、風の神殿の入口、門部分が見えた。

 観察してみると、今日もまた、兵士が二人で見張っている。


 (頑張っているが、下にも警戒網を広げたほうがいいぞ)


 これはアドバイスだ。

 こうやって、裏口から侵入する輩もいるかもしれないからな。

 もっとこう、隅々まで……。


 しかし、門を警備している、兵士は排水口の中のロベルトには気づかない。

 そもそも、見向きもしないのだ。

 普通の人は、排水口にはいないという理由から。



 (あった、ハシゴ発見した)


 ロベルトが松明を持って進んでいると、前方にはハシゴを発見。

 ここからなら上へ行ける。

 少し長いが、まぁ、大丈夫だ。

 ロベルトはハシゴを慎重に登っていく


 よし、侵入作戦、目的地に到着した。

 この前に雰囲気を作るため、少しミッション風に演じる。

 真上の床を押しのけ、中へとと侵入するッ!

 

 (その前に……人の魔力、気配を確認する)

 

 ハシゴに捕まったまま、真上の床、半径20メートルの魔力を探知。

 これにより、真上に兵士がいないかを確認する。

 床から、入った瞬間、兵士に見つかったら元も子もない。


 確認中はハシゴに無音で捕まっているというシュール映像。

 しかし、確認のためにはこの行動は必要不可欠である。


 「ふむ、いない……侵入開始! 神殿内部、突撃ッ!」


 ロベルトは真上のズレた床を素早く横に寄せる。

 その後、素早く、神殿内部へと移動し、ずらした床を元に戻す。

 この時、一ミリのズレもなさず、戻す事が重要。


 ロベルトが、内部へと侵入した。

 侵入した、あたりは本棚、しかし机などで入り組んでいる。

 ここなら、激しく動かない限り、見つかりはしないだろう。


 「兵士は……」


 周り、上を確認。

 ここは一階だ。

 今見える限り、兵士は2階には二人、一階、現在地を巡廻する兵士一人。

 今分かるのはこれだけだ。


 (しかし、どこから警備しているのかも分からん、ここは冷静に)


 流石にこれだけでは、ないと俺も感じている。

 無闇に動けば、警報を鳴らされアウトだ。


 (とにかく、2階へバレないよう、行動する……これがまずの目標だ)


 周りを確認。

 今いる場所は、この神殿全体から察するに、左側。

 聖水がある、風の間は、2階奥。

 ここからでは……遠い。


 (今なら行けるッ!)


 ロベルトは兵士の隙を見て、行動を開始する。

 音を立てず、かつ素早く、机や司書が並ぶ場所へ移動。

 ここから、バレずに2階へと続く階段に行ければ……。


 現在、ロベルトのいる場所は、四方を兵士が大きく巡回している。

 それも、完全ランダム。

 どう動いて、どう変化するか……それにより、どう行動するか。


 この机を砦に、隠れながら、いざというときに走れるため。

 迅速に行動するため……。


 (ここが鍵だ!)


 こっそりと、バレないように兵士の裏を取り移動する。

 音を立てないように……というか、よくバレないな。


 しかし、その時兵士が後ろに振り向こうとする。

 それにいち早く気づいたロベルトは、机などを立てに移動。

 そして、直ぐ様近くの棚に移動。

 棚中へと入り、そっと戸を閉じる。


 (危なかった……危うく、終わるところだったぜ……)


 隙間から外の様子を伺う。

 兵士は後ろを向き、不審に眉を潜める。

 そこへ、他の巡回中の兵士が現れ、話し出す。


 「今、風でも吹いたか?」

 「通気口から入る、風だろう……気にするな」

 「今日は、一段と風が強い気がするが……」


 (確かに、最近風強いな……)


 兵士たちもなんとか誤魔化せた。

 俺の事はバレていないようだ。


 少し話をしたあと、兵士たちは元の巡回地へと戻っていく。

 カチャカチャと、鎧が動き、次第に小さくなっていく音を確認。

 ロベルトは少し戸を開け、外を確認。


 (いない、行動を再開する)

 

 ロベルトは棚を出たあと、本棚を背に神殿を移動する。

 本棚は俺を挟むように横にズラッと並んでいる。

 それも、一方通行に。


 (ここで兵士にバレたら、色々とまずい、迅速に行動を……)


 そう思いつつ、本棚を移動中、前方に兵士が突然現れた。

 いきなり! 前方本棚の角から。

 まずい! 気が付かれた。

 走っている、ロベルトの姿に気がついた兵士は驚きの表情を浮かべる。


 「おい! 何者だ!」


 バレた、大声を出された。

 早いところ、やめさせなければ、こういう時は………よし。


 ロベルトは走りながら、徐々に速度を上げていく。

 その間、腕を大きく、振り、力強く駆ける。

 今まで、隠してきた、俺が考えた技を披露する。

 

 「な、なにおッ!!」


 ロベルトの右拳が、徐々に固くなっていく。

 これは、土魔法!

 土魔法により右腕の拳が岩に染まり、硬く硬直。

 そこへ力を溜めていく!

 ロベルトの得意な魔法を利用し兵士を止める!


 兵士との距離はもう数メートル。

 ここで、俺の、技を! 兵士に、決める。


 「今ッ!」


 脚を大きく出し、兵士の横に着地、その勢いのまま、体を強く揺らし。

 固まった、自身の右腕を相手の腹へと打ち込む!

 

 「グガッ……!!」


 土魔法で固まった右腕が兵士の鎧の腹に直撃。

 その瞬間、溜めてきた勢いが発生、それは衝撃波を生む。

 完全なる物理攻撃&魔法攻撃。

 それは『武器を必要としない』


 

 先程の直撃により気を失った兵士をこのままにしておくわけには行かない。

 兵士の肩をもち、どこか隠せる場所に輸送する。


 おっ、こんなところに丁度いいサイズの箱がある?

 とりあえず、この中に入れとこう。

 

 (ふぅ……もちろん、箱の補強、蓋の凍結は忘れずに)


 気絶した兵士を箱ごと、閉じ込めた。

 上手く行った、帰ったらマスターからドリンクを貰おう。

 階段部分に向かう。


 階段部分は2階へと向うための、大事な部分。

 ここから行けば、何かと安全。

 しかし、そこを見張る二人の兵士が厄介である。


 (さて……兵士は二人、ここをどう切り抜けるか……)


 兵士は階段を動く気配はない。

 違う道から行ったとしても、階段はここしかない。

 風を使い高く跳び上がったとしても、すぐにバレる。


 なので、ここから出ないと、行けない。

 なるべく、兵士に危害は加えたくはない。

 あとから、何かと文句を付けられたら対応に困る。


 どう切り抜けるかと、考えていた時、向こうから見しれた女がやってくる。

 

 「やっほ~」

 「なっ!? 風浬様!?」

 「何処にここへ……」


 その正体は風浬様であるフィオネ、その人である。

 フィオネは主に兵士の誘導の任を受けていた。

 今この時、その任は遂行される。


 「こっちに、異常……というか、異変があってね、見てもらいたいんだ」

 「な、なるほど、そうでしたか……了解しました、行くぞ」

 「あぁ」


 兵士たちは、フィオネがいった方向に向かっていく。

 それにフィオネも続く、

向かうさま、後ろに顔を振り向き、ウィンクする。


 「Good」


 それに俺も手と目でGoodを返す。

 これで上手く行った。


 ロベルトはフィオネの誘導を利用し、階段へ向う。

 上手く、階段を上がりきり、2階へと到着。


 ここからは、シンプルだ。

 変に入り組んでいる訳でもないので、簡単だ。


 しかし、二階は部屋、というか、ベランダみたいな感じだ。

 真ん中が大きく開いており、上から一階を見ることが出来る。

 

 簡単だが危険だ、見つかる可能性も高い。

 一階、二階と兵士に見つかる可能性があるからな。


 (慎重に行かねば)


 ロベルトは風の間を目指し、歩く。

 ここを進みめば、風の間だ。

 それに、前方にそれらしい金の扉が見える。

 あそこに行けば。


 ロベルトは周囲を確認しながら、進んでいく。

 すると、前方から二人の兵士が来ている。

 まだ、横を向いているので、気がつかれてはいないが、いずれここに来る。


 後ろに戻ったとしても、間に合わない見つかるだろう。


 (この状況を打破するには……)


 ロベルトは考える。

 すると、横にある、銅像やマネキンが目に入る。


 (いちか、ばちか……やってみるか)




‐‐

 



 「巡回中に音がしてさ、マジで怖かった、幽霊かよってw」

 「急ぎすぎだぞ、馬鹿野郎」

 「ッハッハッハハハ……ん?」


 兵士の一人が止まり、横を見る。

 それも何やら、疑い下に。


 「どうした?」

 「いや、あれ? 凄いなって」

 「どれ」


 もう一人の兵士も一人が指した方向を見る。

 そこには銅像とマネキンの間に存在した、若い人の像があった。


 しかし、それは、本当に本物の人間かのような、姿だった。

 

 「これ、水の国のだろ? 凄い技術力だなー」

 「格が違うぜ……」


 二人の兵士は感心している。

 この像を水の国の作った栄光なる像だと思っているようだ。


 しかし、実際は違う。

 これは像ではなく、本物の人。

 それも、現在この神殿に侵入しているロベルト、本人であった。


 ロベルトは2つの像の間にいる。

 体で格好良く棒立ち、真正面から見て右手に剣をもち、床に刺す。

 左手は腰におろし、

顔を左斜め少し下に下げている。

 この間動かない。


 少し違和感を覚えるだろうか、この兵士にはバレていない。



 (バレて……ないのか?)


 ロベルトは内心、二人の兵士が前にいる事で、焦っていた。

 いつバレるか、バレないか、窮地の狭間、そこにいるロベルト。

 内心汗だくの滝の中。


 (早く……帰れッ!!)


 「いつまでも、見てる場合じゃない、巡回に戻るぞ」

 「あぁ、そうだな」


 二人は姿勢を直し、ロベルトがいる場所を後にする。

 そして、完全に向こう側に行った。

 向こう側にもいない。


 その瞬間、ロベルトは気が抜け、だらけだす。

 その場に崩れ落ちる。


 (危ねぇッッッ!! あと、もう少しでやばかった!!)


 もう少し、遅ければ動いていた。

 この兵士を八つ裂きにしていた、そんな事になったら大変だ。


 危うく、牢屋行きになる所だった。

 人生終了真っ暗闇の地獄ルートの幕開けになる所だった……。

 危ない所だが、なんとか成功に収めた。

 ん………汗か……。


 「あとは……風の間に、行くだけ」


 少し休憩したあと、ロベルトは風の間へと急ぐ。

 早く行かなければ、いつ見つかるか……その不安を負いつつ、彼は進む。

 


 風の間を求めて。

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