第三十一話「神殿内部侵入作戦会議」
前回のあらすじ。
土の聖水の回収のため、危険をおかし城を探索する二人。
もちろんロベルトは変装を施して。
城の公園部分、川の岬にいた、謎の女の子が土の聖水を持っていた。
しかし、彼女には自由の障害、強制疑惑がある模様?
詳しく、調べたかったが、今は置いておき、神殿攻略のため、バーへと戻るのであった。
「途中、兵士に絡まれたりしたが、なんとか避けれたな」
「危うく、逮捕されるところだったよ? もっと気をつけてもらいたいね」
正体が、バレないよう変装したロベルトと、腰巾着フィオネ。
土の聖水を手に入れたので、現在バーに帰還中である。
途中、兵士二人に、風浬と、今の俺『風鬼』のことで話し合いがあった。
まぁなんとかその場は凌げたが、いつバレるか分からない。
早々に戻らなければ、安心はできない。
今、路地裏に入ったから、もうすぐだろうが。
「もう少しか」
「そうだね。あ、私達の事がバレないように、別道から行くよ」
別道もあるのか。
俺はともかく、フィオネは有名なので、そのフィオネが入る建物に、皆は行きたがるだろう。
かの『風浬様』だからな。
俺にとって迷惑なので、それは辞めて頂けたい。
「どうする? このままついていけばいいか?」
「あー……私に任せてよ、こういうのは慣れてるからね」
慣れてるか……まぁいい。任せよう。
裏ルートとなる路地を進んでいく。
この道を進んでいくと、次第に人の気配は少なくなり、消えていく。
いるとすれば、ゴミ溜めの小動物くらいか。
「それにしても、匂いが臭いな、ここは清掃されていないのか?」
「清掃と言っても、時間と要員が足りないんだよ、それにむやみに清掃もできない」
それにしてもだ。
ゴミも散らかっている、食べかけの食材、激しい異臭。
場所が変わるだけで、こんなにも環境は変わるのか。
これは問題案件だ。
「こんなに汚いと、バイキンがうじゃうじゃいるだろう。不潔な環境だ」
「綺麗なところでも、こういう所は必ずあるよ、何処かにね」
不潔者の集まりとかあるよな。
そういう汚い所は綺麗な街でも、どこにもある。
というか、綺麗な所にも、普通に汚い下水があったな。
(ここを越えれば、帰れるかな?)
フィオネからの話によると、2階から入り込むらしい。
一階は路地だからな。
人がいるから、駄目だ。
(!?)
ロベルトは立ち止まり、後ろに素早く振り向く。
音がした!?
いや、…してない?
しかし、何か後ろに気配を感じた。
この気配、どこかで体験したことがあるような………。
「どうしたんだい?」
ロベルトの異変に数秒遅れて気づいた、フィオネは後ろを振り向く。
「……何かいたのかい?」
「……いや、気のせいだろうが……」
フィオネも後ろをよく見てみる。
しかし、建物の屋根のせいか、暗がりでよく見えない。
それに魔力も感じない。
こけおどしか?
「まぁ、いいか、そろそろ行くよ」
「あぁ」
気のせいだったんだろうか。
それとも、何かが近づいて………。
いや、深く考えた所で、何もできない。
今は帰還を優先しよう。
「ここから入るよ」
俺にとっての仮拠点である、バーの2階テラス部分に到着。
この窓から中へと入るのである。
「よし、なんとか帰れたな」
窓から中へと入った。
持ち物を起き、来ていた、ローブを脱ぎ、そこら辺に放り投げる。
無事、土の聖水は手に入れた。
「とりあえず、下で報告しに行こう」
「そうだね、皆がなにしてるか、気になるし」
聖水回収で多少つかれたので、下に行って一旦休憩を挟む。
明日は、風の神殿に行き、残りの聖水を取り戻す予定だ。
そのために、休憩を挟んだあと、作戦会議を行う。
浅はかな知識と行き当たりの侵入では、神殿を攻略ではしない。
兵士に見つかり、そのまま捕まって終わりだ。
「おやおや、帰りましたか……」
一階へ戻る。
一階のバーには案の定マスターさんがそこにいた。
現在カウンターを掃除している。
「例の聖水は手に入りましたでしょうか?」
「もちろん」
俺は、鞄から、手に入れた土の聖水を取り出し、マスターさんに渡す。
あ、割らないように、丁寧に。
これは、仕事道具だからな。
「ほぉ、きれいな模様、このようなものがあるとは……」
「俺の仕事場で作った聖水です」
「ふむふむ、長く生きていれば、このような事にも出会えるのですねぇ」
まぁ、そうですね。
長く生きて、人生を経験する、さすれば様々な人生に巡り会える。
これぞ運命の繋がり。
「あれ? 彼女はいないようだね」
「現在、お出かけ中です、何でも行く所があるとか」
彼女……あぁ、ルティシエのことか。
あのエルフにも、行く所はあったんだな。
それにしても、何かを達成したときの快感は良いものだ。
気持ちいい。
「少し休憩したら、作戦を練るとしよう、いいかい? ロベルト」
「ん……あぁ、モーマンタイだッ」
「なにそれw」
とにかく、少しの休憩時間ができた。
この間に、ドリンクでも飲んで、疲れた肉体を休ませるとしよう。
休息はこの世の快感だ。
荷物を床に起き、濡れたタオルで少し体の汗を拭き取る。
あの服、地味に暑いからな。
汗をかいてしまった、じわじわしていて気持ちが悪い。
(風呂でも入るか?)
‐‐‐
「さっ、作戦を練るよ! 準備はできてるかい?」
「あぁ、出来ている」
「程々にしてくれませんか?」
少しの、休息が終わったあと、俺達は別の部屋へと移動する。
一階、バーの裏側、大きなテーブルに少々の灯り。
周りには並ぶ、タンスに本棚。
まるで、そこは作戦会議室みたいな雰囲気を漂わせていた。
この部屋の中心の大きなテーブルに、
『神殿の全体図』『神殿内部図』の2つの地図を広げる。
ここから、作戦を繰り広げるのだ。
「まず、最前提として、神殿侵入時間は夜の間だけだよ、君は逃亡犯だからね」
「そこの所は理解している」
俺は逃亡犯、兵士に追われる存在。
つまり、昼はともかく、夜でなければ、捕まる可能性が高い。
昼は兵士でうじゃうじゃしているからな。
「次、君は神殿の入口とは、別の道を通って侵入してもらうよ」
別の道。
風の神殿には別ルートがあったのか。
いや、臨時の脱出用として捉えればおかしくはないか。
「その別の道とは?」
「単純にいうと下水だよ、安全を駆使して少し離れた所から入ってもらう。そこから進んで、神殿内の下水に進むと、内装が少し変わってくるからね」
「ふむ」
下水か、確かにそこならば、相当な事以外バレる確率はないだろう。
下水特有の暗さも松明をつければ軽減できる。
「いい案だ、そこからどのように内部へと入る?」
「あぁ、ここからさ」
フィオネかまどこからか取り出した、赤いピンを、
内部の地図へと刺そうとする。
「「!?」」
しかし、すると突然、気がつけばあたりは真っ暗闇になっていた。
暗闇、何も見えないのである。
かと言って、失明した訳ではない。
「な、何が……起こった!?」
失明した訳ではない。
しかしあたりが一瞬でガラッと真っ暗闇に染まった。
心霊現象か? これは………。
「いきなり暗闇に包まれた……うん……こんな事出来るのは闇魔法だけ……」
闇魔法だけ?
まさか、…そんなこと出来るやつがこの国にいるとでも。
かと言って、そんなもの使うとすればすぐに分かる。
「あまり動かないほうが、得策ですよ」
「そ、そうだね、それに魔法なら時間制限があるはずだ」
なるほど、時間か。
それならば、いつかは闇が晴れるということか。
………どのくらい掛かるんだ?
「……どのくらい掛かる?」
「うーん、最低でも10分かな」
「クソなげぇ………はぁ……」
長すぎる。
こんなときに光魔法でも使えればーというかもう使ってるんだよな。
ホントのところね。
しかし、これでも闇が晴れないんだわ。
ロベルトは中級の光魔法を現在使用している。
しかし、それでも辺を覆う闇は消え去らない。
(一体どうなってるんだ?)
少しの間、誰もが無言になり、暗闇の中に静かに時間が過ぎていく。
それに誰も動いていない。
「この前の野菜美味しかったね」
「やはり、採れたては美味しいですよ」
唯一聞こえてくる声として、このような雑談ばかり。
退屈だ。
しかし、そう思いながら、暗闇を謳歌していた瞬間、
一瞬で灯りが元に戻った。
「お!? 戻った」
「意外と、早いんだね」
とにかく、明かりは戻った。
これで、作戦を続行出来る。
何で、当たりが闇に包まれたか、知らんが……いいだろう。
「さて、そろそろ―」
作戦を実行しようとした途端、右側から男の笑い声が聞こえた。
それも青年、しかも強烈にツボにハマったかのような笑い声。
マスターさんの声ではない。
俺はすぐさまそちらを向く。
するとそこには黒いローブを纏い背を向けて笑っているピンク髪の男がいた。
それも、俺にとっての知り合いの。
「……お前、何をしている、どうやってここに」
「ッハッハハハ……いや〜面白かった」
そう言って、俺の方を向く。
やはり、あのときに出会った、敵幹部の一員。
「君が言ってた男って、彼かい?」
「あぁ……何故ここにいる」
とりあえず、何故ヤツがここにいるかを問い詰める。
どこからか入った、暗闇との関係性は……。
「僕はただ見物しに来ただけさ、君達がどう動くか……ね?」
「やはり、処すべし」
作戦の盗み聞きを狙ってやがる。
やはり、早々にぶっ殺すしたほうが、今後のため……。
「落ち着いてくれよ、僕は作戦の邪魔になる事はしないからさ、だから君も優雅に続けてくれればいいのさ」
「………」
怪しい………。
邪魔はしない……作戦の邪魔はしない。
アイツの言っていることは本当か嘘か分からない。
「ま、まぁまぁ、とりあえず、彼は放おって置いて、早く進めるとしようよ」
フィオネがそう言い聞かせる。
確かに、早いとこ進めたい、しかし………。
いや、…やるしかないか。
それに聞かれたとしても、反抗するなら拘束する、それだけだ。
「分かった、で、どこから内部へ侵入する?」
「ここだよ」
作戦会議をマスター、そして敵幹部の男が見つめ聞いている。
フィオネが指した、ピンは神殿内部、一階の右側。
つまり本棚が置かれている部分から侵入する。
「なるほど、そこから聖水まで、どう移動する」
「こういう感じだね」
フィオネが指で動かしていく。
侵入した本棚は兵士が二人循環してるので隙をみて抜け出す。
そこから一階の廊下をバレないように走っていく。
ここ、兵士が3人もいるが、ダンスや机などを駆使して、隠れながら迎えと。
聖水の場所は二階にあるので、どうにかして階段に登る。
そこから、移動して、神殿奥の風の間へと急ぐ。
そこに聖水が置かれている。
「なるほど、結構難しいな」
「兵士がすごい数いるからね、とにかくバレないように行動しないと」
入り組んでいる。
それに兵士の循環ルートも決まっている。
一軒簡単そうだが、少しミスればすぐに見つかる。
とにかく油断はできない神殿だ。
「風の間ってさ、かの風神様が眠っている……要するに寝床じゃない?」
「なっ!……そうなのか?」
「ま、そうだね、確かに風神様は同じ場所、風の間にいるよ……」
ほぉ……。
もしや、これはチャンスかもな。
風の聖水を取ったときに、もしかしたら風神様と話せるかも。
それはいいな!
聖水を取れて、かつ風神様と話せるとは一石二鳥じゃないか!
「とりあえず、聖水を手にいれる、ついでに風神との面を果たす、そして撤収する」
「いいのかい? それで」
「問題ない」
結局これで良い。
俺的にはこれでオッケーだ。
作戦は、決定いした。
これで、明日の夜、実行に映すのみ。
「私は、君が侵入している間、兵士さんたちを引き付けておくよ」
「頼む」
侵入するあいだはフィオネが引き付けて置くことに。
引き付けるって、歌でも歌うのか?
それとも、風だ文化独自の何かを披露するのか。
「あれ、彼女も作戦に参加するのかい?」
「ふん、私はこれでも、腕は立つのさ、どの分野でもね」
おまえは誘導が目的だろ。
まぁ、いい。
この隙に、明日の準備を整えて置くとしよう。
とにかく作戦は締結した。
あとは、実行に移すのみ。
『風の神殿侵入作戦』
目標:風の聖水の取り返し。
失敗条件:兵士に見つかる。
時間:夜の間。
ロベルトは風の聖水を取り戻すため、神殿内へと侵入する。
その間、兵士にバレずに目標地点、
『風の間』に到着するのが目標。
「風の間は色々と書物が多く積まれてるみたいだね」
「魔導書とかか?」




